東京都美術館× 東京藝術大学 「とびらプロジェクト」

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Archive for 8月 3rd, 2012

2012.08.03

とびらプロジェクトマネージャ 伊藤達矢です。
東京都美術館(以下:都美)では、とても魅力的な人々がたくさん働いています。そこで、都美で働く人々の横顔を、このブログで時々紹介して行きたいと思います。「とびの人々」2回目は、ミュージアムショップ店長の永田愛さんです。そして「とびの人々」は、とびラー候補生(以下:とびコー)のインタビューによって進められます。今回の記事をまとめてくれたのは、とびコーさんの山本明日香さんです。
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「マウリッツハイス美術館展」の来場者は既に40 万人を越え、猛暑の中、入場待ちの都美の敷地外まで伸びる日もある。クーラーの効いたロビーに入ると、まず目に入るのが、明るい光が差し込むミュージアムショップ。ここでも、フェルメールの「真珠の耳飾りの少女」のポストカードを手にした人の列が出来ていた。定番のポストカードはもちろん、アクセサリーや、江戸切子を始めとする日本の伝統工芸品、上野の街にちなんだグッズまで、目移りしてしまう。
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都美のリニューアルオープン以来最も忙しい時期を迎えたミュージアムショップを率いるのは、店長の永田愛さん。永田さんは、ショップを単純に「買ってもらう場所」ではなく、「いるだけで楽しい場所」にしたいと話す。
[永田]「お客様が欲しいものは何だろう」。スタッフと一生懸命考えて商品を選びます。ただ、「欲しいだろうな」と予想出来るものだけでは、平凡なラインナップになってしまう。たとえ売れなくても「都美のショップにこんなものが売っていたよ!」と誰かに伝えたくなるような、「魅せる」、「楽しませる」品物も意識して選ぶようにしています。
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永田さんは京都の美大で染色を学び、自身も作品を制作していたが、たまたま人に頼まれて販売の手伝いをした時、「品物を仕入れて販売する」という仕事に大きな充実感を得る。故郷の熊本の現代美術館のミュージアムショップから販売の仕事をスタートし、住まいを東京に移してからも、ここ都美で店頭に立つ。地方の美術館と都美では何か違いはあるのだろうか。
[永田]この美術館は、特別展だけではなく、ほぼ1週間単位で公募展が開催されるという他にはない特徴があります。このため、来場者の数が本当に多く、年齢層もとても幅広いと感じます。書道の公募展がある時期は、書道関連の品物を、絵画作品が多い時期は、絵画関連の書籍を増やすなどの工夫もしています。
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常設の作品が無く、週単位で展示内容が変わる美術館。売る側からすれば、さぞかし販売戦略を練りづらいだろうと想像するが、永田さんは「それもお店の個性」と考えている。
[永田]もちろん、中心は年齢層の高いお客様ですが、その方だけに受ける品物にはしません。逆に、都美のリニューアルを機に、若い人だけが手に取る品物を並べたら、以前から通ってくださっているお客様が楽しめません。特定の人だけではなく、都美に来るすべてのお客様が、ひとつでも「おもしろい!」と思えるモノと出会えるよう、幅広い品揃えを心がけています。お客様にはお店で「自分には関係ないモノばかり」と“疎外感”を感じてもらいたくないのです。
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改装後の店舗には新しい試みの場所も作った。都美のある上野にちなんだオリジナル上野グッズの販売や、特別展に関連した書籍を集めて「ライブラリー」として紹介するなど、期間限定のイベントスペースだ。
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[永田]小さい規模でもワークショップなど、お客様が参加できるイベントもやってみたいです。学芸員や、とびラーのおすすめ商品なども紹介できたら楽しいですね。
疎外感なく、アートを身近に感じてもらうために何を提供するか。発信するか。販売という方法は持っていないものの、私達ととびコーも永田さんと同じテーマで春から活動を始めた。「自分達スタッフだけではなく、美術館に関わるさまざまな人たちと一緒にアートの魅力を発信してゆきたい」という永田さん。これからのとびコーの活動の力強いパートナーになってくれるはずだ。
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とびラー候補生:筆者:山本明日香(やまもと あすか)
千駄木で夫と2人暮らし。15 年勤めた民放テレビ局を数年前に退職。会社の仕事にかまけて出来なかったことに少しずつ挑戦中。美術以外で気になるテーマは、うつわ、テキスタイル、リフォーム、ニュージーランド、そして食。食べて鍛える「舌の筋トレ」歴10 年。
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