東京都美術館× 東京藝術大学 「とびらプロジェクト」

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Archive for 11月, 2012

2012.11.26

東京都美術館のスクールマンデー(対話による鑑賞教育)に星槎国際高等学校のみなさん14名が来館されました。みなさん展示室に入る前から展覧会について関心を持って下さっている様子でした。まずは、学芸員の稲庭さんからご挨拶がありました。

 

高校生のスクールマンデーははじめてでしたが、とびラー候補生(以下:とびコー)の皆さんと自然な対話を通して鑑賞を楽しまれていました。

 

来館された人数が少なかったこともあり、広い展示室でゆったりと鑑賞することができました。

 

最後は、とびコーさんと生徒さんがグループになり作品を鑑賞しました。子供たちとは違ったゆったりとした大人の視線での鑑賞体験もなかなかでした。
(とびらプロジェクトマネージャ 伊藤達矢)

2012.11.26

日本橋小学校の皆さん59名がスクールマンデーにやってきました。スクールマンデーは特別展の休室日を利用した、対話形鑑賞の実践の場です。まずは、学芸員の稲庭さんから展示室内でのマナーや本日の流れについての説明がありました。

 

展示室に入ると、全員で2階の最後のフロアまで移動します。展覧会全体のボリュームが掴めたところで、個別鑑賞の時間となりました。子供たちが手にもっているのは「つぶやきシート」と「開場マップ」。「つぶやきシート」には、気になった作品のちょっとした感想を言葉や絵で書き留めておきます。少し心の中のつぶやきを書き留めたりすることで、自分の気持ちを確認したり、言葉にしやすくなったりします。「開場マップ」には、展示室の中にある全ての作品の位置が写真で記載されています。「もう一度あの作品をみたい」、「美術館に来る前から気になっていたあの作品のところへ行きたい」という時にこ効率よく効果的に作品を鑑賞する助けとなります。

 

時々気になった作品が友達と一緒になることもあります。そんな時は隣り同士何となくお話をしてみます。「つぶやきシート」で少しだけ心の準備が出来ていれば、お互い作品について言葉を交わすことも自然にできるようになり

 

個別の鑑賞が終わった後は、グループ鑑賞の時間となります。VTS(ビジュアル・シンキング・ストラテジー)の鑑賞方法を用いながら、一つの作品をグループで鑑賞してゆきます。「つぶやきシート」でウォーミングアップした成果もあり、いろいろな感想が積み上げられて行きました。

 

とびラー候補生(以下:とびコー)のみなさんも、VTSのファシリテータとして活躍して頂きました。もちろん対応は完璧でした。

 

最後は、もう一度自分が一番気になった作品に会いにゆきます。特別「つぶやきシート」に何かを書かなければいけないという指示は出していませんが、何か気になったことがあったのかな?心にのこる1日であれば、なによりです。
(とびらプロジェクトマネージャ 伊藤 達矢)

 

2012.11.26

休室日を利用して行なわれる、対話による鑑賞教育スクールマンデー。本日は荒川区立第三峡田小学校5年生(25人)6年生(16人)の皆さんでした。「メトロポリタン美術館展」前のエントランスで、僕(伊藤)から展示室内でのマナーや本日の流れについて説明をさせて頂きました。

 

会場に入ると、一度2階の一番奥の展示室まで全員で移動しました。展覧会のボリュームを子供たちに知ってもらうためです。展覧会のボリュームが把握できたら、個別鑑賞の時間となります。
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今回の個別鑑賞はこれまでと少し違います。「メトロポリタン美術館展」で現在貸出し中の「どうぶつボード」を使って気になった作品をスケッチしたり、言葉をメモしたりしながら、楽しく鑑賞して行きます。

 

「メトロポリタン美術館展」は絵画だけではなく、彫刻やタペストリー、食器や写真まで、幅広い作品が展示されています。多種多様な素材と形状の作品を鑑賞するには、こうした自由に使える鑑賞アイテムが非常に効果的です。

 

こちら、児童の描いたエジプトの<猫の小像>のスケッチ。凄い上手です。奥は<聖餐用ハト>のスケッチ。手を動かして、形を確かめながら鑑賞することで、作品が持つ素材の魅力や、洗練された造形的美を、作者の視点をも顧みながら鑑賞することができます。

 

こちらはゴッホの<糸杉>です。本来縦構図の<糸杉>を横構図で自分なりに描いています。画面を構成する要素、この場合は「糸杉」、「雲」、「月」などの形や配置、または作品が醸し出している雰囲気を良く捉えています。描く時間は10分程度です。しかし、集中して一つの作品の前に10分立つというのは、美術の好きな大人でもあまりしないのではないでしょうか。
絵画には描かれている内容(図像)だけには留まらない魅力が潜んでいます。例えばじっくりみることで分かる絵の具の盛り上がりや輝き。さらには、形を辿ることでしか感じ取ることが難しい作者の筆運び(スピード・力強さ)から、<糸杉>を描いていたゴッホの心境までも感じとることができます。そうした奥深さを少しでも体験してもらうためには、気構えずに作品とコミュニケーションのとれる環境と、少しのアイディアやアイテムが大切なのだと改めて感じました。

 

個々人で「どうぶつボード」を使って鑑賞した後は、学芸員の河野さんやとびラー候補生(以下:とびコー)がファシリテータとなってグループで鑑賞して行きます。VTS(ビジュアル・シンキング・ストラテジー)の手法を用いながら、一人ひとりが感じたことをグループて共有することで、個人の視点では見つけることのできなかった、気付きやより深い理解を得ることができます。

 

とびコーのみなさんは、これまでたくさんの時間をかけて培ってきたVTSのファシリテータのデビューの日となりました。さすが7ヶ月以上も何度となく基礎講座や実践講座を通じて知識や実践を積んで来たとびコーさんたちだけあって、最初のファシリテートとは思えない落ち着きとしっかりした進行でした。
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VTSが終わるとまた子供たちは一人で鑑賞する時間を少しとりました。お気に入りの作品は見つかったでしょうか。今日の体験を通して、「また美術館に来たいな」って思ってもらえれば、何よりです。
(とびらプロジェクトマネージャ 伊藤 達矢)

2012.11.19

12月10日の「障がいのある方のための特別鑑賞会」に向けて、とびラー候補生(以下:とびコー)による実践講座が開かれました。今回の「障がいのある方の為の特別鑑賞会」の舞台は「メトロポリタン美術館展」です。

 

前回実施した「マウリッツハイス美術館展」での特別鑑賞会も完璧な対応をみせたとびコーの皆さんですが、今回はさらに特別鑑賞会でのサポートを充実させることと、無理の無い効率的な運営方法を両立たせるため、これまでとびコーさんたち自ら運営方法の研究を進めてきました。シフト表や注意事項、実際のシュミレーション全てがとびコーのみなさんで考えた内容です。誰かが決めて、この通りに動いて下さいということではなく、現場に立つ本人たちの手によって運営方法がブラッシュアップされて行くところが「とびらプロジェクト」らしさだと思います。

 

当日の対応布陣もばっちりです。

ほぼ準備は万端。「障がいのある方の為の特別鑑賞会」にお申し込み頂いたみなさまに満足して頂ける様な1日になることを願っております。
(とびらプロジェクトマネージャ 伊藤 達達矢)

2012.11.17

2回目となる建築ツアーが開催されました。本日もとびラー候補生(以下:とびコー)のみなさんによるオリジナルガイドで、東京都美術館(以下:都美)の建築物としての魅力をご紹介させて頂きました。とびコーの山中さんのツアーは、主に都美の照明をテーマとしたのもでした。

写真は企画展示室を見下ろしている様子です。都美を設計した建築家の前川国男は、設置される照明の場所や種類、強弱だけでなく、光を受け止める壁や柱の質感にもこだわりをもっていました。都美の壁や柱は「ハツリ加工」という工法で仕上げられています。「ハツリ加工」とは、コンクリート製の壁や柱の表面を、職人の手仕事によって粗めのテクスチャーを付けて行く加工のことを言います。この「ハツリ加工」によって生まれる効果は、視覚的にも暖かみが生まれ、かつ壁や柱の存在感をより引き立てるだけでなく、そこに照らし出された光までもが柔らかく、空間に滲む様な印象ををみるものに与えることができます。都美のコンクリート部分の相当面積がこの「ハツリ加工」が施されています。

 

こちらは秋本さんのガイドツアーの様子。2年前の改修工事前の都美と今の都美を模型を使いながら説明しています。

 

こちらは淵上さんのツアー。みなさん、定期的に研究・練習日を決めて、建築ツアーの内容をブラッシュアップしています。次回の建築ツアーは1月19日(日)。お申し込みはこちらから皆さんのご参加をお待ちしております。(とびらプロジェクト マネージャ 伊藤達矢)

2012.11.12

休室日を利用した鑑賞教育の場、スクールマンデー。本日は慶応義塾幼稚舎6年生の皆さん36名が来館されました。はじめに学芸員の稲庭さんより、本日の流れや展示室でのマナーなどについて説明がありました。

 

展示室に入ると、まずは全員で2階の最後のフロアまで一気に進みます。展覧会全体のボリュームを確認できたところで、個別鑑賞の時間となりました。みなさんなにやらメモをとっている様子。実は、今回の授業には展覧会で作品を鑑賞するだけではない、課題が用意されています。それは、子供たち一人ひとりが、自分のお気に入りの作品を1点決め、その作品の音声ガイドを作成することです。36人分の作品のガイドが集まれば、子供たちからみた素晴らしい展覧会の側面が浮き彫りになることでしょう。

 

ゆっくり作品を鑑賞して、自分なりに感じたことをメモして行きます。もちろんキャプションの言葉だけでは十分ではありません。なぜこの作品を選んだか、どこに魅かれたのか、どんな風にみえたのか、誰かに教えてあげたい気持ちや、聞いてもらいたい言葉など、たくさんの要素を一つにして行かなければなりません。

 

個々人で作品鑑賞をした後は、とびラー候補生(以下:とびコー)2人と子供たち2人で4人一組になり、グループで鑑賞して行きます。それぞれが最も番気に入った作品を一つ決め、とびコーさんともう一人の同級生にその作品の素晴らしさを伝えます。とびコーさんもVTSで培った対話力を活かしながら、対話を通して、子供たちとともに鑑賞を深めて行きました。

 

とびコーさんとのグループ鑑賞の時間が終わると、子供たちはまた一人で作品を鑑賞する時間となりました。一人で鑑賞して、ブループで鑑賞する。そして、また改めて一人で鑑賞してみることで、一人では気付かなかった作品の魅力を発見できたりします。慶応義塾大学幼稚舎6年生のみなさんがつくる音声ガイド、凄く楽しみです。あくまで学校の授業でつくられた音声ガイドなので一般のみなさんには公開できませんが、是非聞かせて頂きたい!!と思う次第です。
(とびらプロジェクトマネージャ 伊藤 達矢)

2012.11.05

今回の「スークールマンデー(対話を通した作品鑑賞)」実践講座のテーマは「対話による鑑賞の実践と記録について VTS実践」です。ついにVTS(ビジュアル・シンキング・ストラテジー)の実践に入ります。今日は午前・午後と通しての実践講座、気合いが入ります。講師はNPO法人芸術資源開発機構のアートプランナーである三ツ木紀英さんです。

 

はじめに、VTSを再度おさらいする意味も込めてDVD「Thinking through Art 」(イザベラ・スチュアート・ガードナー美術館)を鑑賞しました。

 

続いて講師の三ツ木さんから、VTSを行なう上で必要な「3質問&7要素」についてお話を頂きました。ここで午前の部終了。

 

午後は二組に別れてVTSの実践に入りました。とびラー候補生(以下:とびコー)のみなさんは、これまで何度となくVTSを見てきましたが、ファシリテータとして実践するのは今回がはじめてとなります。ちなみに、VTSの実践では、たんにファシリテータの練習を行なうだけでなく、1)ファシリテータ役、2)講師役、3)記録役と、必ず1回のVTSに3つの役割を分担することになっています。VTSが終了したあと、2)の講師役は、

「(ファシリテータに)実践してみてどうでしかた?学んだことは何ですか?」

「(鑑賞者に)〇〇さんのファシリテーションで、いいなと思った事はなんですか?」
「(全員に)何か驚いたこと予想外だったことはありますか?」
「(鑑賞グループに)〇〇さんに何か質問はありますか?」
「(ファシリテータに)これから取り組みたい課題はなんですか?どうしたら達成されると思いますか?」
などの質問を投げかけます。
こうしたやり取りを、VTSに参加したメンバー全員で共有し、さらに3)記録役がそこでの会話を記録することになっています。また、VTSの様子は全て音声録音がされており、後で、自分のファシリテートが適切であったかを確認することができます。

 

 

一通りの流れを終えたおころで、三ツ木さんか学芸員の河野さんからコメントを頂きました。1)ファシリテータ役、2)講師役、3)記録役を配置したVTSの練習は実践講座以外でもとびコーさんたちが自主的に集まってVTSの練習をすることのできる仕組みです。
これからの上達が楽しみです。
(とびらプロジェクトマネージャ 伊藤 達矢)

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