東京都美術館× 東京藝術大学 「とびらプロジェクト」

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Archive for 8月, 2018

2018.08.30

こんにちはとびラーの大川です。

取材の日は、前夜からの台風が通り過ぎたもののキャンパス内は風で大荒れ。テントや御輿は大丈夫なのでしょうか?

 

『油画・建築・声楽・指揮・打楽器・オルガン・チェンバロ・リコーダー』の学科がチームになって制作している御輿テントを訪ねました。

 

入り口では隊長のお二人、油画専攻の林さん・建築専攻の伊勢さんが出迎えて下さいました。台風の影響で少しテントが傷んだものの、作業は着々と進んでいる模様。テント内には前回の戸邊さんのレポートよりさらに姿を現しつつある象が。前脚を高く上げて立ち上がる姿からはやがて現れる雄姿が感じられます。

「かわいそうな象」がモチーフになっている御輿ですが、隊長たちのお話では反戦の意よりも、死んでいった象がよみがえる「魂の再生」という想いが込められているそうです。

今回はテントの片隅でひとり熱心に細い筆を走らせている油画専攻の小坂初穂(こさかはつほ)さんに着目。

造形担当者からマケットを引き継ぎ、彩色作業をされています。ペルシャ絨毯などを参考にしながら描いているという背中の紋様はとても繊細で美しく、思わず見入ってしまいます。

ベースとなる象の肌の色は、よりリアルな表現になるよう色味に注意し、

さらに迫力も追求するために油画の技法を駆使して色を重ねていっているそう。

アクリル絵具でなく油絵の具を使い下地から段々に色を重ねていく事で、色合いの様子が変化するとのことです。一見白い肌の様ですが、その下地には写真の様に鮮やかな色が隠されていました。下地がポイントってメイクと同じですね。

また、仕上げにオイルを使ってテカリを出すことで、光が様々な方向から乱反射し「下からじわっと」深みが出てくるそうです。色を重ねつつ試行錯誤を繰り返しています、とお話しされているその姿をとても凛々しく感じました。

 

 

そして、これから更に象の背中に建造物が取り付けられていきます。構造設計もなされ、象の背中には3人が乗っても大丈夫だそうです。制作途中の象の大きさから想像すると、心拍数が上がりそうな高さです。

隊長お二人の専攻は油画と建築。別の所属なんですよね。油画に所属する学生は一学年で55名、一人一人がとても豊かな個性をもっているそう!一方で建築の人数は15人。こちらも一人一人があじわい深い個性をもちながら、どこかで調和をとろうとする性格があるのだとか。

 

最初こそ、御輿のデザインや進め方の方向性で折り合いをつけるのが大変だったけど、「雨降って地固まる」で今は「やるしかない!」と建築科の伊勢さんが一言。悲喜こもごもいろんなドラマがあるようですが、御輿と共にチームも盛り上がっていくようです。

そうそう、あの大人なスイカのデザート、お味はいかがでしたか?粋な差し入れでしたね!

 

これから艶やかに変化を遂げる御輿と各チーム、そしてサンバ部隊。

一緒に楽しみましょう。ぜひ、上野へ!

 


 

執筆:大川よしえ(アート・コミュニケータ「とびラー」)

いろんな方たちとの出会いが面白いとびラーの活動。

あっという間の3年目。今はそんな経験を、届きにくい小さなところにもお伝えできるといいなと考えています。

 

 

 


★藝大生やとびラーが活躍する「藝祭2018」を一緒に楽しみませんか?

公式サイト→(http://geisai.geidai.ac.jp/2018/index.html)

開催期間:9/7(金)8(土)9(日)9:00〜20:00  / 東京藝術大学上野校地にて

2018.08.19

とびラーの大澤です。

毎日暑い日が続いていますが、“平成最後の夏”……みなさま如何お過ごしでしょうか?

うだるような暑さに年代を問わず多くの人が辟易しているのが現状のようにも思えますが、そんな中でも東京藝術大学の上野キャンパスには、学生による他とは一種異なった闘志エネルギーが充満しているようです…。

 

↑東京藝術大学美術学部(通称:美校)敷地内には,既に今年のテーマ“ほてり”のメインビジュアル看板が設置されていました。藝祭の公式Webサイトや公式Twitterによれば、「乱反射による異様な熱に浮かれ、衝動的な夢錯覚に陥る…」ようなイメージがもとになっているそうです。瞳や電磁波のような曲線が印象的でかっこいい…!

 

例年は計8基の御輿を制作していたそうですが、今年度からは4基となるそうです。実際に現場を回ってみると、4科合同制作に対して学生たちからネガティブな意見が出ることは全くなく、逆にパフォーマンス時間が長くなる等の利点を指摘する学生も複数いたため、我々にとっては予想外でした。

 

 

さて,このレポートで取り上げるのは『デザイン・芸術学・作曲・弦楽』チームによる“MAD SCIENTIST”がテーマの御輿です。

チームの隊長・副隊長を務めるのは、デザイン科の神出さん(写真右)と山口さん。そして、デザインを考案したのは同じくデザイン科の杉山さん(写真左)です。今回は写真のお二人をメインにインタビューを行いました。

神出さんは立候補して隊長となられましたが、複数の中から選出されたというわけではなかったそうです。最初隊長に名乗りをあげていた他の人たちが立候補を取り止めていってしまった結果、彼以外にやりたい学生がいなくなってしまったという不思議な経緯があるとお聞きしました。

 

神出さんが統率する当チームは、大きく分けて「法被隊」「御輿隊」「店舗隊」の3つで構成されています。

店舗とは、いわゆる屋台の出店を手掛ける部隊で今年はかき氷を販売するそうです。味やトッピング等含め全て学生のオリジナルなので、「ぜひ多くの来場者に食べに来てもらいたい!」とのこと。Twitterの宣伝画像を見てみると、確かに食欲をそそられるフレーバーがデザインセンス抜群の広告風に紹介されていました。今すぐ食べたい…!!という欲望を藝祭当日まで抑えていられるかどうか……笑

 

当初はマッドサイエンティストのイメージとかき氷とを掛け合わせたアイデアもあったそうですが、予算の関係でマッドなかき氷を制作するのは断念し、見た目の可愛さと美味しさを兼ね揃えたフレーバー数種類に決定したそうです。でも、やっぱり毒々しいかき氷もそれなりに面白い出来ばえになったのかも…と想像を膨らませてしまいます。

 

さて、ここで再び御輿の話に戻ります。

御輿を制作するテントは、どのチームも学生が一から組み立てたものです。傍から見れば、業者にやってもらったのだろうと素通りしてしまうかもしれませんが、藝大生は何でも自らの手で作り出してしまうのだなぁ…と改めて魅力的に感じました。

御輿自体は7月の終わりから制作を始め、8/10時点では2週間ほどが経過したとのことでした。

 

↑道具箱の中には色々な物が入り混じっています。まさに,工事現場さながら!

 

台風の影響等を聞いてみると、それほど被害は受けなかったものの、テント上部から若干の雨漏りがあったそうです。御輿そのものは発泡スチロールを削り取って形にしていくのですが、水に濡れると電熱線が入りにくくなることから、やはり気配りは必要だと感じました。

 

従来の御輿はモチーフやイメージが単体で独立していたものが多かったのですが、こちらのグループは御輿制作までの過程にストーリー性を取り入れている点が見どころだそうです!

ストーリーの主人公は、その名もケン・エスポジート・カミーデ博士。あれ、そう言えば隊長の名前って………!笑

 

それはさておき、彼こそがマッドサイエンティストと称される人物。『マッドサイエンティストの日常(@MS_Ken_e_k)』というTwitterアカウントも随時更新されており、自身の研究所を拠点に怪しげな実験を繰り返す博士と助手たちの活動を垣間見ることができます!

『デザイン・芸術学・作曲・弦楽』チームの御輿情報アカウント(@omikoshi2018)と並行した情報発信が行われているだけでなく、ツイート内の写真や動画は小道具にもこだわって制作されたものなのでクオリティーが素晴らしく、初見の人でも思わずストーリー展開に引き込まれてしまいそうになるのでは?!

↑これがマケットと呼ばれる御輿のミニチュア版模型。御輿全体のバランス等を確認するために活用されていました。まだ完成はしていないそうですが、この時点でも既にクオリティーの高さに驚かされるほどです…。

 

マケットを見ておおよそ想像がつく通り、御輿本体のモチーフは博士が生み出したモンスターとなっています。鮮やかなグリーンと紫の組み合わせは、視覚的にも刺激があって効果抜群だと感じました。モンスター誕生の詳しい経緯に関しては、藝祭当日に明かされるかも…!とのことでした。

 

また、博士が力を入れている実験が仮に成功した暁には、モンスターを光らせることが可能かもしれないとの情報もゲットしました! 当日の出来ばえや御輿全体の完成図を目にするのが待ち遠しい!

↑お話を伺う様子。広報媒体(Twitter)の具体的な活用法について、デザイン案を担当した杉山さんが説明してくださいました。

 

Twitterに載せられている画像の中には、博士がガスマスクを被っていたり、実験室らしき部屋の中で白衣姿に試験管を片手に持つ助手たちの姿が頻繁に登場します。

もちろん小道具類は学生自らが用意した品々で、ガスマスクに関しては隊長の神出さんが自費で購入した物だそうです。元々、ガスマスクに憧れていたとも仰っていましたが、フォルムのかっこよさに何となくでも共感できる方は多いのではないでしょうか?

 

諸々のお話を聞いていて、連想したのが『フランケンシュタイン』のストーリーです。自らが生み出したモノが有する脅威的な力に対する科学者の素直な脅え、親であり創造主でもある人間の期待を裏切るかたちで成長を続け、怪物と化した一種の生命……  しかも、『フランケンシュタイン』作者・Mary Shelleyの人生においては周囲の人々の死が大きな意味合いを持っているという点も、マッドサイエンティストの発端とつながります。(博士の身の上に関する詳しい説明はここでは省きますが、興味深い内容なのでぜひTwitterを見てみてください! あ~‼となるはずです。)

 

ちらっとフランケンシュタインの話題を出してみると、お二人は「確かに似ているかも…」「そうですね!」と反応してくださいました。

↑御輿の一部に落書きのようなものがあったので尋ねてみると、これらも作品の一部として残されると教えてくれました。研究所の仲間から博士に向けた寄せ書きのようなものなのでしょうか…?

 

演出力の高い『デザイン・芸術学・作曲・弦楽』チームですが、Twitter更新のための写真撮影等は御輿制作の合間を利用して行っているそうです。多忙なスケジュールの中で、学生同士が協力しながら一つの物事に取り組む姿は誰の目にも魅力的に映るはずです。

 

8基から4基へと規模が縮小となり、各チーム員数が多くなった点について聞いてみると、パレード時間が去年までよりも長く確保できることはアピールを行ういい機会だとも捉えられるので、ある意味良かったという答えが返ってきました。一方、資金面に関しては従来と変わらないそうなので、うまく融通を利かせる工夫も必要かもしれませんね…。

 

同じチームの作曲科の学生たちには、パフォーマンス時のダンス音源制作をお願いしているそうで、当日の演出がどういったものになるのかドキドキです。

 

最後に、デザインの原案を制作した杉山さんに、隊長・神出さんの魅力についても聞いてみました。

仕事をふるのが上手、作品制作にかける思い、御輿への愛がとてもある、チーム員一人一人への配慮がある…等々、沢山出てきました! やはり人望があるからこそ、仲間の協力が得られるだけでなく、和気あいあいとした現場の雰囲気を創出できるのだとこちら側も気づかされました。

 

↑黄緑のTシャツを着ている方が副隊長の山口さん(デザイン科)です。

 

↑各御輿制作テント内にはありがたそうなお札が設置されており、知る人ぞ知る恒例の存在となっています。

 

以上、今回は隊長と御輿デザイン原案を担当したお二人にインタビューを行いました。

外部の人間ながら、想像以上に活気のある現場にお邪魔することができ、本当に楽しいひと時を過ごすことができました! 次回以降は、また別の学生のお話も聞けるかもしれませんので,この記事に目を通していただいた方も再度、随時更新されていく御輿レポートをチェックしていただければと思います。

 

私自身も様々な学生との出会いを大切にしつつ、日々着々と準備が進む御輿の全貌を覗き見る楽しさをより多くの方にお伝えできるようにすることを目標に、ひとまずここで筆を置かせていただきます。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

 

To be continued…👾


 

執筆:大澤桃乃(アート・コミュニケータ「とびラー」)

とびラーの活動を始めてから、芸術に対する関心は高まる一方。

平成最後の夏は、まさに“ほてる”くらいアートに浸る…そんな時間を過ごしたい!

インタビューを通して得体の知れないマッドな(?)藝大生の素性を暴いていく過程がこれから先どうなるのか楽しみです。

 


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2018.08.18

今年度からとびラーとしての活動をスタートさせた戸邉さん。記念すべき最初の活動は藝祭で披露される御輿の制作現場をレポートすること!戸邉さんは理工学系の建築科に在学中の大学生で、そういった観点からの考察も交えてレポートをしてくれました。

文末のメッセージのお茶目なつぶやきも必読です。


こんにちは、とびラーの戸邉です。8月初頭の真夏日、御輿を制作している藝大の校内を訪れました。


(グーグルマップより。赤丸は筆者が記入。)

この図は、各チームの作業場の位置を示している。上から『油画・建築・声楽指揮打楽器・オルガン・チェンバロ・リコーダー』、『日本画・工芸・邦楽・楽理』、『デザイン・芸学・作曲・弦楽』、『彫刻・先端・管楽器・音環・ピアノ』である。特に、建物の南西に位置する敷地は、直達日射に晒されて、アトリエとしての条件が良いとは言えないが、この環境下で奮闘しているチームがいる。

 

我々一行は、校内の奥に向かって進み、『油画・建築・声楽指揮打楽器・オルガン・チェンバロ・リコーダー』チームの本拠地に至った。

第一印象は、“テントが美しい”ことである。御輿の出入りと作業を考慮し、奥行のある大空間と正面の大開口部が備わっている。鉄パイプを限界の長さまで用いることで、二階建ての建物に近い天井高を実現している。加えて、ファサードには袖幕とペディメントまで設けられている。(このデザイン性と機能が両立した構造は、ペーター・ベーレンス設計の工場などを想起させる。)

それでは、肝心の御輿について触れよう。隊長はこの二人だ。右から、建築専攻の伊勢さん、油画専攻の林さんである。テントから顔を覗かせた発泡スチロール像を見ると、御輿の概容は「三つの頭がある象」であるらしい。我々が一般に象で連想するのは、特徴的な鼻や耳が形作る大きい頭部と、ずんぐりむっくりの胴体である。故に、八岐大蛇のように華奢な頭部と比べ、象の頭部が複数あると、見慣れているバランスが崩れて、プロポーションが悪く思えてしまうのではないか、という危機感を抱いた。しかしながら、モチーフにしたというタイのエラワン美術館の象のオブジェの画像を確認したところ、迫力のある構図であった。

(画像出典:https://www.thailandtravel.or.jp/the-erawan-nuseum/ タイ国政府観光庁公式サイトより)

 

隊長曰く、「三頭の象には、戦中の物語である、上野動物園の『かわいそうなぞう』を意識した」とのこと。例えば世界の歴史の中では、戦象対策として、豚に火をつけて放つということもあった。古来から、動物は人の戦争に否応なしに巻き込まれてきた。被災した象の頭部を合わせたイメージは画期的で、エラワン美術館の象のオブジェとイメージが重なっていく。御輿として生まれ変わった象を目の前にしたら、毒針を刺す気力もわかない。

加えて、生命体という有機物と建造物という無機物の統合が一つの目標だと聞いた。思うに、現時点では、十二分に生き物の雰囲気が醸し出されているので、建造物の挿入がボトルネックであろう。最後に、三頭の象が前方にせり出し、担ぎ手に覆いかぶさるような構造も見所である。


執筆:戸邉尭暉(とべ たかき)(アート・コミュニケータ「とびラー」)

 

完成した御輿に感服する以上に、プロセスにおけるドラマを発掘することで、

一過性ではない興奮を共有できるようなレポーターを目指したいです。

追伸:一緒に御輿を制作したい衝動に駆られています。

 


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2018.08.16

こんにちは。とびラーの松原です。今日は『先端・彫刻・ピアノ・管楽・音環』チームが作っている御輿の制作現場をレポートします。伊藤さん(彫刻)、西山さん(先端)の両隊長にインタビューしました。このチームのイメージはエジプトという事で、アヌビス神を作成していました。

 

 

 

他のテーマ候補として『能』も挙がったそうですが、和のテーマは他チームに譲る事にして、音楽、踊りとコラボしやすそうなエジプト(アヌビス神)に軍配が上がった様です。この決め方は多数決だったとのこと。科をまたぐコラボが売りなので、御輿を中心とした、当日の連携パフォーマンスを、どうかお楽しみにとのコメントでした。

 

 

 

 

 

 

取材の最後に、隊長に立候補した、やる気満々のお二人に「意見が合わない事は無いですか?」と、とびラーからチョット意地悪な質問をしたら、間髪入れず「全然無いよねー」と答えが返って来ました。過去の様々なノウハウ(資料)が伝授され、毎日の様に暑い作業現場に差し入れに来てくれるという先輩方の暖かい応援の声が聞こえてくる様でした。

息のピッタリ合った、ピアスがお似合いのお二人でした。

 

 

取材・執筆:松原誠一(アート・コミュニケータ「とびラー」)

…「美術館はライブハウスだと思ってとびラー活動してます。御輿づくりのライブ感を熱くお伝えしまーす!

 

 


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2018.08.16

暑い、今年は特に暑い。でも、もっと暑くて、もっと熱いところがあります。東京藝術大学(以下、藝大)の敷地に建てられたテントの中です。そこでは今年藝大に入学した学生が、9月7日から9日に開催される藝大の学園祭「藝祭」に向けて、御輿づくりの真最中です。

藝大に興味があり、毎年の藝祭も楽しみにしている、とびらプロジェクトのアート・コミュニケータ(愛称「とびラー」)の有志は、今年も、藝祭まで待てずに、御輿づくりの現場に突撃取材しようということになりました。学園祭を学生だけが楽しむのは勿体無い、周りの大人も楽しんじゃおうというノリです。改めましてみなさんこんにちは、とびラーの鈴木です。

昨年までは、藝祭では8基の御輿を制作していましたが、今年は、諸々の事情で4基になったということで、パワーが倍増するのか、はたまた大勢の船頭が御輿を山に登らせてしまうのか、興味津々です。

今年第一回の御輿取材は、8月10日に行いました。ここからは、そこで取材させていただいた、『日本画・工芸・邦楽・楽理』チームが制作している御輿「烏天狗」に関するレポートになります。

「烏天狗」は、音校(※音楽校地)をちょっと入った所で、大きなテントの中で制作されていました。台風13号が通過した後の取材日の東京はすごく暑かったのですが、このテントは西日があたり特に暑く感じられます。こんな中で、どんな人が御輿を作っているのだろうと興味が湧いてきた所で、「隊長さんいますか」と声をかけます。すると、御輿の本体を制作中のテントではなく、その近くにある小さなテントから、裸足の女性が飛び出して来てくれました。彼女が、隊長の一人、日本画の山本さんでした。そこに、もう一人の隊長、工芸の中川さんも加わって、お二人から話を聞くことができました。

テントの中では、もう発泡スチロールのブロックが積み上がって本体の制作が進んでいたので、「もう始めてからどのくらい経ったんですか?」と聞くと、2週間くらいとのこと。2週間でテントを建て、ここまでできるんですね。驚きます。でも、藝祭までもう30日をきっていますから、このくらいできていないと、順調とは言えないのかもしれません。大変だなと思います。

このチームの今年のモチーフは「烏天狗」だと公式藝祭Webサイトに発表されていました。今回の「烏天狗」はどのように決まったんですか?」と伺うと、チームの中から出て来たアイデアの中で、最後に残ったのが「龍」と「烏天狗」で、その2つで競った結果、最後に「烏天狗」になったそうです。でも、後日談があり、よく調べてみると、天狗の元は仏法を守る八部衆の中の迦楼羅(カルラ)で、その迦楼羅はもともと龍を常食としていたということが分かったので、そこで再び龍が登場して、烏天狗と龍が対峙する図柄になったということです。このチームは、日本画、工芸、邦楽、楽理の混合編成ということで、御輿のモチーフも日本の伝統を意識しているようです。

日本画と工芸が一緒のチームで御輿づくりをするのは、今年が初めてということなので、「二科の混成チームでうまくいっていますか?」と、ちょっと意地悪な質問。すると答えは、最初は、作品に対するアプローチなど合わないところもあって、工芸の方が大きく形を取るところから始めようというのに対し、日本画の方は細部へのこだわりがあったなど、対立もあったそうです。けれど、共同作業を進めるなかで、いまではお互いのことがわかるようになり、立体は造形、色は日本画というように、お互いの良いところを出し合って進めているようです。よかった。

お二人にどうして隊長になったのですかという質問をすると、お二人とも自らの立候補だということでした。工芸の中川さんは、高校2年生の頃から、藝祭御輿の隊長をやりたいと思っていたそうです。すばらしい意気込みですね。

作業台の上には接着剤と並んで、栄養ドリンクの空き瓶が転がっています。柱にかかっている温度計は42度になったこともあるそうです。素晴らしい御輿も、こんな過酷な環境から生まれると考えると、感慨に打たれます。

 

今はまだ、嘴や羽は別の場所で作成中であり、本体は発泡スチロールの塊の中から頭の丸みが出て来ているだけの段階なので、最終形は想像するしかできません。でも、この御輿の見所はそのポーズにあるという隊長の話もあり、これからどんな姿を現してくるのか楽しみです。また、9月7日の御輿アピールのパフォーマンスでは、邦楽と楽理の得意分野の「烏天狗」を題材とする邦楽を使うということなので、それも見逃せません、いや聞き逃せません。

取材でお邪魔した後、帰ろうとすると、トンボが一匹飛び去って行きました。11日からは学校も夏季休日で御輿作業も中断。少しお休みして、また9月に向けて頑張ってねと思う、取材とびラーでした。

 

 

執筆:鈴木重保(アート・コミュニケータ「とびラー」)

…「過ぎ去る夏に突如現れる藝祭御輿、これからもフォローします。

 

 

 

写真:藤田まり(アート・コミュニケータ「とびラー」)、峰岸優香(とびらプロジェクト アシスタント)


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公式サイト→(http://geisai.geidai.ac.jp/2018/index.html)

開催期間:9/7(金)8(土)9(日)9:00〜20:00  / 東京藝術大学上野校地にて

 

2018.08.11

東京都美術館で開催される「TURNフェス4」をアート・コミュニケータ(とびラー)と一緒に楽しみませんか。お散歩する気分で展示室をめぐり、アーティストの話を聞いたり、おしゃべりをしたり。いろんな出会いを一緒に楽しみましょう!

日時|2018年8月18日(土)15:00 – 15:40
       8月19日(日)11:15 – 11:55
(*各回40分程度。開始10分前より受付開始)
会場|東京都美術館 ロビー階 第1・第2公募展示室    「TURNフェス4」会場
集合|東京都美術館 ロビー階 第1公募展示室入口    「TURNフェス4」受付前
参加費|無料
定員|15名(当日受付・先着順)
参加方法|当日集合場所にて開始10分前より受付を行います。直接お越し下さい。

 

※広報や記録用に撮影・録音を行います。ご了承ください。

 

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