東京都美術館× 東京藝術大学 「とびらプロジェクト」

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缶バッジプロジェクト: メトロポリタン美術館 古代エジプト展 女王と女神 編

 

秋晴れの9月15日(月・祝)、『メトロポリタン美術館 古代エジプト展 女王と女神』展示室内2階休憩スペースで、とびラーによるワークショップ「古代文字ヒエログリフを書いてみよう!~イロイロとび缶バッジ~」を実施しました。

展示室を訪れた方々の鑑賞をより深めるための工夫はないかと思案したとびラーが、展示物に散見されるエジプトの古代文字(ヒエログリフ)に着目したことから生まれたワークショップです。自分の手で実際にヒエログリフを書いてみたら、神秘的な絵文字の刻まれた展示物をもっと身近に感じられるのではと考えたのです。そしてその体験を、美術館への親しみも込めて缶バッジに仕上げて持ち帰っていただこうと、オリジナルの50音表や台紙を作成して臨みました。

 

会場入口には大きなモニターを設置しました。とびらプロジェクトの活動と、今回のワークショップの成り立ちを紹介するためです。このワークショップのメイキングビデオの撮影&編集ももちろんとびラーの手によるものです。早速、動画に誘われて鑑賞を終えた方々が集まってきました。

 

受付では、ワークショップの主旨と作業手順を丁寧に説明してから50音表をお渡しします。ちいさなお子様の参加者に該当文字をマーキングして差し上げたのも、とびラーらしいおもてなし。「お名前は?」「○○ちゃんのお名前には鳥さんの絵がたくさんあるね!」と、受付での一コマにも参加者ととびラーの微笑ましいコミュニケーションが生まれていました。

 

50音表を受け取ったら、次は台紙選びです。この台紙は、東京都美術館の壁や床、ソファーなど、館内のいたるところの写真をプリントしたもの。ここにヒエログリフを書き込んだら、まるで東京都美術館の建築物に自分の名前を刻み込むような気持ちになりませんか?

 

作業台では、楽しそうに熱中する姿があちこちで見受けられました。一見難しそうなヒエログリフも、真似して書いてみたら意外に上手に仕上がるので、次々に感嘆の声があがります。

テーブルには書き順表や、とびラーが書いた見本もたくさん並んでいます。ヒエログリフには発音を充てた「表音文字」だけでなく、個々の意味や固有名に則した「表意文字」もあるので、ここではその一例として「ハトシェプスト女王」「ハトホル女王」など今回の展示にちなんだ名前や、「永遠」「健康」「やあ!君!」といった身近な言葉の表記を紹介しました。ご自身の名前に「永遠」の文字を組み合わせた作品を作った方もいらっしゃいましたよ!

 

作品が書けたらマシン台へ移動、とびラーが缶バッジに仕上げます。ドキドキ・ワクワクしながらプレスされるのを待つひとときもまた楽しいもの。でも実はその瞬間、担当とびラーも内心はドキドキです。世界でたったひとつの作品を仕上げるお手伝いをしているのですから、にこやかに対応しつつも失敗したらどうしようと気が気ではありません。だからこそ仕上がった喜びを参加者と共有できた瞬間は至福の時です。

 

素敵に仕上がった缶バッジにご満悦な参加者に「見せてください!」と、すかさずとびラーが声をかけます。「この背景の写真はあそこの壁のタイルです」「これはほら、この窓から見えるあの植え込みの石ですよ」「これは1階のアートラウンジにある椅子ですね、ぜひ帰りに覗いてみてください」等々のコメントとともに、東京都美術館のマップに撮影場所をマーキングしてお渡ししていたのは、『建築ツアー』でも活躍中のとびラーです。缶バッジをきっかけに、東京都美術館の建築物としての魅力をお伝えできたのも有意義なひとときでした。古代エジプトに思いを馳せつつ美術館の建物を意識してみると、3500年の時を超えて存在する展示品の偉大さもあらためて感じられたのではないでしょうか。次は『建築ツアー』でお会いしましょう!とのお約束もぜひ覚えていてくださいね。

 

こうして4時間半のワークショップが、たくさんの笑顔とともに終了しました。「展示品のヒエログリフをもう一度見てみたくなった」と展示室に戻られた方、「友だちに自慢したい!」と笑顔で伝えてくださった方、「職員証に付けて愛用する」と早速つけて見せてくださった方、「ヒエログリフの書き取りテストがあったら百点とれる!」との頼もしい小学生、「敬老の日のお祝いにおじいちゃまの名前を書いた」と教えてくださったご家族・・・ご参加いただいたみなさまが、今回のワークショップを機に『メトロポリタン美術館 古代エジプト展 女王と女神』を振り返り、鑑賞を深めていただけましたら幸いです。

わたしたちとびラーも参加者のみなさまと古代エジプト文化の一端をきっかけとしたコミュニケーションを存分に楽しませていただきました。

わたしたちとびラーは、これからも美術館がより身近な場所になるための活動を続けていきたいと思っています。みなさまとの再会、そしてより多くの新たな出会いをも願いつつ・・・。

筆者:とびラー 小松 一世

2014.09.15

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