東京都美術館× 東京藝術大学 「とびらプロジェクト」

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建築ワークショップ「Photo-Archi たてもの×あるく×フォト」~大学生とともに~

【美術館探訪の愉しさ】
私は、アート・コミュニケータ(通称:とびラー)になってから美術館の建物自体にみどころがいっぱいあることを知りました。東京都美術館(以下、トビカン)は、日本のモダニズム建築の巨匠・前川國男氏の設計です。壁、階段、照明、家具などあちこちにこだわりがあって、散策しながら一つひとつ見つけていくと、これまでは何とはなしに眺めていたトビカンをめぐる景色が、ぐっと生き生きとみえるようになりました。
トビカンに展覧会をみに来てくださる皆さんにも、トビカン探訪の愉しさを味わってもらえたら、という思いから、とびラーたちでトビカン散策をテーマとしたワークショップを企画しました。トビカン周りや館内を小グループで写真を撮りながら歩き、撮った写真を共有しながらティータイムを過ごすというものです。
先日、第一回目を多摩大学の2~3年生の学生さん22名の参加で開催しました。その様子を写真でレポートします。

▼22名の学生さんと周りのとびラー。
図1

▼散策出発前、グループそれぞれにフォトカードが渡されます。散策ですることは二つ。一つは、この写真と同じ景色を見つけて同じアングルで写真を撮ってくること。簡単に見つかるものから難題まで取り混ぜてあり、どれか一つでも見つけられればOK!もう一つは「いいな」、「おもしろいな」、「好きだな」と感じた景色を自由に何枚でも写真に撮ってくること。このフォトカードはとびラーのてづくりです。準備の段階で実際に写真を撮り歩き、選んでカードに仕立てました。
図2

▼グループごとに散策へ。学生さん4~5名にとびラーが1名の編成です。この日はとてもよい天気だったこともあり、多くのグループが館内だけでなく建物の外にも出かけました。
図3▼トビカン正門入ってすぐの『my sky hole』を鑑賞するグループ。後ろで何やら楽し気なポーズを取るとびラーのKさん。
図4

▼写真はグループに一台貸し出したiPadで撮ってもらいましたが、私物のスマートフォンでも写真を撮る学生さんが多かったです。散策と撮影を愉しんでくれている様子が伝わってきました。
図5

▼散策から戻った後、自由に撮ってきた写真の中から「これは!」という一枚をグループで選びました。
図6

▼各グループ、選んだ一枚を投影して「どうしてこの一枚を選んだか」の理由とともに紹介。他のグループに共有します。三角の形をした階段(愛称:おむすび階段)が人気でした。
図7

図8

▼「グループで選んだ一枚」以外にも「これはどこでしょう?」とクイズ形式で紹介してくれた石ころの写真。散策してあちこちよくみて歩いたからこそ気づくところにあります。
図9

▼今回は、学生さんからとびラーに向けた質問タイムを設けました。とびラーが企画づくりで大事にしていることや、とびラーの活動そのものへのパッションについての質問が出ました。
図10
図11

▼質問に答えるとびラー。
図12

▼ワークショップの締めくくりに、学生さんたちにこのワークショップに参加してみた立場から、よかったと感じた点、こうしたらもっとよくなるという点を付箋に書いてもらいました。次回の開催に向けて活かしていきたいです。
図13

最後に・・・
私は、トビカン探訪の愉しさを知ってから、トビカンに限らず美術館の中を前よりもずっと自由に歩き回っています。
美術館に展覧会をみにいくと、よく「順路」という矢印が示してあります。以前の私は、美術館では、まず入口から入り、順路の表示に従って展覧会の作品をみて、出口を出たらミュージアムショップにちょっと寄って「さて、みるものみたし用事は済んだから帰るか」、という、今から思えばちょっとそわそわしたままで落ち着かない感じで帰っていました。でも美術館という建物自体をみる体験をきっかけにして、親しみやゆったりと時間を過ごせる居心地のよさを感じられるようになった気がします。

トビカンで展覧会をみた後に、よかったらちょっとトビカン探訪してみませんか。
↓トビカンみどころマップ
http://www.tobikan.jp/media/pdf/h25/architecture_midokoroMaekawa.pdf

執筆:中野未知子 アート・コミュニケータ(とびラー)

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2016.06.04

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