東京都美術館× 東京藝術大学 「とびらプロジェクト」

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基礎講座③|「上野公園のアクセシビリティを考えよう」

第3回目となる基礎講座。今回の舞台は、ずばり上野公園。

ホームである東京都美術館だけではなく、上野公園内の文化施設をグループごとにリサーチに行きます。

◯1日の流れ

くじをひき、行き先を決める(グループ作成)

10:00-10:40 本日の課題発表、活動の説明

10:40-13:20 グループワーク   各所に出かけ、リサーチを行う

案をまとめる

13:20-15:00 プレゼン・講評・まとめ

 

くじをひき、グループが決まったら講座スタートです。

東京都美術館(以下:都美)学芸員の稲庭さんからアクセシビリティの基本的な考え方や様々なプログラムの事例についてお話しを聞きます。

 

そもそもアクセシビリティとは?

 

一般的にアクセシビリティ(accessibility)とは「近づきやすさ」「得やすさ」などと訳される言葉です。

高齢者や障害を持った方などいわゆる社会的弱者と言われる方々を含め、どんな状況におかれた人でも支障なくサービスを利用できることが大切です。

アクセシビリティを阻害する原因は、身体的なこと、心理的なこと、あるいは物理的、社会構造的なことなど様々ありますが、何よりまずその原因に気づくことが大変だったりします。自分が支障なくできている事柄に対して、その人の状況をよく想像し、アクセシビリティを高めていこうとすることは簡単なことではありません。自分の思わぬところが人によってはとても苦労するということもあるからです。

そういった問題に、海外のミュージアムが取り組むアクセシビリティにまつわるいくつかのプログラム事例があげられました。また、とびラーもかかわる東京都美術館の「障害のある方のための特別鑑賞会」についても紹介がありました。

そしていよいよ講師の日比野克彦さんと森司さんから本日のテーマと課題の発表です。

本日のテーマ:「上野公園のアクセシビリティを考えよう」

課題:「あなたは2050年の未来から2018年に来てしまいました。2050年にはあって、2018年の世界にはない、美術館・博物館・上野公園についてのアクセシビリティに関連する知恵、ソフトコンテンツ、コミュニティ、技術があれば教えてください。」

数十年先の未来に予想されている、超高齢化社会など、いろいろな問題を抱える日本の姿・状況。そういった未来で必要されるアクセシビリティのあり方とはどのようなものなのでしょうか。

日比野さん、森さんからお二人が考えるアクセシビリティについてお話がありました。 

日比野さんから出たキーワードとして「質量0のアクセシビリティ」という話がありました。重さのある物理的な移動・アクセス以前に、まず考えたり想像することが大切だということです。

すべての始まりはイメージをすること。イメージが世界を作り上げている。視野を広げて、拡張できるだけする。

自分自身が開拓者になったつもりで様々なことに興味を持つ。そしてその中で違和感や、やりにくさを感じたら、そこに答えが隠れている。まずは柔軟な姿勢で考えてみることが大切です。 

日比野さんと森さんからリサーチのポイントやヒントをもらい、いよいよフィールドに出発です。

今回みなさんが出かけるミュージアムは5つです。

●東京国立博物館

●恩賜上野動物園

●国立西洋美術館

●国際こども図書館

●国立科学博物館

 

こちらは科学博物館に行くグループ。

「科学博物館ってどこにあるの?」

駅から向かうと少し奥に隠れている科博。

そんなところも2050年のアクセシビリティを考えるヒントになるのかもしれません。

 

 

 

こちらは西洋美術館にでかけたグループです。

常設展を観に行く模様。

 

東京国立博物館のグループは観るものが多くて楽しそうです。

建物の内の造りや収蔵品、2050年に果たしてどのようなかたちで残っているのでしょうか…。

 

各自外でのリサーチが終わったら、昼食を取りながら午後の発表について打ち合わせを行います。

感じたこと、考えたことを食事を取りながらだと気軽に話せます。

皆さん和やかな雰囲気です。

 

各グループ模造紙に今回の課題、2050年の未来図をまとめていきます。

まとめていく段階でそれぞれの個性がみられました。まとめ方も様々で、ポストイットを貼り付けいくグループや町の構造を絵で表したグループなど、同じ場所に行ったグループでも全然違う意見が出ていました。

 

最後に、各グループまとめを発表します。

2050年にはもう美術館は存在しない、というグループや恩賜上野動物園では、動物の生態系が展示されるというものも。

各グループに日比野克彦さんと森司さんによるコメントがあります。

全体を通して物理的な面を取り上げたグループも多かった今回。

公園内の移動も自動車椅子ならそれほど苦労しなくてもいけるね、などすでに2018年にあるものも多く、それほどにテクノロジーはすでに発達していると改めて実感できたのではないでしょうか。

AI文化が進んだ今、果たして人ができることはなんなのか。質量の0のアクセシビリティとは人間のコミュニケーション。気楽に意見を言い合える空気感。

実践的な体験を受けて新しい考え方を見つけるヒントになったのではないでしょうか。

 

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とびらプロジェクトアシスタント下澤希望

 

2018.05.12

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