東京都美術館× 東京藝術大学 「とびらプロジェクト」

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とびらプロジェクト前期総会「働いてみたとびラー」

とびらプロジェクトも始動してから6ヶ月が過ぎました。基礎講座が終わり、実践講座へ進み、とびラーのアイディアからさまざまな活動が生まれました。活動があまりにも急速に成長し、そのバリエーションも多様なため、ここらで一度総会を開き、とびラー候補生(以下:とびコー)同士が自分たちの活動を振り返り、今後の活動の指針を再確認することを目的に、「働いてみたとびラー」と題した総会が開かれました。講師は左から西村佳哲学さん、稲庭彩和子さん、僕(伊藤達矢)です。

 

はじめに西村さんから「なんのためのアートコミュニケーション」という問いが提示され、この半年の活動を再度とびコーさん同士が再確認し合うことから総会は始まりました。

 

3人一組になり、この半年の活動について、成果や反省を含め自分たちが感じたことを話合いました。とびらプロジェクトがはじまって半年間、とびコーのみなさんも無我夢中で走って来たというのが正直なところだと思います。しかし、このまま走り続けるのではなく、少し立ち止まって「何のためのアートコミュニケーション」なのかを考えることで、今後の活動をより意味深いものにして行ければと思います。ただ、この「何のためのアートコミュニケーション」という問いには、正解はありません。むしろ、それはとびらプロジェクトを運営するスタッフも一緒に考え続けてゆかなければならないテーマであるとも思います。そして「何のためのアートコミュニケーション」という問いは、とびらプロジェクトに関わる全ての人の中に千差万別に、個々人それそれ違った答えで深められることを期待しています。とびらスタッフやとびコーさん個々人の解釈がより多様なアートコミュニケーションの在り方を体現するきっかけになるのでは無いかと思います。

 

午後は、とびコーさん自信から各々が担当したプロジェクトについて発表して頂きました。恐らくとびらプロジェクトの全てを体験した人はスタッフを含めて一人もいないのでは無いでしょうか。そのため、自分が参加できていなかったプロジェクトについては、あまりよくしらないというとびコーさんもたくさんいます。

 

こうした発表の機会は、とびらプロジェクトのエネルギーを共有するのにとても大事な場となりました。発表は20組以上に及び、密度の濃い共有の場となりました。

 

今回の総会にはとびコーさんからさまざまなアイテムの配布もありました。写真は館内の情報がつまったとびラー&館内職員専用のマップ。内容をまとめるところから、デザインするところまでとびコーさんの丁寧な作業によって完成されたものです。

 

こちらは、とびコーさんの名刺、全員分あります、こちらも名刺プロジェクトのとびコーさんによって作成されました。これを使ってどんどんとびコーさんも地域進出して頂ければと思います。

 

これは、これまでの半年間をまとめた「とびらすごろく」とびコーさんの一喜一憂がまとめられ、見る人が見たら涙がでそうです。

 

最後はアートコミュニケーション担当係長の稲庭さんと西村ささんからコメントがありました。
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稲庭さん>
「理論で伝えきれないものを大事にして行くのが、アート・コミュニケーションではないかと思います。とびらプロジェクトを通して作品を鑑賞する上でも、今後活動を行なってゆく上でも、とびラーを含め関わった来館者が『自分はこういう風に思う』とそれぞれの感じ方を表明し合い、共有出来る場を育んで行きたいと思っています。こうした各自の感じ方を直接共有するのは、時間や手間がかかることかもしれません。むしろ、テキストを用いた意思の伝達の方が効率の良い最短距離の意思疎通(コミュニケーション)と理解することもできます。しかし『なんとなくこんな感じ、、、』といったイメージ(感性)の共有を対話やその場の暖かみを通して紡いで行くことには、テキストでは補うことができない程の奥行きを感じます。そうした奥行きの存在こそが、『言葉にはうまく置き換えられない大切なもの』に輪郭を与えてくれるのはないでしょうか。今はまだ、アートを通して自分の価値観を表明したり、共有できたりする場所は少ないですが、とびらプロジェクトを通して、もっとそうした場や機会を増やしてゆければと思います。」
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西村さん>
「武蔵境にある図書館『武蔵野プレイス』ってしっていますか?これまでの図書館は住宅地の奥になり、働く人に導線にはあまり乗っていませんでした。しかし、この『武蔵野プレイスは』駅の前にあり、夜10時まで開館しています。しかも1階はカフェになっています。今全国の図書館が少しずつ変化を遂げようとしています。これまでの図書館は図書の収蔵が主であり、そこに来る人も自分の欲しい本を見つけて借りて行く言わば消費者的でありました。しかし、今の先進的な図書館は従来の図書館としての機能は保つつも、人々が図書館に訪れたことがきっかけになり、何かの活動がはじまったり、自分の人生に新しい展開がみえたりと、様々な可能性を創造する『場づくり』としての図書館の姿をつくることがが試みられています。そのため、本の並べ方もいわゆる図書館的な分類法ではなく、本屋さんの様な『出産』というジャンルの後には『孫育て』といったジャンルがくる様に、活用する人の目線で並んでいます。また、ただ本を借りる/読むスペースではなく、市民の活動がスタートするための『止まり木的な空間』や、『ミーティングルーム』などが多数設置されています。更に地下2階に降りて行くと、小中高生のための場所があります。ここでは、図書館であるにも関わらず、カップラーメンをつくることのできる給湯場があったり、クライミングウォールがあったりと少し不思議な空間になっています。実は『武蔵野プレイス』が出来る以前は、授業が終わった後の小中高生に行き場がありませんでした。そのため塾や部活の無い子供たちは、武蔵境にあるイトーヨーカドーの地下に集まることが多かったそうです。この、行き場の無い子供たちに図書館という行き場を与えたのが『武蔵野プレイス』でもありました。こうした様に今では、公共文化施設の役割はどんどん変化してきています。こうした期待の一旦はとびらプロジェクトに、都美ももかかっているのではないかと感じます。」
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稲庭さん、西村さんから、今後の展望を示唆するようなコメントを頂きました。まだまだ美術館では図書館の様な軽やかさを打ち出すことは難しい側面もありますが、施設の利便性に異存するのではなく、活用する人の側に主体性を持つことを基本とするのがとびらプロジェクトらしさであれば、とびらプロジェクト流のやり方で、こうした社会的な期待にも答える方法を今後見い出して行きたいと感じました。これからがとびらプロジェクトの本番です。この半年間の成果を土台に引き続き頑張りましょう
(とびらプロジェクトマネージャ 伊藤達矢)

 

2012.10.06

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