東京都美術館× 東京藝術大学 「とびらプロジェクト」

とびらプロジェクトとは?

美術館を拠点にコミュニティを育む

美術館を拠点にアートを介してコミュニティを育むソーシャルデザインプロジェクト「とびらプロジェクト」。広く一般から集まったアート・コミュニケータ「とびラー」と、学芸員や大学の教員、そして第一線で活躍中の専門家がともに美術館を拠点に、そこにある文化資源を活かしながら、人と作品、人と人、人と場所をつなぐ活動を展開しています。
「とびらプロジェクト」は、東京都美術館がリニューアルオープンしたことをきっかけに、隣の東京藝術大学と手を組み2012年に始動しました。新たなミッションを掲げた東京都美術館と、東京藝術大学の大学としての特性を活かしながら2つの組織が連携して行っています。

私たちの目指すこと

「成熟した社会」と言われる現代の日本において、今後取り組まなくてはならない社会的な課題は、多様性の尊重とそのネットワーク化の2つであると考えます。一つは人々の価値観や文化背景の違いなどを尊重することであり、二つ目は個々人の生き方を孤立させず、社会の中で関係づけていくことと捉えています。
多様な人々の多様な価値観を結びつけていけるアート・コミュニケータが社会の中で機能することにより、誰もが誰もを包摂できるしなやかで柔軟な社会基盤の構築を目指していきます。

とびラボ
実践講座
基礎講座
これからゼミ
任期満了後の活動

東京都美術館のミッション

東京都美術館は「アートへの入口」となることを目指します。展覧会を鑑賞する、子供たちが訪れる、芸術家の卵が初めて出品する、障害のある人も何のためらいもなく来館できる美術館となります。訪れた人が、新しい価値観に触れ、自己を見つめ、世界との絆が深まる「創造と共生の場=アート・コミュニティ」を築き、「生きる糧としてのアート」に出会える場とします。これらを実現することで、東京都美術館が人びとの「心のゆたかさの拠り所」となるようにします。

東京藝術大学からのメッセージ

東京藝術大学は、芸術の基本である「もの」としての作品に加えて、「こと」としての芸術に取組み、市民が芸術に親しむ機会の創出に努め、芸術をもって社会に貢献します。アートを介したコミュニティづくりは、作品を創造する人、そしてそれを享受する人を含め、人びとのクリエイティブな力が活きる社会をつくることにつながります。

アート・コミュニケータとは?

アート・コミュニケータ「とびラー」の役割

アート・コミュニケータ「とびラー」の役割

アート・コミュニケータ「とびラー」の任期は3年間です。アートを介して誰もがフラットに参加できる対話の場をデザインし、様々な価値観を持つ多様な人々を結びつけるコミュニティのデザインに取り組んでいます。「とびラー」とは、東京都美術館の「都美(とび)」と、「新しい扉(とびら)を開く」の意味が含まれた愛称です。会社員や教員、学生、フリーランサー、専業主婦や退職後の方など18歳以上の様々な人たちで構成されています。とびラーはボランタリーな活動ですが、美術館のサポーターではありません。学芸員や大学の教員などの専門家とともに活動する能動的なプレイヤーです。
とびラーは、3年の任期を満了した後も、美術館や大学と継続した関係を保ちながら、アート・コミュニケータとして実社会で活躍することが期待されています。
現在も任期満了した多くのとびラーが、美術館で培ったネットワークや、活動を通して育んだスキルを活かしながら、対話のある社会の実現に向けた活動を継続しています。

活動の仕組み

とびラーは「基礎講座」と「実践講座」、「とびラボ」を通して、東京都美術館のミッションと東京藝術大学からのメッセージを共有し、とびラーとしての役割の理解を深めていきます。そして、3年目のとびラーは任期終了後の活動について考え実践する「これからゼミ」を開くことができます。学ぶコトと現場で実践するコトのサイクルがあることで、美術館を拠点とした活動がさらに充実したものになっていきます。それぞれの関心に軸足を置きながら、互いに学び合うことを大切にしています。

学ぶこと実践すること

まずはじめに!
基礎講座(4月~6月:全6回24時間)

「基礎講座」は、新しいコミュニティづくりの基本を学ぶ講座です。1年目のとびラーは全員必ず参加します。美術館での活動とはどのようなものか?対話やクリエイティブなコミュニケーションが起こる場づくりとは? など、とびラーの活動を支える基礎的な物事の考え方を参加形式で学んでいきます。

講座の内容・記録はこちら

基礎講座

いよいよ実践!
実践講座(7月~)

「実践講座」では、「鑑賞実践講座」「アクセス実践講座」「建築実践講座」といった、美術館で起こる実践的な場面を想定して設けられた3つのコースの中から1つ以上を選択できます。各講座は専門の外部講師や学芸員、大学の教員が担当し、実践の現場で気付いた疑問なども振り返りながら進められていきます。

鑑賞実践講座

鑑賞実践講座(モノと人を考える)

対話を通して作品を楽しみ、鑑賞を深める活動について学びます。鑑賞者が自由な発想で、主体的に鑑賞できる機会をつくるにはどうしたらよいか、「鑑賞の場を作る側」の視点を持ちながら考えていきます。

講座の内容・記録はこちら

アクセス実践講座

アクセス実践講座(人と人を考える)

美術館にある作品や文化財を活かし、多様な人々が芸術や文化財につながることのできる新たな回路をつくる活動と、その意義について考えます。

講座の内容・記録はこちら

建築実践講座

建築実践講座(ハコと人を考える)

前川國男が設計した東京都美術館の建築への関心を軸に、より広い視野で建築の魅力、建築と人々の関わりについて考え、建築空間があるからこそ生まれる活動を作っていきます。

講座の内容・記録はこちら

つどうことはぐくむこと

とびラボ

「この指とまれ式」と「そこにいる人が全て式」から
新しい活動が生まれます。

「とびラボ」とは、とびラー同士が自発的に開催するミーティングであり、新しいプロジェクトの検討と発信が行なわれる場です。様々なバックグラウンドを持ったとびラーによる「この指とまれ式」と「そこにいる人が全て式」でオリジナルの活動が生まれ、アートを介したコミュニケーションの可能性が大きく広がっています。また、「とびラボ」はとびラー同士のゆるやかなコミュニケーションの場でもあり、対話から生まれる充実した時間が、美術館に新しい価値を注ぎ込んでいます。

とびラボ

「とびラボ」を開くときは
“この指とまれ式”

とびラーは、新しい活動のアイディアがひらめいたら「この指とまれ!」で他のとびラーを集めてチームをつくります。3人以上集まったらスタートです。

活動するときは
“そこにいる人が全て式”

集まったとびラーたちが自由に「とびラボ」を開きます。そこにいるとびラー全員でできることを考えることで、はじめのアイディアに他のとびラーのアイディアが重なって、新しいアイディアが生まれ、学芸員や大学教員らと相談しながら、とびラーオリジナルの活動が実施されていきます。

解散! また結成

活動の目的を達成して、成果をとびラー自身でしっかりふりかえることができたら、その「とびラボ」は解散します。そして、また新しいアイディアが生まれた時には「この指とまれ!」でもう一度仲間を募ります。

チームの結成と解散をくり返すことで、常にフレッシュな対話の構造をつくります。

とびラボ

3年目の仕上げ
これからゼミ

「これからゼミ」では、とびらプロジェクト を離れた後、どの様に活動していくのかに ついて考え、実践します。例えば、ゲスト 講師を招いた勉強会の開催や、ワークショップの実践など、各自が自分たちのスキルアッ プに必要な講座を自らデザインし、取り組むことができます。「アート・コミュニケー タ」としての総仕上げの場です。

これからゼミ

任期満了後の活動

3年の任期を満了したとびラーたちはそれぞれのコミュニティに戻ります。とびらプロジェクトでの3年間に出会った人々とのネットワークや、活動や講座で習得したスキルを活かしながら様々な形で「対話」を大切にした活動を続けています。美術館を拠点に育まれた沢山の小さな種が、広く社会の中で芽を出し、多様な人々、価値観を結び続けます。

任期満了後の活動

Museum Start あいうえの との連動

「とびらプロジェクト」は「Museum Start あいうえの」と連動することで、さらに活動の舞台を広げています。「Museum Start あいうえの」とは、東京都美術館と東京藝術大学が推進役となり、上野公園に集まる9つの文化施設が連携して行なうラーニング・デザイン・プロジェクトです。こどもたちの”ミュージアム・デビュー” を応援し、上野公園に集まる豊かな文化資源を活かしながら、こどもと大人がフラットに学び合える環境を創造することを目的としています。とびラーは各種プログラムのファシリテートやサポートを担当します。

こどもとおとなの学び合い

こどもとおとなの学び合い

とびラーは各プログラムでこどもたちに寄り添い、ミュージアムでの活動を安心して行なうことができるようサポートします。親でも先生でもない大人との間で起こる学び合いは、多様な価値観に出会うチャンスとなります。

社会課題への関わり

社会課題への関わり

ミュージアムにアクセスしにくい生活環境や、カルチャー・ギャップなどの多様な社会的課題について考えます。
そして、こどもたちとのコミュニケーションを大切にしたインクルーシブ・プログラムに取り組んでいます。