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2期とびラー、家庭と会社と3本柱
「新しいことを始めているんだよ」
亀山 月に2〜3回は必ずここ(東京都美術館)に来ていると思います。対話型鑑賞の実践講座と、それを実践する「スペシャル・マンデー・コース」にもできるだけ出席するようにしていて。
月曜の休館日を利用して、子どもたちが学校のクラス単位で美術館を訪れ、ゆっくり展示鑑賞を楽しむプログラム。「とびらプロジェクト」が軸に据えている対話型鑑賞法「VTS(後述)」が用いられる。
亀山 いくつかの「とびラボ」にも都合のつく範囲で。たとえば「授乳室を可愛くしよう」というプロジェクトとか。
小さなお子さんのいるお母さんが「とびラー」にいて、都美の授乳室を使ったとき「あまりに殺風景で可愛くなかった(笑)」と。「あそこの居心地をもう少しよくできないかな」という声を彼女が掲示板に上げてくれたんです。わたしもすごく共感できたので賛同して。5〜6名が集まって話を交わしています。
亀山 かなりのペースで参加しているように見えると思いますが、普段はフルタイムの会社員です。そのうえ、夫と小学4年生の男の子と2年生の女の子の家族もいて(笑)。プライベートな生活と、日中の会社の仕事と、そのあいだに「とびらプロジェクト」がある。
亀山 うちは保育園に預けて働きながら育ててきたので、やっぱり朝ご飯と夕ご飯の時間がいちばん密度の高い家族タイムなんです。そこで子どもに、「とびらプロジェクト」のことをすごく喋るようにしている。
たとえば「昨日の月曜は、どこどこの学校の4年生の子どもたちと半日すごして、こんなことがあってね」とか、わりと全部話したり。理解しているかはわからないのだけど、「楽しいんだよ」「新しいことを始めているんだよ」ということを伝えたくて。
やりくりについては、子どもが放課後お稽古ごとに行っている間に都美に来て、帰宅時間に合わせて切り上げて、彼らが一人で留守番をすることにはならないようにしている。
亀山 会社には、「とびらプロジェクト」の活動や経験から返せるものがいろいろある気がしたので、「自分のスキルを上げるため」という理由を添えて申請して、正式に了解をとっているんです。ミュージアムの展示に関連する職種で、ずっと博物館や美術館にたずさわってきました。
「スペシャル・マンデー」は平日の月曜日だから、会社で働いていると参画が難しい。けど関連する講座も月曜午後にひらかれるので、試しにその時間帯の外出申請も出してみたら、「そういうことならいいよ」と言ってもらえた。なので平日の午前中は会社で働いて、なにかある日には午後からここに来るスタイルを取れているんです。あのときは本当に「いい会社だなあ」と思いました(笑)。
<つづく>
〝ゼロ期〟とびラー、主婦、2度目の大学生
2014-10
1期とびラー、区民ホール勤務、デザイナー経験あり
2014-10
とびらプロジェクト コーディネータ、立ち上げスタッフの一人
2015-01
2期とびラー、家庭と会社と3本柱
2015-01
1期とびラー、家族で会社運営、もとテレビ局勤務
2015-02
大学で刑法を学び、広告業界を経た学芸員
2015-06
子育て中の1期とびラー、言葉にしない“共感”の名人
2016-02
2期とびラー、経験を持ち帰りながらテーマパークの運営会社に勤務
2016-05
3期とびラー、就活を経て出版社に入社1年目
2016-07
4期とびラー、美術館めぐりが趣味の仕事人。
2016-11
3期とびラー、タイでボランティアを8年間したクラフト好き
2017-01
現役藝大生の4期とびラー
2018-04
「幹事大好き」の4期とびラー
2018-04
最年長の70代。5期とびラー
2019-05
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