2018.05.28
2018年5月28日、「プーシキン美術館展ー旅するフランス風景画」障害のある方のための特別鑑賞会で、「iPad@プーシキン美術館展」を開催しました。
iPadを使ったプログラムはこれまでの「障害のある方のための特別鑑賞会」でも、「視覚に障害のある方も車椅子の方も、作品を見ることを楽しんでもらいたい」という思いで、とびラボとして企画、実施されてきました。
作品の画像データを取り込んだ東京都美術館のiPadを持ったアート・コミュニケーター(以下とびラー)がそれぞれの階の展示室内に2名程度滞在し、iPadの画面上で画像を拡大したり、手元で見せることで、より鑑賞を楽しんでいただけるようにする鑑賞サポートプログラムです。
「この絵のこの色が良く見たかったの」と具体的に見たいものをとびラーにお伝えしてくださる方や、「杖をついていると絵の近くまで寄りづらいから、こうして見せてもらえるのはありがたい」との言葉や、「これは何が描かれてるの?」とiPadで拡大した画像と本物の絵を見比べながら、それぞれ思っていたものとの違いを楽しんだり、絵について話しているうちに、美術館へ来ることへの思いを話してくださったり。さまざまなコミュニケーションがうまれる場となりました。
今回、このプログラムに参加したとびラーは25名。「喜んでもらえたのが嬉しかった」「お話し出来たのが楽しかった」と、とびラー自身も楽しんでいました。
絵画を鑑賞することは個人的な経験になりがちですが、iPadという道具を介して、作品×人のコミュニケーションがたくさん生まれる機会となったことは、とびラーにとっても発見でした。
障害がある、ないに関わらず、「心のゆたかさの拠り所」を目指す東京都美術館で、このような場があることが改めて素敵に感じました。
次回の障害のある方のための特別鑑賞会では、どんな出会いがあり、どんなコミュニケーションが生まれるのか、ワクワクしています。
執筆:今村 昭浩(アート・コミュニケータ「とびラー」)
アート×福祉×地域を探求すべく、とびラーとなって、早3年目。アートを通じて、人がつながる機会があちこちで生まれることを目指して、奮闘中です!