東京都美術館× 東京藝術大学 「とびらプロジェクト」

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Archive for 12月, 2023

2023.12.16

「みえない人」も「みえる人」も、お互いがいるから、みえること、気づけることがあります。「みえない人」と「みえる人」そして「とびラー」が、作品鑑賞を通じて障害の有無に関わらずフラットに対話することで、新たな発見や気づきを分かち合いたい。この企画は、そんな思いからスタートしました。

 

半年近くにわたる活動では、とびラーは実際に「みえない・みえにくい」状況とはどういうことなのかを考えることから始め、みえる・みえないの垣根を越えてフラットに対話し鑑賞するにはどうすればよいか、議論を重ねていきました。

プログラムの骨格が決まると、当事者(視覚障害者)の方と一緒にトライアルを行い、そこで出た意見も反映しながら、安心・安全かつ、みんなで楽しめるプログラムへとブラッシュアップしていきました。

そして、いよいよ本番当日! 一般応募いただいた「みえない人・みえにくい人」と「みえる人」をお迎えしてプログラムを開催し、たくさんの気づきと発見に満ちあふれた時間となりました。

 

■開催日時: 2023年12月16日(土)

■参加人数: みえない人・みえにくい人(視覚に障害のある方):6名

       介助者:4名   

       みえる人(晴眼者):5名

       とびラー:17名

■会場:上野アーティストプロジェクト2023『いのちをうつすー菌類、植物、動物、人間ー』展、アートスタディルーム

■プログラム概要:「みえない人・みえにくい人(+介助者)」と「みえる人」、とびラーによる4〜6名のグループに分かれ、アイスブレイクを経て『いのちをうつすー菌類、植物、動物、人間ー』展の3作品をそれぞれ鑑賞。その後、一緒に鑑賞したことでの発見や気づきをシェアする。

 

 

<開催に至るまでのプロセス>

「みえない」「みえにくい」って、実際はどういうことなのでしょう?鑑賞会を企画するにあたり、まずは「みえない」「みえにくい」方がどのように作品を楽しんでいるのか、また、みえる人とどのように共有できるのかを考えました。そこでの気づきから「めざすゴール」や「実現のためのアイデア」を検討していきました。そこで「一緒に作品を味わい、お互いの違いを意識することなくフラットに対話することで、みえない人もみえる人も楽しめる場をつくる」ことを目指そうと決めました。

そうして作ったプログラムを、実際に視覚障害者の方を招いた2度のトライアルを行い、実践するうえでの意見や、アドバイスをもとにブラッシュアップしていきました。

本番の1か月前に展覧会が開幕してからは、実際に展示フロアでの作品鑑賞や移動の動線を何度もシミュレーションし、メンバー全員が各々の役割と持ち場で準備を進めていきました。

開催直前には、目指している対話の場づくりをもう一度思い起こして、「安心・安全な場」そして「楽しむこと」を大切にしようと確認し、開催当日を迎えました。

 

<開催当日の様子>

 

1.開会~アイスブレイク

 

冒頭でとびらプロジェクトとプログラムの概要を説明し、「言葉が大切なコミュニケーション手段なので、今日は感じたこと気づいたことをたくさんお話してください」と大切な思いをお伝えして、プログラムがスタートしました。

先ずはお互いのことを知り、発言しやすい場をつくるために自己紹介。話す人と聞く人を明確にして、触覚という共通の体験を入れて話すとよいのでは、というアイデアから、今回の展覧会のモチーフにもなっている鳥のぬいぐるみを持って話すようにしました。自然と和やかな雰囲気になり、鑑賞への期待感も高まりました。さあ、展示室へGO!

 

2.作品鑑賞

 

展覧会場は2つのフロアに分かれ、ゴリラ、鳥、牛、馬、キノコ、草花といった様々な動植物をモチーフにした絵画、彫刻、写真などの作品が展示されていて、各グループ毎に3つの作品を順番に鑑賞していきます。作品と作品の間の移動時間には、展示室全体の空間について、言葉で説明しながら、楽しくおしゃべりします。鑑賞作品が会場全体の中でどのように展示されているのかを伝えることで、みえない人の理解につながっていきました。

 

また、みえない方それぞれのみえ方に応じて、鑑賞時の立ち位置なども工夫するように配慮しました。参加者の状況を見ながら、適宜休憩も入れて鑑賞していきました。

ご主人や娘さんと一緒に参加された80代のみえない女性。介助者のご主人はアイスブレイクではおとなしい感じでしたが、アホウドリをみて「抱きしめたい」と思いがけない胸キュンの一言!グループ全体が打ち解けて、一気に対話が弾んでいきました。

また、あるグループのみえにくい人は、何とか作品をみてみよう、感じてみようと、作品に近づけるギリギリまで近づいて食い入るように鑑賞されていました。そのあまりの熱心さに、みえる方も感動されて、言葉でその場を補うように発話が増えていき、徐々に対話の場ができていきました。

 

最初は緊張していた参加者も、作品鑑賞が進むにつれて、みえる人がどのように伝えればみえない人にわかりやすいかを考えて一つ一つ丁寧に話しかけたり、みえない人も説明や問いかけに対して積極的に気づきや質問をするようになっていきました。2作品目、3作品目と鑑賞を重ねていく中で自然に発言が出るようになり鑑賞が深まっていく様子がはっきりとわかりました。そのような姿を見ると、「フラットに対話をし、みんなでみる」という鑑賞は実現できたと思われます。

それは何度も現場で確認した事前の準備と、みえる・みえないに関わらず相手に寄り添う気持ちを持って接したことにより達成できたのだと思います。

 

1時間の鑑賞タイムを終えて、参加者の皆さんも充実した笑顔でアートスタディルームに戻ります!

 

3.シェアリング~閉会

 

アイスブレイクと同じテーブルでのシェアタイムでは、参加者の皆さんの表情もイキイキとしていて、感想話に花が咲きました。例えば、ゴリラの作品では、「一つ一つの表情に喜怒哀楽があるように繊細で豊かに感じられるようになった」というグループもあれば、「みえにくい人にはゴリラの顔は黒い毛玉にしかみえなかった」という感想が出たグループもありました。

みえない人・みえにくい人がどのように対象を見ているのか、対話により得られる共通の体験を分かち合う喜びと難しさなど、他のグループの話を聞くことで、さらなる発見や気づきにもつながり、ふだんみえているようでみえていなかったものに気づいたり、みえていないものをありありと感じられた時間になったようです。

 

 

<参加者の感想>

 

終了後に記入いただいた参加者のアンケートから一部をご紹介します!

 

・「みんなの見る目が人によってちがう。自分1人だと絵を見ることが難しいけど、みんなと一緒なら見ることができる」(みえない人)

 

・「見える人から説明してもらうことで鑑賞のきっかけをもらえる。見える人→見えない人への一方向ではなく、会話の中から作品鑑賞が生まれてくる感じがした」(みえない人)

 

・「アートはみえる、みえないということは関係なく、一緒に鑑賞することで自分自身で発見があった。今までなかなかいけなかった美術館に行こうと思うきっかけになった」(みえにくい人)

 

・「見えていると思っていたら、実は大して見ていなかったことに気づいて驚きました」(みえる人)

 

・「見えない人に対して絵を伝えるために、分かりやすい言葉を選ばなければならないことに気づくことができた。見える・見えないの0か100ではなく、見えないのはグラデーションだと気づいた」(みえる人)

 

・「自分の見方の高さを少し変えるだけで、ものの見方、伝え方はこんなにも深くなるのだと実感しました。ちょっとした変化でコミュニケーションはもっと深まるのですね」(介助者(みえる人))

 

・「みなさんの感想をお聞きしていると、作家さんの「ここを見てほしい」という意向がちゃんと伝わっているんだと思いました。それをみなさんがきちんと受けとめていることに感動します。生命は美しいとあらためて感じます」(介助者(みえる人))

 

また、ファシリテーターを務めたとびラーからはこんな声がありました。

 


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「最初は見える人が見えない人に説明をしていましたが、鑑賞が進むにつれ、見えない人の質問によって鑑賞がさらに深まっていくことに皆が気づいて、見える人も見えない人もお互いの立場を平等に感じているように思いました」

 

「見える人の素直な感想が、見えない人の質問を生み出しだんだんと垣根のない空間なっていきました。和やかで温かい時間を一緒に過ごすことができました」

 

「描かれているゴリラのイメージについて話した時に「会社のボス的な存在なのでは?」となりました。

Aさん:「俺についてこい」 みたいな感じかな。

Bさん:う~ん…きっと部下には何も言わないと思う。

Cさん:背中で語るタイプですね。

皆さんの想像していたのは昭和タイプのボスだったのかもしれません」

 

「馬の作品の印象をみんなで話す中で、みえない人の「何となく不穏な感じを受ける」というひと言から競走馬の悲しいエピソードが引き出され、より鑑賞が深まる体験ができました」

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たくさんの感想をいただき、もう少しシェアタイムの時間があればとの声も多くいただきました。「みえる人」の中には、今回の体験をきっかけにアート・コミュニケータに関心を持っていただいたり、「みえない人」で、美術館でまた鑑賞してみたい、新しいことにチャレンジしてみたい、と前向きな発言をされている方がいたのが印象的でした。参加者それぞれが何かを感じて、新しい視点が生まれていたようです。

 

みんなでみて フラットに対話をして 鑑賞を楽しむ。

みえない人とみえる人の対話を通じて、お互いの視点によってよりよく作品を味わうことを目指した「みんなでみる美術館」。

みえる・みえないをハードルと考えるのではなく、その人の特性の一つとしてとらえ、お互いの違いを楽しむ、そんな場になる一歩を踏み出すことができました。

今回の実践を次のインクルーシブな場へとつなげていき、またみんなで一緒に分かち合えますように。

 

東京都美術館では、たくさんの参加体験型のプログラムや、障害のある方のための特別鑑賞会なども開催されています。また皆さんとご一緒できることを楽しみにしています!



10期とびラー 安東豊

アートを介して対話することで、人と人との多様な価値観や想いがつながり、新しい世界がみえてくる。そんな出会いや化学反応の場に立ち会い、寄り添える喜びを感じています。

 

 

 

10期とびラー 飯田倫子

「遠くに行くならみんなで行け」そんな言葉の意味を強く感じたラボでした。みんなで取り組んだからこそ、「みんなでみる」ことが実現できたと思っています。

2023.12.16

 

東京都美術館には「エスプラナード」と呼ばれる空間があります。上野公園から正門を通ってすぐ、レンガ色の建物に囲まれた広くて開放的なスペースのことです。館内の建物に入るまでの散歩道となっているその空間は、この美術館の建築的な特徴にもなっています。

とびラーにとっては、来るたびに通るなじみ深いエスプラナード で、来館者に楽しんでもらえるような何かをしたい!と思い立ってとびラボを始めたのが8月のことでした。

具体的に何をするかやその目的については、とびラボに集まったとびラーみんなで考えることにしました。

 

 

まずはエスプラナードについて各々が思うことや期待することを話し合ってみました。「せっかくの素敵な空間なのに来館者にあまり意識されずに素通りされているのでは?」「野外彫刻がたくさん展示してあるのにあまり見てもらえていない」「美術館に来た人に展示を観るだけでなくプラスアルファの楽しみをここで提供したい」などの意見が出ました。

 

そして今度はエスプラナードでやってみたいことのアイデアを自由に出し合いました。

「パラソルや椅子を置いてのんびり過ごしてもらいたい」「レッドカーペットを引いてゴージャスな気分で歩いてもらう」「広い空間を生かしてファッションショーをおこなう」「建物の壁でナイトシアターをやる」「コーヒーを無料でふるまう」などたくさんの案が出てきました。エスプラナードという空間を舞台に、みんなで妄想を広げる時間がとても楽しくどんどんアイデアが広がりました。

 

 

次のミーティングでは、たくさんの案の中から本当に自分たちがやりたいこと、ここでやるべきことはなんだろう、と考えてみました。

そこでみんなの意見が一致したことは「エスプラナードを通るどなたでも気軽に参加できる」、そして「アートや美術館をより親しみやすく感じて欲しい」というものでした。

エスプラナードはこの美術館の入り口だからこそ、すべての市民にとってアートへの入り口になるような体験を提供したいと考えました。

 

 

その目的をはたすためにできることはなんだろう?と、今度はみんなで実際にエスプラナードに出て来館者の様子を観察することにしました。

 

美術館に来る多くの人は自分が観たい展示や用事を済ませるために、建物の中にまっすぐ入っていきます。帰りもあまり寄り道をせずに上野公園へと出かけていき、エスプラナードはその通り道となっています。

 

けれど時折、美術館の正門の前で記念写真を撮る人や、エスプラナードで一番目立つ大きな球形の彫刻《my sky hole 85-2 光と影》に興味を示して鏡のような表面に映り込む自分の姿を覗き込む人たちがいました。

 

その様子を見てみんなで考えたことは、わたしたちとびラーが来館者に声がけして少しの間立ち止まって話をしたり、エスプラナードを一緒に散歩してみてはどうか?ということでした。

 

会話を生むきっかけとして、記念写真を撮ってあげたり道に迷っている方の案内をしてみる。そこからコミュニケーションをとれたら、来館者に楽しい思い出を提供できて、美術館に親しみをもってくれるかもしれない。それいいね!とエスプラナードで自分たちがおこなうことを現場で決めました。

 

 

また、来館者に声をかける際に、他の来館者とは違うここで何かをする人だと分かる格好をした方が声をかけやすいのでは?と考えました。広いエスプラナードで少し目立つように背の高い帽子をかぶるのと、写真を撮る役割を示すカメラのマークを入れた腕章をつけてはどうか。

 

するとその場で持っていた紙を折って小さな帽子を作ったとびラーがいました。それをみんなでかぶってみることで、エスプラナードで自分たちがやりたいことのイメージが一気に固まりました。

 

そうと決まったら手先が器用なとびラーたちがあっという間に帽子や腕章を手作り。自分たちが衣装をまとうことで気分も大きく盛り上がり、これで来館者に喜んでもらいたい!と意欲満々で実施の日を迎えました。

 

 

その日は12月とは思えないぐらいの暖かい晴天で朝から美術館に来る人もちらほら。午前10時から声がけを始めました。

 

しかし最初は緊張し、まっすぐ建物に向かう人に足を止めてもらうことへ少し躊躇しました。けれどこれまでみんなで話し合ってきたことを実践する大きなチャンス、と勇気を振り絞ってエスプラナードを通る人にどんどん声かけをしていきました。そうすると意外と足を止めて話を聞いてくれる人がいました。

 

 

この日は特別展が開催されていない時期でしたが、市民が応募して作品を出品する公募展を観に来た家族連れや友人グループが多くいました。「記念に写真を撮りましょうか?」と彫刻や門の前で話しかけると「じゃあせっかくだから」とスマホやカメラを手渡してくれました。中には手作りの衣装をまとったとびラーと一緒に撮りたいと言ってくれるグループもいてうれしくなりました。

 

「はい、チーズ!」と撮影した後、「今日はなにを観に来られたんですか?」とうかがうと「孫の書作品が入選したので家族で観に来たの」「友達が撮った写真作品が飾られてる」などと話す方が多く、「入選おめでとうございます!」と伝えると照れくさそうにしつつ「ありがとう!」と喜ばれました。そこからアートにまつわる家族の素敵な話や作品への熱い思いを聞いたりして来館者と一緒に会話を楽しみました。

 

 

また、置いてある野外彫刻の説明をすると他の作品も観たいと言ってくださる方もいて、ぐるりとエスプラナードを案内しました。

 

声がけや会話の内容もとびラーそれぞれ得意な話し方があり、エスプラナードのあちこちで笑顔の輪が同時にいくつも出来ていました。中には一人の方とじっくり話し込むとびラーもいて、美術館に来たそれぞれの人のストーリーを聞けるとても良い機会になりました。

 

行きがけにお話しして展示を観た帰りにまた寄って話かけてくれる方や、「今日ここに来て良かった」と言ってくださる家族もいました。

 

 

二時間半の間に合計110組以上のグループとお話ししました。時間が来ても止めるのが惜しい気持ちになりましたがこの日は一旦終了。またやりたいね、とみんなで話しながらエスプラナードを後にしました。

 

 

 

 

今回の活動を通して、ミュージアムにある「場」から発想して、場と人、人と人を結ぶアートコミュニケーションについてとびラー同士で考えることができました。

 

また、実際に来館者に声がけして会話をすることで、いろんな方がアートや美術館を身近に楽しまれている様子を知ることができました。

 

美術館に来る方に楽しんでほしいと始めたことですが、私たちが来館者から美術館の魅力を教えてもらうという、とても良い経験になりました。

 

今回のとびラボでは最初に目的ややることを決めずにスタートしましたが、いろんなとびラーが自分で企画を提案したり衣装を持ち込んだりみんなで自主的に動いて一つのプログラムを形作ることができました。

 

例え少しのスペースでもアイデアしだいでコミュニケーションの「場」をつくる活動は、他の美術館や文化施設でもできるかもしれません。またどこかでいろんな人との出会いを楽しみたい、そう思えるとびラボでした。

 

 


 

10期とびラー 池田智雄

美術館・博物館・郷土資料館や音楽ホールなど、人が文化の楽しさを求めて集まる場所が好き。そこがもっと楽しくて親しみやすい場所になるようなことを自分たちでできたらうれしいです。

2023.12.11

 

 


 

第7回鑑賞実践講座|「ファシリテーション研究」

日時|2023年12月11日(月)10:00〜15:00
会場|東京都美術館 アートスタディルーム、スタジオ
講師|三ツ木紀英(NPO法人 芸術資源開発機構(ARDA)
内容|テーマ:鑑賞が深まるとは。対話の構造を理解する
・共同的でクリティカルに思考する場のデザイン/構造
・作品研究を対話に活かす方法

 


第7回の講座では、Visual Thinking Strategies(VTS)による鑑賞のファシリテーションを分析することで、鑑賞が深まる対話の構造を理解することを目標に講座を行いました。

 

まずはじめに、VTSの基本的なテクニックを用いた鑑賞の資料映像を見ながら、VTSファシリテータのはたらきかけが、どのように鑑賞者に作用しているのか、対話の流れにそって書き出します。書き出すことで、対話がどう深まっていったのか、そのきっかけとなるファシリテーションの作用に気がつくことができます。

 

 

 

 

 

そのあとは、書き出した対話の流れとファシリテータのはたらきかけの言葉を元に、第5回の講座で行った、ファシリテーションの事前準備である「作品研究シート」を作っていきました。そうする事で、事前の準備をどのように実際のファシリテーションに生かしていくことができるのか、その構造を理解していきました。

 

最後は、全員がファシリテーションを実践し、VTSファシリテーションの基本的な要素を用いることで複数人での作品鑑賞が深まることを体験しました。

 

 


 

(とびらプロジェクト コーディネータ 越川さくら)

2023.12.08

◆はじめに

夜間開館日にライトアップされた東京都美術館の美しさ・建築の魅力をともに味わいたい、そんな思いでツアーを開催してきました。12年目を迎えるこのラボ、今までの良さを受け継ぎつつも、刷新してきたこの1年の様子をお届けします。

夜の公募棟。ヤカンツアー参加者だけが入ることができる。

 

◆実施概要

・開催年月:2023年6月・9月・12月(計7回)

・参加人数(延べ人数):参加者124名 とびラー59名

・開催時間:19:15-19:45(6月)19:05-19:45(9月~)

・テーマ及びコース:ガイドを担当するとびラーがおススメをご案内

 

◆ツアーの様子  

ツアーでは、夜ならではの建築や空間の見どころを30~40分で紹介しました。ここでは、2023年12月に2回開催した「トビカン・ヤカン・カイカン・ツアー@ローマ展」の様子をお届けします。

 

夜の空気感や光はもちろん、発見やまなざしをともにしているシーンなど、参加者の皆さんととびラー20名の一期一会のステキなひとときをご覧ください。

 

<開始前>

本番前の事前準備風景。コースの共有やチームごとの最終打合せも入念に

準備を整え、さあお迎え!

ぞくぞくとお客様がいらっしゃる。受付後に、各チームへご案内

 

<ツアー>

ツアーのテーマ・コースはガイドによってまちまち。ちなみに、ローマ展2回目で各ガイドが用意したテーマは
「夜のおしゃべり都美散歩/光に照らし出された都美空間を楽しむ/夜ならではのトビカンの陰影を楽しむ/100年保つ建物とその夜景/夜の都美をみんなでみてみよう!/色と光の調和」と多彩です。

ツアーテーマを伝えてスタート

反射する光を堪能

エスプラナードを散策

天井やライトを愛でる

椅子も愛でる

素材をジェスチャーで説明

通称おむすび階段にて何やら楽しそうな様子

公募棟より何やら発見

お話もはずむ!

素敵なツアーを終えて控室へ

撮影班もお疲れさま!

 

◆過去から受け継いできたこと

11年続いているラボの良さを継承する、特に①シンプルな運営②ツアーの知見を貯めていくことを改めて大事にしようと話し合い、スタートしました。

 

①シンプルな運営

とびラーも家庭に仕事に忙しい人が多いので「金曜夜に2時間だけぱっと集まって集中して準備→ツアー→振り返り→解散」という流れができていました。この流れをよりブラッシュUPして、短い時間で楽しめるようにしました。

 

②ツアーの知見を貯めていく

ツアー実施には、ガイドやサポートはもちろん、受付や撮影など各役割の連携が欠かせません。過去の実施例を集めて知見集をつくりました。自分たちの知見も加えつつ、秘伝のタレ化を目指して更新中です。

 

◆今年のメンバーで変えてみたこと

よりツアーを手軽に楽しんでいただくために、①アンケート廃止②ツアー時間延長③当日呼び込み、この3点を刷新。アフターコロナも追い風になりました。

 

①アンケート廃止+②ツアー時間延長

ツアー時間を10分延長。参加者から「もう少し長いと嬉しい」とお声をいただくことが多く、我々ももう少しご案内したいという想いがありました。そこで、準備時間を短縮し、アンケートもツアー後に感想をいただくことで代用。ゆったりと夜の散策を楽しむことに繋がりました。

 

③当日呼び込み

アフターコロナでツアー人数などの安全対策が緩和され、キャンセルされた枠を当日呼び込むことにしました。たまたま通りかかって、たまたま一緒になった人と楽しむ、そんな偶然のめぐり合いもデザインできました。

 

◆予行演習

今年は新たに8人のガイドがデビュー。本番により良い状態でお客様を迎えられるように、とびラーが参加者役となり模擬ツアーを実施しました。

6月の大雨の中、練習会に集まったメンバー

雨の夜も、地面に光が反射してとてもキレイ

模擬ツアー終了後に、本番に向け温かく愛あるフィードバック

 

◆終わりに

毎回終了後に、良い点・改善点を皆で共有し、次にきちんと活かす。よりよいチーム・ツアーにするために、密度濃い振り返りを繰り返しました。その積み重ね、のべ59名のとびラーで作ってきた2023年のヤカンツアーでした。

 

次年度以降も、メンバーや環境の変化に合わせて進化し続けるラボになりそうです。今後もこのヤカンツアーは続いていくことと思います。ぜひ、ご参加をお待ちしています。

ランチMTGで振り返り。ヤカンツアー@マティス展の解散回

新しいメンバーも増えました。ヤカンツアー@荒木珠奈展の解散回

毎年恒例のクリスマスコスチューム。ヤカンツアー@ローマ展2回目終了後

 

◆おまけ

一緒に建築を見ることが楽しすぎて、今年からラボメンバー限定「オマケツアー」を打ち上げとセットで開催。マティス展では神田駅~東京駅、荒木展では東京駅~有楽町駅の近代建築を巡りました。発見して、伝え合って。建築って楽しい。

オマケツアーの様子

 


10期とびラー 橋本啓子

古代~現代まで脈々とつくられてきたアート(絵画・建築等)との出会いをつくり、他者と一緒に味わうことが元気の源。次は、本業の人材開発とアートの掛け合わせで世の中を元気にしたいです

2023.12.08

朝ならではのゆったりとした光・時間・空間の中で、美術館そのものを楽しむ60分。
視覚、聴覚、嗅覚なども使いながら、参加者とアート・コミュニケータ(とびラー)で様々な発見をします。作品鑑賞だけでは気づけない都美の魅力を、五感と対話で見つける、いつもと違う朝を都美でスタートさせませんか?どなたでもご参加いただけます。

最後の感想共有の時間は飲み物を頂きながらふりかえります。ご自身で飲み物を持参頂くか、館内のカフェにて飲み物を購入することが出来ます。

【開催概要】

日時

・第1回 2023年12月17日(日)9時45分~10時45分(9:30から受付開始)

・第2回 2023年12月19日(火)9時45分~10時45分(9:30から受付開始)

会場東京都美術館

対象|東京都美術館に興味のある方

定員|各回12名 ※先着順。員に達し次第、申込み受付を終了します。

参加費|無料(感想共有タイムにお飲み物を購入される方は実費をご用意ください)

参加方法|事前申込制。下記、申し込みフォームにてお申し込みください。

12月17日(日)9時45分~10時45分の回


② 12月19日(火)9時45分~10時45分の回


【申込の際にお願い】

※複数名での参加を希望の場合、参加希望のそれぞれ1人ずつの申込が必要です。

※特別に配慮が必要な方はお知らせください。

※定員に達し次第、申込み受付を終了いたします。

※本フォームでのお申し込みが完了すると、「返信先Eメールアドレス」宛にメールが届きます。必ずご確認ください。

※お申し込み前に「迷惑メール」などの設定を確認し、「@tobikan.jp」からのメールを受信できるようにしてください。申込受付完了の自動返信メールが届かない場合は、お申込みされたお名前と電話番号を明記のうえ、p-tobira@tobira-project.info(とびらプロジェクト)宛にメールをお送りください。

※広報や記録用に撮影を行います。ご了承ください。

お問い合わせ|

● メール:p-tobira@tobira-project.info(とびらプロジェクト)
● 電話:03-3823-6921(東京都美術館代表電話にて「とびらプロジェクト」の担当者をお呼び出しください)

2023.12.08

東京都美術館の敷地に入ってすぐ、広くて開放的な散歩路エスプラナード。

そこはホッと一息つける都会のオアシス。人と人との出会いの場。

お話し好きなアート・コミュニケータ(とびラー)があなたをお迎えします。

レンガ色の落ち着いた空間を、お話ししながら一緒にまわりませんか?

野外彫刻との記念写真…私たちがシャッターを押します。

お気に入りのアート作品…ぜひ教えてください。

館内のおすすめスポット…こっそり教えます。

だれでも気軽に立ち寄れて、美術館やアートをもっと好きになる。

そんなエスプラナードで会いましょう。

日時   2023年12月16日(土)10:00〜12:30
場所   東京都美術館1階屋外スペース「エスプラナード」
(東京都美術館フロアMAPhttps://www.tobikan.jp/guide/floormap.html
※ 申込み不要・参加費無料です。時間内にいつでもお立ち寄りください。

2023.12.03

◆はじめに

家庭や職場で忙しい大人を対象に、日常から少し離れ、美術館で心が豊かになる時間「大人のOFF」を一緒に楽しんでほしい。1回限りではなく2回会うことで、より繋がりを深めてほしい。この企画は、そんな願いを込めてスタートしました。

 

同じく家庭や職場で忙しいとびラーも、緩急つけて楽しみながら準備を進め、開催当日は参加者の皆さんと一緒に、美術館での「大人のOFF」を存分に味わい、繋がりを深めることもできました。準備~本番までの3か月の道のりをお届けします。

 

◆開催概要

◎日程・内容

STEP1:2023年11月26日(日)「とびラーお薦めのアート鑑賞

STEP2:2023年12月3日(日)「前川國男設計のモダニズム建築ツアー

◎参加人数

STEP1:参加者13人 とびラー19人

STEP2:参加者14人 とびラー17人

 

◆準備~本番までの3か月

1.どんな人に、どんなふうになって欲しいのか?

9月中旬、22名のとびラーが集い、方向性をすり合わせることからスタート。密度濃い話し合いを経て、目指すゴールは「忙しい大人に、美術館での楽しみ方を広げ心地よさや解放感を味わい、新しい発見や出会いを持ち帰ってほしい。そうすることで元気になって、また東京都美術館に来たいと思ってほしい。」となりました。

 

2.どんな内容にするか?

「忙しい大人」が参加したくなる内容とは?目指すゴールに到達するために、どんな経験をしていただくと良いのか?またもや、考えることが山積み。笑いながら考え、走りながら形を整えていきました。最終的には、「アート・建築を介して、いつもと違う体験や交流を」をテーマに、その機会を2日間で提供することにしました。

 

3.トライアルで内容を最終確認

用意した内容で、本当に参加者に楽しんで頂けるのか、不安と期待を抱えつつ、11月19日(日)にとびラー向けのトライアルを実施。参加者役のとびラーのおかげで、たくさんの改善点が見つかりました。

 

4.そして、本番

<STEP1>

①アイスブレイク(アートカードで関係探しゲーム)

 

オープニングで我々が「大人のOFF」を企画した想いを伝え、いよいよスタート。ゲームが始まるとあちらこちらから笑い声が。あっという間に皆さん打ち解けられ、また、作品をよく観るウォーミングアップにもなりました。

 

②「上野アーティストプロジェクト2023 いのちをうつす ─菌類、植物、動物、人間」展を鑑賞

いよいよ鑑賞へ。まずはグループで鑑賞、その後、個人で鑑賞しました。グループ鑑賞では、作品を介して感じたことや考えたことを伝え合い、作品をより深く味わう様子が見られました。

③感想共有

鑑賞から戻ってきて、心に残った作品の共有をしました。「ひとりで見るより、みんなで見る方が何倍もよく見られた」「とにかく感動!」「細かい描写がすごい」「今年見た展覧会で一番良かった」「もう一度行きたい」など、熱量高く語られていました。

終了後、ご希望の方と一緒にランチをしました。お弁当組5名はアートスタディールームで、レストラン組5名はMUSEへ。とびラーも一緒に、和気あいあいと色々な話に花が咲き、楽しいひとときでした。

 

<STEP2>

紅葉が美しく快晴の翌日曜日。リラックスしながらのお迎え準備。参加者の皆さんも前回と同じグループなので「久しぶり~」「あの後、展覧会行ってきましたよ」など、開始前から盛り上がっていました。そして、全員が揃ったことを拍手で喜びつつスタートしました。

①建築系カードで都美ツアーの準備

「都美カード」(各チームで用意した東京都美術館のイチ押し写真)で気になるカードを1枚選び、その理由を伝えあいました。また、「どこだろうカード」(建築部材等の写真、大吉くじ入り)もくじ引き形式で用意。ツアー前の準備も整いました。

 

②都美ツアー

選んだ「都美カード」と引いた「どこだろうカード」を手に、いざ70分の都美ツアーへ。上野公園にとけこむ前川建築で、まなざしを共有し、発見しあい、大人のOFFを満喫しました。

③感想共有&ティータイム→2日間を振り返る

ティータイムでほっと一息。ツアーの余韻を残しつつ感想を共有。「何度も来ていたが建物の良さを始めて知った」「前川建築の奥深さにハマった」「カードを持って美術館を歩き回り写真を撮るのが楽しかった」など、楽しそうにお話されていました。

 

エンディングは、この2日間の様子をムービーにして全員で鑑賞。皆さんとてもいい表情でご覧になり、誰からともなく大きな拍手で終了しました。終了後もしばらく歓談タイムが続き、集合写真を撮ることになりました。それが、冒頭の1枚です。

 

◆終わりに

参加者の皆さんがとびラーと一緒に良い場を作ってくださり、目指したゴールに到達できたように思います。アンケートも全員から「とても満足」を頂きました。2日間実施したことで、人と人、人と東京都美術館の繋がりがより深くなったとのお声も多く挙がりました。

 

最後に、少しだけ手前味噌ですが、我々22名はみんながフラットに持てる力を発揮するとても良いチームでした。

 

参加者の皆さんもとびラーも、家庭や仕事から少し離れて、東京都美術館で「大人のOFF」を一緒に楽しめたことを感謝いたします。また来てくださいね!


10期とびラー 橋本啓子

古代~現代まで脈々とつくられてきたアート(絵画・建築等)との出会いをつくり、他者と一緒に味わうことが元気の源。次は、本業の人材開発とアートの掛け合わせで世の中を元気にしたいです

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