2026.06.06
【第5回基礎講座 ミュージアムとウェルビーイング】
日時|2026年6月6日(土)10時〜15時
場所|東京都美術館アートスタディルーム
講師|中原淳行(東京都美術館学芸員 学芸担当課長)
小牟田悠介(東京藝術大学 芸術未来研究場 ケア&コミュニケーション領域 特任准教授)
熊谷香寿美(東京都美術館 学芸員 アート・コミュニケーション係長)
内容|ミュージアムとウェルビーイングについて考えます。また、とびラーの活動拠点である東京都美術館のミッションとその背景について学芸員から話を聞きます。
・ウェルビーイングとは何か?
・ミュージアムってどんなところ?
・東京都美術館のミッションができるまでの背景とは?
ミュージアムとウェルビーイング
午前中は、熊谷さんから「ミュージアムとウェルビーイング」というテーマでお話がありました。
昨今よく耳にする「ウェルビーイング」とはなんでしょうか?
世界保健機関(WHO)は健康を単に「病気ではない」ことではなく、「肉体的にも、精神的にも、社会的にもすべてが満たされた状態にあること」と定義しています。肉体や精神が良好な状態であることはもちろん、社会的に良好な状態であることも重要といえます。
ウェルビーイングは個人の中だけでなく、他者やコミュニティとの関係性の中で達成されるもので、何に対してウェルビーイングを感じるかは文化や人によってそれぞれ異なります。
自分の目標を達成してウェルビーイングを感じることもあれば、他者を助けることでウェルビーイングを感じることもあるでしょう。
そんななか、とびらプロジェクトでは「わたしだけでもなく、あなただけでもなく、わたしも、あなたも、わたしたちがミュージアムでウェルビーイングを育む」ことを大切にしたいと熊谷さんからお話がありました。
では、ミュージアムではどのようなウェルビーイングが育まれるのでしょうか?
また、ウェルビーイングを育むためにアート・コミュニケータはどのような関わりができるのでしょうか?
これらの問いについて考えるために、3つの事例が紹介されました。
1つ目は「Museum Start あいうえの」のプログラム「みるラボ:つながりをつなげる」(2025年8月〜9月実施)です。
「みるラボ:つながりをつなげる」は、ろう者、難聴者、聴者が美術館で専門家と出会い、一緒に作品を鑑賞し、思考し、実践する4日間のアート・コミュニケーションプログラムです。
ろう者、難聴者、聴者を含む参加者たちが、背景の異なる人たちと一緒に美術館を楽しむためのアイデアを自分たちで考え、最終日にプログラムとして実践してみる過程が映像で紹介されました。
映像視聴後のシェアタイムでは、
「色々なきこえの人がいるから『できない』じゃなくて、『じゃあ、どうしよう?』って考えることが大事なんだなって思いました」
「私もこういうプログラムに関わってみたい」
などの意見が出ていました。
参加者であるティーンズたちが、アイデアを考え、展覧会にきた人たちを巻き込んで実現させていく様子に勇気づけられた人も多かったのではないでしょうか。
2つ目の事例は、「Creative Ageing ずっとび」のプログラム「美術館で絵を楽しもう!ずっとび鑑賞会」(2023年10月実施)です。
「美術館で絵を楽しもう!ずっとび鑑賞会」は認知症が気になる65歳以上の方を対象としたプログラムです。
とびラーと参加者が貸切の展示室をゆっくり巡ったり、作品鑑賞をしながら対話を楽しむ様子が映像で紹介されました。
映像をみる前に、熊谷さんから「とびラーがどのような関わりをしているのか注目してみてください」と呼びかけがありました。
映像視聴中、医療スタッフや参加者の方々の言葉にうんうんとうなずいたり、微笑みながらみているとびラーも多く、映像をみているこちらにも幸せが広がっているようでした。
映像視聴後のシェアタイムでは、
「参加者の人たちがすごく話しやすそうだった」
「安心感がある」
などの意見が多くでていました。
とびラーの関わりによって参加者の気持ちがほぐれ、話がはずむ様子が印象に残った人が多かったようです。
3つ目の事例は、東京都美術館の「障害のある方のための特別鑑賞会」です。
「障害のある方のための特別鑑賞会」は障害のある方がより安心して鑑賞できるように、特別展の休室日に開催する鑑賞会です。
とびラーは受付や展示室などさまざまな場所で来館者のサポートを行っています。
アート・コミュニケータとしてとびラーは、「ただその場にいるだけではなく、そこにいる人と関わっていくことが大事」というお話が熊谷さんからありました。
午前中最後のシェアタイムでは、ここまでの内容を振り返って印象に残ったことを共有しました。
人によってウェルビーイングはさまざまであることに気がついた人、それぞれの事例が印象に残った人、基礎講座第2回で学んだ「きく力」の重要性に改めて気がついた人など、一人ひとりが自分なりに内容を受け止めている様子が印象的でした。
近年、ミュージアムの役割は世界的に大きく変化してきています。
作品の収集・保存・展示・調査研究にとどまらず、包摂的で多様性と持続可能性を育む場であることが求められています。また、コミュニティの参加も期待されています。
こうした流れの中で、とびらプロジェクトでもとびラーのみなさんと一緒に、ウェルビーイングが育まれるミュージアムについて考え、実現していきたいと思います。
東京都美術館のきのう・今日・あした
午後は、ミッションの策定に携わった学芸員の中原淳行さんから、言葉に込めた想いや、ミッション策定の裏にあったミュージアム体験について、また東京都美術館100周年記念の企画展についてもお話を伺いました。
きき役はとびらプロジェクト プロジェクトマネジャーの小牟田さんです。
東京都美術館は2012年のリニューアルオープンに合わせて新たなミッションを掲げ、そのミッションに基づいて様々な事業を展開してきました。
東京都美術館の使命(ミッション)
東京都美術館は、展覧会を鑑賞する、子供たちが訪れる、芸術家の卵が初めて出品する、障害のある方がなんのためらいもなく来館できる、すべての人に開かれた「アートへの入口」となることを目指します。
新しい価値観に触れ、自己を見つめ、世界との絆が深まる「創造と共生の場=アート・コミュニティ」を築き、「生きる糧としてのアート」と出会う場とします。そして、人びとの「心のゆたかさの拠り所」となることを目指して活動していきます。
東京都美術館のミッション(使命)について深く考えたことがある人は少なかったかもしれません。
ミッションにある「新しい価値観に触れ、自己を見つめ、世界との絆が深まる『創造と共生の場=アート・コミュニティ』」とはどういった場なのでしょうか。
このミッションを実現するためには、どういった取り組みが考えられるのでしょうか。
中原さんの丁寧で想いのこもったお話に全員が惹き込まれていくようでした。
お話を聞いた後は、3人組に分かれて感想のシェアタイム。
「言葉にならない想いを汲みとれるのがとびラーなのかな」
「コミュニケーションは受け取ってくれる人がいないと成り立たない」
「鑑賞って作者から鑑賞者への一方通行な体験じゃなくて、鑑賞者からもはたらきかけているんだ」
「ミッションの解釈がどんどん広がっていった」
中原さんの原体験となるようなミュージアム体験をきいて、自分の忘れられないミュージアム体験を語る人もいました。
東京都美術館のミッションはとびラーとして活動する上で大きな支えになるのではないでしょうか。
最後に、小牟田さんからは「ミッションをもとにどういう場をつくっていきたいのかをとびラーの皆さんと一緒に考えていきたい」
中原さんからは「ゆっくりと焦らず皆さんのペースで」と呼びかけがありました。
今回の講座は、「とびラーとしてこれからどういう場をつくっていきたいか」を考え、共有する時間となりました。これからも皆さんと考え続けていきたいと思います。
基礎講座も残すところあと1回。
次回の講座では、「この指とまれ/そこにいる人が全て式/解散設定」に込められた意味について、考えていきます。
(とびらプロジェクト アシスタント 三原凜子)
2026.05.23
日時|2026年5月23日(土)10時~15時
場所|東京都美術館 交流棟2階 アートスタディルーム
講師|青木将幸
内容|とびラーの自主的な活動には、直接コミュニケーションをとるミーティングの場のあり方がとても重要です。ひとりひとりが主体的に関わるミーティングの場をつくるために、ミーティングの理想的なスタイルや具体的な手法を、レクチャーやワークショップを通して学んでいきます。
とびらプロジェクトには、とびラー同士が自発的に開催するミーティング「とびラボ」があります。世代も職業も異なる人たちが集まり、アイデアを持ち寄りながら対話を重ねるとびらプロジェクトにとって、ミーティングは活動の土台ともいえる存在です。
とはいえ、「会議が好き」という人はそう多くないかもしれません。資料が配られ、スライドが映し出される。「何か意見はありますか?」と聞かれても、なかなか発言しづらく、気が付けば一部の人だけで話が進んでいる――そんな経験は、多くの人に覚えがあるのではないでしょうか。
今回の基礎講座では、「グッドミーティング(良い会議)」をテーマに、ファシリテーターの青木将幸さんを講師に迎えました。家族会議から国際会議まで、年間100本以上の会議進行を手がける青木さんから、会議をより豊かなものにするヒントを学びました。
青木さんがまず取り組んだのは、場をほぐすことでした。
最初に紹介されたのは、会議前の「1分間のお祈り」です。直前まで仕事や家事をしていた人が、気持ちを会議へ切り替えるための時間。実際に会場でも1分間静かに目を閉じると、鳥のさえずりが聞こえるほどの静けさに包まれ、その後の場の空気がふっと柔らかくなったのが印象的でした。
続いて行われたのは、「親指ゲージ」によるコンディションチェック。親指を上に向ければ元気、横なら普通、下なら少し不調というシンプルな方法です。
「仕事が忙しくて疲れています」
「今日の講座が楽しみで少し寝不足です」
高い人もいれば、低い人もいる。それを表明できること自体が、すでにグッドミーティングの土台になっています。
さらに、グループごとにひとり一つづつ、ストレッチを紹介し合う体験もしました。
「心の緊張と体の緊張はつながっています」
青木さんの言葉どおり、体を動かすことで場の雰囲気もほぐれていきました。
その後のテーマは、「会議をよくするものを持ち寄る」。
参加者は事前に「これがあるとグッドミーティングになると思うもの」を持参していました。飴やクッキー、かるた、あやとり、カリンバ(アフリカ発祥の楽器)、ぬいぐるみなど、個性豊かなアイテムが並びます。
そこで紹介されたのが、青木さんが大切にしている言葉です。
「Anyone can contribute(ここにいる誰もが貢献できる)」
アートに詳しい人もそうでない人も、大人も子どもも、それぞれの経験や視点を持っています。誰もがこの場にいてよく、何かを持ち寄ることができる。その安心感こそが、グッドミーティングの出発点なのだと語られました。
後半では、「グッドミーティングポスター」づくりにも挑戦しました。まずは一人ひとりが「良い会議」と「悪い会議」のイメージを書き出し、その後グループで共有します。
「みんなが発言できる」「目的がわかる」「話しやすい雰囲気がある」などさまざまな意見が飛び交います。
そのような意見をもとに、各グループがより良いの会議像の合意点を探り、個性あふれるポスターが並びました。
講座の最後は、参加者自身がテーマを持ち寄って話し合う実践ミーティングです。
「若者の成長意欲は本当に下がっているのか?」
「障害のある人と“一緒に”アートを楽しむには?」
「子どもにAIを使わせていいのか?」など
それぞれのテーブルでは、今日学んだ手法を取り入れながら活発な対話が行われました。
第4回目の今回は、ミーティングの楽しさや意義を再発見したり、理論が分かっても実践することの難しさを感じたりと、会議の奥深さを知る機会にもなりました。
基礎講座もいよいよ後半戦。今後の「とびラボ」でも、今回学んだグッドミーティングの実践がさまざまな場で生まれていくことでしょう。
(とびらプロジェクト アシスタント 久保田夢加)
2026.05.09
・
日時|2026年5月9日(土)10時~15時
場所|東京都美術館 交流棟2階 アートスタディルーム
講師|熊谷香寿美(東京都美術館 学芸員 アート・コミュニケーション係 係長)
内容|美術館で作品を鑑賞するということを、あらためてとらえ直します。とびらプロジェクトの活動の基礎になる、アートを「みる」とはどういうことか、ほかの人と「みる」ことで何が生まれるのかを、実感とともに学ぶことを目指します。
作品をみることや、作品を介したコミュニケーションは、全とびラー共通の活動の基盤です。
第3回基礎講座はその「作品を鑑賞する」ということについて考えました。
東京都美術館のアート・コミュニケータになってから1ヶ月が経ったとびラーたち。多様な属性、バックグラウンドをもつみなさんも、初対面の緊張がほぐれ、朝から和気あいあいと交流を深めていました。和やかな空気のなかで講座がスタートします。
美術館での鑑賞体験は、自分のなかの枠組みを広げ、思考を深める契機です。
また鑑賞は作品との間で、その人なりの意味・価値を生み出す場となります。学校の図工や美術の時間が好きではなかった人も、美術館では誰もが創造的になることができるのです。
講師からレクチャーを受けた15期とびラーたち。次に、館内で開催中の「第92回東光展」会場に出向き、鑑賞を深める実践を体験しました。まずは一人で会場のたくさんの作品の中からひとつの作品を選び、「自分がその作品のどこを気に入ったのか」を考えながらゆっくり鑑賞します。
続いて、3人グループで各々の気づきを共有します。
「誰もいない廊下、放課後の学校の静けさを感じる」
「面談の前かも?」
「そう聞くと印象ががらっと変わるね」
畑の土を描いた作品を見ていたとびラーたちは、「地面を描いているけど、くもり空の色が写っているな」と話していました。
「話しながらだと、ずっと見ていられるね」
「みんなでみると面白い」
それぞれが選んだ作品を3人で話しながらみたあとは、もう一度自分が選んだ作品をじっくりと鑑賞しました。手元のシートに気づきを書き留めながら、自身と作品との対話を重ねていました。
ランチタイムで一息ついたあとは、グループで松本竣介の《立てる像》(神奈川県立近代美術館蔵)の作品図版をみながら、「じっくりみて、発見したこと、感じたこと」、「人物はどんな表情をしている?」、「人物の左手/右手はどうなっている?」など、テーマごとに意見を交換しました。
最後に、その《立てる像》を題材に中学生を対象として行われたワークショップの記録映像が紹介されました。ワークショップでは、中学生たちが《立てる像》について意見を交わし、実際に自分たちでポートレート撮影を行うことで、作品や自己について理解を深めていました。とびラーたちは、この事例を通して、重層的な背景をもつ美術作品を媒介に、自分たちの内面や感覚を表現することの可能性について、考えを深めました。
<講座参加後のとびラーの振り返りより>
最後の中学生の映像をみながら、学びの本質をみたような気がした。 アートを介することで、普段自分では気付けない自分に気付いたり、他者と関わることができたり、思いを自由に表現できたりしている子供達をみて、自然と涙が出てきた。 ああ、私のやりたいことはこれなんだと改めて熱い思いが込み上げて来た。
ものとの対話、人との対話を行き来することで、作品との関係、人とのかかわりは車の両輪のように豊かになっていきます。
鑑賞の実践をこれからも繰り返していくとびラーたちが、ここ上野でどのような活動を展開するのか、目の当たりにするのが今から楽しみです。
(とびらプロジェクト アシスタント 平林壮太)
2026.05.02
日時|2026年4月25日(土)10時〜15時
場所|東京都美術館アートスタディールーム
講師|西村佳哲
内容|コミュニケーションの基本は、話している相手に本当に関心を持って「きく」ことから始まります。この回では、話を「きく力」について考えます。
・「きく」ことは「相手が“自分を表現できる”時間を一緒につくる」こと
・そのためには?
この春からとびらプロジェクトに加わったとびラー15期に向けて、第2回基礎講座が開催されました。
西村佳哲さんによる「きく力」の講座は、とびらプロジェクト発足時から基礎講座に編成されており、とびラーのコミュニケーションの基礎として、ここでの学びを大切にしています。
とびらプロジェクトは、美術館という場所や機能を生かして、市民同士が新しい活動をつくっていくための、拠点となる存在です。とびラー同士はもちろん、美術館来館者も含め、違う年齢、違う社会的役割を担ってきた人々が、一緒に活動をしていきます。
様々な背景を持つ人々が、どうやったらみんなでうまく対話をすることができるのでしょうか。
今回の講座では、3人組のグループワークを中心に、「きく」とは何かを考えていきました。ワークを通して「きく力の7ポイント」を、とびラー各々が発見していきました。
グループワークでは「話し手、きき手、観察者」のそれぞれに役割分担をして、きき手が話し手に与える影響について、実践を通して考えていきました。ワークを積み重ねながら、少しずつ手順をふんで、対話の違いをそれぞれが体感していきます。
グループをつくったら、まずは自己紹介をします。15期のみなさんは笑顔が多く、コミュニケーションに花が咲いてました。
話し手ときき手は、それぞれ西村さんの指示にしたがって対話を行っていきました。観察者はグループでの対話を客観的に観察しながら、会話を分析していきます。対話の時間が終了したら、それぞれメモをしたり、グループで感想をシェアする時間がありました。
「話し手の軸を尊重したきき方ってなんだろう」
「話している内容ではなく、相手に関心を持ちながらきくためには、どうする?」
適宜、西村さんからの問いが差し込まれながら、3人組での対話を繰り返し行っていきました。ワークを重ねる中で、ただ相手の話を「聞く」だけではなく、「きき手」として感じたことを、表情や身振り手振りなどのあらゆる手段で「話し手」へ表現をしていくとびラーの姿が印象的でした。
またこのように、実践を通じて分析をし、グループで意見をシェアして考えていくというサイクルは、とびらプロジェクトでこれから15期とびラーが行っていく活動のウォーミングアップのようでした。
ワークの途中には「きく力の7ポイント」を考えるためのヒントとして、「言葉」にまつわるいくつかのトピックが紹介されました。
とびラーがこれから活動を行っていくなかで、言葉は重要な表現媒体となります。言語はコミュニケーションツールとして優れた性格をもつ反面、特有な取扱いの困難さがあることを、西村さんの経験をもとにお話ししていただきました。言葉は単語ひとつとってみても、そこに張りついている経験や意味は人によって異なったり、伝えたい事柄と同時に言葉ならざる「気持ち」が含まれていたりと、実は非常に抽象的で認識の齟齬が生まれやすいものです。そうした「ズレ」を意識して言葉を扱うことによって、「きく人」の姿勢はきっと変化するはずです。
とびラーたちも自身の経験と照らし合わせながらうなずきつつ、熱心にメモを取りながら、聞いていました。
人にとって話すとはどのような行為なのでしょうか。少なくとも「個人で完結するような単純な動作」とは違った側面が、レクチャーから伺えました。西村さんは「人が話す」ということについて、「話しながら垂直方向に起立していく」「植物みたいに育っていく」イメージを提示していました。
「話す人がいる」ということは、そこに「きく人」がいるということです。良い「きき手」がいることによって、話す人は、考えていることを言葉にしながら整理して、より思考を深めていくことができるのでしょう。
「きく人」がいて、より豊かなコミュニケーションが育まれてこそ、とびらプロジェクトという大樹にたくさんの新芽が芽吹きます。これからも「きく」ことを大切にしながら、とびラー、スタッフともに、素敵なプロジェクトをつくっていきたいと思います。
(とびらプロジェクト アシスタント 廣木花ノ子)
2026.04.16

【第1回基礎講座 オリエンテーション】
日時|2026年4月11日(土)10時〜15時
場所|東京都美術館 講堂
東京都美術館100周年の今年、とびらプロジェクトの15年目がスタートしました!
15期とびラー47名が、東京都美術館の講堂に集まり、とびらプロジェクトのスタッフ紹介や活動する上で必要な情報のガイダンスをした後、活動2・3年目のとびラーの案内で、活動の拠点である東京都美術館を巡るツアーを行いました。
最初は、緊張していた15期のメンバーも、次第に笑顔になり、グループで会話を楽しんでいる様子が各所で見られました。
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午後は、13期・14期・15期のとびラー全員が集まり、今年度のキックオフが行われました。
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2年目・3年目を迎えたとびラー達もそれぞれの活動を振り返ってたり、今年はどんな一年にしようかなと楽しそうに話している姿が見られ、今年も始まったなと実感する時間になりました。
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これから、活動を共にする約140名のとびラー中には、見えない・見えにくい人、聞こえない・聞こえにくい人がいます。全員が集まったこの機会に、お互いのコミュニケーションについて考え、お互いに知り合う時間を作りました。
多様な背景や年齢のとびラーが協働するとびらプロジェクトにおいて、今年度は「マイクロアグレッション」について考えていきたい思っています。
マイクロアグレッションとは、人種、ジェンダー、性的指向、障害など、特定の属性に対して無意識の偏見(アンコンシャス・バイアス)に基づき、日常的に発せられる差別的な言動や態度のことを指します。悪意がない場合でも、受け手にとってはストレスや疎外感の蓄積につながることが課題とされています。
あらゆる人が主体的に参加できる場を、全員で作っていくことを改めて確認しました。
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その後、とびラー同士が知り合う時間として、「自己紹介+どうしてここに?」をテーマに3人組でのシェアタイムを行いました。
とびラーを志望したきっかけや今日のファッション、美術館との関わり方など、お互いの言葉に耳を傾けながら語り合いました。・
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今年度のとびラーたちから、どのようなアート・コミュニケーションが生まれるのでしょうか。
13期・14期・15期のみなさん、1年間どうぞよろしくお願いします。
(とびらプロジェクトコーディネータ 大東美穂)
2025.07.05
【第6回基礎講座 この指とまれ/そこに居合わせる人が全て式/解散設定】
日時|2025年6月21日(土)10時~15時
場所|東京藝術大学 美術学部 中央棟2階 第3講義室
講師|西村佳哲
内容|とびラーは、自分たちの関心を寄せ合い、アイデアを共有し、プロセスを大事にしながら活動をつくります。この回では、小さく始めるプロジェクトのつくり方や、そこに集まった人みんなの力を活かした活動について学びます。また、活動のはじめ方だけではなく、終わり方のデザインについても理解を深めます。
基礎講座最終回は「とびらプロジェクトの活動の進め方」がテーマです。
特に、とびラーはこの後「とびラボ」というとびラー同士が自発的に開催するミーティングのことで、新しいプロジェクトの検討と発信が行われる場をつくっていきます。
そんな「とびラボ」の「はじめ方/すすめ方/おわり方」や「あり方」について考えました。
講義は西村さんと、とびらプロジェクト マネジャーの小牟田さんのクロストーク形式で進みました。
「この指とまれ式」
新しい活動のアイデアをひらめいたとびラーは掲示板で一緒に活動するとびラーを募集します。3人以上集まったら「とびラボ」のスタートです。
このはじまり方を「この指とまれ式」と呼んでいます。
西村さんや小牟田さんから
・適正人数(グループサイズ)を考えること
・指を立てた人、集まった人同士の想いや視点をよく確かめ合うこと
・成功を目的化しない、プロセスを大事にすること
の3つのポイントが伝えられました。
「人数が多いと感じたり、やりたいことが違っていたりしたら別のラボに分かれてもいい」というお話に「へえー」とうなずくとびラーもいました。
今回の基礎講座も講義の合間にペアで考えたことや疑問点について話し合う時間が多くあります。早速、「この指とまれ式」について活発に話し合いました。
「そこに居合わせる人が全て式」
「とびラボ」では集まった人同士の想いや視点を確かめ合ったあと、いまここで「やりたい・できる・やるべき」アイデアを生み出し育てていきます。
一般的な活動がやるべき事や問題点からアイデアが生まれ、必要な事を考えていくのに対して、「とびラボ」はそこにいる人からアイデアが生まれます。
西村さんの「今夜冷蔵庫にあるもので、なにか美味しいものをつくる」という例えに納得したとびラーも多かったのではないでしょうか。
また、「とびラボ」をすすめる上での新たな試みとして、ミーティングの最後に内容と過程についてふりかえる時間を設けることが西村さんから提案されました。
内容のふりかえりでは、決まったこと、重要なこと、まだ検討が要ることについてを、過程のふりかえりでは、ミーティングの進め方、進み方についてを話し合います。
実際に、今回の講座のここまでの過程をふりかえってみると、
「ペアで話し合う時間があることで疑問が共有できる、けど忙しい」
「1人じゃなくて2人のクロストーク形式だからわかりやすい」
など進め方について色々な意見が出ました。
14期にはきこえない・きこえにくいとびラーがいます。聞こえやコミュニケーションの方法はそれぞれ違うため、ミーティングの進め方も一様ではありません。全員がやりやすい方法をその場にいる全員でその都度考えることが大切であるという認識を共有しました。
「解散」
活動の目的を達成して成果をとびラー自身がふりかえることができたら、その「とびラボ」は解散します。
普段の生活で「終わらせること」を意識する機会はあまりないかもしれません。
「反省会にならないように」という小牟田さんの言葉を受け、「創造的な解散」とはどういうことか考えました。
とびラボ実践編
まず、西村さんから「アイデアとは、既にあるもののあたらしい組み合わせである」というお話があり、アイデアを紐解いてみるワークに移りました。
既存のアイデアは何が組み合わさったものなのか?
たとえば歌番組のように、それぞれ思いついた身の回りのアイデアを紐解き、自分の発見を楽しそうにシェアする様子が印象的でした。
続いて、とびらプロジェクト コーディネータの越川さんから過去の「とびラボ」の事例を聞きました。
アイデアが生まれ活動へとつながっていく過程を具体的にイメージすることができたのではないでしょうか。
全6回にわたる基礎講座、お疲れ様でした!
基礎講座を終えられた今、どのようなお気持ちでしょうか?
「よし、どんどん活動していくぞ!」という方もいれば、
「まだ全然わかんない、果たしてやっていけるのか、、、」という方もいらっしゃると思います。(こちらの方が多いかも?)
東京都美術館のミッションのもと、とびラー・都美スタッフ・藝大スタッフが一体となってとびらプロジェクトの活動をつくっていきましょう!
(とびらプロジェクト アシスタント 三原凜子)
2025.07.04
【第5回基礎講座 ミュージアムとウェルビーイング】
日時|2025年6月7日(土)10時〜15時
場所|東京藝術大学 中央棟2階 第3講義室
講師|中原淳行(東京都美術館学芸員 学芸担当課長)
小牟田悠介(東京藝術大学 芸術未来研究場 ケア&コミュニケーション領域 特任助教)
熊谷香寿美(東京都美術館 学芸員 アート・コミュニケーション係長)
内容|第5回目の基礎講座では、とびラーの活動拠点である東京都美術館のミッションとその背景について学芸員から話を聞きます。また、展覧会の鑑賞を通して、ミュージアムにおけるウェルビーイングについて考えます。
・東京都美術館のミッションができるまでの背景とは?
・ウェルビーイングとは何か?
・ミュージアムってどんなところ?
東京都美術館のきのう・今日・あした
東京都美術館は2012年のリニューアルオープンに合わせて新たなミッションを掲げ、そのミッションに基づいて様々な事業を展開してきました。
東京都美術館の使命(ミッション)
東京都美術館は、展覧会を鑑賞する、子供たちが訪れる、芸術家の卵が初めて出品する、障害のある方がなんのためらいもなく来館できる、すべての人に開かれた「アートへの入口」となることを目指します。
新しい価値観に触れ、自己を見つめ、世界との絆が深まる「創造と共生の場=アート・コミュニティ」を築き、「生きる糧としてのアート」と出会う場とします。そして、人びとの「心のゆたかさの拠り所」となることを目指して活動していきます。
基礎講座第5回目の午前の時間では、ミッションの策定に携わった学芸員の中原淳行さんから、言葉に込めた想いや、中原さんの原体験となったミュージアム体験についてとびらプロジェクト プロジェクトマネジャーの小牟田さんがきき役となってお話を伺いました。
とびラーは3人組に分かれて、感想のシェアタイム。
中原さんの当時の記憶を順を追って丁寧に言葉にして話されていく様子に魅き込まれながら、自身の忘れられないミュージアム体験や、東京都美術館のミッションを改めて読んで感じたことについての話など、盛り上がっていました。
来年に100周年を迎える東京都美術館が、これから何を目指していくのかについてもお話は展開し、中原さんからの「これからが楽しみですね」という投げかけに、大きくうなづくとびラーの姿が印象的でした。
展覧会を体験する
午後は、とびらプロジェクト マネジャーの熊谷さんから「ミュージアムってどんなところ?」というテーマで、展覧会の空間は、作品といい出会いができるようにデザインがされているというお話で始まりました。
その後、東京都美術館で開催中の「ミロ展」(会期:2025年3月1日(土)〜7月6日(日))を、空間構成やストーリーに注目して、鑑賞をしにいきました。本展覧会の特徴は、個展としてミロの生涯を通した作品の変遷を体感できるところにあります。
展覧会に行く前にとびラーには熊谷さんから、
・ミロとどんな風に出会いましたか?
・どの時期の作品に一番共感しましたか?
という2つの問いをもって、50分間じっくりと鑑賞しました。
鑑賞から帰ってくると、再び3人組に分かれて、印象に残った作品について共有していきます。
「私もその作品に共感した!」「なるほど、そういう視点もあるか!」とさまざまな感想が交わされました。
ミュージアムとウェルビーイング
最後に熊谷さんから、ミュージアムとウェルビーイングがどのように繋がっているのかについて、とびらプロジェクト、Museum Startあいうえの、Creative Agingずっとびでの実践も題材にレクチャーがありました。
どの状態がウェルビーイングなのかは、人によって、国の文化によって、時々によって違うのではないかという問いかけに、自分にとっての「良い状態」はどんなときであるのかについて、改めて考える時間となりました。
活動の拠点である東京都美術館では、なぜ3つのプロジェクトを行っているのか。
東京都美術館のミッションを出発点に、ミュージアムでの市民の関わりとしてアートコミュニケータが生まれた背景とその意義について、世界的なミュージアムの潮流もふまえながら、これからの活動の拠点について考える時間となりました。
基礎講座も残すところあと1回。
今までの基礎講座での学びが積み重なって、今日の活動にも生きてきているように感じます。
次回の講座では、とびラボの特徴でもある「この指とまれ/そこにいる人が全て式/解散設定」に込められた意味について、考えていきます。
(とびらプロジェクト アシスタント 久保田夢加)
2025.06.15
【第4回基礎講座 会議が変われば社会が変わる】
日時|2025年5月24日(土)10時~15時
場所|東京都美術館 交流棟2階 アートスタディルーム
講師|青木将幸
内容|とびラーの自主的な活動には、直接コミュニケーションをとるミーティングの場のあり方がとても重要です。ひとりひとりが主体的に関わるミーティングの場をつくるために、ミーティングの理想的なスタイルや具体的な手法を、レクチャーやワークショップを通して学んでいきます。
とびらプロジェクトでは、とびラー同士が自発的に開催するミーティング「とびラボ」があります。さまざまな関心を持った多世代の人が集まってアイディアを重ねるため、とびらプロジェクトではミーティングを大切にしています。今回の講座では「グッドミーティング」(良い会議)について考えました。
午前中は青木さんの「好物は何ですか?」という問いかけから始まりました。
とびラーは少し戸惑いながらも自分の好きな物を絵に描いていきます。その後自分が描いた絵をもって歩き回り、お互いの好きな物をについて尋ね合いました。
次にジェスチャーを使っていまの状態を表現してみます。
「今日の元気は50%。昨日寝るのが遅かったから、、、」「今日は80%くらい。元気だけどマラソンは走れない!」などなど色々な声があがりました。
ジェスチャーで共有することでミーティングに参加している人全員がいまどういう状態なのかを確認することができます。
場が温まってきたところで「グッドミーティング」と「バッドミーティング」について考えていきます。
まずは、一人一人が思う「グッドミーティング」と「バッドミーティング」がどんなものかを紙に書き出していきます。
書き出した後、同じグループ内で回し読みをして共感するアイデアにハートマークをつけ、最後に1枚の紙に「グッドミーティング」と「バッドミーティング」についてグループごとに話し合ってまとめました。
また、今回の講座では事前に「これを持って行くとグッドミーティングになるかも!と思うものを持ってきてください」と呼びかけられていました。お菓子やぬいぐるみ、おもちゃ、お香などさまざまなアイテムが持ち寄られ、場を和ませていました。
考えやアイテムをみんなで持ち寄ることで「誰もが貢献できるミーティング」が生まれていきました。
午前中の最後には会議の4つの段階、「共有・拡散・混沌・収束」について青木さんからお話がありました。先ほどのミーティングを思い出しながら、4つの段階それぞれの役割や重要性について考えました。
午後は、実践です。みんなで話したいお題を出し合い、好きな話題を選んでミーティングをしました。
最後にそれぞれのミーティングで話し合った内容を全体で共有しました。
自分たちで考え、導き出した「グッドミーティング」を意識しながら進めることで、納得感を持ってミーティングを進められたのではないでしょうか。また、第2回基礎講座の「きく力」を思い出したとびラーも多かったかと思います。
とびラーの自主的な活動には、そこに参加する人全員が意見を出し合えるミーティングの場のあり方がとても重要です。
今回の内容を思い出して参加者全員で「グッドミーティング」をつくりあげていきましょう。
(とびらプロジェクト アシスタント 三原凜子)
2025.05.14
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【第3回基礎講座 作品を鑑賞するとは】
日時|2025年5月10日(土)10時~15時
場所|東京都美術館 交流棟2階 アートスタディルーム
講師|熊谷香寿美(東京都美術館 学芸員 アート・コミュニケーション係長)
内容|作品の鑑賞について理解を深めます。作品が存在することによって起こる体験とは、私たちにとってどのように意義があるのか、それらを鑑賞することの意味についても考えてみます。
・鑑賞とは何か?
・複数で鑑賞することとは?
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鑑賞を知る・体験する
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作品を鑑賞することは、美術館を拠点にアートを介してコミュニティを育むとびらプロジェクトの基盤となる活動です。
基礎講座3回目では、「作品を鑑賞すること」を考えるレクチャーとともに、 美術館で実際の展覧会の作品を鑑賞しながら講座を行いました。
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午前の体験
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午前中は、とびらプロジェクトマネージャの熊谷さんからレクチャーを聞いた後、1つの作品をじっくり鑑賞する体験をします。
鑑賞するのは、講座当日に東京都美術館 公募棟で開催されていた「東光展」(会期:2025年4月25日(金)〜5月10日(土))です。
とびラーは展示室を1周した後それぞれお気に入りの作品を選び、約30分間じっくり向き合いました。
展示室から帰ってくると、自分が選んだ作品について考えたこと・感じたこと・気がついたことをグループでシェアします。
同じグループのメンバーの気づきに対して、
「そんなこと全然気がつかなかった!」「視点が面白い!」と、驚く声が多く聞こえてきました
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午後の内容
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午後は1つの作品を複数人でみていく体験をします。
鑑賞するのは神奈川県立近代美術館所蔵、松本竣介《立てる像》の図版を使ったアートカードです。
描かれている人物の表情や身体の部分、背景などに注目してグループで作品について話し合いました。
同じグループのメンバーの気づきを
「ああ〜」「なるほど!」「確かに、、、」と、
きくことを通して鑑賞が育っていく様子が印象的でした。・
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今回の講座ではとびらプロジェクトの特徴でもあるお互いに話をききあうことのできるコミュニティでの「共同的な学び」が、複数の人で作品を鑑賞する上でも重要になることについて考えました。
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基礎講座も折り返し地点をむかえました。
回を重ねるごとに雰囲気が和らぎ、場が盛り上がっているように感じます。
後半3回の講座では、アートを介したコミュニティのあり方・活動の作り方についてみなさんと考えていきたいと思います。
(とびらプロジェクト アシスタント 三原凜子)
2025.05.07
【第2回基礎講座 「きく力」を身につける】
日時|2025年4月26日(土)10時~15時
場所|東京藝術大学 美術学部 中央棟2階 第3講義室
講師|西村佳哲
内容|コミュニケーションの基本は、上手な話し方をするのではなく、話している相手に、本当に関心を持って「きく」ことから始まります。この回では、人の話を「きく力」について考えます。
・話を〈きかない〉とはどういうことか?
・話を〈きく〉とは? また、それによって生まれるものとは?
基礎講座の第2回は「きく力」がテーマでした。
この「きく力」はとびらプロジェクトが大切にしていることのひとつで、毎年1年目とびラーはこの講座に参加します。
西村さんからレクチャーと、とびラー同士でのシェアする時間をはさみながら講座が進んでいく進め方の説明や、「きく力」についての導入がありました。
講座では3人組になる場面が多くあります。
自己紹介が終わると「はい、解散!」と、新たな3人組になり、コミュニケーションの輪が広がっていきます。
場が和んだところでいよいよ本題です。
まずは、西村さんと、とびらプロジェクト コーディネータ 大東さんがロールプレイを行いました。
話し手の大東さんに西村さんが様々なきき方をしていき、とびラーはきき方が話し手にどのような影響を与えているのか観察します。
「それぞれのきき方が話し手に与える影響は?」
「『話の内容でなく、その人に関心をもつ』ってどういうこと?」
ところどころで西村さんから問いかけがあり、とびラーは自分の考えを書き留めていきます。
午前中の最後には3人組でそれぞれが書き留めたものを回し読みした後、考えたこと・感じたことをシェアします。
「書く→読み合う」のワンクッションにより、それぞれが自分の考え・感覚を整理する時間になりました。
午後は新たな3人組で「話し手」「きき手」「観察者」の3役をローテーションしながら、「話の内容だけに関心を向けるきき方」「内容だけでなく話し手に関心を向けるきき方」を試していきます。
最後に西村さんから「お互いに表現し合える場をつくるためには、きいてくれる人がいること、そしてきき方の質が大切」という心理的安全性のお話がありました。
今回の講座で普段の自身の「きき方」を振り返ったとびラーも多かったのではないでしょうか。
皆さんの「きく力」によってこれから様々なアート・コミュニケーションが生まれることでしょう。
簡単なようでとても難しい、「きく」とはどういうことなのか、とびラーの皆さんと一緒に考えていければと思います。
(とびらプロジェクト アシスタント 三原凜子)