東京都美術館× 東京藝術大学 「とびらプロジェクト」

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Archive for 8月, 2024

2024.08.30

◆ミーハー建築ラボとは?

・建築って「楽しい」と思う気持ちをみんなで紐解きながら共有したい。

・好きなまちや建物をみんなで共有したい。その建物が持つ空気感・記憶・まちでの存在などについて語り合いたい。デザイン・資材・構造はもちろん重要だけど、まずは自分が感じたことや発見したことを大事にしたい。

・大規模建築公開イベント「東京建築祭」に向け、建物の情報も共有したい。

このラボは、そういった「知識量に囚われず、難しく考えず、まずは気軽に(=ミーハーに)建築を楽しんでみよう」という立ち上げ者の想いから始まりました。

 

◆集まったとびラー 

「自分が建築が好きなのかはわからない」と感じていた私も、元々まちあるきは好き。歩いて楽しいまちには必ず、いいなと思える建物がある。「建物が持つ空気感・記憶・まちでの存在」といったワードに惹かれてラボに参加しました。

他にも、既に建築をみる楽しさに気づいて方々巡っている人、階段など特定のジャンルやパーツに偏愛のある人、東京建築祭を楽しみたい人。そして、まちあるきをする回に興味を持って飛び入りで参加した人。建築・まちに対して様々な興味、「好き」や「楽しみたい」気持ちを持ったとびラーが集まりました。

◆活動内容

2024年4月~8月にかけて全6回とびラボを開催しました。

ここでは主に「キックオフ」回と、そこからつながる「まちあるき」回に絞って紹介します。

 

◆キックオフ

まずはこのとびラボに参加したいと思った理由や想いを一人ずつ話し、みんなで共有しました。

・建築・建築家には特段の興味がなくても、なんだか気になる建物やまちの風景がある。

・見ていて落ち着いたり、好きだと思う建物や場所がある。

・そして、そこには生まれ育ったまちや、祖父母の仕事や昔遊びに行った家の記憶、様々な原体験があることに大人になってから気づいた。

こういった話から、互いに好きな建物やまちを記憶と共に共有し、風景を思い浮かべ、心地良い時間を過ごしました。

 

◆まちあるき(谷中編)

次は実際にとびラボを進めていく中で話が出たまちに行ってみよう!ということで、地図を片手に上野公園に隣接したまち「谷中」でまちあるきをしました。

 

谷中の住民ということで、この時は私が紹介したい場所・建物や巡り方を初めて考えてみることに。普段「いいな」と感じる風景や、誰かの想いによってリノベーションされ今も活用されている古い建物を巡ってみる案にしました。ただ、そもそも歴史的に著名な建築家が建てた建物があるわけではない、住宅街にある寺町エリアの一画のため、果たしてみんなが楽しめるのか、出発するまでは不安の方が大きい状態でした。

実際にまちに出てみると、その不安は5分でなくなりました。瓦屋根や梁から感じる日本文化。民家の玄関先や路地、お寺の境内の手入れされたお花や緑。住む人の気配が濃厚な温かいまちなみ。みんなで歩いてみると、目指す場所に向かう道すがら、私は当たり前に感じて見過ごしていたものにもたくさんの良さがあることがわかりました。
また、偶然出会い、快く境内に招き入れてくれたご住職からは、お庭の様々な植物のお話を聞くことができました。

*昭和13年築の三軒家を再生活用した店舗と工房の複合施設。

*保存活動もあり守られている谷中のシンボル、ヒマラヤ杉(左)

 

このまちあるきでは、発見するものや興味を持つもの、そこから感じることは人それぞれだと知ることができる新鮮さがありました。そして建物だけではなく、植物や文化、それらを通じたコミュニケーションは楽しいと思えたことが印象に残る回でした。

その後のとびラボでは、東京建築祭に向け、まずは建築祭がどういったものか、昨年「生きた建築ミュージアムフェスティバル大阪(イケフェス大阪)」に参加したメンバーから体験談を聞きました。

建物をみるだけではなく、まちの人の想いを知ったり、行った先での出会いの大切さを改めて認識したり、色々な楽しみ方を共有しました。

 

◆まちあるき(東京建築祭編)

いよいよ東京建築祭。神田・京橋・築地・銀座の周辺に絞り、神田の丸石ビルディングからスタートしてまちを歩きました。

 


*建築祭では普段入ることのできない建物内部が見学可能です。今回は、混雑のため外観を見るだけに。

 

建築祭に参加している中からお目当ての建築をいくつか選び、そこを目指して自分たちで組み立てたルートを巡りました。でも一番印象的だったのは、みんなでまちを歩くと、お目当てだった建築以外にも、通りすがりに各々目に留まる建物がたくさんあることでした。

一例を挙げると、洋風な看板建築の外観が気になり思わず足を止めた日本橋本町の建物(日本橋旧テーラー堀屋)や、グラデーションがきれいなタイルが目を惹く中央区立常盤小学校別館など。また、窓にあしらわれたガラスブロックに惹かれ立ち寄った神田のビルでは、ちょうど立ち話していたまちの方々と、ビルの話をきっかけにおしゃべりをしました。

*看板建築の2階窓の両側の意匠が気になり鑑賞。(左)タイルに興味をもち撮影。(右)

*路地裏に入ってみると都会の小学校ならではの景色に遭遇。復興小学校らしいレトロな常磐小学校の窓(左)

 

他にも、建築祭には参加していないけれどメンバーが好きなレトロビルに立ち寄ったりもしました。とにかく難しい事は考えずに、興味を持ったところにはまずは寄ってみて観察するところから始まり、そこから建築・まちを楽しんだ1日でした。

 

後日実施したふりかえりの場では、撮った写真を共有することで建物の細部を鑑賞する楽しさや、同じ建物を見ていても視点は人それぞれだと知ることができる楽しさがありました。また、気になった建物について調べてみることで、その建物にまつわる人々の想いも知ることができました。

 

◆ラボに参加したとびラーの声(抜粋)

これらの活動を通じ、参加したとびラーからは次のような声がありました。

・建物とまちがつながり、さらに人がつながった。

・今では、何でもないまちも好きになった。

・建物の細部を意識してみるようになった。

・「みる」に「誰かの経験・思い出・思い入れ」が加わり、丸ごと味わえるのが良い。

・みんなでみると、発見があり、感動のシェアができる。まちと建物を自分と違う視点から見直すことができる。

・自分がこれまで見ていた景色も違ってみえてくる。

*漠然と思っていた「イイね!」が、全体のふりかえりで言語化でき笑顔。

 

最初にまちあるきをした谷中は私が生まれ育った地元でもありますが、普段5分もかからず通り過ぎるだけの道を、みんなが色々発見して倍以上の時間をかけて味わう姿がすごく印象的でした。そして様々な視点を知れたおかげで、自分がこのまちが落ち着く理由や「いいな」と思う理由にも気づかせてもらえました。

 

「建物はモノではなく、その建物があるまち、そこに関わる人々の想いや記憶とつながっている」、「建物を介して他者との視点の違いを知ることができたり、誰かとコミュニケーションするのは楽しい」。みんなでミーハーに楽しむことから始めたら、最後には、そんな気づきを得られるとびラボになりました。

 


執筆:馬場 里美(12期とびラー):

普段は不動産賃貸・管理業に携わっています。とびラー活動を通じて、近すぎて当たり前に感じていた上野公園のよさにも改めて気づくことができました。

構成:染谷 都染谷 都(12期とびラー):

ラジオ番組制作ディレクター。藝大の森お世話隊でボランティア活動中。このとびラボを経てまちあるき、建築を通してのコミュニケーションを考えるきっかけに。とびらプロジェクトのこれからゼミ「『アート・コミュニケータの建築鑑賞まちあるき』を考える」「上野の森と建築を考える」の活動へつながった想いをさらに広げていきたいです。

2024.08.26

 


 

第4回鑑賞実践講座|「展示室で学ぶ場づくり 〜スペシャル・マンデーに向けて〜」

日時|2024年8月26日(月)14:30~17:30
会場|東京都美術館 アートスタディルーム、スタジオ、ギャラリーA・B・C(『大地に耳をすます 気配と手ざわり』展 会場)
講師|石丸郁乃(Museum Start あいうえの)、越川さくら(とびらプロジェクト)
内容|
・「スペシャル・マンデー」の事前〜当日〜事後の流れを学ぶ
・当日の流れを展示室で体験する
・会場を知る

 


第4回の講座では、とびラーが活動する「Museum Start あいうえの」の学校来館プログラム「スペシャル・マンデー」に向けて、展示室での鑑賞の場づくりについて考えました。

まず、「Museum Start あいうえの」のプログラム・オフィサーである石丸郁乃さんが、「スペシャル・マンデー」の映像を交えながら、プログラムの概要を説明しました。事前授業〜当日の展覧会鑑賞〜事後授業までの流れを理解することで、プログラム全体の構成を把握しました。

続いて、講座担当の越川が、作品を守りながら展示室で子どもたちの鑑賞を深めるためのポイントについてレクチャーしました。

その後、スペシャル・マンデー当日のプログラムの流れを、実際に鑑賞する展覧会会場で体験しました。

とびラーたちは、子どもたちの鑑賞体験を想像しながらグループで展示室を巡り、鑑賞を楽しみました。その上で、作品保全のために注意すべき動線や、子どもたちのグループをどのように誘導するかを確認しました。


2024年度のとびらプロジェクトには全盲のとびラーが参加しています。鑑賞実践講座では、毎回の鑑賞作品に合わせてスタッフが「触図」を制作し、構図やモチーフの形を伝えながら情報保障を行っています。

今回の講座では、実際の作品の前でグループで鑑賞を行う際に、手元にA4サイズの「触図」を用意しました。全盲のとびラーは、実際の作品の大きさについてスタッフから説明を受けながら、手元の触図で構図を確かめつつ、グループでの対話に参加していました。

作品図版のカラーコピーを用いて作成した「触図」。モチーフの輪郭線が触ってわかるようになっている。


 

グループでの鑑賞後は、スペシャル・マンデー当日に子どもたちが体験する「ひとりの時間」を、とびラー自身も体験しました。

グループで対話しながら鑑賞することで視点が広がり、作品への理解が深める回路ができた後、ひとりで作品と向き合い思索する時間です。この流れを実際に体験することで、とびラー自身も子どもたちにとっての「ひとりの時間」の豊かさを実感しました。

展示室での体験が終わった後は、「鑑賞者と作品の両方にとって、安全で安心できる鑑賞の場を作れていたか」という視点で、グループごとにふりかえりを行いました。


9月から始まる「スペシャル・マンデー」に向けて、何度も展覧会に足を運び、さらにファシリテーションのイメージを深めていきましょう。

 

(とびらプロジェクト コーディネータ 越川さくら)

2024.08.25


日時|2024年8月25日(日)13:30~16:30
場所|東京藝術大学 第1講義室
講師|藤岡勇人/東京都美術館 学芸員、金濱陽子/東京藝術大学


 

東京都美術館と東京藝術大学が取り組むプロジェクトとして「Creative Ageing ずっとび」があります。

2021年にスタートし、台東区の病院や福祉関連施設と連携しながら、アクティブシニア(元気なシニア)対象のプログラム認知症の方や、認知症が気になる方、またそのご家族へ向けたプログラムを実施してきました。

第3回では、「Creative Ageing ずっとび」を担当する、東京都美術館 学芸員の藤岡勇人さんと東京藝術大学の金濱陽子さんから、立ち上げの経緯やこれまでの取り組みの事例についてお話しいただきました。

 

 

 

ずっとびのプログラムにおいて、とびラーは参加者と一緒に作品を見たり、発言を引き出したりしながら、参加者が安心した気持ちでプログラムに臨めるような場づくりを進行しています。

今回の講座ではプログラムに参加したとびラーにも登壇してもらい、参加者の様子で印象的だったことやどんな時間だったかなど、感想も交えてお話ししてもらいました。

 


各プログラムの詳細は、それぞれの活動紹介ページや動画でご覧いただけます。

■「動く、遺影!イェイ!イェーイ!」(2024年8月7日実施)

活動紹介ページ

■「アート・コミュニケータと一緒に楽しむ おうちで印象派展」(2024年3月16日実施)

活動紹介ページ

動画

■「ずっとび鑑賞会」(2023年10月3日実施)

活動紹介ページ

動画


 

その話を受けて、とびラーは3人組になって自分たちが感じたことを話合いました。

 

 

後半は、台湾やイギリスでのCreative Ageingの活動事例について、藤岡さんからお話しを伺いました。

 

 

人は誰もが歳を重ねていきます。世間ではアンチエイジングという言葉も見受けられますが、とびらプロジェクトやずっとびは「歳をとること」をポジティブに捉え、さまざまなプログラムを通して、この価値観を発信していきたいと考えています。

講座の中での「創造的な活動は健康に良い」というお話が印象に残りました。高齢者に限らず、どの世代の人も創造的に、そして健やかに日々を過ごすことができたら、自分はもちろん他者の視点や価値観を肯定し、お互いに認め合える社会になるのではないかと、今回の講座から感じました。

 

(とびらプロジェクト コーディネータ 西見涼香)

2024.08.24


第2回建築実践講座|「建築を鑑賞する」

日時|2024年8月24日(土) 14:00〜17:00
会場|東京藝術大学 第1講義室
講師|倉方俊輔(大阪公立大学 教授、建築史家)


 

大阪公立大学 教授の倉方俊輔先生をお招きし、「建築を鑑賞する」をテーマにお話いただきました。

近年、精力的に取り組まれている美術作品の対話による鑑賞を建築でおこなう「建築鑑賞」を軸に講座が進んでいきました。

建物の所有者や利用者が使い続けること、一般公開し活用することによって建築の価値を捉え直したり、市民が鑑賞することで貴重な建築を保存し後世につながることについて考える時間になりました。

倉方先生が実行委員長を務めていらっしゃる東京建築祭をはじめ、最新の情報も交えてさまざまな事例を挙げてお話くださり、建築を介したコミュニケーションについて理解を深めていく講座となりました。

 

 

 

(とびらプロジェクト コーディネータ 西見涼香)

 

2024.08.15

緑濃い上野の森に佇む東京都美術館で眩しい光や蝉時雨、美術館外壁タイルの触感などを五感で感じながら、まだ知らない朝だからこその都美の魅力を発見してみませんか。

建築、野外彫刻など、展覧会だけでない都美の見どころをアート・コミュニケータ「とびラー」やグループのみなさんと対話しながら散歩する60分のツアーです(無料)。

最後は飲み物をいただきながらふりかえります。飲み物はご持参いただくか、館内カフェでも購入いただけます。

※ 9月7日は、東京藝大の藝祭も開催中で「芸術の散歩道」の賑わいも感じられます。

【概要】

⚫︎ 日時  |① 9月7日(土)9:45 ~10:45 (受付開始9:30)

・・・・・・・② 9月12日(木)9:45 ~10:45 (受付開始9:30)

⚫︎ 会場  |東京都美術館
⚫︎ 集合場所|東京都美術館・交流棟2F アートスタディルーム
⚫︎ 対象  |どなたでもお気軽にご参加ください。

・・・・・・・(中学生以下の方は保護者同伴をお願いします。)

⚫︎ 定員  |各回12名(申込〆切後、定員を超えるお申込みの場合は抽選となります)
⚫︎ 参加費 |無料
⚫︎ 参加方法|下記申込みフォームよりお申し込みください。

・・・・・・・申込み〆切: 8月24日(土)

⚫︎ その他 |・特別に配慮が必要な方はお知らせください。

・・・・・・・・広報や記録用に撮影を行います。ご了承ください。


 

【申込み】・・・・申込〆切: 8月24日(土)・・

① 9月7日(土)9:45 ~10:45 の回  ② 9月12日(木)9:45 ~10:45 の回


【申込みの際にお願い】

⑴ 複数人でお申込みされる場合は、その他連絡事項欄に「人数」と参加者全員の「お名前」をご記入ください。また、小学生以下のお子様が一緒に参加される場合は「年齢」のご記入もお願いします。

⑵ 申込みを完了すると、受付完了の自動返信メールが届きます。「@tobikan.jp」からのメールを受信できるように設定してください。自動返信メールが届かない場合は、お手数ですが、p-tobira@tobira-project.info(とびらプロジェクト)宛にメールにてお知らせください。

 

2024.08.11

執筆者:染谷都(12期とびラー)

 

 

なかなか美術館へ行く機会がない人々が少しでも美術館に興味を持てるようになり、行ってみよう!と思うきっかけの一つになるものを作りたい」と、今回の企画を立ち上げました。どんな形ならたくさんの人に届くだろうと話し合いを重ね、音声コンテンツを作ってWEBで公開することにしました。

『とびラーによる“ずっとアートと生きていく”ラヂオ』と題して、じっくり耳を傾けたくなるようなラジオ番組風の音声コンテンツを制作しました。

東京都美術館の「アート・コミュニケーション事業を体験する2024(以下、AC展2024)※」開催期間中の週末に、展示室の一角を使って来館者のインタビューを公開収録で行い、「美術館はどんなところか」「どんな思いで美術館に行っているのか」といった、来館者の声を集めました。パーソナリティに扮したとびラーがインタビューをし、楽しく会話が盛り上がるようなトークを展開し、来館者との語らいを重ねる中で新たな発見も感じられました。

(参考:とびdeラヂオぶ〜☆2023年の様子 )

     

実施日:2024年8月3日(土)、4日(日)、10日(土)、11日(日)

実施場所:東京都美術館 ロビー階 第3公募展示室

     

※AC展2024とは?

アート・コミュニケーション事業を体験するは、東京都美術館で2023年から毎年開催しています。2024年は、『「ずっと」アートと生きていく-上田薫と上田葉子の生き方に学ぶ、クリエイティブ・エイジング』と題して、豊かに歳を重ねていくためにアートが果たす力と美術館の役割をテーマに実施されました。

 

 


         

 

◾️収録の概要

収録は、AC展2024の会場の最後にあるとびらプロジェクトの活動を紹介するゾーンで行いました。来館者が自由に立ち寄り、座れる場所です。テーブルに手作りの「ON AIR」ランプを設置し、まずはラジオブースっぽい雰囲気を演出しました。

 

 

AC展2024の展示作品や資料展示などを見終えた来館者に声をかけ出演交渉をします。録音の了承を得て、10分程度のインタビューを行います。一組の来館者に対して、インタビュアー、音声機器操作、記録係の基本三人体制で、収録していきました。

 

まずはAC展2024の感想を聞きます。クリエイティブ・エイジングについて、作品や作家について、鑑賞から感じたことをのびのび語れる空気を作っていきます。

そこから、話題はいよいよ核心に入っていきます。美術館にはよく来られますか?などの問いかけから、来館者とアートとの関係に話は展開していきます。

結びには、これまで、そしてこれから、アートとどのようにつながっていきたいですかと問いかけていきました。

最後に「私にとってアートは○○○です!」と言って締めてもらいました。

 

最初の2日間が終了したあとは、参加したとびラー同士で、収録したインタビュー音声を聴き、次の二日間へ向けてふりかえりをしました。そして、インタビューの仕方についてブラッシュアップを図っていきました。

 

 

◾️インタビュイーについて

インタビュイー(interviewee)とは、取材される人や質問に答える人のことです。

今回インタビューに参加いただいたのは、学生、親子、友人同士、外国からの方など、美術館が好きで、企画展からの流れで来場した人たちが多かったです。また、医療/福祉関連の従事者、美大生、アート関係など、仕事柄アート・コミュニケーション事業に興味を持って来場した人たちもいました。

さらに、会場にたまたま居合わせた人同士で一つの収録テーブルを囲み、複数人で会話することにチャレンジしたところ、世代も背景も異なるお二人の声を一緒に収録することができました。

 

 

◾️印象的だったインタビュー

ある女性は、亡くなる直前のお母様と一緒にゴッホの《ひまわり》を観ることができた時のエピソードを語ってくれました。

ある男性は、幼少期に父親と美術館に行くといつもかけてもらっていた言葉を思い出し、自分の息子への気持ちを再確認したと言います。

このように、インタビューを通して来館者自身が美術館の記憶を思い出し語ってくれることで、ご家族との大切な記憶を聞くことができました。

 

アート散歩が好きなご近所の仲間だという80代女性と40代男性にもお話を伺いました。男性は前日にインタビューを受けた友人からAC展2024を勧められ、この女性を誘って来館されたとのこと。口コミで人と人、人と作品が繋がっていき、今この時をともにしている、まさにこれがアート・コミュニケーションであることを実感する場面でした。

 

公開収録最終日は展示室が多くの人で賑わい、様々な場所でコミュニケーションが交わされていました。収録コーナーでも、20分…30分…と、話し込む方も多くいて、熱のあるインタビューが展開されました。

 

 


 

     

◾️編集、そして番組「とびラーによる”ずっとアートと生きていく”ラヂオ」になってい

収録が終わった後は、録音状態を確認しながら、届けたいインタビュー素材を編集しました。番組の形に編集していくにあたり、番組の進行役(ナビゲーター)は、録音時のインタビュアー以外の人を担当としました。ナビゲーターは、自ら番組の進行台本を書き、声を録音しました。とびラーにとっては初挑戦の作業でした。

 

番組のナビゲーターの録音が終了すると、収録した音声素材の試聴会をとびラー内で開催し、感想をシェアする時間を設けました。

 

     

ラジオ番組さながらに、番組テーマを設け、ジングルの音楽はオリジナルで制作しました。ギターと歌が得意なメンバーが音楽を作り、ラボメンバーのお子さんの声で収録した番組タイトル「”ずっとアートと生きていく”ラヂオ」の声をのせ、親しみがもてるあたたかい雰囲気を目指しました。

 

これらの素材を繋げて、出来上がった試作品の視聴会を再度とびラー同士で行い、聴きやすくなるように何度も整えました。平行してWEB掲載用のテキスト、タイトルロゴなどのデザインを、アイデアを出し合いながら考え、音声コンテンツのリリースへと向かっていきました。

        

 

 

◾️まとめ

はじめは、美術館にまだ足が向かない方への働きかけであった今回の音声コンテンツ制作。しかし実現してみたら、来館者の美術活動やミュージアム体験に対する気持ちを刺激し、アート・コミュニケータであるとびラーも美術館での人との繋がりに刺激を受けることができました。まとめられた言葉や文字ではなく、生の会話を通してそれらが生まれたことが、このラジオという形式を取った一番の効果かもしれません。

 

4日間で、合計40組53名へインタビューすることができました。

とびらプロジェクトのホームページで公開しているので、ぜひ聴いていただければと思います。

https://tobira-project.info/acradio/

     

 

 


 

執筆:12期とびラー 染谷都

フリーランスのラヂオ番組制作ディレクター。台東区民。藝大の森お世話隊員。好きなことは散歩と旅。

とびラボ「上野の森と建築を考えるラボ」では藝大の森&建築のツアーを試行中。

とびラーになって美術館によく行くようになり、作品<箱と空間 =「場」が好きなことを再認識。その場が実在しなくても誰もが参加できるラジオ番組のようなココチいい場づくりをリアルで模索中。

 

 

 

 

 

2024.08.11

終了しました。たくさんのご来場ありがとうございました。

とびラー&開扉アート・コミュニケータ

\ 活躍中 /

昨年度からはじまった「アート・コミュニケーション事業を体験する」。
今年も 7/30(火)〜8/11(日)の12日間開催します!会場では、毎日、とびラーと“開扉”アート・コミュニケータが、みなさんとのアートを介したコミュニケーションの場を生み出していきます。

今年のテーマは、「クリエイティブ・エイジング」。
豊かに歳を重ねていくために、アートが果たす力や美術館の役割について、とびラーや“開扉”アート・コミュニケータといっしょに考えてみませんか。

会場でお待ちしています!



アート・コミュニケーション事業を体験する 2024
「ずっと」アートと生きていくー上田薫と上田葉子の生き方に学ぶ、クリエイティブ・エイジング

会期   2024年7月30日(火)~8月11日(日)
会場   東京都美術館 ロビー階 第3公募展示室
休室日  8月5日(月)
開室時間 9:30~17:30(入室は閉室の30分前まで)
観覧料  無料

\毎日とびラー&“開扉”アート・コミュニケータが会場にいます/

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アート・コミュニケーション事業を体験する 2024
公式Webサイト:

https://tobira-project.info/ac-ten/

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昨年の様子はこちらでご覧いただけます。
◎「アート・コミュニケーションを体験する2023」アーカイブページ:
https://tobira-project.info/ac-ten/blog.html?category=archive


 


“開扉”アート・コミュニケータとは…

とびラーが3年の任期を終えることを、「新しい扉を開く」意味を込めて、「開扉(カイピ)」と呼んでいます。開扉したとびラーは、美術館や大学と継続した関係を保ちながら、アート・コミュニケータとして実社会で活躍することが期待されています。現在も任期満了した多くのアート・コミュニケータが、美術館で培ったネットワークや、とびらプロジェクトの活動を通して育んだスキルを活かしながら、対話のある社会の実現に向けた活動を継続しています。

「アート・コミュニケーションを体験する2024」では、開扉アート・コミュニケータの団体が、とびラーや開扉アート・コミュニケータ全体の運営も担っています。

 


 

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