東京都美術館× 東京藝術大学 「とびらプロジェクト」

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【とびラボ実施報告】 『とびラーによる”ずっとアートと生きていく”ラヂオ』

執筆者:染谷都(12期とびラー)

 

 

なかなか美術館へ行く機会がない人々が少しでも美術館に興味を持てるようになり、行ってみよう!と思うきっかけの一つになるものを作りたい」と、今回の企画を立ち上げました。どんな形ならたくさんの人に届くだろうと話し合いを重ね、音声コンテンツを作ってWEBで公開することにしました。

『とびラーによる“ずっとアートと生きていく”ラヂオ』と題して、じっくり耳を傾けたくなるようなラジオ番組風の音声コンテンツを制作しました。

東京都美術館の「アート・コミュニケーション事業を体験する2024(以下、AC展2024)※」開催期間中の週末に、展示室の一角を使って来館者のインタビューを公開収録で行い、「美術館はどんなところか」「どんな思いで美術館に行っているのか」といった、来館者の声を集めました。パーソナリティに扮したとびラーがインタビューをし、楽しく会話が盛り上がるようなトークを展開し、来館者との語らいを重ねる中で新たな発見も感じられました。

(参考:とびdeラヂオぶ〜☆2023年の様子 )

     

実施日:2024年8月3日(土)、4日(日)、10日(土)、11日(日)

実施場所:東京都美術館 ロビー階 第3公募展示室

     

※AC展2024とは?

アート・コミュニケーション事業を体験するは、東京都美術館で2023年から毎年開催しています。2024年は、『「ずっと」アートと生きていく-上田薫と上田葉子の生き方に学ぶ、クリエイティブ・エイジング』と題して、豊かに歳を重ねていくためにアートが果たす力と美術館の役割をテーマに実施されました。

 

 


         

 

◾️収録の概要

収録は、AC展2024の会場の最後にあるとびらプロジェクトの活動を紹介するゾーンで行いました。来館者が自由に立ち寄り、座れる場所です。テーブルに手作りの「ON AIR」ランプを設置し、まずはラジオブースっぽい雰囲気を演出しました。

 

 

AC展2024の展示作品や資料展示などを見終えた来館者に声をかけ出演交渉をします。録音の了承を得て、10分程度のインタビューを行います。一組の来館者に対して、インタビュアー、音声機器操作、記録係の基本三人体制で、収録していきました。

 

まずはAC展2024の感想を聞きます。クリエイティブ・エイジングについて、作品や作家について、鑑賞から感じたことをのびのび語れる空気を作っていきます。

そこから、話題はいよいよ核心に入っていきます。美術館にはよく来られますか?などの問いかけから、来館者とアートとの関係に話は展開していきます。

結びには、これまで、そしてこれから、アートとどのようにつながっていきたいですかと問いかけていきました。

最後に「私にとってアートは○○○です!」と言って締めてもらいました。

 

最初の2日間が終了したあとは、参加したとびラー同士で、収録したインタビュー音声を聴き、次の二日間へ向けてふりかえりをしました。そして、インタビューの仕方についてブラッシュアップを図っていきました。

 

 

◾️インタビュイーについて

インタビュイー(interviewee)とは、取材される人や質問に答える人のことです。

今回インタビューに参加いただいたのは、学生、親子、友人同士、外国からの方など、美術館が好きで、企画展からの流れで来場した人たちが多かったです。また、医療/福祉関連の従事者、美大生、アート関係など、仕事柄アート・コミュニケーション事業に興味を持って来場した人たちもいました。

さらに、会場にたまたま居合わせた人同士で一つの収録テーブルを囲み、複数人で会話することにチャレンジしたところ、世代も背景も異なるお二人の声を一緒に収録することができました。

 

 

◾️印象的だったインタビュー

ある女性は、亡くなる直前のお母様と一緒にゴッホの《ひまわり》を観ることができた時のエピソードを語ってくれました。

ある男性は、幼少期に父親と美術館に行くといつもかけてもらっていた言葉を思い出し、自分の息子への気持ちを再確認したと言います。

このように、インタビューを通して来館者自身が美術館の記憶を思い出し語ってくれることで、ご家族との大切な記憶を聞くことができました。

 

アート散歩が好きなご近所の仲間だという80代女性と40代男性にもお話を伺いました。男性は前日にインタビューを受けた友人からAC展2024を勧められ、この女性を誘って来館されたとのこと。口コミで人と人、人と作品が繋がっていき、今この時をともにしている、まさにこれがアート・コミュニケーションであることを実感する場面でした。

 

公開収録最終日は展示室が多くの人で賑わい、様々な場所でコミュニケーションが交わされていました。収録コーナーでも、20分…30分…と、話し込む方も多くいて、熱のあるインタビューが展開されました。

 

 


 

     

◾️編集、そして番組「とびラーによる”ずっとアートと生きていく”ラヂオ」になってい

収録が終わった後は、録音状態を確認しながら、届けたいインタビュー素材を編集しました。番組の形に編集していくにあたり、番組の進行役(ナビゲーター)は、録音時のインタビュアー以外の人を担当としました。ナビゲーターは、自ら番組の進行台本を書き、声を録音しました。とびラーにとっては初挑戦の作業でした。

 

番組のナビゲーターの録音が終了すると、収録した音声素材の試聴会をとびラー内で開催し、感想をシェアする時間を設けました。

 

     

ラジオ番組さながらに、番組テーマを設け、ジングルの音楽はオリジナルで制作しました。ギターと歌が得意なメンバーが音楽を作り、ラボメンバーのお子さんの声で収録した番組タイトル「”ずっとアートと生きていく”ラヂオ」の声をのせ、親しみがもてるあたたかい雰囲気を目指しました。

 

これらの素材を繋げて、出来上がった試作品の視聴会を再度とびラー同士で行い、聴きやすくなるように何度も整えました。平行してWEB掲載用のテキスト、タイトルロゴなどのデザインを、アイデアを出し合いながら考え、音声コンテンツのリリースへと向かっていきました。

        

 

 

◾️まとめ

はじめは、美術館にまだ足が向かない方への働きかけであった今回の音声コンテンツ制作。しかし実現してみたら、来館者の美術活動やミュージアム体験に対する気持ちを刺激し、アート・コミュニケータであるとびラーも美術館での人との繋がりに刺激を受けることができました。まとめられた言葉や文字ではなく、生の会話を通してそれらが生まれたことが、このラジオという形式を取った一番の効果かもしれません。

 

4日間で、合計40組53名へインタビューすることができました。

とびらプロジェクトのホームページで公開しているので、ぜひ聴いていただければと思います。

https://tobira-project.info/acradio/

     

 

 


 

執筆:12期とびラー 染谷都

フリーランスのラヂオ番組制作ディレクター。台東区民。藝大の森お世話隊員。好きなことは散歩と旅。

とびラボ「上野の森と建築を考えるラボ」では藝大の森&建築のツアーを試行中。

とびラーになって美術館によく行くようになり、作品<箱と空間 =「場」が好きなことを再認識。その場が実在しなくても誰もが参加できるラジオ番組のようなココチいい場づくりをリアルで模索中。

 

 

 

 

 

2024.08.11

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