東京都美術館× 東京藝術大学 「とびらプロジェクト」

ブログ

Archive for 7月, 2026

2026.07.19

 


 

【第6回基礎講座 この指とまれ/そこに居合わせる人が全て式/解散設定】
日時|2026年6月20日(土)10時~15時
場所|東京都美術館 交流棟2階 アートスタディルーム
講師|西村佳哲(プランニング・ディレクター リビングワールド代表)
小牟田悠介(東京藝術大学 芸術未来研究場 ケア&コミュニケーション領域 特任准教授)
越川さくら(東京藝術大学 芸術未来研究場 ケア&コミュニケーション領域 特任助手 とびらプロジェクトコーディネータ)
大東美穂(東京藝術大学 芸術未来研究場 ケア&コミュニケーション領域 特任助手 とびらプロジェクトコーディネータ)
内容|とびラーは、自分たちの関心を寄せ合い、アイデアを共有し、プロセスを大事にしながら活動をつくります。この回では、小さく始めるプロジェクトのつくり方や、そこに集まった人みんなの力を活かした活動について学びます。また、活動のはじめ方だけではなく、終わり方のデザインについても理解を深めます。

 


 

全6回にわたる基礎講座も、いよいよ最終回です。

これまでの講座では、聞く力やグッドミーティング、ミュージアムとウェルビーイングなど、とびラーとして活動していくための土台となる考え方を一つひとつ積み重ねてきました。
最終回のテーマは、とびラーによる自主的なミーティング活動である「とびラボ」について。
あらかじめ何をやるか決まっていない活動を、どうやって立ち上げ、進め、終えていくのか。
講師の西村さんと、とびらプロジェクト マネジャーの小牟田さんによるクロストーク形式で進みました。

 

とびラボは、「この指とまれ式」「そこに居合わせる人が全て式」「解散設定」という、3つのステップで進んでいきます。
小さなプロジェクトを多様な人がともに育てていくために大切にしたい進め方について、その中に込められた意図を紐解いていきました。

 

ステップ1:この指とまれ式

新しい活動のアイデアや関心をみんなとシェアしたいと思った人が掲示板で一緒に活動するとびラーを募集します。140人のとびラーに呼びかけて、そこに他のとびラーが答え、3人組になったら「とびラボ」のスタートです。このはじまり方を「この指とまれ式」と呼んでいます。

そのため、指をあげた人と、その指に止まる人がいて、はじめて活動がスタートします。
もし参加できないときも、「興味はありますが、その日には参加できません!」とその気持ちをそのまま伝えることで、「見守ってもらえている」とお互いに感じることができます。そのような関係性を作っていくことが、お互いにとってのエールにもなるという話には、とびラーからも納得の声が上がりました。

また、とびラボにおいては、プロセスや途中経過そのものを大切にすること、活動の情報をできるだけ広く公開していく姿勢についても語られました。

 

 

ステップ2:そこに居合わせる人が全て式

ここで紹介されたのが「今夜、冷蔵庫にあるもので何か美味しいものをつくる」という例えです。シェフのカレーは、美味しい素材を全国各地から集めてつくる。一方、お家のカレーは、いま冷蔵庫にあるものでつくるという意味です。

組織として目的のために人を選び、チームを作る会社とは違い、とびラボはむしろ遊びに近いもの。
目的を達成するために計画していくという発想を少し手放し、ここにいる人たちで何ができるかを考えていくことが大切なのだと話されました。

とびラーからは、「これまで仕事のような頭になっていたけれど、『遊び』だと思えばいいのだと気づいて楽しみになった」という声も聞こえました。

 

ステップ3:解散設定

解散をして、活動を振り返る時間を持つことで次の創造性が生まれるという考え方が紹介されました。
また、とびラボには「いつ入ってもいい、いつ出てもいい」という自由さを担保してほしいというメッセージも。少し違うなと感じたら、別のラボを始めてもいいし、一度とまった指を離してもいい。
それは活動に風通しを持たせるための大切な姿勢です。

 

これまでのとびラボの実例として、とびらプロジェクトのコーディネータの大東さんと越川さんより、2つのとびラボの紹介もありました。

とびラボの話し合いの中で、とびラー同士が「自分はこう理解したけれど合っていますか」と言葉を確認していくことや、議論が混沌としてきたときこそ元々の想いに立ち戻り、自分にできることは何かを一人ひとりが考える大切さが語られました。
フラットに関わるということは、全員が同じことをできるようになることではなく、それぞれに合った関わり方があってよいという気づきが生まれた、印象的な場面でした。

 

フラットに関わるためには、まず自分自身と向き合う時間が必要です。 今回は、「好きなこと、いつかしてみたいこと、飽きないこと」をワークシートに書き出す時間が設けられました。

 

午後は、3人組に分かれ、自分のことを言語化したワークシートを共有し、全6回の基礎講座を終えた15期が「とびらプロジェクトで何ができるか・何を考えたいか」を話し合う時間となりました。

言葉にするのが難しいという声が聞こえつつ、好きなことや得意なことを共有し合う中で、それぞれの視点の違いが議論を活発にしていきます。

「寝ころがって絵を見てみたい」、「手を動かすことが好きなメンバーで物ができる過程を共有しながら居場所をつくりたい」、「展示を見た後の気持ちをみんなで形にしたい」、「動物と一緒に何かできないかな」──3人寄れば文殊の知恵というように、それぞれの「やりたいこと・できること・やるべきこと」の共通点を探りながら、アイデアが膨らんでいきました。

 

実際に東京都美術館の中で企画を実施する際には、コーディネータと相談しながら進めていきます。その様子を1つのチームに代表で前に出てきてもらって、公開で行ってみる時間もありました。

 

とびラボを進めていく上で、コーディネータとどう相談し、話が進んでいくのかをみんなで観察します。
そして体験したとびラーのふりかえりや、スタッフがどう話を聞いていたかのふりかえりを、それぞれきくことで、とびラボのプロセスを確認しました。
プロセスを大事にする上で大切なのは、「内容」のふりかえりと、話し合いの「プロセス」のふりかえり、この2つを分けて話すという「ふりかえり」のコツが話されました。

 

講座の終わりには、とびらプロジェクト マネジャーの小牟田さんから、これからとびラーとして活動していく15期へ、メッセージが贈られました。
今最も新鮮な感覚を持っているのは15期のみなさんであり、気後れすることなく、ぜひ積極的に活動していってほしいということ。
そして、目的を達成することだけに捉われず、そのプロセスそのものを楽しんでほしいという思いを込めて「真剣に遊んでほしい」という言葉で、全6回の基礎講座は締めくくられました。

 

「とびラボ」活動を、どうやって始め、育て、終えていくのか。
今回の基礎講座では、その答えを一つに定めるのではなく、「ここにいる人たちで何ができるか」を考え続けること自体が、とびラボのあり方なのだと感じさせられる回となりました。
基礎講座を終えた15期のとびラーたちが、これからどんなこの指とまれをしていくのか。これからの活動にも注目です。

(とびらプロジェクト アシスタント 久保田夢加)

 

カレンダー

2026年7月
 12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
2728293031  

アーカイブ

カテゴリー