東京都美術館× 東京藝術大学 「とびらプロジェクト」

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藝大卒展さんぽ2017

1月末に開催された東京藝術大学の卒業・修了作品展にて「藝大卒展さんぽ」を実施しました。

この「さんぽ」プログラムはとびラーと来場者の方々が一緒に卒展の会場をぶらぶらと見てまわり、作品の感想を共有しあったり、作者である藝大生たちとの交流を通して「人と人」、「人と作品」をつなぐことを目的とした1時間のツアー企画です。

 

今年度の卒展さんぽは1月27、28、29日の3日間にわたって行われ、多くの来場者の方や藝大生にご参加いただき、鑑賞者と作者、双方にそれぞれの立場からアート・コミュニケーションを体験してもらいました。

 

今回は藝大生と参加者の交流を中心に、3日間のさんぽをまとめてご紹介します!

 

今回の「さんぽ」では、まず東京都美術館の公募棟・ギャラリー棟をめぐるチームと、東京藝術大学のキャンパスをめぐるチームに分かれます。

いずれも出発は東京都美術館のミュージアムショップ前。

とびラーと参加者でおはなしをしながら展示会場へ向かいます。

 

 

学生生活の集大成のお披露目の場。その作品たちを一目見ようと会場内は連日にぎわっています。

その中にさんぽ一行も入っていきます。

 

 

道中気になる作品があればみんなで眺め、感想を共有します。

とびラーは会場内をナビゲートしつつも作品の解説をするわけではなく、参加者の皆さんと同じく作品を楽しみながら、一緒に歩を進めます。

 

とある作品の前で立ち止まり、とびラーが参加者に問いかけます。

 

「こちらの作品をみんなで鑑賞したいと思います。それではじっくりご覧ください。

・・・さて、ご覧になってみて、何か気になった点や感じたことはありますか?」

 

参加者は思い思いの印象や感想を語り、周りの人たちへ共有していきます。

自分とは異なる感想に、なるほど、と頷く参加者たち。

そんな様子を後ろからこっそり伺う学生がいます。

 

「様々な感想や気になる点が出ましたね。

実は、こちらの作品を作った学生がそちらにいらっしゃいますので

せっかくなので本人にもいろいろ聞いてみましょう!」

 

そうです。実は作者である藝大生にスタンバイしてもらっていました。

 

 

 

 

ここからがさんぽの醍醐味。学生と参加者の交流の時間です。

作品のコンセプトやその思い。制作の様子や苦労話が作者本人の口から語られます。

 

 

一通り説明が終わると、今度は参加者から作者へ質問が投げかけられます。

学生生活の集大成となる、個性的な作品ばかり。お話をするうちに、作品に対する興味もどんどん深まっていきます。

 

 

 

 

作品の中に入って遊んでみたり、実際に叩いて音をならしてみたり。

その場でしか体験できない空間を楽しみながら「さんぽ」は続きます。

 

 

 

 

そして作者の特権!直接作品を手に取りながら、材質や素材の説明もしてもらいました。

重そうに見える作品も実は軽かったり、身の回りにあるものから作品を制作していたり。

見た目と素材のギャップに、参加者もとびラーも驚くばかり。

 

 

 

 

卒展ではほとんどの作品にキャプションがついていません。

学生の話を直接聞くことで、作者の内面や、この制作に至るまでの背景など、作品を見ただけではわからないことが、ちょっとずつ明かされていきます。

 

 

 

何名かの作者の話を聞いて回り、たくさんの交流を体験したところで「さんぽ」は終了。

 

 

プログラム終了後、参加者の皆様には、その日訪れた学生たちに向けて、作品の感想や応援・激励が込められたメッセージカードを書いていただきます。

 

はがきサイズのカード。中にはカードいっぱいにメッセージを書いてくれた方も。

このメッセージカードはとびラーから学生たちへお届けしました。

「見てくれた方からの『気持ち』を受け取ることができる機会は、なかなかない!」

ちょっと照れた様子ながらも、メッセージを受け取った学生たちはどこか嬉しそうでした。

 

プログラムに参加した学生たちからは以下のような感想をいただきました。

・自分自身で気づかなかった作品の良さや、自分の伝えたかったことが伝わった時の嬉しさを生み出してくれる場を作ってくれた。
・関係者以外との交流は初めてで、とてもドキドキだったけど楽しかった。
・美術館という機関で、一歩近い距離に「作家」と「作品」と「鑑賞者」をつなぐとびラーの役割や機能について考えさせられた。

 

作り手である学生たちに、自らの作品から生まれるコミュニケーションがあることを知ってもらえたように感じています。

 

今回のさんぽでは、3日間を通して延べ40名以上もの方にご参加いただきました。

また、ご登場いただいた藝大生は14名。

本当にありがとうございました。

 

「作者と交流」、あるいは「参加者と交流」しながらアート・コミュニケーションを体験できるこの「さんぽ」。

 

これからもたくさんの出会いがこのプログラムから生まれていけばいいなぁ、と思います。

 

小田澤直人(アート・コミュニケータ「とびラー」)

 

 

 

 

 

2017.01.31

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