東京都美術館× 東京藝術大学 「とびらプロジェクト」

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Archive for 10月 6th, 2017

2017.10.06

7月から10月にかけて開催された「ボストン美術館の至宝展 – 東西の名品、珠玉のコレクション」にて、「とびからポストん!Tokyo⇄Boston」を実施しました。

このワークショップは、普段はあまり美術館に足を運ばない大学生を対象に、展覧会を通したとびラーとの鑑賞体験や、ボストンに住む学生との交流を通じて、より作品鑑賞を多様に楽しんでもらうことを目的とした企画です。ボストンに留学経験のある大学生とびラーを中心に企画し、実施に至りました。
参加した4名の大学生からは、「美術の知識がなくても楽しめた」「ひとつの作品をじっくり鑑賞したり、いろんな見方をすることができた」などのうれしい声を頂きました。
ここでは開催した当日の様子を報告します。

 

10月6日(金)、小雨が降っており、すこし肌寒い日でした。金曜日の夜間開館の時間を利用し、展覧会をゆったりと楽しめる夕方に会場へと向かいます。まずはロビーで、とびラーが参加する大学生をお出迎えします。

到着した学生はASR(アートスタディールーム、とびラーの活動拠点)に移動し、到着を心待ちにしていたとびラーたちと「はじめまして」のご挨拶。今回はとびラーの知人から参加者を募り、異なる大学から4名の学生に参加して頂きました。全員が集合したところでいよいよ開始。

とびラーの挨拶から始まり、「とびからポストん!」の目的や今日の流れの説明。そして今回の展覧会出展作品が所蔵されている「ボストン美術館」の紹介動画を見ます。

日本の美術館と比べると、建物の大きさも、展示室の広さも、天井の高さも全く異なります。ボストン美術館の広大さを感じて、学生もとびラーも驚きをかくせません。作品たちは、ここから遥々東京にやってきてくれたのですね。

 

今回はAとBの2グループに分かれて活動します。各グループの構成は大学生2名ととびラー3名。まずはグループごとに軽く自己紹介をし、オリジナルの「ポストんカードゲーム」で交流を深めます。

 

各グループの机には、トークテーマカードと「ボストン美術館の至宝展」出品作品が印刷されたアートカードがあります。トークテーマカードには簡単なお題が書いてあり、それに合う作品を、アートカードのなかから自分なりに選んで発表し合うというゲームです。

「友達に似ている作品は?」という問いに対して涅槃図を選び、「古着が好きな友達なので、こういう細かい刺繍のほどこされたロングスカートを着ていそう。」と語ってくれる人も。カードゲームを通して、少しづつお互いのことを知ることができました。
ゲームで盛り上がりつつも、そろそろ展示室へ移動する準備に取り掛かります。学生は机上にある6枚のアートカードの中から、展示室でじっくり見たい作品をひとつ選びます。学生それぞれが、版画や絵画作品から1点を選んだところで、いよいよグループごとに展示室へ移動。
まずはグループ全員で、事前にとびラーが選んでいたおすすめの作品をひとつ鑑賞します。

 

Aグループは日本美術の中から水墨画を、Bグループはフランス美術の中から油画の作品を鑑賞。各自で作品を好きな位置からじっくりと見て、どのように見えたかを共有し合います。参加学生たちは、色使いや輪郭のぼやけ方について技法を考察したり、作品に描かれている人の目線の先には何があるのか、どんな気持ちなのかなど、絵の中のストーリーを想像したり、様々なところに着目して鑑賞していました。次に、学生ととびラーで2人組になり、先ほどASRで選んだ作品をじっくりと鑑賞します。「近くで見ると何が描かれているか分かりにくい作品は、5mくらい離れて見るとよくわかる」という発見があったり、「この絵は自分をどのような気持ちにさせてくれるのか」をとびラーと語り合ったり、学生ひとりひとりが自分のペースで作品と向き合います。

 

ASRに戻り、ひと休み。お茶とお菓子を味わいながら、展示室でのそれぞれの体験を共有します。
そしていよいよ、ボストンの学生との交流にうつります。まずはボストンの学生が送ってくれたメッセージビデオを鑑賞。ボストン美術館にある作品の中から、お気に入りの1点を選び、ポストカードを使いながら紹介してくれています。

映像の後には、ボストンの学生から実際に届いたポストカードが登場。映像の中で紹介していた作品の裏に、自己紹介やその作品を好きな理由について書いてもらっています。思いのこもったポストカードを、参加学生たちも真剣に読みます。

さて次は、私たちがボストンの学生に向けてポストカードを届ける番です!先ほど鑑賞した作品から好きな作品を1つ選び、そのポストカードにメッセージを書きます。
どのように言葉にしようか悩みつつ、作品への思いを英語で綴りました。

そしてボストンの学生と同様、ポストカードを持ってビデオメッセージを撮影。緊張しつつも、自分がこの作品をどのように見たのか、作品についてどう思ったのかなどを、素直に言葉にしてくれていました。

参加学生が書いたポストカードと撮影したビデオメッセージは、後日ボストンの学生たちに宛てて送られました。とびラー企画としては初の、海外交流を交えたワークショップでした。参加学生が今後も自分な発想で、作品鑑賞を楽しんでもらえると嬉しいです。また展覧会で日本に来ている作品たちがボストン美術館に戻ったとき、ボストンの学生たちが私たちからのメッセージを思い出しながら、その作品を鑑賞してくれることを願います。参加してくれた学生のみなさん、そしてご協力頂いたボストンの学生のみなさん、ありがとうございました!

 

執筆:宮﨑有里(アート・コミュニケータ「とびラー」)
駅伝の強い大学に通う運動不足の学生、通称ゆりえる。好きな画家はルネ・マグリット。アートプロジェクト等を勉強中です!

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