2024.07.14
第2回 鑑賞実践講座|「ファシリテーション基礎(1)」
日時|2024年7月14日(日)10:00〜17:00
会場|東京都美術館 アートスタディルーム・スタジオ
講師|三ツ木紀英(NPO法人 芸術資源開発機構(ARDA))、ARDAコーチ5名
内容|
・グループ鑑賞体験
・ファシリテーションのポイント観察
・Visual Thinking Strategies ファシリテーション実践
第2回からは、NPO法人 芸術資源開発機構(ARDA)の三ツ木紀英さんを講師に迎え、Visual Thinking Strategies(ビジュアルシンキングストラテジーズ:複数の人で対話をしながら作品を鑑賞する手法。以下、VTS)におけるファシリテーションを学びながら、作品をよりよくみることや、アートを介したコミュニケーションの場づくりについて考えていきます。
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第2・3回は、ファシリテーションの基礎を学ぶ2日間です。
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第2回の午前は、 グループに分かれ、ポスターサイズの作品画像を用いて、複数の人で作品を鑑賞する体験をしました。また、その鑑賞体験をふりかえりました。とびラーは、1人で作品をみるときとは一味違う鑑賞の深まりや複数の視点でみることの面白さについて話しあっていました。
午後は、三ツ木さんのファシリテーションで、現在の東京都美術館で開催中の展覧会出展作品より2作品を鑑賞しました。
とびラーは、作品を鑑賞する「鑑賞者」と、VTSの場を観察する「観察者」に分かれます。そして、ファシリテーションのポイントをその場で観察します。
観察のポイントは、ファシリテータが行った振る舞いや問いかけが、鑑賞の場にどのように影響するか、その「原因と結果」を読み取ることです。
ここでは、鑑賞実践講座への参加2・3年目のとびラーが中心となって、観察して発見したファシリテーションのポイントを全体でシェアしていきました。
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2024年のとびらプロジェクトには、全盲のとびラーが1名参加しています。今回の講座では、情報保障として、作品のモチーフの輪郭線が触覚的にわかる作品画像(=触図)を制作しました。作品画像のカラーコピーをモチーフの輪郭ごとに重ねていく簡易的な作りです。
触図は、グループの対話で語られる視覚的な情報を、スタッフが隣について伝えながら使用しました。モチーフの位置や全体の構図を触って理解できることで、構図についての説明が伝わりやすくなります。また、グループの対話の内容も理解しやすくなるというメリットがありました。それにより、全盲のとびラーも鑑賞の流れを掴みやすくなり、自分の意見や質問を発言することができていました。
鑑賞実践講座への全盲のとびラーの参加を考えることを通して、見えない人との鑑賞についてもとびラーと一緒に考えていきます。
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また、講座の最後には、小さな作品画像を使って、全員がVTSファシリテーションにトライする時間も設けました。
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いよいよ、VTSファシリテーションの実践的なレクチャーと体験が始まりました。実際の来館者との鑑賞に向けて、座学だけでなく実践を積み重ねながら学んでいきましょう。
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(とびらプロジェクト コーディネータ 越川さくら)