東京都美術館× 東京藝術大学 「とびらプロジェクト」

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基礎講座3回目「あさっての美術館を考える」

基礎講座もついに3回目。午前中の講師は学芸員の佐々木秀彦さん。「都美はコレクションではなく、コネクションで勝負する」「欧米の美術館を手本にするだけでは通用しない、日本なりの美術館の在り方を考えなければならない」など、都美の学芸員の視点ならではの、熱く、率直なお話を伺うことができました。

 

レクチャーの後は、美術館のバックヤードツアー。ちょうど公募展の搬入が行われており、普段は見る事の出来ない舞台裏を見学させて頂きました。

 

午後は日比野克彦さんによる「アートプロジェクトの記録・調査・アーカイブ」と題した講座が行われました。前半は日比野さんが現在取り組まれている「種は船」プロジェクトに関連して行われるアーカイブプロジェクト「船は種」を題材に、アートプロジェクトを記録する上で、埋没しがちな参加者個々人の体験や記憶を浮かび上がらせることの重要性についてお話頂きました。

 

後半はレクチャーを踏まえて、個人的体験や記憶を掘り起こす手法を体験するワークショップが行われました。日比野さんからの出題は「他人と同じにならない、普通の風景」を携帯カメラを使って撮影し、一枚の写真をもとに、そこから思い起こされる体験や記憶を他者との対話によって言葉にしてゆくこと。さっそく外に出て、美術館のいたるところで撮影がはじめられました。

撮影を終了した後は再度アートスタディルームに戻り、日比野さんのファシリテートのもと、とびラー候補生が各自撮影した写真から想起される言葉を紡ぎだして行きました。写真は自身の体験や記憶に向き合うきっかけであり、なおかつ自分以外の人と体験や記憶を共有する入り口にもなりました。プロジェクトを進める上では、全体の足並みをそろえて歩むことが大事です。しかし、共通の体験をしたとしても、感じ方や考え方などその受け止め方は、人それぞれ。そのそれぞれ違った多様な受け止め方を声にして、価値あるものとするからこそ、プロジェクトにさらなる広がりが生まれるのだと感じました。(伊藤)

2012.05.12

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