東京都美術館× 東京藝術大学 「とびらプロジェクト」

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とびら楽団:活動報告

とびらプロジェクトマネージャ伊藤達矢です。

音楽でとびらプロジェクトを盛り上げてくれている「とびら楽団」から活動報告が届きました。

とびラー同士のコミュニケーションデザイン活動の一環として発足した「とびら楽団」。純粋に音楽を楽しむだけでなく、イベントの盛り上げ役としても出番をいただきました。そんな盛りだくさんの3か月をメンバーが振り返ります。

記述はとびラー候補生(以下:とびコー)の淵上幸吉さん、林久美子さん、佐藤史さん、松澤かおりさんです。

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■楽団発足と練習(5月26日)
「えっ?美術館に楽団?そんなのあり?」「あって、いいじゃん! やろうじゃん!」(佐々木学芸員の口ぐせがどうも移ってしまったようで!?)という一声から始まったとびら楽団。日本の美術館史上初の(はず)楽団が産声をあげました。楽器経験は一切問わず、サポーター大歓迎、出入りも自由、要すれば誰でも入団可という楽団の誕生です。ということで、この呼びかけに集まったとびラーは約20名。リコーダーにピアニカあり、マラカスにカスタネットあり、ウクレレに、木琴、ウッドベースにテナーサックス、もちろんボーカルもありと多種多彩。きっと参加したメンバーの本心は、「おいおい、これで音出したらいったいどうなるの?」と、みんな不安だったはず。そんな楽団の最初のチャレンジ曲は、NHKみんなの歌の『メトロポリタン美術館』。何と準備された楽譜は、ボーカルとピアノ伴奏譜のみでパート譜なし。「ねえねえ、私、どこ吹いたらいいの?」「トライアングルは、どこで鳴らしたらいいの?」そんな質問を無視して、何はともあれ音出ししてみようということで、5月26日に、都美の裏手の公園の木立の中、肩に力の入った伊藤さんの指揮のもと、初・野外練習を実施。公園の木々達も、あまりのハーモニーのすばらしさ??に、幹をねじらせたとかいないとか、前途多難の出発と相成りました。
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しかし、ここはとびコー。20人いれば何とかなるもので、パート譜がないなか、オリジナルの音源を何回も聞いての音作り。そして特訓すること2回、その甲斐あって、あの都美の裏手での練習はまぼろしだったのかというほど、楽団の音も、そしてリズムの乗りも見違えるほどにレベル急上昇しました。さあて、6月23日のとびラー懇親会でデビューの結果はいかに?(淵上 幸吉)

■デビュー(5月23日)
6月23日(土)、基礎講座最終日であるこの日の懇親会にて、とびら楽団は記念すべきデビューを果たしました。とびらプロジェクトの皆様へ、初のお披露目公演です。 デビュー公演(?)にむけた最後の練習は懇親会直前。演奏はもちろんおじぎのタイミングにいたるまで入念なリハーサルを行い、不安と期待のなかいざ会場へと向かいます。そして会場にはうれしいサプライズが待っていました。駅伝の沿道応援さながら、楽団を応援するちいさな三角の旗を持ったとびコー(とびラー候補生)さんたちがたくさん! 心づよいバックアップを得て、楽団員のやる気もさらにぐぐぐと高まります。出番まで、緊張で気もそぞろな歓談とお食事タイムをしばし過ごし、いよいよそのときがやってきました。
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楽団員はバックヤードに集合、6月末から始まるマウリッツハイス美術館展にちなみ、とびコー時田さんが制作してくださった『真珠の耳飾りの少女』のターバンを身に着け、お互い照れながらも青いターバンの少年と少女に変身です。(※この衣装は「青タープロジェクト」用のものをお借りしました。)
そしてむかえた本番。
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指揮者には、これまた時田さん作のかわいい衣装に身をつつんだアシスタントの大谷さん。曲目は大貫妙子さんの『メトロポリタン美術館』です。わたしたちのレパートリーはこのたった一曲。されど、少ない練習期間のなか、みんなであれこれ模索しながらかたちにした大切な一曲です。とびコーさんたちのあたたかい声援と歌も加わり、演奏はさらに盛り上がりをみせ、なんとアンコールまでいただきました。(ありがとうございました!)

 

とびら楽団はみなさんの応援のもとひとつになり、かたちになりました。みなさんの楽しい思い出となっているとしたら、とびら楽団デビュー公演は大成功だったのではないかと思います。(林 久美子)

 

■“とびら記念日”(8月5日)
楽団、青タープロジェクト(青ター)、うちわプロジェクトが一同に会し、とびコーと来館者の方々との交流を生んだ、まさに「とびらプロジェクトの記念日」に相応しい日となりました。当日の楽団員の参加人数は「あなたも真珠の耳飾りの少女プロジェクト」チーム・チラシdeうちわプロジェクトを兼任しているメンバーも含めて、10人以上。中には初参加となるとびコーもいました。楽団としては、懇親会以来の久々の音合わせとなりましたが、それ程かしこまった感じもなく、各々が楽しく音を出せていたように感じました。指揮者の出だしの合図があるわけでもなく、誰かの“音出し”をベースに、それぞれが“乗っかって”、“重なって”いくような演奏です。

 

ただ1つ悩ましいことといえば…そう、その場に居た誰もが感じていた「レパートリーが1曲」という精神的重圧。自然と次の楽曲選びの話題が挙がり、次曲候補をとびラー専用掲示板で募集する運びとなりました。(佐藤 史)

 

■“とびらゴールドデー”(8月15日)
8月15日(日)はとびら楽団2度目の演奏。シルバーデーで多くのお客様が来館される中、青ター開催・・・いや、開幕?楽団は少人数ながら唯一のレパートリー曲『メトロポリタン美術館』を演奏しました。この日は正面エレベーター前で行列のお客様に向かっての演奏。炎天下、次第に息は上がり、間も持たなくなり・・・ここで新しい風を!と初めて『カントリーロード』に挑戦しました。練習時間もなかったため、どうかな?と心配しましたが、お客様からはなかなかの反応。そして、どうしても楽器の少ない寂しさを感じていた頃、団員から「歩こうか!」の声。かくして、これまた初の鼓笛隊が都美館前を行進しました。

 

後ろではとびラー扮するフェルメール隊長が率いる青ターが、プロのようなトークと手際で「少女」をプロデュース。楽団は「あなたも真珠の耳飾りの少女プロジェクト」と一体となれた1日でした。以後はブログにある通り、暑い夏を乗り切ったのでした。(松澤 かおり)

■とびら楽団のこれから
とびら楽団の今後としては、次回の企画展であるメトロポリタン美術館展でも、演奏の機会をいただけると聞いています。そこでこその『メトロポリタン美術館』です。さらにアメリカにちなんだレパートリーを増やし、練習にも力を入れていきたいです。確かにディレッタントの集まりという限界はありますが、「できないことを数えてため息をつく」のではなく、「できることからやってみる」そんなスタンスから生まれる交流もあるのではないでしょうか。今後も、アートを介したコミュニケーションを実践するプロジェクトとして、とびら楽団を続けていきたいです。(玉井 あや)
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■とびラー候補生:執筆
淵上幸吉(ふちがみ こうきち)
美の殿堂・都美でサックスを演奏するという前代未聞の快挙(?)を成し遂げる。テナーサックスとジャズをこよなく愛す。
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林久美子(はやし くみこ)
東京の下町在住。会社員。好きなミュージシャンは芳垣安洋さんと高田漣さん。楽団ではピアニカ担当。
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佐藤史(さとう ふみ)
楽団ではピアニカ担当。7年間ピアノを習っていたが、その記憶がほとんどない。密かに複音ハーモニカを練習中。
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松澤かおり(まつざわ かおり)
一男一女の母。趣味はピアノ演奏。好きな作曲家はドビュッシー。楽団ではピアニカ担当。楽譜を管理するライブラリアンでもある。
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玉井あや(たまい あや)
脱OL後、一念発起して美術史を学ぶために復学。楽団ではリコーダーおよび雑用団長を担当。最近リコーダーアンサンブルに目覚める。

 

 

2012.10.05

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