東京都美術館× 東京藝術大学 「とびらプロジェクト」

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スクールマンデー:荒川区立第三峡田小学校の鑑賞授業

休室日を利用して行なわれる、対話による鑑賞教育スクールマンデー。本日は荒川区立第三峡田小学校5年生(25人)6年生(16人)の皆さんでした。「メトロポリタン美術館展」前のエントランスで、僕(伊藤)から展示室内でのマナーや本日の流れについて説明をさせて頂きました。

 

会場に入ると、一度2階の一番奥の展示室まで全員で移動しました。展覧会のボリュームを子供たちに知ってもらうためです。展覧会のボリュームが把握できたら、個別鑑賞の時間となります。
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今回の個別鑑賞はこれまでと少し違います。「メトロポリタン美術館展」で現在貸出し中の「どうぶつボード」を使って気になった作品をスケッチしたり、言葉をメモしたりしながら、楽しく鑑賞して行きます。

 

「メトロポリタン美術館展」は絵画だけではなく、彫刻やタペストリー、食器や写真まで、幅広い作品が展示されています。多種多様な素材と形状の作品を鑑賞するには、こうした自由に使える鑑賞アイテムが非常に効果的です。

 

こちら、児童の描いたエジプトの<猫の小像>のスケッチ。凄い上手です。奥は<聖餐用ハト>のスケッチ。手を動かして、形を確かめながら鑑賞することで、作品が持つ素材の魅力や、洗練された造形的美を、作者の視点をも顧みながら鑑賞することができます。

 

こちらはゴッホの<糸杉>です。本来縦構図の<糸杉>を横構図で自分なりに描いています。画面を構成する要素、この場合は「糸杉」、「雲」、「月」などの形や配置、または作品が醸し出している雰囲気を良く捉えています。描く時間は10分程度です。しかし、集中して一つの作品の前に10分立つというのは、美術の好きな大人でもあまりしないのではないでしょうか。
絵画には描かれている内容(図像)だけには留まらない魅力が潜んでいます。例えばじっくりみることで分かる絵の具の盛り上がりや輝き。さらには、形を辿ることでしか感じ取ることが難しい作者の筆運び(スピード・力強さ)から、<糸杉>を描いていたゴッホの心境までも感じとることができます。そうした奥深さを少しでも体験してもらうためには、気構えずに作品とコミュニケーションのとれる環境と、少しのアイディアやアイテムが大切なのだと改めて感じました。

 

個々人で「どうぶつボード」を使って鑑賞した後は、学芸員の河野さんやとびラー候補生(以下:とびコー)がファシリテータとなってグループで鑑賞して行きます。VTS(ビジュアル・シンキング・ストラテジー)の手法を用いながら、一人ひとりが感じたことをグループて共有することで、個人の視点では見つけることのできなかった、気付きやより深い理解を得ることができます。

 

とびコーのみなさんは、これまでたくさんの時間をかけて培ってきたVTSのファシリテータのデビューの日となりました。さすが7ヶ月以上も何度となく基礎講座や実践講座を通じて知識や実践を積んで来たとびコーさんたちだけあって、最初のファシリテートとは思えない落ち着きとしっかりした進行でした。
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VTSが終わるとまた子供たちは一人で鑑賞する時間を少しとりました。お気に入りの作品は見つかったでしょうか。今日の体験を通して、「また美術館に来たいな」って思ってもらえれば、何よりです。
(とびらプロジェクトマネージャ 伊藤 達矢)

2012.11.26

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