第3回基礎講座 「きく力」を身につける
日時 | 2020年5月9日(土)10:30~14:30
場所 | zoom(オンライン)
講師 | 西村佳哲(とびらプロジェクトアドバイザー/リビングワールド代表)、稲庭彩和子(東京都美術館 学芸員)
第3回基礎講座は、アート・コミュニケータの活動の核となる「きく力」について考えました。講座は、前半はレクチャー、後半は参加型のワークを軸として進行されました。
【Wellbingときく力】
講座の前半では、西村さんと稲庭さんが対話をする形でレクチャーが行われました。
とびらプロジェクトの活動の中でキーワードとなる「Wellbeing/ウェルビーイング」(※1)の考え方を切り口に、相手のWellbeingな状態を作ることができる「きく力」とは何か。相手の「being」(在り方、存在)にまで深く潜って話をきき、その人の感覚や新しい考えを引き出す「きく力」とはどのようなものかについて、西村さんと稲庭さんの意見が交わされました。
(※1)「Well=良い」と「Being=状態、あり方」が組み合わされた概念で、日本語では「幸福」と訳される。
【「ひとの話をきく」を体験する】
講座の後半では、とびラー同士がペアになって「きく」ことを体験するワークを行い、相手に関心をもって「きく」ことを体験しました。
相手の話の根底には、その人がどのように生きてきたか・存在してきたかという「being」があり、話し手も気づかなかった「being」を共に見つけることが「きく」ことで可能になるそうです。「人の話をきくことは、相手がより自分を表現できる時間を一緒につくること」と、西村さんが説明し、とびラーはオンライン上でペアになって、お互いの話をきき合いました。
講座後、とびラーからは次のような振り返りの言葉が聞かれました。少し紹介します。
「自分の考えがまとまらない時、人と対話をすることで自分が何をしたいのか、どうやりたかったのかが見えてくることがありますが、それは聞いてくれる人の力だったのだと気がつきました」
「アート・コミュニケータとして活動する上で、表面上の行動だけでなく、そのひとが ”どのようによくありたいか” に目を向けて振る舞うことが大事だと感じた」
お互いが相手の言葉をきき合い、お互いが感じていることを言葉にしやすくなる関係の人が集まれば、新しいアイデアが生まれやすくなります。
オンラインでは特に、相手の「感覚」の部分をとらえるのが難しくなっています。まだしばらくはオンラインでの活動も続きそうですが、とびラーがきく力を身につけ、「とびラボ」の活動や普段のゆるやかな繋がりの中で、それぞれの存在を肯定する場を作れていけたら素敵だなと感じました。
(とびらプロジェクト・スタッフ)
2020.05.09