東京都美術館× 東京藝術大学 「とびらプロジェクト」

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鑑賞実践講座⑤|「作品選びのグループワーク」

第5回鑑賞実践講座
「作品選びのグループワーク」
日時|2020年10月12日(月)13:00-17:00
場所|zoom(オンライン)
講師|三ツ木紀英(NPO法人 芸術資源開発機構/ARDA)

 


 

10月12日、第5回鑑賞実践講座を行いました。講師は引き続き、三ツ木紀英さん(NPO法人 芸術資源開発機構/ARDA)です。第5回では、どんな鑑賞者と、どんな作品を鑑賞するかを考える「作品選びのグループワーク」を行いました。

 

 

 

今回の「作品選びのグループワーク」では、主に以下の3つの内容を軸に講座が進行されました。事前課題として、前回学んだ「作品研究」をとびラーが各自で行い、Jamboard(オンライン上で模造紙とポストイットの様に使えるGoogleのアプリ)に記入して提出し、第5回の講座に臨みました。

 

■ 「ひとりVTS」(個人で行う作品研究)で作品の魅力を掴む

■ アビゲイル・ハウゼン(認知心理学者)の「美的発達段階」について

■ 作品選びのポイントと、作品シークエンス(鑑賞する順番)の作りかた

 

 

 

■ 「ひとりVTS」(個人で行う作品研究)で作品の魅力を掴む

鑑賞者と作品をみる前の事前のファシリテーションとして重要なのが、「ひとりVTS」と呼ばれる作品研究です。ここで言う作品研究とは、作家や作品について情報を調べる方法ではありません。前回学んだ作品研究の方法を個人で行うことを「ひとりVTS」と言います。今回は、ひとりで作品研究をする際に大事なこと、また、研究の中で作品の魅力を掴むことについて、とびラーが事前に行った「ひとりVTS」のJamboardをいくつか参照しながら考えていきました。

 

<とびラーの「ひとりVTS」から見えてきたこと>

・自分だけでなく他者の視点を想像すると、視点の幅が広がる。子どもだったら?など異なる年齢や立場の人の視点になって見る。
・作品に描かれている「モチーフ」や「ストーリー」について語る人もいるし、構図について語る人もいる。
・作家の意図ついて語る人もいる。
・描かれ方や技法にも目がいく。
・意見を「分類する」ことによって着眼点が明確になる。また、作品の魅力がより詳細に見えてくる。

 

三ツ木さんからは「ひとりVTS」の意義についてお話がありました。

「みなさんのひとりVTSを見ていると、作品の『構造』(作品の作られ方)が見えてきます。鑑賞者それぞれの解釈は、作品の中に描かれているもの『要素』から導き出されています。作品をあらゆる視点で時間をかけて見て分析することで、作品の構造と魅力を掴んでおくことが事前の準備として重要です」

 

 

 

■ アビゲイル・ハウゼン(認知心理学者)の「美的発達段階」について

本日のメインテーマである「作品選び」のレクチャーの前に、その背景となる「美的発達段階」の考え方について、三ツ木さんのレクチャーがありました。

1970年代にVisual Thinking Strategiesの開発チームに加わっていたアビゲイル・ハウゼン(認知心理学者)が行った臨床的な研究により、人が美的に発達していく段階が5段階に分類されたそうです。Visual Thinking Strategiesは、この「美的発達段階」の第1段階、第2段階の鑑賞者を対象にしているとのこと。Visual Thinking Strategiesでは、鑑賞者が、もともと自分に備わっている力を使って見ることができる作品を選ぶことが重要だということです。

 

■ 作品選びのポイントと、作品シークエンス(鑑賞する順番)の作りかた

ここまでの流れを踏まえ、作品選びのグループワークを行いました。オンラインでグループワークを行うためにGoogleスプレッドシート(オンラインで共同編集ができるExcelの様な表計算アプリ)を使用して、各グループで作品を選びました。

三ツ木さんからは、作品選びのポイントして、鑑賞者の「美的発達段階」と特性を考慮し、鑑賞者がもともと自分に備わっている力を発揮しやすい作品の基準についてレクチャーがありました。

また、複数の作品を順番に鑑賞することで、より深い鑑賞体験に導くための作品シークエンス(鑑賞する順番)についてもレクチャーがあり、とびラーは1作品目、2作品目の鑑賞作品の流れについても考えました。

 

       

 

 


 

Visual Thinking Strategiesのファシリテーションは、事前の準備段階から始まっています。どんな鑑賞者と、どんな作品を、どんな順番で鑑賞するのか。それを考える時間は、ファシリテータにとっても楽しいひと時です。とびラーがファシリテータとして、客観的なポイントを押さえながら、様々な鑑賞者と鑑賞の場を作っていくことを期待しています。

 

 

(とびらプロジェクト スタッフ)

2020.10.12

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