東京都美術館× 東京藝術大学 「とびらプロジェクト」

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建築実践講座⑥|「教えない授業から考える」共同構築的な学び

第6回建築実践講座|「教えない授業から考える」共同構築的な学び

日時|11月14日(土) 13:30〜15:30
場所|zoom(オンライン)
講師|山本崇雄(新渡戸文化学園中学 英語教諭)

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吹く風が冷たく身にしみるようになってきた11月14日の昼下がり。本年度6回目の建築実践講座が開催されました。今回は『「教えない授業」の始め方』の著者であり、現役の中学校の英語教諭である、山本崇雄先生をゲストにお迎えし、教える/教えられるという関係ではない「共同構築的な」学びについて考えました。


 

  • 講座の流れ

今回の講座では折り紙を用いた2つのワークがおこなわれました。はじめに取り組んだのは「今の自分を見つけるワーク」。手元の折り紙の色や形によって、アートコミュニケーターとして生かしたい自分の強みをカタチにしてみます。

もうひとつのワークへと移る前に、山本先生が取り組まれている「教えない授業」について、様々な事例を交えながらお話いただきました。そして満を持して取りかかった「なりたい自分を見つけるワーク」。これからアートコミュニケーターとしてどうありたいか、今度は目指したい自分を色や形で表現しました。そして最後に、山本先生と稲庭さんのディスカッションや質疑応答を通じ、自主的な学びについてさらに深く考えていきました。

 

  • 講座の様子

〇今の自分を見つけるワーク|オンラインツール「My Padlet」にアップロードされた参加者の折り紙をみていく山本先生。参加者は自分の作った折り紙を4人組のブレイクアウトルームで紹介し合います。その後、それぞれで折り紙の写真を撮影してMy Padletに投稿することで、参加者全体に共有されました。

 

 

〇BORで意見交換|「教えない授業」について、山本先生から共有いただいた記事。この記事を読んで疑問に思ったことがあれば、チャットに書き込んでいきます。それぞれの質問には、山本先生ご自身からお答えいただきました。

参考:東洋経済オンライン「子どもの主体性を高める「教えない授業」の今」

 


〇講義「教えない授業」の実際
|山本先生が所属する私立中学校の時間割。平日の7限目には、それぞれの生徒が興味関心に合わせて自由に学習できる「セルフペースドラーニング」が導入されています。

 

〇なりたい自分を見つけるワーク|折り紙で作った「なりたい自分」を紹介するとびラー。こちらの方は「緑に囲まれた上野公園で、角のとれた状態で様々な人とつながる姿」を切り絵で表現したそうです。

 

〇ディスカッション&質疑応答|日本の学校の現状と今後の展望について言葉を交わす山本先生と稲庭さん。

 

  • まとめ:とびらプロジェクトにおける「共同構築的な学び」とは?(500字)

 

山本先生は、教える/教えられるという今までの授業の在り方を否定しているわけではありません。そうではなく、現代の状況に即して「教えない」という「選択肢を増やす」ことで、明治維新からの形式を保ったままの教育機関と急速に変化していくリアルな社会との間にある大きな隔たりを埋めていきたいのだと言います。

ここで今年度最初の建築実践講座をふりかえってみます。はじまりのガイダンスで伊藤達矢さん(東京藝術大学)は、講座全体の重要なテーマとして「自分の感覚を手がかりに建築を味わう」ことを掲げました。ただ都美の建築に関する知識を学ぶだけでなく、それぞれが自ら建築を楽しむ目をもち、その場にいる人同士で建築の魅力を共有していけるように。この目標は、教える/教えられるという知識提供型の教育から誰かに依存することのない双方向的な対話を目指す山本先生のお話やワークに少なからず通じるものがあるのではないでしょうか。

次回の講座では、外部向けのプログラムとしての提供を視野に入れたうえで、こども向けの建築プログラムメイキングに取り組みます。今回の講座で新たに出会った共同構築的な学びの在り方が、次回のグループワークにどう活かされていくのか。それぞれのとびラーの思考のプロセスやワークへの取り組み方に注目していきたいと思います。

 

(東京都美術館 インターン 久光真央)

 

2020.11.14

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