第7回建築実践講座「こども向け建築ツアーメイキング」
日時 |2020年12月12日(土) 13:00~15:30
会場 |東京藝術大学 中央棟 第三講義室、zoom(オンライン)
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12月12日のお昼過ぎ、第7回目となる建築実践講座が開催されました。実践講座の参加者がオンライン以外の場に集合できたのは本年度初!しっかりと感染症対策を行いながら、これまでの実践講座や建築プログラムでの学びの集大成ともいえる建築ツアーメイキングに取り組みました。
講座の流れ
今回は、「参加したひとが“自分の力で建築を見る”ことができるようになる」ことを目指す、子ども向け建築ツアーをつくるワークを行いました。前半は、東京藝術大学の会場に集まった9グループとオンライン参加の1グループに分かれ、企画を考えます。まずはそれぞれで付箋にアイデアを書き出し、それからグループごとにメンバー同士でアイデアを共有しながら話し合うことで、段階的に企画を組み立てていきます。後半は、ほかのグループの企画に目を通し、それぞれの意見を交換し合いました。ここでのレスポンスを踏まえながら、グループごとに企画をあらためて見直し、プランを調整しました。
講座の様子
〇ひとりでアイデアを出す時間|まずは付箋にアイデアを出します。水色の付箋に建築ツアーの「テーマ」、ピンク色の付箋にツアーで「伝えたいこと」、そして黄色の付箋に「自分の強み」が書かれています。
〇企画書①「ツアープランを考える」|グループでそれぞれの付箋を出し合い、ツアーのテーマを設定します。そして、ツアーをどのような体験にできるのか考えながら、具体的なプランを練っていきます。
〇検証:全員で見合う|ひとつのグループにつき一人のとびラーがテーブルにとどまり、他のチームのとびラーたちに自分のチームが組み立てたプログラムをご紹介。テーブルに立ち寄ったとびラーは、そこから気づいたことを黄色の付箋に書き込み、その企画へのレスポンスとして付箋をテーブルに置いていきます。
〇企画書②「ツアープランを磨く」|グループごとに再集合。ほかのグループの企画やもらったコメントを踏まえ、ツアープランの内容をさらに磨き上げていきます。
〇発表:企画書を見合う|最後に、それぞれで各チームの企画書を見合います。ここでも黄色い付箋を用いてコメントを書き込みます。
まとめ:リアルでもオンラインでも!ともに学び合える場を目指して
今回とくに印象に残ったのは、会場の人々がオンライン参加のメンバーとも積極的に交流できるよう工夫を凝らしていた点です。本日の講座は、受講者とスタッフが同じ場所に集まることのできる貴重な機会でしたが、ブログ執筆者は都合によりオンラインで参加しました。「今回は一方的に会場の様子を観察することになるのかな」。そんなふうに思っていたのですが、建築実践講座の運営スタッフ、そして会場のとびラーたちがリモートの参加者のことも気にかけてくれたおかげで、オンラインでの参加者同士、さらには会場にいる人ともコミュニケーションを取りながら建築ツアーのメイキングに取り組むことができました。
〇オンライン参加者によるツアーメイキングの様子|とびラー3名とインターン1名で、GoogleのJamboardやスプレッドシートのようなツールを使いながら、建築ツアーのプランを組み立てていきました。
グループの企画を見合う時間には、会場にいるとびらプロジェクトアシスタントの原さんが配信用スマートフォンのレンズ越しに、それぞれの企画書や紹介の様子を見つめることができました。「このグループの企画は……」「こういう紙を使って、みんなで模型を作ったり……」会場の参加者たちは、身振り手振りを交えながら他のグループのメンバーに企画の内容を伝えています。話し手にイヤホンのマイクを近づけると、多くの方がレンズに目線を合わせながら企画をご説明くださいました。さらに、会場の参加者のなかには、オンライン参加者の作った企画書が映し出された画面を熱心に見つめてくださった方もいたそうです。
わたしは会場である東京藝術大学の第三講義室に行けませんでしたが、その場のメンバーがオンライン参加者の存在を意識しながらワークを進めてくれたおかげで、自分もその場の一員なのだと認識できました。オンラインでもリアルでも、ともに学び合えるように。今年度のとびらプロジェクトでのオンラインツールを活用した取り組みの数々が、このような共通認識に支えられた「場」としても実を結びつつあるのではないか?そのように感じることのできた回でした。
(東京都美術館 インターン 久光真央)
2020.12.12