本年度の建築実践講座がスタートしました。
第1回目の今回は、建築講座の概要とながれを共有し、年間のイメージをつくっていきます。
本題のガイダンスに入る前にまずは「けんちく体操」でアイスブレイク。
この「けんちく体操」とは、建築物の形を自分の身体をつかってマネをするというものです。
身体を動かしながら建築を学べるワークショップとして、「チームけんちく体操」によって、国内や海外のさまざまな場所でも開催されており、こどもでも大人でも気軽に楽しむことができます。
まずは自分一人で「東京スカイツリー」になりきります。
単純な形のようで、足の組み方や手の上げ方がそれぞれ異なり、どこに着目していたかが個性豊かに現れます。
次は2人1組でフランスはパリ「凱旋門」。
これも一見シンプルな形ですが、アクロバティックな表現にチャレンジするチームもありました。
次も同じくパリにある「ポンピドゥー・センター」。こちらは3人組で行います。
現在東京都美術館にて「ポンピドゥー・センター傑作展」が開催されていることもあり、ギザギザと折れ曲がったエスカレータや特徴的な外観を3人で力を合わせて表現します。
最後は一気に人数を増やし、8人組でここ東京都美術館に挑戦します。
空撮画像をみると、いくつもの箱がひとつの広場を囲むように配置された様子がよくわかります。
ずつずれて並ぶ棟や、エントランスのシンボルの丸い銀色の彫刻になりきったりと、細かなこだわりが各チームの特徴となって現れています。
体で表現するためには、まずはよく建物を見ることをしなくてはなりません。
その建物の特徴や建築家の工夫が、使う人にどう影響を与えているのか。
建築実践講座では、建築と人々との関わりに視野を広げていきながら、建築を通して生まれるコミュニケーションについて考え深めていくことを目標としています。
ガイダンスでは、講座の目標を共有し、年間のながれを確認しました。
各回の講座や前後期のグループで取り組む活動を通して、様々な実践の場を1年通して経験していきます。
続いて、東京都美術館学芸員の河野さんより、東京都美術館の歴史や建築についてのレクチャーです。
1926年に東京府美術館として開館し、1975年に建築家・前川國男が設計した今の茶色い外観印象的な姿となった東京都美術館。
その後35年が経ち、2012年に大規模な改修を経てリニューアルオープンしました。デザインや設計のこだわりはそのままに、使う人を考え時代に合わせた改修が施されています。
まずはこの前川國男が設計した東京都美術館への関心を軸に、建築の魅力や人々との関わりに視野を広げていきます。
講座の後半は、前期のグループワークのキックオフ。
グループのメンバーで顔合わせを行い、半年の計画を立てました。他館に見学に出かけたり、グループで建築ツアーに取り組むなど、建築を通して生まれるコミュニケーションの場づくりについてチームで学び合い、一緒に考えていきます。
講座終了後には早速館内のみどこをめぐり、これからの活動のヒントを見つけているようでした。
この講座のワークからどんな活動や発見が生まれていくのでしょうか。
半年後のグループワークの成果発表に期待しています。
(東京藝術大学美術学部特任助手 大谷郁)
2016.07.02