東京都美術館× 東京藝術大学 「とびらプロジェクト」

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ベビーと一緒にミュージアム「木々との対話」展編  

「ベビーと一緒にミュージアム」とは・・・
「赤ちゃんと暮らすご家族に、美術館でゆったりした時間を過ごしてほしい」という気持ちから生まれたとびラボです。

このブログでは、先日実施した「木々との対話」展での「ベビーカーツアー」の様子をお伝えします。

 

「ベビーと一緒にミュージアム」を一緒に作っている仲間には、
お母さん経験者もいれば、ブログ筆者の私のように赤ちゃんと暮らしたことのない人もいます。女性も男性もいます。そんな色々な人たちが集まって、この日を迎えました。

 

当日は、大雨。
赤ちゃんとお出かけは結構難しいかな、という天候でした。
そんな中、参加者の皆さんが美術館にやってきてくれる姿を見て、
嬉しい気持ちと、大変だったんだろうなと申し訳ない気持ちとで胸がいっぱいになりました。

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もちろん欠席の連絡もありました。
仲間のとびラーが「来てくれたお母さんの選択も、来ないことを選んだお母さんの選択も、尊重したい」と言っていました。

 

ベビーカーで、雨の中移動したり、電車の乗り降りをすることは大変。
でも、申し込んでくれた皆さんの中には、
「美術館行きたい!」という気持ちもあったはず。

 

朝の空模様を見て、悩んで、
「行く!」と決めてくれたことも、「今日はやっぱりやめる!」と決めてくれたことも
どちらも、すごく大事なことで、どちらも尊重したいです。

 

さて、当日の様子に戻ります。

 

美術館入口でお母さんたちを迎えました。

 

目印は、このバッグです。
とびラボで何か目印を作るときは、缶バッヂを使うことが多いのですが、今回は赤ちゃんも一緒のプログラム、ということで「赤ちゃんを傷つけない」ことが大事。そんなわけでバッグを使っています。

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支度を済ませて展示室へ。

 

今回は、2組の親子と、とびラー2名以上が一緒に回る形でグループを組みました。
とびラーは、ベビーカーを押したり、作品のことをお話ししたりします。

 

生き物の目が印象的な土屋さんの作品。
赤ちゃんも、お母さんと一緒に見ています。

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大きい作品の前では、「赤ちゃんが背中に乗ったら、どこかに連れてってくれそう…!」とみんなで想像。

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佐藤慶太郎記念アートラウンジでも作品を鑑賞しました。
ここには、ゆったりしたソファとテーブルがあり、飲み物を飲むことができます。
「ちょっと座りたいけどカフェは混んでいる、という時に使えるかも」という話も。_mg_4898

 

雨の中でしたが、せっかくだし!ということで屋外の作品も鑑賞しに行きました。
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途中、赤ちゃんが泣いたり、おむつ替えをしたりして、鑑賞は一回中断!という場面もありましたが、 お母さんたちは概ねゆったり展覧会を満喫されたご様子。
プログラムを終えた後には
「子どもを産んでから足が遠のいていた美術館に、こういう機会に、子どもと一緒に来られて嬉しかった」
「普段、新しい人に出会う機会が少ないから嬉しかった」
など、嬉しい感想もいただきました。

 

全体を振り返ると、よかった点も改善点もたくさん見つかりましたが、
とにかく、お母さんと赤ちゃんと、美術を通じて一緒の時間を過ごせたことがとても嬉しかったのでした。

 

 

 

最後に私の話をさせてください。

私は、赤ちゃんと暮らした経験がありません。
これから子どもを産むかも分からないけれど、いつか赤ちゃんとの暮らしが身近なものになった時、私の好きなものを赤ちゃんと一緒に楽しめたらいいなと思っています。

 

1人で美術館や映画館に行くことも、できるのならば続けたい。
でも、赤ちゃんは1人でお留守番はできないし、突然泣いたりもする。

 

赤ちゃんと一緒にいることで誰かの迷惑になってないかな、自分たちはここに居てもいいのかな、そんなことを考えながら毎日外に出かけることになるとしたら、それは辛いな…と想像します。

 

その時に、このとびラボでの経験が、私自身の支えになればいいなあと思っています。

 

そういう私も、美術館で赤ちゃんが泣いていたら、悪意はなくともちらっと見てしまうことがあるし、お母さんは、それを厳しい視線と感じているかもしれません。

 

これからは、せめて笑顔でチラ見しよう、と意味のないようなことを考えたりしながら、
これからも、赤ちゃんと一緒の暮らしを想像し続けます。

 

今年度中に、もう一回、「ベビーと一緒にミュージアム」の企画を立てることも模索中です。

 


文:藤田琳
とびラー3年目。任期終了を控え、来年度からはどんなことをしようかと考えている毎日です。

2016.09.22

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