東京都美術館× 東京藝術大学 「とびらプロジェクト」

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【活動報告】「おしゃべり花さんぽ」で“アートへの入口”を考えた!

 

「とにかく作品を鑑賞して対話したい!」という思いから始まった、かけだしの作品鑑賞企画「おしゃべり花さんぽ」。鑑賞した「第85回 池坊東京連合支部 いけばな池坊展」は、いけばなの固定概念を覆すような(少なくともいけばな鑑賞のビギナーにとっては!)バラエティに富んだ作品も数多く出展されており、参加とびラーたちは興津々!で展覧会をめぐりました。

今回はとびラーだけでの試験的な実施となりましたが、鑑賞の視点を共有するためのアイデアをたくさん交わし、どんなプログラムが「アートへの入口」となりうるのかをあらためて考える有意義なトライアルとなりました。

 

このプログラムを企画していた当初は、ちょうど「ブリューゲル展」の期間中でもあり、展覧会には多くの花を題材にした作品があったことから、花を鑑賞のテーマに考えました。さらに「限られた時間の中でどの作品にフォーカスするか?」「より多くの人たちに関心を持ってもらえるには?」などと議論するうち、絵画に描かれた花ではなく、同時期に開催される公募展「第85回 池坊東京連合支部 いけばな池坊展」で活けられた、本物の花を扱う作品を鑑賞してみよう!ということに。

 

正直なところ「いけばな」は、とびラーたちにとっても馴染みの薄いものです。しかし「いけばなへの入口」をどう楽しむかは、まさに「アートへの入口」を広げる私たちとびラーに与えられたチャレンジでもありました。

いけばなという作品について、それぞれが感じた鑑賞の体験を共有するために、あれやこれやの議論の末、今回のプログラムでは2つの方法をトライしてみることに。

(1)参加者それぞれの印象に残ったいけばなの作品を、感想や見どころ伝えるためにイラストに描く

(2)もともとタイトルのない作品に、自分なりのタイトルをつける。それを和紙に筆で書く!

こうして、いけばな作品の魅力を共有し、話し合うことにしました。

 

いけばな池坊展には多くの人が出品するため、会場がとても混み合います。つまり「おしゃべり花さんぽ」の参加者たちが、作品の前を占拠しておしゃべりしながら作品を見るのは望ましくない状況です。しかし、気に入った作品をただ単に写真に撮って見せ合うだけでは楽しくない。そこで(1)(2)のような工夫が生まれました。

こうした工夫を通して各参加とびラーから紹介されたのは、枝ぶりやフォルム、花材のユニークさ、細部への気づき、作品の世界観、そこから連想される物語など、実にさまざまな視点でした。

同じいけばな展を見ても、ピックアップする作品も違えば、目の付け所もまったく違う。いけばなについて特別な知識はなくても自由に作品を味わい、感想や発見を交換し共有できる楽しみ!──そんなことを肌で感じることができました。

今回のプログラムはとびラー内部での実験的な実施となりましたが、美術や美術館に馴染みのない人たちとも、きっと楽しい交流ができるはず。とびらプロジェクトではこれからも、たくさんの「アートへの入口」を作る工夫を発信していきます。(機会があれば、ぜひ参加して体験してみてくださいね!)


 

執筆:北田郭時(アート・コミュニケータ「とびラー」)

作品を見ながら「あーでもない、こーでもない」と話している人たちを見ているのが好きでとびラーに。

普段は人見知りだけど、役割を見つけると元気になります(笑)

 

 

 

執筆:濱野かほる(アート・コミュニケータ「とびラー」)

美術館と来館者を楽しくおもしろくつなぐ架け橋になりたい!と作品鑑賞のプログラムを中心に活動中の3年目。来館者の笑顔を目指して様々なコミュニケーションを模索しています。アウトドアと動物大好きとびラー。

2018.03.24

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