上野公園の桜の蕾がほころび始めた3月19日。「ボッティチェリ・鑑賞・香り~聞こえない方と聞こえる方のサイレントコミュニケーション~」のワークショップが開催されました。耳の聞こえない方と聞こえる方が、美術館において、手話通訳を介した交流だけではなく、お互いの感覚を活かしながら・・・鑑賞を共有する、新しいアプローチの提案、コミュニケーションの可能性を広げる様な“体感の場”を目指しました。
◆ようこそ!東京都美術館へ
◆アイスブレイク
自己紹介の後に、アイスブレイク(初対面同士の緊張をときほぐすウォーミングアップ)!
ボッティチェリに関してのキーワードでジェスチャー当てゲーム(手を上げてヒラヒラする動作は聴覚障害者の方の「拍手」の意。いつの間にか、みなさん取り入れてらっしゃいますね)
◆展示室へ
グループごとに、実際に展示室に作品を観に行きます
◆作品鑑賞
展示室に入り、耳の聞こえない人と聞こえる人が一緒に、一つの絵を観て感じた事などを自由にボードを使いながら言葉にしていきます。
◆香り選び
作品から受けたイメージを14種類の香り(お香)の中から、選びます。
【参加者の声】
○絵が立体アートになって良かったです。脳内環境が100%満たされる?!
○香りを使ったコミュニケーションは、初めてだったので緊張もあり、少し疲れました。いかに日頃無神経だったかを実感します。
◆サイレントコミュニケーション
見た絵について、どのあたりからどのような香りや印象を感じたかを記入していきます。この際、耳の聞こえる人は発話せず、
耳の聞こえない人は手話を使わずに実施しました。
【参加者の声】
○最初は難しかったけど、だんだん話が分かると、楽しくなりました。
○戸惑いと迷いと工夫、創造の間で揺れつつコミュニケーションを考えるから、伝えていこうとするプロセスが何故かとても楽しい
◆グループごとの発表
参加者:聞こえない方9名 聞こえる方7名 計16名
◆おわりに・・・
耳の聞こえない方と聞こえる方、一人一人の違いや共通するものをアートを介して探っていくという時間でした。今回、鑑賞を深めるコミュニケーションツールとして「香り(お香)」を取り上げました。この「香り」や「サイレントコミュニケーション(手話や音声日本語を使わない)」は、とびラー達が試行錯誤しながら、独自に辿り着いた手法です。
芸術作品(アート)とは、無限の可能性を秘めていると思います。
その場で出会った人々と「香り」を通して、新たな価値を創造していくというプロセス。
その場でしか生まれない科学反応を、今後もカタチを変えながらデザインしていければと思います。
ご参加頂いたみなさま、柔らかい香りで包まれた空間をありがとうございました。
2016.03.19