2018.03.04
2018年3月4日 午前、午後の2回に分けて「女子美さんぽ」を開催しました。
「女子美さんぽ」とは、東京都美術館公募棟で行われる女子美術大学 大学院・大学・短期大学部から選抜された学生の作品展、付属高校卒業制作展と卒業生の特別展示を合わせた展覧会「JOSHIBISION 2017 ”アタシの明日”」において、当日来館された参加者の方ととびラー(アート・コミュニケータ)が小さなグループとなって、会場内をまるで散歩をするようにゆるやかに回りながら一緒に作品を鑑賞し、また作者である学生さんたちと対話を楽しむというプログラムです。
とびらプロジェクトで「女子美さんぽ」を行うのは、今年で4回目となります。
まずは参加者の受付から。今回は午前、午後の部ともに3つのグループで構成しました。各グループに参加者2~3名、とびラー2名の構成です。
参加は当日受付。その日に来館された方から希望を募り、ご案内しました。友人同士のグループやご家族、お1人での参加など、みなさんいらっしゃった経緯は様々です。
グループが決まると、進行役のとびラーが自己紹介とあわせてアイスブレイクとなるおしゃべりタイムを設け、これからはじまる展示室でのさんぽ気分を盛りあげます。
さあ、いよいよ展示室へ。ここから「さんぽ」のスタートです。
VR(バーチャルリアリティー)を駆使し、体験型の作品を制作した学生も。実際に参加者の方にもトライしていただきました。
中に入って楽しむ作品。交代ですっぽりと入っていただきました。
作品を鑑賞しながら、参加者ととびラーみんなで感じたことを語り合い、それぞれの思いを共有します。
同じ作品でも、見る人それぞれに違った見方があることに気づくことで、新たな興味が湧いてきます。
そして、これぞ「さんぽ」の醍醐味!作者である学生さんと直接対話をしながらの鑑賞タイム。作品に対する想いやコンセプトを聞いたり、直接質問を投げかけたりと、作品を介してコミュニケーションが生まれ、作品への理解がぐっと深まります。
作者の学生さんたち。清々しい表情から作品への情熱が伝わってきます。
展示室でのさんぽのあとは、参加者の方に、作品を鑑賞しながら交流した作者の方々に向けて、応援のメッセージカードを書いていただきました。
メッセージの一部を紹介させていただきます。
また、今回の「女子美さんぽ」のプログラムについては
☆何といっても作者本人と話せるのが良かった。
☆学生のエネルギーを肌で感じ、感銘を受けました。
✩作品をじっくりと鑑賞できて良いですね。
☆作品を見ながら対話をするのは初めてでした。新しい鑑賞の仕方を知りました。
☆作者の説明を聞いて、作品への興味が湧きました。また、質問をすることで、更に作品に引き込まれました。
といった、うれしい感想をいただきました。
美術館というフラットな場を通して、見に来てくださった来館者の方々と作品、そして作者をつなぐことで、和やかな雰囲気のなかに新しいコミュニケーションが生まれたことは、私たちアート・コミュニケータとして、その役割を果たせたものと実感でき、充実したプログラムとなりました。
来年もまた「女子美さんぽ」で、多くの方々と笑顔あふれる楽しい出会いができますように。
ご参加、お待ちしております!
執筆:黒佐かおり(アート・コミュニケータ「とびラー」)
対話型鑑賞に触れたことがきっかけで、とびラーになり丸1年が過ぎました。講座で学んだことを、スクールプログラムなどで実践する毎に、対話型鑑賞の奥深い魅力に引き込まれています。旅を愛する牡牛座B型。
2018.02.18
今年度のアクセス実践講座は、2月18日が最終回となりました。3つのラウンドにわけて、一年間を振りかえります。講座や関連する実践の場で考えたこと気づいたこと、その場や直後の振りかえりだけでなく、講座の目的やご自身の目的に立ち返って、学びや実践の意味を再度丁寧に振りかえっていくための時間となりました。
第1ラウンド:講座に関する振りかえり
講座の目的を確認し、講座がどのような構造になっていたのか、各回の内容をおさらいしながら、振りかえります。
事前課題としていた、振りかえりシートにもぎっしりと記入があります。
グループディスカッションでは、事前課題の中にあった「今年度の講座で印象に残ったキーワード、内容」について3人組で共有しました。
第2ラウンド:講座に関係する実践の振りかえり
とびラボからは、「アート筆談deコミュニケーション」、キッズデーで実施された「とびとびスペシャル ボストン美術館」に関わったとびラーから発表を行ってもらいました。
発表では、私たちは「どんな社会的課題に気づいたのか」、「どんな人が美術館に行くのが難しいのか」、「なぜその実践を行なったのか/参加したのか」、「実践から得られた可能性と課題」といったトピックについても、取り上げられました。
講座の目的とも重なる取り組みである、Museum Start あいうえの「ミュージアム・トリップ」、「あいうえのアンバサダー」(「子どもをミュージアムに連れて行きたいけれど、なかなか機会がない」という方を対象に、とびラーがミュージアム・デビューを応援するプログラム)についても、実践に取り組んだスタッフととびラーから発表がありました。
第3ラウンド:今年度の講座・実践をうけ、これからトライしたいこと
第1、2ラウンドをうけ、今年度の講座・実践をうけて、これから自分がトライしたいことを考えてもらいました。まずは、個人で考える時間を取り、その後は、マグネットテーブルという手法を使って、「似たことを書いている人」、「一緒になると化学反応を起こせそうな人」、「自分の書いたものを捨ててもいいと思える案の人」を見つけて、5〜6人のチームを組んでもらいます。
チームができたところから、(1)自分のアイディアとチームの人のアイディア、どこが似ていると思ったのか、(2)なぜ化学反応が起こせそうなアイディアなのか?どんなことが実現できそうなのか?、(3)なぜ自分のアイディアを捨てても良いと思ったのか?、といったテーマでグループディスカッションを進めてもらいました。
グループディスカッションの後は、全体での共有を行いました。「アクセス」といっても、イメージする「対象」や「課題」、アプローチする「手法」にもバリエーションがあります。
今年度のアクセス実践講座は終了しましたが、実践に向けたスタートでもあります。「美術館に行くことが難しい人が、来館し、利用するために、どのような支援が必要なのか」、マグネットテーブルで話し合ったとびラーのアイディアが実を結び、届けたい方たちのもとに届くことを願っています。
(東京藝術大学美術学部 特任研究員 菅井薫)
2018.02.13
2018年2月13日(火)のこの日、今年度最後の「スペシャル・マンデー・コース(学校向けプログラム)」が行われました。
「スペシャル・マンデー・コース」とは、休室日(月曜日)に学校のために特別に開室し、ゆったりとした環境の中でこどもたちが本物の作品と出会い、アート・コミュニケータ(愛称:とびラー)と共に対話をしながら鑑賞する特別なプログラムです。
参加したのは、全部で3校。保育園の年長のみなさんと足立区と江戸川区の2つの小学校からやってきた3年生のみなさんです。
江戸川区立南小岩第二小学校3年の様子はこちら→
足立区立東加平小学校3年の様子はこちら→
深川一丁目保育園の様子はこちら→
(「Museum Start あいうえの」ブログに移動します。)
2018.02.03
平成30年2月3日に開催した「とびらプロジェクト」フォーラムは終了しました。ご来場頂いたみなさま、ありがとうございました。
フォーラム当日の記録映像が出来上がりましたので公開します。是非ご覧ください。
第7期とびラー 応募受付は、2月13日(火)消印有効です。
とびらプロジェクトフォーラム「アート・コミュニケータ奮闘記ーうまくいったり、いかなかったり」
詳細はこちら
1. とびらプロジェクトとは?…大谷郁
2. アート・コミュニケータが語る自分のはたらき
…(語り手)工藤阿貴・亀山麻里/山木薫・山﨑奈々/太田代輔・小田澤直人・近藤乃梨子/
小野寺伸二・小松一世
…(聞き手)西村佳哲・稲庭彩和子
3. パネルディスカッション「うまくいったり、いかなかったり」を支える人のつながりとは?
…日比野克彦・西村佳哲・森司・稲庭彩和子・伊藤達矢
4. オープン・スペースカフェ
2018.02.03
2018年2月3日土曜日、東京藝術大学卒業・修了作品展において、「なりきりアーティスト」を開催しました。
「なりきりアーティスト」とは、藝大生が制作した作品をワークショップ参加者が作ったと想定して、参加者の皆さんに作者になりきってコンセプトや作品タイトルなどを語ってもらうワークショップです。例年につづき今回で3回目の開催となり、6名の様々な”なりきりアーティスト”さんに参加していただきました。
開催日である2月3日は節分の日、明日は立春という天気の良い春めく日でした。そして第66回目にあたる東京藝術大学卒業・修了作品展の最終日。東京都美術館や大学構内は学生の集大成である作品を観に来る人々で大賑わい、そしてエネルギー溢れる作品たちを感動した面持ちで鑑賞していました。
そんな中、応募してくださった皆さんを大学美術館前にて待つとびラー。
ポカポカ暖かくて、これから楽しいワークショップが始まるワクワク感が増します。さて、今年の「なりきりアーティスト」はちょっとした「仕掛け」をご用意しました。受付にてグループ分けされた参加者の方々に、なりきっていただくための小道具をお配りしています。ベレー帽やアーティスト風メガネなど、お好きなアイテムを選んで身に付けていただきました。みなさん、喜んで身につけるあたりにさすがのやる気を感じます。「なりきろう!」と応募されてきただけあって、楽しもうという姿勢が圧巻です。
みなさん集合されたところで、これからのワークショップの流れを説明。
今回は、1グループ3名の参加者に対して、3名のとびラーが付き添います。
2つのグループに分かれて、それぞれ1つの作品を鑑賞します。その後、鑑賞した作品の作者に一人一人がなりきって語り、お互いの発表を聞きあいます。
はじめに2グループに分かれて自己紹介とアイスブレイクです。
もうこのあたりから、参加者の皆さんのわくわくした面持ちが伺えます。
グループごとに大学美術館の地下へ降りていきます。
まずはグループごとに、自分が作者に「なりきる」作品を鑑賞します。鑑賞のポイントは以下の3点に絞って考えます。
1. どうしてこの作品を作ったの?
2. みんなに見て欲しいポイントは?
3. もしあなたがタイトルをつけるとしたら?
上の3点が書かれた「ヒントシート」にメモをしながら鑑賞していきます。
こちらは「おさるチーム」の様子。
こちらは「ぶどうチーム」。
大きな絵画の前でじっくりと作品を鑑賞しています。
ゆっくりと鑑賞し終えたら「なりきり」発表です。まずは絵画作品の「ぶどうチーム」から。発表をしてもらう方には「なりきりマイク」と「なりきりタスキ」をかけていただきました。
みなさん堂々と自分が描いたのかのように作品について語ってくれました。
お話ししてくださったのは、こんなこと。
どれもこれも、とてもユニークな「なりきり」発想に、会場には笑いが絶えません。
他の参加者からの質疑応答はインタビュー形式で行います。活発に質問が飛び交い、その質問にも作者になりきって答えていただきました。
そこへ、その様子を見ていた本物の作者が登場!みなさんの想像の豊かさに驚き、頷き、真剣に見入っていらっしゃいました。そしてとても楽しかった様子です。
まずはみなさんのなりきりに関しての感想、そして”本当の”コンセプトや絵に対する想い、また、絵を描いている時に考えていることなどを語っていただき、その後みなさんからの質問にも丁寧に答えていただきました。
次に全員で「おさるチーム」の作品の場所へ移動します。こちらは立体の作品です。
複数体の猿をモチーフに作られたこちらの作品では、キャラクター同士の関係性を想像する人も多かった様子。みなさんがつけた作品のタイトルにも注目が集まりました。
・人間関係のストレスから退職した人が、そのエネルギーをものづくりへと変換した作品「どこ見てんだよ」
どの方も堂々とアーティストに「なりきって」、独自の視点と発想で、見て感じたことを語っていました。
こちらの作品でも、最後に本物の作者が登場。発表中は横の方で、自分の作品がどう語られるのか、興味津々で見守っていらっしゃいました。
こちらもみなさんの「なりきり」の感想から始まり、作品が語るストーリーや、制作過程での秘話、技法についてなど詳しくお話ししていただきました。
本物の作者のお話に、みなさん真剣に聞き入り、質問をしたりと、自分自身が作者に「なりきる」からこそ深く考えたやりとりが続きます。
最後に会場の外にて、グループごとにワークショップの感想を共有し、本物の作者の方々へ応援のメッセージを書いていただきました。
これにて「なりきりアーティスト」は終了。終始和やかに楽しく、和気藹々とした雰囲気でした。
今回参加してくれた藝大生の作家のお二人からのメッセージの一部抜粋をご紹介します。
じっくり作品と向き合った参加者みなさんの視点によって、作者の方も、また私たちとびラーも、いろいろな解釈に驚き、納得し、楽しめたことは言うまでもありません。とても素晴らしい「なりきりアーティスト」さん達でした。また、そんな参加者の言葉を真摯に受け止めていただいた藝大生のお二人にも感謝いたします。
美術作品を観るときに、「もし自分だったら、なぜこの作品を作るのだろう?もし自分が作ったとしたら、どこを一番観て欲しいのか」などと考えながら観ることは、その作品を深く鑑賞することに繋がるのではないかと思っています。また作者にとっても、卒業・修了制作にあたる作品で鑑賞者にそのように観てもらい、どんな風に感じてもらえるのかを知ることは希少な体験で、これからの作品制作や美術とともに歩んでいく過程のなかでプラスになることもあるのではないかな、と考えています。
そんなことを思いつつ、その日、その時初めて出会った方々と、作品を通して感じる心の違いを尊び楽しめたらいいなと思っています。とびラーにとっても、みなさんの素晴らしい感性に触れて寄り添わせていただけることは貴重な体験で、新たな価値の創造に繋がっていると思えるのです。
あなたもぜひ「なりきりアーティスト」の体験をしてみませんか?
そして、またいつか「なりきりアーティスト」でお会いしましょう。
ごきげんよう。
アートとコミュニケーションが大好きで、そこを繋げることに興味を抱きとびラーに。あっという間の2年が過ぎ、最後の3年目。人とコミュニケーションしながら鑑賞する、その深さを追求していきたい。そして世界に笑いを!
2018.02.02
2018年1月31日(水)、北区立稲田小学校の6年生19名が、Museum Start あいうえのの学校プログラムに参加し、「東京藝術大学卒業修了作品展」を鑑賞しました。
プログラムの様子はこちら→
(「Museum Start あいうえの」ブログに移動します。)
2018.02.02
藝大生の卒業・修了作品を展示する「東京藝術大学 卒業・修了作品展(通称:藝大卒展)」が2018年1/28(日)〜2/3(土)の期間で開催されました。それに合わせて、とびラーの「藝大さんぽ」というプログラムを会期中に4回開催しました。卒展をとびラーと一緒に「さんぽ」するこちらのプログラムは今年で5回目の開催です。藝大生の方々にもたくさんのご協力をいただき、今年は4日間で約42名の来場者の方にご参加いただきました。
ということで!これから今年の「さんぽ」の模様をお伝えしていきたいと思います!
今年の藝大卒展は、休日に会期が始まり、平日の開場期間が長いスケジュール。初日は日曜効果も加わって、会場は大いに混みあっていました。とびラーとしても、案内する作品のほとんどは卒展の初日が初対面。「さんぽ」の開催初日が一番の混雑を迎える日、というドキドキの展開から、少しずつツアーのアップデートを重ねていく四日間でした。
それではさんぽの様子を紹介しましょう!
まずは東京都美術館にて受付。参加者の方に藝大会場と都美会場のどちらをまわりたいか要望をうかがって、いくつかのコースに分かれて出発しました。
始めに自己紹介など、ちょっぴりおしゃべりをしながら、参加メンバーが揃うのを待ちます。
メンバーが揃ったらいざ会場へ。各コースは約一時間程度で、とびラーが選んだ3つの作品を中心にまわります。作品をまわりながら、とびラーと話したり、じっくり作品を見たり、藝大生と話したり、なかなか話せなかったり(笑)。
なにせ学生にとっては慌ただしい卒展の期間中!とびラーの計画通りに行かないこともしばしば。そんな時は、もともとのコースにはなかった作品を見たり、たまたまそばにいた藝大生に話を聞いたり、そんな行き当たりばったりの作品と人との出会いから「さんぽ」を楽しみました。
そして最後に、参加者の方から「さんぽ」のなかで話した藝大生に宛てて、メッセージを書いていただきました。いただいたメッセージは「さんぽ」の後、作品を制作したそれぞれの藝大生までお届けしました。喜んでいただけたそうですよ!
さて、ここで「さんぽ」はいったん終了ですが、とびラーはふり返りへ向かいます。各日ともそれぞれのコースの様子を共有して話し合いました。「あの場所は参加者の方が作品に触れそうになりやすくて危なかったよ!」というような情報共有から、「どうしたら今日のさんぽはもっとよくなったんだろう…」といった相談まで、毎回のふり返りでとびラーも徐々にパワーアップしていったように思います。
実はわたし、今回が「さんぽ」の初体験でした。とびラーは今回の「藝大卒展さんぽ」や、秋の「藝祭さんぽ」など、作品鑑賞と藝大生との交流を楽しむ「さんぽ」を1年のなかでいくつか開催しています。
わたしは3日間、サポート役として「さんぽ」を支えましたが、ナビゲートするとびラーによってさんぽの内容も雰囲気も様々でびっくり!お話しする学生との事前のアポ取りをはじめ、道順や時間配分まで入念なコースを計画するところもあれば、集まった参加者の方の様子を見て、その場で観る作品を決めるコースもあって。
「各々のとびラーの性格やポリシーが出るんだなあ。」というのが、色んなコースをみたわたしの実感です。「藝大生インタビュー」で制作段階を取材したとびラーの「作者の想いを伝えたい」という気持ちがほとばしる瞬間を目の当たりにしました。また、卒展を参加者の方にどう体験していただこうか、と考えるとびラーの熱い想いに胸をうたれました。
とはいえどんなに準備をしていても、参加者の方に合わせて「さんぽ」は変わっていきます。参加者にとってはどんなとびラーに出会うか、もちろん私たちとびラーもどんな参加者の方と出会えるか、それに作品と藝大生まで加わって、本当に一期一会。参加者の方の質問によって、私では引き出せなかったような話を藝大生から聞くことができたり、予想を裏切る楽しさがありました。
「さんぽ」を終えた後、ある参加者の方が会場に残って卒展をまわっているのを発見。そっと様子をうかがえば、なんと藝大生を新たに捕まえて質問攻めに!なんだか頼もしくすら思えました。その他にも「美術館の歩き方を教わりました!」という声や、「美術作品との関わり方を見つけられた」という感想も。
ひとつの作品をじっくり見て、考えて、作者と話す体験が、参加者の方にとってなにかの扉を開くきっかけになったようでとても嬉しかったです。言葉にすると簡単なようですが、意外となかなか無い体験ですもんね。これがわたし達アート・コミュニケータの醍醐味なのかしら、なんて。
さて卒展最終日、まだまだ観てない作品ありすぎ!と足早に観てまわっていたところ、同じく足早なとびラーに遭遇。卒展期間中、何日も上野にいるのに全作品をまわりきれない我々です(笑)。
私も今年こそはまわりきってやると意気込んでいたのに、作者の方と話すことが出来たひとつひとつの作品に愛着が湧いてしまって、観るペースをぜんぜん速められませんでした。だけれども、あぁこの作品はあの人が作ったんだよな、ここで参加者の方とこんな話をしたな、とこんなに愛着を感じた展覧会は初めてで、とても心が温まりました。
「藝大生と来場者を繋げるような何かが出来ないか」という想いから始まったこのプログラム。たくさんの繋がりを生んでくれたのではないかと思います。
執筆:宮本ひとみ(アート・コミュニケータ「とびラー」)
ひよっことびラー気分でいたら、もう二年目。本郷で美にまつわる哲学を考えたり、上野でアートとのわくわくする関わり方を探したり。
2018.02.01
2018年2月1日、西東京市立ひばりヶ丘中学校の2年生198名が、校外学習で上野公園を訪れました。
生徒たちはまず東京藝術大学の講義室に集合。あいうえののオリジナル教材「ミュージアム・スタート・パック」が全員にプレゼントされ、30分程度のオリエンテーションを通して、上野公園の9つの文化施設の紹介やミュージアム冒険のコツ、ミュージアム・スタート・パックを活用する方法などが伝えられました。
このあと、生徒たちは7-8名ずつの班別行動となり、国立科学博物館や、恩賜上野動物園、東京国立博物館、国際子ども図書館など、班ごとに決めた上野公園内のミュージアムに向かいます。各ミュージアムがおこなうスクールプログラムに参加するのです。
プログラムの様子はこちら→
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2018.01.31
2018年1月30日(火)夕方、Museum Start あいうえのの学校向けプログラムが行われ、私立安田学園の18名の美術部の生徒たちが、東京都美術館の特別展「ブリューゲル展 画家一族 150年の系譜」を鑑賞しました。
プログラムの様子はこちら→
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2018.01.30
1月30日(火曜日)、さくらアート幼稚園・年長園児の皆さん32名と一緒に、東京都美術館で卒展(第66回 東京藝術大学 卒業・修了作品展)をお散歩しました。
当日は、とびラーと開扉とびラー(とびラーとしての任期を満了したアート・コミュニケータ)、計21名が園児の皆さんに伴走しながら、作品をお散歩するように見て行きました。
最初に、とびらプロジェクト・プロジェクトマネージャの伊藤さんから、ご挨拶があります。「美術館に行ったことがある人?」と聞いてみると、行ったことがある子もいれば、今日がミュージアム・デビューとなる初めての子もいました。
美術館の展示室でのお約束も、「走らない」「(作品に)触らない」といったことを知っている子どもたちもいました。
グループごとに、子どもととびラーたちが簡単に自己紹介した後、展示室へ向かいます。
展示室では、主に、先端芸術表現科と彫刻科の展示を見ました。気になる作品を見つけて、自分から積極的に動いていく子もいます。中には、作家である芸大生から作品を触らせてもらったり、質問をしたりすることもできました。
「もっと見たかった」という子や、「ここの美術館の名前をもう一度教えてください」という嬉しい言葉をかけてくれる子もいました。美術館という場所が、子どもたちにとって、ワクワクしたり、何かを考えたり、安心したりできる場所であることが伝わっていたとすれば嬉しいです。
普段はアート教室で作品をつくることもある子どもたちへ、美術を担当する先生からは「今日は色々な作品を見たけれど、今度はみんなが作品を作るよ」と最後に声かけがありました。いつか大人になった時、今日の出来事(美術館体験)が心のどこかに残ってくれていることを心から願っています。
(東京藝術大学美術学部 特任研究員 菅井薫)