東京都美術館× 東京藝術大学 「とびらプロジェクト」

活動紹介

きく力について考える:3回目基礎講座

2013.05.11

3回目の基礎講座が開催されました。講師は西村佳哲氏。テーマは「きく力について考える」です。

 

「とびらプロジェクト」の基礎講座は「やり方」を教える講座ではないので、来館者の前で上手にお話ができる「話し方」などの講義はありません。アート・コミュニケータ(とびラー)に必要なのは、発信力より受信力、相手の意見や気持ちを受け止めることのできる力、すなわち「きく力」だと考えています。

 

そこで、今回の基礎講座は「きく力」をキーワードに進められました。講師の西村さんのお話を聞くだけではく、とびラー同士でコミュニケーション取りながらの講座となりました。そして、「きく力」(受信力)の話から、プロジェクトを進めてゆく上で必要となるさまざまな心構えや予備知識の話へと講座は展開して行きました。

 

今回の西村さんのお話でとても興味深かったのが、「80%=20%の法則」です。80%の成果は20%の活動エネルギーよって生まれるという説で、「パレートの法則」としても広く知られています。
この「80%=20%の法則」を、プロジェクトの成長課程に当てはめると、とても面白い見方ができます。
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「80%の成果は20%の活動エネルギーによって生まれる」と仮定すると、
1、80%の成果は20%の時間で達成できると考えられます。
2、また逆に残り20%の成果を生むには、全体の80%の時間を費やさなくては成らないとも読み取ることができます。
縦軸を質(成果)、横軸を時間として、この状況をグラフにするとスライドのような曲線が描かれます。そして、質(成果)が凡そ80%に到達したところを分岐点としてとらえ、時間軸から見る前者を1、時間軸から見る後者を2として、それぞれの特性を分析すると以下の様に解釈することができます。
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1、80%の質(成果)をあげる20%の時間 = トライ&エラーを繰り返して急激にイメージが実態化される期間(創造的成果が問われる期間)
2、残り20%の成果を詰める80%の時間=丁寧に仕事を整理してプロジェクトの制度を高める期間(生産的成果が問われる期間)
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これについて西村さんは、こうした曲線を辿らず進行するプロジェクトもあり得る、しかし、高い成果を残すプロジェクトにみられる成長曲線は、このスライドにあるような曲線をたどるプロジェクトであると言います。その理由は、1、2の両方の状況が顕在化していることがプロジェクトにとって理想的であるからだとのこと。
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この、1「創造的成果が問われる期間」と2「生産的成果が問われる期間」とが顕在化することの重要性については非常に納得でした。創造的な発想をバネに失敗を恐れず進行しなくては成らない1の時期と、積み上げた成果をキチンと価値付けてゆく2の時期、確かにどちらもないとよいプロジェクトにはなりません。
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もう一つの興味深いポイントとしては、1と2転換期(80%地点)を「壁」として捉えることができるところです。創造的な取組みに注力し、急激に成長したプロジェクトであっても、ある時からその成長が伸び悩む時期が訪れます。
それを「壁」という言葉で表しますが、実はのこ「壁」は仕事への意識を変えるタイミングであると解釈することができます。「やり方を変える」「求める成果を変える」など意識を変えることで、その「壁」は越えることができるばかりか、プロジェクトの完成度をさらに高めチャンスとなり得るのです。

各々どのように西村さんの話を「きいた」のかを共有したながら講座は進められました。

 

コミュニケーションを取りながらの講座は、自分だけの解釈の枠を越えて、さらに深い理解へと導いてくれます。

 

午後はコミュニケーションについて考えるワークショップを行ないました。こちらは、昨年の基礎講座でも実施された内容なので、詳しくは「H24基礎講座2回目」をご覧下さい。基礎講座も3回目を修了し、全6回の基礎講座も折り返しとなりました。とびラー2期生もどんどん成長しております。どんどん加速してゆきます!
(とびらプロジェクト・マネージャ 伊藤達矢)

上野公園にでかけよう!:基礎講座2回目「あさっての美術館を考える」

2013.04.27

2回目の基礎講座のテーマは「あさっての美術館を考える」でした。講師はアーティストの日比野克彦さんです。
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講座がはじまると日比野さんからとびラーに課題がだされました。
【課題】:東京都美術館と上野公園内にある他の文化施設が連携することで出来る新しいアイディアをグループで考えなさい。
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東京都美術館(以下:都美)の中で考えていてもはじまりません。そこで、早速とびラーは10グループに分かれて、都美を基点に、東京国立博物館、国立科学博物館、国立西洋美術館、上野動物園、国際こども図書館、東京藝術大学美術館へとリサーチに向かうことになりました。

こちらのグループは上野動物園へ。久々の動物園!というとびラーもいたようです。

 

こちらのグループは、国立科学博物館へと向かいました。上野公園には多くの文化施設が集積しています。どの文化施設も日本を代表する素晴らしい文化施設ばかりです。そうした文化施設の持つ可能性を、これまでとは違った視点で確認する。そして、上野公園を自分のホームグラウンドにして行く。アート・コミュニケータとしての経験値を高める大事なステップです。

 

外の文化施設だけでなく、基点となる都美も合わせてじっくりとリサーチした後は、基礎講座の教室(都美のアートスタディルーム)に戻り、文化施設を連携させることでできる新しいアイディアについて各グループ毎に話合いが行なわれました。

 

今回の基礎講座は、新たに入ったとびラー2期生と1期生の混合チームで進められて行きました。じっくりと話し合ってアイディアをまとめてゆきます。

 

日比野さんが見てまわります。

 

知り合って間もないとびラーも講座を通して徐々に打ち解けてきたようです。

 

最後は、各ブループ毎に考えたアイディアを発表しました。

 

個性的なアイディアがいくつも発表されました。例えば、動物園で「迷子にならないための迷子札」が発行されているというリサーチから、美術館では「迷子になるための迷子札」をつくってはどうかなど、非常に興味深いアイディアが生まれていました。作品を通してイメージの世界へ迷い込む、そんな美術館の持つ不思議な場所の印象を上手に捉えたアイディアでした。とびラーがファシリテータになって、都美だけではなく東京国立博物館や西洋美術館に迷い込む「金曜夜のナイトツアー」なんあったら楽しそうですね(勝手な妄想です)。こうした一つ一つのアイディアに日比野さんか適切なコメントを入れて行きます。「んーー25点(笑)」という厳しい突っ込みもありましたが、和やかな雰囲気で講座が進められて行きました。

 

講座が終わったあとは、カフェ「SAVORIYA リアル」が開店。お茶やお菓子は持ち寄りで、ミーティングの続きをしたり、何気ない話をしたりと、気ままなコミュニケーションの場となりました。2年目を迎えた「とびらプロジェクト」も徐々にあたたまってきました!
(とびらプロジェクト・マネージャ 伊藤達矢)

新規とびラー55名が新たに加わりました!!:基礎講座1回目

2013.04.13

4月に入り「とびらプロジェクト」も新年度を迎えました。新たに55名のとびラー(アート・コミュニケータ)が加わり、昨年度からの継続とびラー71名と合わせると、「とびらプロジェクト」は126名もの大所帯となりました。そして、126名のとびラーを対象とした全6回に渡る基礎講座が昨年度同様にスタートしました。
昨年末に募集したH25年度とびラーの募集状況は、定員40名に対して199名の応募があり、倍率は凡そ5倍となりました。応募して頂いた方々の高い熱意をひしひしと感じ、選考は難航を極めました。一次選考(書類選考)、ニ次選考(面接)の経過の中で、出来る限りご応募頂いた方々の気持ちに答えようと定員を15名増やしました。選考の基準は、幅広い年齢層の参加、男女のバランス、様々な仕事や経験・価値観のバランス、活動できる曜日のバランス、アート・コミュニケータへの感心の高さなど、様々な視点から総合的に判断させて頂きました。そのため個々人の能力というよりは、全体のバランスが重視され、結果的に「ご縁あった皆様」という印象となっております。改めてお応募頂いた全ての皆様に感謝を申し上げます。

H25年度第一回目の基礎講座は「とびらプロジェクト」で活動を行なうためのガイダンスとなりました。スタッフの紹介をさせて頂いた後に、東京都美術館アート・コミュニケーション係長の稲庭学芸員より東京都美術館(以下:都美)の歴史やアート・コミュニケーション事業の目指すものなどのお話がありました。続いて僕、伊藤達矢(東京藝術大学特任助教/とびプロジェクトマネージャ)から、東京藝術大学の歴史と「とびらプロジェクト」の概要についてお話をさせて頂きました。

 

午前の部の最後は、東京藝術大学特任助手でとびらプロジェクトコーディネータの近藤美智子さんより今後の具体的なスケジュールや活動する上でのルールなどについてお話がありました。

 

午後は継続して活動しているとびラーがH24年10月~H25年3月までの活動の報告をしました。イベントとして公表されている「紙芝居プロジェクト」や「スケッチボードでGO!!」、また都美内にて活動を展開する「建築マッププロジェクト」館内情報紙「とびリア」、美術情報室の書籍を特別展と合わせて紹介する「ライぶらり」の発行経過などなど、たくさんの「とびラボ」から生まれた活動の報告がありました。

 

熱のこもったプレゼンで、新しく入ってきた55名のとびラーにも分かり易くこれまでの活動を紹介できたのではないかと思います。

 

とびラーが昨年度つくったさまざま印刷物も配布されました。

 

新規とびラーのみなさんは初回にもかかわらず、相当量の情報に少しびっくりされたかもしれません。。。でも、まずは基礎講座からゆっくりと入って行って頂ければと思います。

 

とびラーの活動紹介の後は、新しいとびラーも継続したとびラーも自己紹介を兼ねて前後左右の席4~5人でとびラーのプレゼンについての感想を共有する時間となりました。

 

最後は僕から新年度の新しい取り組みについてお話をさせて頂きました。今年度は活動の範囲を広げて、いよいよ本格的に「コミュニティーの形成を目指すプロジェクト」の本丸に向かおうと考えています。126名のとびラーとともに、「とびらプロジェクト」まだまだ成長し続けます。
(とびらプロジェクト マネージャ 伊藤達矢)

スケッチボードでGO!!:エル・グレコ展

2013.03.30

「エル・グレコ」展でも、子どもたちが名画を描く「スケッチボードでGO!!」が実施されました。磁気ボードを使って子どもたちが展示室の中でお絵かきをします。出口ではとびラーが子どもたちの絵をポストカードにしてプレゼントしてくれます。

 

3月29日・30日の2日間行なわれた「スケッチボードでGO!!」(磁気ボードの貸し出しは会期中常時行なわれました)には1日平均60人もの子どもたちが参加してくれました。

 

展示室の中では真剣に絵を描く子どもたちの姿に遭遇します。こうした光景は展示室の中の雰囲気さえも変えてしまいます。

 

今回の「スケッチボードでGO!!」では、これまでにはなかった新たな試みも行なわれました。いつもは子どもたちが描いた絵をポストカード状の塗り絵に仕立ててプレゼントするところまででしたが、今回は展示室から出たところに「塗り絵コーナー」を設けました。今描いた絵に、今色を着ける。今みたあの絵のことを思いだす。色を塗っている間に「もう一度作品をみてきたい!」と展示室に戻る子どもの姿もありました。

 

作業は真剣そのもの。ただ作品を鑑賞するだけでなく、子どもたち自身、自分が感じた名画の印象をじっくりと味わい、カードに残します。そしてそのカード家に持ち帰ることで、今日の体験を家族や他の誰かと共有することができます。

 

最後は「とびらプロジェクト」のロゴマークの前で記念撮影。上手に描けています。きっとエル・グレコの自画像かな?

 

「楽しかった!」そう感じてもらえることはとても大切なこと。これからも有意義な鑑賞体験の場づくりを目指して行ければと思います。ご来場ありがとうございました。
(とびらプロジェクトマネージャ 伊藤達矢)

「障害のある方のための特別鑑賞会」:エル・グレコ展

2013.03.11

「障害のある方のための特別鑑賞会」が開催されました。今回は「エル・グレコ」展が会場となりました。介助の方を含めて凡そ800名もの方々にご参加頂きました。この「障害のある方のための特別鑑賞会」は月曜日の休室日を利用し、障害のある方に混雑していない展示室の中でゆっくりと作品を鑑賞して頂こうという企画です。入り口から展示室までの誘導や受付、車椅子の貸し出しなど、当日の運営はとびラー候補生(とびコー)が担当します。

 

エル・グレコの肖像画とされる作品です。エル・グレコ展に展示されている作品の多くは、キリスト教絵画ですが、どれもエル・グレコ独特の際立った配色とディフォルメされた人物のフォルムがみる者に強い印象を与えています。

 

展示室の中でとびコーさんが来場者の方と絵画について何気ないお話をすることもあります。小さなコミュニケーションが展示室の中の雰囲気を柔らかいものにします。

 

少しずつ絵画に近づいて行くところから、絵画との対話ははじまっています。

高さ3mもある「無原罪のお宿り」。しばし眺めていと絵の中に吸い込まれそうな気分になります。

 

展示室をでると、ミュージアムショップが設置されています。エル・グレコ展にちなんだアイテムがたくさん販売されています。

 

「障害のある方のための特別鑑賞会」が行なわれた3月11日は、東日本大震災から2年目の日でもありました。展覧会場の最後に設置されたアンケートを記入する机の上にはささやかながら、とびコーから鎮魂と復興の祈りを込めて一輪の白百合の花をみなさんにお配りさせて頂きました。とびラー有志で折った折り紙の白百合は、聖母マリアの象徴でもありました。本年度最後の「障害のある方のための特別鑑賞会」も無事に終えることができました。また次年度に向けて準備を進めて行きたいと思います。
(とびらプロジェクト マネージャ 伊藤達矢)

スクールマンデー:根津小学校

2013.02.25

根津小学校の6年生の皆さん30名がスクールマンデーにやってきました。根津小はご近所、歩いてご来館されました。スクールマンデーは特別展の休室日を利用した対話形鑑賞の実践の場です。今日も大勢のとびラー候補生(以下:とびコー)のみなさんと一緒に鑑賞をします。東京都美術館(以下:都美)のスタッフの熊谷さんから展示室内でのマナーや本日の流れについて説明がありました。

 

今日鑑賞する展覧会は「エル・グレコ展」です。まずは、児童4名と、とびコーさん3名のグループをつくります。みなさん初めましてのご挨拶をします。

 

「エル・グレコ」展は主にキリスト教を題材にした宗教画が主に展示されています。キリスト教の知識が無いと理解することは難しい、、、なんてことはありません。子どもたちに鑑賞するきっかけを掴んでもらうことで、どんどん絵の中に入って行く事ができます。そのきっかけをつくるのが、とびコーさんたちとの対話です。

 

子どもたちと「まなざしを共有する」そして、お互い楽しんで鑑賞することがとても大切です。とびコーさんたちも楽しんで鑑賞すれば、その気持ちは必ず子どもたちに伝わります。

 

グループでの鑑賞を終えたら今度は子どもたちが個々人で鑑賞します。時々絵の前で友達と遭遇して、少しお話をする。そんな自然な体験何よりの鑑賞体験なのだと思います。
(とびらプロジェクトマネージャ 伊藤達矢)

 

 

 

スクールマンデー:松葉小学校

2013.02.25

松葉小学校5・6年生の皆さん56名がスクールマンデーにやってきました。スクールマンデーは特別展の休室日を利用した、対話形鑑賞の実践の場です。今日も大勢のとびラーのみなさんと一緒に鑑賞をします。学芸員の稲庭さんから展示室内でのマナーについて説明がありました。

 

今日鑑賞する展覧会は「エル・グレコ展」です。そして、今回の鑑賞授業のポイントは絵画の「色」です。展示室に入る前に1500色もある色のチップの中から各自自分の好きな色を選びます。みんな真剣に選んでいます。

 

各自色を選んだらグループごとにとびラー候補生(以下:とびコー)さんと一緒に作品を鑑賞します。自分の選んだ色が絵画の中に隠れているかじっくりと見つめます。そして、色をきっかけにとびコーさんと対話をすることで、ちょっと難しそう、、、と感じるエル・グレコの宗教画の世界へ徐々に入ってゆくことができます。

 

月曜日の休室日を利用したスクールマンデーの一番の特徴は、なんといっても展示室が自分たちだけの空間になること(場合によっては2校対応することもあります)。落ち着いてじっくりと鑑賞することができる、とても贅沢な空間を提供しています。

 

絵画を見る楽しさを少しずつ覚えてきたら、今度は一人で鑑賞します。広い展示室を自分のペースでブラブラしながら鑑賞して行きます。来館前から気になっていた「あの1点」にあう喜びを味わってもらえたら何よりです。

 

一番最後に展示されているのがこの「無原罪のお宿り」です。聖母マリアが聖アンナに宿る様子がモチーフになっています。3mを超えるこの大作には、いろいろなひみつが隠されています。とびコーの森さんと小笠原さんが、この絵についていろいろお話をして下さいました。「また美術館にきたいな」そんな風に思ってもらえる鑑賞授業にもっとなれるようにして行きたいと思います。
(とびらプロジェクト マネージャ 伊藤達矢)

とびらプロジェクトフォーラム「あさって」の話をしよう。

2013.02.16

とびらプロジェクトフォーラム「『あさって』の話をしよう。」が開催されました。H24年度に引き続き、H25年度もアート・コミュニケータ(とびラー)を募集します。今回のフォーラムはその説明会も兼ねています。今年もたくさんの皆さんにご来場頂きました。ようやく1年がたち、こうして多くの方々に関心をよせて頂けることが本当に嬉しいかぎりです。フォーラムの詳しい様子はホームページの「Move」にまとめられておりますので、是非ご覧下さい。

 

はじめに東京都美術館アート・コミュニケーション係長の稲庭学芸員と僕(東京藝術大学 特任助教 伊藤達矢)から、なぜ、東京都美術館(以下:都美)と東京藝術大学(以下:藝大)が連携するのか、そして何を目指すのかというお話をさせて頂きました。ポイントは「あさって」の美術館を目指すこと、「家」と「学校・職場」の間にある第3の場所としての「美術館」を目指すことです。

 

ご来場頂いたみなさんには、とびらプロジェクトのパンフレットや、とびラー候補生(以下:とびコー)のみなさんが自分たちでつくった建築物としての東京都美術館の魅力を伝えるガイドマップなど、とびらプロジェクトの活動をより分かり易く紹介する資料が配布されました。

 

続いて、日比野克彦さんととびコーの(左から)加瀬さん、野村さん、(日比野さん挟んで)小野田さんとで、今年の活動をふりかえって頂きました。上手く行ったこと、難しかったこと、これからやろうとしている事、いつか来る「あさって」に向かって備えて行きたいことなど、短い時間ではありましたが、とびラーの活動の雰囲気がご来場頂いたみなさんに伝わったのではないかと思います。

 

最後は、とびらプロジェクトの講師陣が揃って今後のとびらプロジェクトに向けての展望を語りました。今回のフォーラムのタイトルにもなっている「あさって」とは、関わる個々人の中にある理想や希望を隣りにいる誰かと共有しながら、「明日」という現実的な時間の感覚を飛び越えて、少し先の未来にあってほしいと願う姿や出来事にたどり着くための振る舞いや考え方のことを言います。既にある目標やビジョンの達成のために逆算的にタスクを割り出し、効率よく成果をあげてゆく経済原理の日常スタイルから、プライスレスな価値のを大切にする非日常スタイルへの飛躍でもあります。

 

フォーラムが終わると、参加者のみなさんは交流棟2階のアートスタディルームへ。とびラプロジェクトの1年間の成果物が展示されていたり、とびコーの皆さんがフォーラムの参加者を交えて公開ミーティングを開催したり、コーヒーやお茶を振る舞ったりしていました。

 

フォーラムに参加された皆さんも講師の日比野さんと森さんに色々と質問をしている様子。とびコーの皆さんと参加者の皆さんの交流もありました。

 

僕もたくさんの参加者のみなさんとお話をさせて頂きました。充実したフォーラムとなりました。ご来場頂きましたみなさま、本当にありがとうございました。重ねてお礼を申し上げます。今年度もあとわずか、次年度に向けて精一杯の準備をしたいと思っています。
(とびらプロジェクトマネージャ 伊藤達矢)

第62回 東京藝術大学 卒業・修了作品展

2013.01.31

◉前日準備

◉会期スタート!

<見楽会>

<卒展さんぽ>

<東京都美術館 ミュージアムショップ「藝大生のスケッチブック」>

<弾丸ツアー>

<とびラー×日比野克彦 座談会>

<コンシェルジュ>

第61回 東京藝術大学卒業修了作品展 とびラー大活躍

2013.01.31

1月26日(土)から31日(木)にかけて第61回東京藝術大学卒業修了作品展(以下:卒修展)が開催されました。今年の卒修展は東京都美術館と東京藝術大学を一つのコミュニティーとして捉え、藝大生ととびラー候補生(以下:とびコー)のみなさんが力を合わせて取り組みました。東京都美術館(以下:都美)のロビー階入り口正面には、東京都美術館のロゴと東京藝術大学のロゴのオブジェがついたコンシェルジュタワーが設置されました。さわやかな藝大生二人が来館者をご案内しています。

 

都美のことなら熟知しているとびコーの大阪さん。力強い身方です。

 

今年の卒修展は2年ぶり(改修工事が2年間行なわれた)に都美で開催される卒修展です。リニューアルしたのは外観だけではなく、アート・コミュニティー形成事業(とびらプロジェクト)のもと、卒修展でもさまざまな試みがなされました。写真はミュージアム・ショップでライブペインティングを行なう先端芸術表現科修士2年生の林友深さん。

 

卒修展期間中のミージアム・ショップでは「スケッチブック」と題して、藝大生のドローイングが販売されました。卒業修了作品を鑑賞するだけではなく、ご来館されたみなさまに作品を持つ喜びを伝えたい、そんな藝大生の気持ちから生まれ企画です。こうした企画は、今年から卒修展を盛り上げて行こうとする藝大生によるプロジェクトチーム「PandA」によって進められています。「PandA」は卒業生修了生だけでなく藝大生なら誰でも参加できます。そして、「PandA」と「とびらプロジェクト」が連携することで、東京藝大の卒修展は、卒業修了生だけではなく、より多くの人々が参加できるプロジェクトとなって行きます。

 

こちらは、藝大生が自分の「作品を語る60分」と題したトークイベントの様子。ゲストは藝大生、モデレータは僕(伊藤)ととびコーさん(日替わり)。卒修展会期中5日間毎日13時~14時の間行なわれました。登壇して頂く藝大生は日本画、油画、彫刻、デザイン、工芸、芸術学、建築、先端芸術表現と日替わりでさまざま。同じ藝大にいても考えていることや、制作している作品などはそれぞれ異なるので、僕もモデレーターを勤めながらとても勉強になりました。今の藝大生は僕が学生のころよりもしっかりしている様に思い、思わす関心して聞いてしまいました。

 

会場からの質問も多く、和やかなお昼休みのひと時を演出するトークの時間となりました。

 

トークが終わると、初日限定で僕「伊藤達矢の卒修展弾丸ツアー」が行なわれました。卒修展は都美に加え、敷地が隣りあった東京藝大の校内全域を使った展覧会となっています。そのため、会場も広く順路も分かり難いため、1時間で効率よく一気に僕が案内してまわるという強行ツアーです。お客様は少ないだろうな~と予想していたところ、25名(スタッフいれたら30弱)もの方々にお集り頂きました。

 

藝大のことならだいたい分かっているはずの僕が、相当な急ぎ足で(脱落するお客様も気にせず)凡そ300点を超える作品を全て見てまわったのですが、結局2時間かかってしまいました。すみませんでした。。。そして、みなさん大変お疲れさまでした。最後は拍手で終わらせて頂き恐縮です。

 

卒修展期間中に毎日開催されていた企画の一つに先端芸術表現科の学生たちが企画した「午後ラウンジ」があります。毎日外部からゲスト講師を招き、卒修展の会場で自ら作品のプレゼンを行い、ゲストとともにアートについて語り合うという企画です。なんとそのゲスト講師にとびコーのみなさんが招かれました。アートのプロフェッショナルではありませんが、率直な意見や感想で藝大生と語り合っていました。

 

今回の卒修展のさまざまな企画のアイディアを出してくれたり、ミュージアム・ショップでのドローイング販売を成功に導いてくれた藝大生による卒修展企画チーム「PandA」のみなさんと、日比野克彦教授とのトークも開催されました。

 

都美のラウンジはいつのまにか大勢の来場者でいっぱいになりました。少し控えめに設えたのですが、さすがは日比野先生。これまでの卒修展では学科をまたいでの交流はありませんでしたし、教授と学生とが話をする機会などもありませんでした。今回の卒修展では、大学の教員、学生、美術館の学芸員、一般から集まったアート・コミュニケータ(とびコーさんたち)、それにその日たまたま居合わせた来場者が一体となっる様子が度々伺えました。

 

卒修展ではとびコーさんたちから発案された企画も実行されました。これまでの「とびらプロジェクト」で培ってきたノウハウを活かしながら、藝大生の作品を題材に、来場者へ向けてVTS(ビジュアル・シンキング・ストラテジー)が行なわれました。

 

来場者との対話を大切にしながた、大勢のまなざしを共有する時間ができました。こうした企画が自発的に出来上がってゆくのはとても素晴らしいことだと思いました。さすがアート・コミュニケータです。

日比野先生のトークは日を変えて第2段「レストランでトーク」が開催されました。会場は都美の2階にあるイタリアンレストラン「ミュージアムテラス」。日比野先生ととびコーのみなさんで卒修展を語りました。途中でレストランの店長田中さんも登場。「店をつくることはまちをつくること」素晴らしい。都美はさまざまな志のある方々で出来ていますね。

 

トークは夕方の閉店まで続きました。そして卒修展も無事に6日間の会期を終えることができました。ご来場頂いたみなさま、本当にありがとうございました。これほどまでに遊び尽くした卒修展はなかったかと思います。東京都美術館と東京藝術大学とが年に1度だけ共同で行なう展覧会「東京藝術大学卒業修了作品展」は、より多くの方々ととにもつくって行く展覧会です。来年こそは一緒に卒修展に関わりたいと思った方、是非来年は一緒にやりましょう。
(とびらプロジェクトマネージャ 伊藤達矢)

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