東京都美術館× 東京藝術大学 「とびらプロジェクト」

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ヨリミチビジュツカン「木々との対話」展(9/10開催)

夜の美術館にふらりと足を伸ばしてもらい、そこで出会った人とおしゃべりしながら作品をみるヨリミチビジュツカン。今回は東京都美術館の開館90周年記念展「木々との対話──再生をめぐる5つの風景」で開催しました。木を素材として作品をつくる5人の作家(國安孝昌、須田悦弘、田窪恭治、土屋仁応、舟越桂)の作品が展示されています。

今回のヨリミチビジュツカンにはいつもと違う3つのポイントがありました。それに触れながら、当日の様子をご報告します。

ポイント①:21時までの夜間開室を利用した19時スタートのプログラム

通常の金曜日の夜間開室は20時までですが、夏場はさらに一時間長い21時までの開室日があります。今回のヨリミチはそれを活用して、いつもより1時間繰り下げて実施しました。

 

告知が短期間だったので、どのくらいの方が参加してくださるか心配だったのですが、3名の方にお集まりいただきました。しかもみなさん早めに集まってくださったので、プログラムを少し早めにスタートすることができました。

 

最初は、いつものように集合場所の講堂前で、自己紹介を兼ねたトークができるカード「シャベリカ」を使ったアイスブレイクです。ちょっと緊張気味の方も、自分の引いたカードに書かれているトークテーマについて話しているうちに、今日、一緒に展覧会を観るメンバーとうちとけられるような、そんな効果を期待しています。もちろんとびラーも参加して、一緒に話の輪に加わります。

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その後、参加者1人に2人のとびラーが加わって、3人1組の3グループで会場に向かいます。会場の構成と集合場所を確認したあと、参加者の方にお渡ししたカードに書かれているテーマで、一人ひとりお気に入りの作品を選んでもらいます。今回は、早めにスタートすることができたので、この個人鑑賞の時間をゆったり確保することができました。

 

今回のテーマは、「もし一夜だけ木々と自在に言葉が交わせるとしたら、どの作品と過ごしてみたいですか?」というもの。「木々との対話」という展覧会のタイトルから発想したテーマでした。みなさん、思い思いに会場内を歩き、このテーマに合いそうな作品を探してくださいました。

 

最初は、ある作品について「よくわからない」とおっしゃっていた参加者の方が、この個人鑑賞では「その作品に一番時間をかけて鑑賞した」と嬉しそうに話してくれました。その結果、ご自分なりの納得感を得られたようです。

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作品を選んだみなさんが集合場所に戻ってくると、次はグループ鑑賞です。ここからは最初の3人グループで、それぞれが選んだ作品のところに移動し、自分がその作品を選んだ理由や、好みの点についておしゃべりを楽しみます。夜間は鑑賞者が少なめなので、こうした鑑賞には好都合です。他の人の見方や感じ方を知ることで視野が広がる感じが、グループ鑑賞の醍醐味です。それぞれのグループではどんな話題が出ていたのでしょうか。いかにも会話が聞こえてきそうなみなさんの写真をご覧ください。

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ポイント②:展示室以外の作品も鑑賞

 

今回の展覧会では、ギャラリーの外に展示された作品がいくつかあります。そのうち須田さんの作品2点を、カフェタイムの部屋に移動する途中で観ました。一つはラウンジに置かれた古い展示ケースに収められた《朝顔》、そしてもうひとつは美術情報室にある《露草》の作品です。ひっそりと、あるいは意外なところに設置される須田さんの作品を堪能することができました。

 

最後はアートスタディルームに移動して、カフェタイムです。お茶とお菓子を楽しみながら、それぞれのグループでみてきた作品について、みんなでおしゃべりします。

 

ポイント③:写真や素材の資料を用意

 

「木々との対話」の展示期間中の8月3日から9日まで、期間限定でオープンした「木々のアトリエ」では、出品作家の日常や制作の様子を映した写真や、制作に用いた素材などが展示されていました。今回のカフェタイムはそれらも用意して、写真を見たり、素材に実際に触れたり、木の香りを嗅いだりして、作家たちの制作に思いを馳せながら話をしました。

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その中に、國安孝昌さんが使っている陶ブロックがありました。國安さんの巨大なインスタレーション作品《静かに行く人は、遠くへ行く》では、丸太と一緒に、この素材が大量に積み上げられています。その光景に興味を持たれた参加者の方も、ここで実際に現物を手にすることができました。この陶ブロック、持ってみると意外と重みがあります。

 

「自宅に須田さんの作品を置くとしたらどんな場所に…」とか、作品からイメージする音の話とか、彫刻家のデッサンに感じる立体感の話など、いろいろな言葉が交わされました。

 

21時が近づき、ヨリミチカフェもいよいよ閉店の時刻となりました。ライトアップされた夜の美しい美術館の建物を見ながら参加者のみなさんを正門までお送りして、今回のヨリミチビジュツカンも閉館しました。

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執筆:羽片俊夫(アート・コミュニケータ「とびラー」)

2016.09.10

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