東京都美術館× 東京藝術大学 「とびらプロジェクト」

活動紹介

綴プロジェクト:群鶴図屏風のお披露目

2012.10.06

キヤノンより寄贈された高精細複製品の「群鶴図屏風(尾形光琳筆)」をとびラー候補生(以下:とびコー)のみなさん向けに公開しました。これまで、少しずつ進めてきた「綴プロジェクト」、徐々にとびコーのみなさんの心に浸透してきるいる様子。

 

屏風は見る角度や明るさによって見え方に大きな違いが生まれます。それだけに奥深く魅力的です。

 

この屏風を使ってどんな鑑賞プログラムやワークショップができるか、ここから先は、とびコーさんからアイディアが出てくる事を待ちたいと思います。じっくり考えて、気持ちの中で何かが生まれ、他のメンバーと共有できるアイディアが出てくるまで、もう少しかかるかな。。(とびらプロジェクトマネージャ 伊藤達矢)

「綴プロジェクト」寄贈式典

2012.05.30

「綴プロジェクト」(文化財未来継承プロジェクト)第5期作品 寄贈式典が執り行われました。「綴プロジェクト」とは、京都文化協会とキヤノン株式会社が協同で推進する社会貢献活動です。今回、東京都美術館に寄贈されたのは6曲1双の高精細複製品屏風2双です。<「桜図屏風:さくらずびょうぶ」(伝俵屋宗達筆)、「群鶴図屏風:ぐんかくずびょうぶ」(尾形光琳筆)の高精細複製品>
キヤノンによる高度なデジタル技術と、京都の伝統工芸史の匠の融合により、再現された2双の屏風は、本物に引けを取らない素晴らしい仕上がりでした。寄贈頂いた屏風は、今後アートコミュニケーション事業を中心に、鑑賞教育の実践や、さまざまなワークショップなどで活用することを計画しております。

 

記念式典には多くのとびラー候補生(以下:とびコーさん)も参加し、寄贈のセレモニーが終わると屏風をじっくりと鑑賞しました。ガラスケースなどに入れることなく、これほど間近で鑑賞できるのは、複製品ならではの利点。本物の作品は劣化を防ぐ為に環境の良いところで保存しつつも、その作品のもつ魅力をよりリアルに体感できるのがこの高精細複製品の素晴らしさであり、「綴プロジェクト」(文化財未来継承プロジェクト)のコンセプトとのこと。弱視の方が至近距離で鑑賞したり、日常の生活空間で屏風の光を体験したりも出来ます。今後、寄贈頂いた2双の屏風をどの様に活かして行くのか、とびコーさんも真剣に考えを巡らしながら鑑賞していた様子でした。

 

会場内では、寄贈作品の展示に加え、高精細複製品をつくる技術についての展示も行われていました。キヤノンのカメラとプリンターを使いながら、高画質の撮影と、被写体と全く同じ色でプリントアウトを行うカラー出力の技術の実演を見学させて頂きました。プリントアウトに使われる紙は、屏風に使われている和紙の印象を保ちながらも、インクジェットプリンターの色彩表現を引き出せる様に研究されたもの。徹底したこだわりが伺えます。

 

続いて、プリントアウトされた絵に本物の金箔を打つ実演も行われました。真新しい金箔を、経年変化で古びた風合いにみせるなど、熟練した匠だからそこの技が屏風の複製に活かされていました。まさに、最先端の技術と代々伝受け継がれた匠の技のコラボレーションの瞬間でした。

 

金箔を打つ実演の後は、伝統工芸士の方から、屏風の再現にあたりもっとも苦心された部分などについてご説明を頂きました。本物にある傷や経年変化による風合いはもちろん、金箔の色の使い分けや、金箔の打ち方によって、屏風の表面の絵柄にそって凹凸を感じさせる陰影の技術など、随所に込められた匠の技に驚かせられました。記念式典での実演はありませんでしたが、金箔が打たれ、仕上がった絵を屏風に張り込む表具師の方の技も加わり、ようやくこうした高精細複製品の屏風が完成するそうです。この2双の屏風はオリジナル作品のある複製品ではありますが、完成に至まで、多くの方々の努力と研究の粋が注ぎ込まれた素晴しい価値のある作品だと感じました。これからこの屏風を使ったプログラムをとびコーさんと詰めて行くのが楽しみです。(伊藤)

とびラボ:「綴プロジェクト」ミーティング

2012.05.19

隔週で行われている基礎講座の間の週の金土日は、ゆるやかに刺激的な活動をつくるための研究会の日(通称とびラボ)です。5月19日(土)に行われたとびラボは学芸員の稲庭彩和子さんを中心に「綴プロジェクト」について考える会でした。「綴プロジェクト」とは、キヤノンから寄贈頂くことを予定している高精細複製品の6曲1双の屏風2双を使ったプロジェクトです。<「桜図屏風:さくらずびょうぶ」(伝俵屋宗達筆)、「群鶴図屏風:ぐんかくずびょうぶ」(尾形光琳筆)の高精細複製品>複製品といってもキヤノンの技術をつくした一品で、金箔は本物、貴重な資料です。「綴プロジェクト」では、この屏風を使ってどんなことができるか、現在とびラー候補生ともども考えを巡らせています。本物と違って、ガラスケースにいれて鑑賞する必要はなく、弱視の方により近距離で鑑賞頂くこともできます。また、展示室ではなく、例えばロウソクの明かりで屏風をみるなど、日常の生活空間の中で屏風の存在を感じる試みも可能です。「綴プロジェクト」面白くなりそうです。(伊藤)

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