「こどもと美術館に行きたいけど、一緒に楽しめるか不安だな」あるいは、「美術館って敷居が高そうだから、家族のお出かけ先としてちょっとね」と思っているパパの皆さま。この企画は、子育てをきっかけに大人達にも美術館を楽しんでもらいたい、美術館をパパとコ(こども)のお出かけ先にしてほしい、というとびラーの思いから始まったのが、「パパトコはじめてミュージアム」というプログラムです。
6月17日、よく晴れた土曜日の午前中に開催しました。今回は、東京都美術館で開催中の「ボイマンス美術館所蔵 ブリューゲル『バベルの塔』展」を鑑賞し、作品を見た感想やイメージからパパとこどもで一緒に絵本をつくり、その発表をしました。4組のパパとこどもが参加しました。
最初は、とびラーから企画の目的と流れの説明です。説明を聞くパパ達の真剣な表情に、とびラーの気も引き締まります。
次に、参加者の方々ととびラーがそれぞれ簡単に自己紹介をしました。「パパとこどもだけで外に遊びに行くことがあまりない」「初めてこどもと美術館に来た」というコメントがありました。
自己紹介も終わり、さぁ展示室へ!・・・とはならないのが、このプログラムの特徴です。まずは、ここで楽しい予習。展示されている作品から、とびラーが事前に選んだ10点の作品を紙芝居で紹介しながら、こども達に問いかけます。「この中の誰が好き?」「この人は何を持っているのかな?」自己紹介の時は恥ずかしがっていたこども達でしたが、とびラーからの問いかけに応えるように、次第にそれぞれの考えを言ってくれるようになりました。やり取りを聞いていたパパや、とびラーが「よく見ている!」と感心したり、「そんな風に見えるの!」と驚く場面も沢山ありました。
表と裏の両面に絵が描かれている作品もあります。本物の作品と同じ様に、紙芝居の両面に絵を貼って紹介してみました。裏面の絵を見られるのはこども達だけ!「何があるかな?」の問いかけに、こども達が「お茶をいれるもの」「カーテン」と答えてくれますが、パパ達には絵が見えないので何が何やら。どんな絵かは、展示室でこども達に教えてもらうことにしました。
紙芝居が終わったら、とくに「本物を見たい」と思った作品を数枚選んでもらいます。以上で予習完了!親子4組それぞれにとびラーがつき、展示室へ移動します。
見えにくいところではパパがこどもを抱っこしたり、作品をみるこどものちょっと後ろでパパは鑑賞したりと、沢山の人がいる中でも思い思いに時間を過ごしてくださっていました。
作品を見た後は、「バベルの塔」展のマスコットキャラクター「タラ夫」にご挨拶。
休憩後、絵本づくりスタートです。パパとこども達で鑑賞を振り返り、選んだ作品にお話や感想をつけて、アルバム形式の絵本をつくっていきます。パパやとびラーにお話や感想を伝える子、お絵かきをする子、作品を台紙に貼ってお手伝いする子、とそれぞれのペースで絵本が出来上がっていきました。
さぁ、最後はみんなの前で絵本の内容を発表する時間です。この頃になると、こども達も場の雰囲気に慣れたのかとびラーと遊んだりしていたのですが、みんなの前で発表となるとパパの後ろでモジモジ。けれど、一緒につくった絵本を紹介するように、ずっとパパと一緒にみんなの前にいてくれましたよ。
参加いただいたパパ達からは、「紙芝居でみた作品は展示室でもしっかりみていたので、紙芝居で予習をして本物を鑑賞するという流れはいいと思った。」「2人だけで美術館に来ても集中力が続かないが、とびラーにも一緒についてきてもらえるので安心だった。」「鑑賞した作品で絵本をつくるのはいいアイデア。夏休みで旅行等出かけた時に、同じように絵本をつくりたいと思った。」との感想をいただきました。皆さん、貴重な休日に「パパトコはじめてミュージアム」に参加してくださり、本当にありがとうございました!
私達とびラーもパパとこども達に教えてもらったことが沢山あり、楽しくも学びの多い、充実した時間を過ごさせていただきました。今回得た気づきを活かし、次回はよりブラッシュアップさせた形で開催できたらと思います。また、色々なお話に出会えたらいいな!
執筆:藤田まり(アート・コミュニケータ「とびラー」)
とびらプロジェクトに参加して一年目の、新米とびラーです。今後も、アートを介して多くの方と素敵な時間を過ごしていきたいです。よろしくお願いします。
2017.06.17