2020.07.25
第2回鑑賞実践講座
「ファシリテーション基礎(1)」
日時|(A日程)2020年6月29日(月)9:30~16:30
______(B日程)2020年7月25日(土)9:30~16:30
場所|zoom(オンライン)
講師|三ツ木紀英(NPO法人 芸術資源開発機構/ARDA)
◎概要
・全とびラーに開かれた講座。朝から夕方まで1日中×2日間で「ファシリテーション基礎⑴⑵」をとびラーたちが“合宿”的に学ぶ。
・Visual Thinking Strategiesのファシリテーションの基礎を学ぶ
・講師:三ツ木紀英(NPO法人 芸術資源開発機構/ARDA)2012年のとびらプロジェクトスタート当時から鑑賞実践講座を担当。今年は初のオンラインでの講座実施となった。
1日目の「ファシリテーション基礎⑴」では、主に以下の4つの内容を軸に講座が進行されました。
■講師:三ツ木紀英さんのこれまでの活動について(自己紹介として)
■鑑賞の場の観察「ファシリテーションのポイントは何か」
■観察したことをグループでディスカッション、参加している全員での共有。
■ファシリテーションの実践とふりかえり
2020.07.18
第2回建築実践講座「都美の建築に関する資料・素材をしる」
日時|7月18日(土)10:00〜12:00
場所|zoom(オンライン)
講師|NPO法人アート・コミュニケーション推進機構/PARC
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7月18日の昼下がり、本年度2回目の建築実践講座が開催されました。前回に引き続き、東京都美術館からzoomでのオンライン配信です。今回のテーマは「都美の建築に関する資料・素材をしる」。講師として、アート・コミュニケータの小野寺伸二さん、小松一世さん、篠原久美子さん、平野文千さん、山田美佐緒さん(NPO法人アート・コミュニケーション推進機構/PARC)にお越しいただきました。
まずは、山﨑日希さん(とびらプロジェクト)から、これまで実施されてきた建築プログラムのご紹介。つづいて、PARCによる建築ツアーの生配信をじっくり観察しました。休憩をはさんで、とびラー1期から3期生でもある講師の方々による座談会。これまでの建築資料のアーカイヴや、ツアーでの体験や工夫などについてお話しいただきました。そして講座の最後には、「あなたの思う”とびら”らしいツアーとは?」というテーマのもと、少人数のグループにわかれ、それぞれの考えを共有しました。
〇建築プログラムの紹介|山﨑さんは「建築×〇〇(人、表現など)」という切り口から、建築にまつわるアート・コミュニケータの活動の数々を、これまでの記録写真とともにご紹介くださいました。
〇PARCによる建築ツアー|この模擬ツアーに参加したのは、9期のとびラー3名。PARC小野口さんのファシリテートのもと、「はつりコンクリート」をじっくり眺め、抱いたイメージをその場の人たちに共有しています。
〇PARC座談会|PARCの方々がカメラに向けているファイルは、これまでのとびラーによる個別の建築資料を整理しなおしたアーカイヴ。みんなで使える系統だった基礎資料として活用してもらいたいという、先輩とびラーPARCの思いがこもっています。
〇グループワーク|今回もオンラインでの開催でしたが、当日の午後から開催された定期プログラム「建築ツアー」のメンバーであるとびラーたちは、アート・スタディー・ルームから講座に参加しました。オンラインの講座参加者のみなさんに向けて手を振っています。
まとめ:アーカイヴを活用して建築ツアーを組み立てる
とびらプロジェクトの建築ツアーに台本はありません。とびラーひとりひとりが自分の興味や関心に合わせ、オリジナルのトビカン資料とそれを活用したプログラムを生み出しています。
今回の講師をはじめとするPARCのアート・コミュニケータは、時間をかけて集められた数多の資料が、それぞれ制作者本人にしか使えない状況を残念に思い、みんなで使えるアーカイヴの作成に取りかかったそうです。このアーカイヴは、今年度から現役とびラーを対象に公開されており、いつでも内容を閲覧することができます。
PARCのアーカイヴに掲載されているのは、スポットの基本情報や特色といったような、ツアーの一部となる「素材」。決してそのまま暗記して読み上げればい事足りるようなテンプレートではありません。この素材から何をどのように作るのか、そしてそれを誰に届けたいのか。これを考えるのはこれから活動するとびラー自身。
今回の講座で学んだ、これまでの活動の数々、先輩とびラーの建築ツアー、そしてアーカイヴ。そこに込められた先人の知恵やおもいが、よりふかく建築を味わうためのヒントとして、これからの建築ツアーにつながっていくことを願います。
(東京都美術館インターン 久光 真央)
2020.07.18
【開催報告】7月の建築ツアー
日時:2020年7月18日(土) 14時00分~14時45分
場所:東京都美術館
2020年7月18日、ついに今年度のとびラーによる建築ツアーが幕を開けました。
新型コロナウイルス感染拡大への予断を許さない状況のなか、対策を徹底したうえでのプログラム実施です。
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ーー 当日の流れ
とびラーとスタッフは、ツアー開始の1時間半ほど前に2階アート・スタディ・ルーム(以下ASR)に集合。全体の流れを共有したあと、各チームでの打ち合わせに取りかかります。最終確認を終えた14時ごろ、とびラーはチームごとのスタート地点でプログラム参加者と合流。そこから45分間のオリジナル・ツアーが展開されていきます。
ツアー終了後、とびラーとスタッフは再びASRへと戻り、今日のツアーのふりかえりを行いました。
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ーー 建築ツアーにおける感染症対策
このツアーは、およそ3か月におよぶ臨時休館ののち、はじめて開催された館内プログラムでもありました。
感染症拡大防止のため、様々な対策がなされている東京都美術館(以下、都美)。もちろん、この建物をめぐる本プログラムの内容にも大きく影響しています。
以下は、ツアー開催のために実施された主な感染症対策です。
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<ツアー開始前>
・オンライン上での事前予約制、参加者の人数制限
・少人数グループの形成(3グループ各5名*⇒5グループ各3名*)
*とびラー&スタッフ除く
<ツアー実施中>
・ワイヤレス無線機の導入
・2メートルの間隔を保つ(ソーシャルディスタンス)
・建築に「触れない」
<ツアー実施後>
・ワイヤレス無線機などの回収用袋を用意、機材の消毒
・メールでの来場者アンケートの実施
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グループごとに小さな輪をつくったり、目の前のモノに触れてみたり。
こういった建築プログラムでの “あたりまえ” を控えなければならない今回のツアー。そのような状況のなか、どうすれば都美の建築をよりふかく味わえるのか。チームごとに凝らされた工夫が垣間見える回となりました。
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たとえば、このグループでは、ツアー開始前にガイド役のとびラーが参加者同士の間隔を共有していました。それぞれ両腕を広げると、だいたい2メートルの距離が保てるのだそう。
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ーー 「建築的プロムナード」の実践 ―7期とびラーの挑戦
今回フォーカスしたのは、7期のとびラー宮崎保和さんがガイドをつとめるグループ。宮崎さんは都美の建築家・前川國男の理念に関心を抱き、3年連続で建築ツアーに携わってきました。
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そんな宮崎さんの掲げた今回のテーマは、「建築的プロムナード」の実践。
「プロムナード」は、フランス語で「散歩(道)」という意味です。そして「建築的プロムナード」は、都美の建築家・前川國男が師匠ル・コルビュジエから教わった、建築のなかを歩きまわって、さまざまに変化していく空間を楽しむのが良いという考え方。
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宮崎さんは、今回の建築ツアーの開催日が特別展の会期中ではないため館内が混雑していないこと、そして今回のツアーでワイヤレス無線機が導入されたことを、この理念をツアーに取り入れられるチャンスと捉えたそうです。
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スタート地点のおむすび階段をのぼりアートラウンジへ。いったん建物を出て、各棟から正門、そして上野公園へと広がる「エスプラナード」へ。中央のエスカレーターをくだり、地下の入り口から中央棟、そこから連なる公募棟へ。そして再びアートラウンジへ。
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かぎられた時間のなか、タテへ、ヨコへ、中へ、外へ。おおきな歩幅で歩を進めながらも、見どころはしっかりとおさえます。都美館への並々ならぬ思いと、これまでの建築プログラムで積み重ねてきた経験に裏打ちされた、宮崎さんならではのオリジナル・ツアーです。
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このグループで初めて出会った参加者のおふたり。メモを取る手の動きが早くなったり、積極的に質問をするようになったり、しだいにツアーに引き込まれていったようすが伺えました。
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ーー これからの建築ツアーに向けて
ツアー後のふりかえりでは、グループごとに実践された工夫やチャレンジが、とびラーとスタッフへ共有されました。
建築クイズを〇×方式にし、口ではなく両腕でマルやバツを作ってもらうことで、離れた位置に立つ他の参加者へ聴覚ではなく視覚で回答を伝達したり、少人数のグループであることを活かし、積極的に名前で呼びかけることで、より親密な空間づくりに励んだり。感染症の猛威が留まることのない状況下でも、しっかりと建築を味わいながら、魅力を共有したいという、とびラーの意気込みが感じられる回となりました。
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その一方、ツアーを実施したことで、壁や柱といった、これまで積極的に触れていたモノの手ざわりを味わえないことに対するもどかしさなど、これから考えていきたい課題の数々も浮き彫りになりました。
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次回の建築ツアーは9月中旬に開催予定。企画展もクライマックスを迎え、今回とはまた異なる環境での実施が予想されています。感染症対策下でのツアーがどのように活かされ、次のプログラムへとつながっていくのか。今後の動向からますます目が離せません。
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(東京都美術館インターン 久光 真央)