2025.07.10
第1回建築実践講座|「都美の建築と歴史と楽しみ方」
日時|2025年7月5日(土) 10:00〜15:00
会場|AM:東京都美術館 講堂/PM:東京藝術大学 第3講義室
講師|河野佑美(東京都美術館 学芸員)
1925年に閉館した「旧館」の当時の様子や、1975年に「新館」として建設された東京都美術館の建設に至るまでの経緯など、東京都美術館の建物や歴史について、東京都美術館 学芸員の河野佑美さんにお話しいただきました。
また、建築ツアーが生まれた経緯や建築家ではない人がツアーを作り上げていくことについても、河野さんの経験を交えながら熱く語っていただきました。
「新館」建設にあたり、建築家として抜擢された前川國男。彼が東京都から与えられた、幾つものミッションを全てクリアして建てられた現在の東京都美術館にはたくさんの魅力があります。
そんな、東京都美術館の魅力を河野さんが撮影した写真を見て、お話を聞いて味わった後は、とびラー同士で東京都美術館のオススメポイントを紹介するシェアタイムを行いました。
自分のオススメポイントを他のとびラーと共有し、新たな見方や発見ができる時間となりました。
「初めて知った!」・「ここ私も好きな場所」・「同じ場所でも、時間と天気で見え方が違って見えるんです」と楽しそうにお話をしているとびラー達が印象的でした。
東京都美術館で実施している「とびラーによる建築ツアー」は、2012年のリニューアル時におこなった館内ツアーがきっかけで始まりました。
建築家が込めた想い、歴史、建物の色・デザインといった建築を楽しむポイントを切り口に、とびラーと対話しながら味わいます。
ガイドによって、ツアーの内容が変わるのも魅力の一つです。
そして午後は、「とびラーによる建築ツアー」を体験しました。
ガイド経験者のとびラーがガイドとなり、参加者のとびラーと都美館内を45分間で巡りました。
ツアーの後は、各チームごとにふりかえりをおこない、ツアーの感想や印象的だったことシェアしました。
今回、初めての建築ツアーに参加したとびラーは、「こんなに楽しいなんて!」・「45分があっという間だった」とお話ししていました。
最後に1日を通じての感想を共有して、私たちの拠点となる東京都美術館への関心を深めていきました。
(とびらプロジェクト コーディネータ 大東美穂)
2025.07.05
【第6回基礎講座 この指とまれ/そこに居合わせる人が全て式/解散設定】
日時|2025年6月21日(土)10時~15時
場所|東京藝術大学 美術学部 中央棟2階 第3講義室
講師|西村佳哲
内容|とびラーは、自分たちの関心を寄せ合い、アイデアを共有し、プロセスを大事にしながら活動をつくります。この回では、小さく始めるプロジェクトのつくり方や、そこに集まった人みんなの力を活かした活動について学びます。また、活動のはじめ方だけではなく、終わり方のデザインについても理解を深めます。
基礎講座最終回は「とびらプロジェクトの活動の進め方」がテーマです。
特に、とびラーはこの後「とびラボ」というとびラー同士が自発的に開催するミーティングのことで、新しいプロジェクトの検討と発信が行われる場をつくっていきます。
そんな「とびラボ」の「はじめ方/すすめ方/おわり方」や「あり方」について考えました。
講義は西村さんと、とびらプロジェクト マネジャーの小牟田さんのクロストーク形式で進みました。
「この指とまれ式」
新しい活動のアイデアをひらめいたとびラーは掲示板で一緒に活動するとびラーを募集します。3人以上集まったら「とびラボ」のスタートです。
このはじまり方を「この指とまれ式」と呼んでいます。
西村さんや小牟田さんから
・適正人数(グループサイズ)を考えること
・指を立てた人、集まった人同士の想いや視点をよく確かめ合うこと
・成功を目的化しない、プロセスを大事にすること
の3つのポイントが伝えられました。
「人数が多いと感じたり、やりたいことが違っていたりしたら別のラボに分かれてもいい」というお話に「へえー」とうなずくとびラーもいました。
今回の基礎講座も講義の合間にペアで考えたことや疑問点について話し合う時間が多くあります。早速、「この指とまれ式」について活発に話し合いました。
「そこに居合わせる人が全て式」
「とびラボ」では集まった人同士の想いや視点を確かめ合ったあと、いまここで「やりたい・できる・やるべき」アイデアを生み出し育てていきます。
一般的な活動がやるべき事や問題点からアイデアが生まれ、必要な事を考えていくのに対して、「とびラボ」はそこにいる人からアイデアが生まれます。
西村さんの「今夜冷蔵庫にあるもので、なにか美味しいものをつくる」という例えに納得したとびラーも多かったのではないでしょうか。
また、「とびラボ」をすすめる上での新たな試みとして、ミーティングの最後に内容と過程についてふりかえる時間を設けることが西村さんから提案されました。
内容のふりかえりでは、決まったこと、重要なこと、まだ検討が要ることについてを、過程のふりかえりでは、ミーティングの進め方、進み方についてを話し合います。
実際に、今回の講座のここまでの過程をふりかえってみると、
「ペアで話し合う時間があることで疑問が共有できる、けど忙しい」
「1人じゃなくて2人のクロストーク形式だからわかりやすい」
など進め方について色々な意見が出ました。
14期にはきこえない・きこえにくいとびラーがいます。聞こえやコミュニケーションの方法はそれぞれ違うため、ミーティングの進め方も一様ではありません。全員がやりやすい方法をその場にいる全員でその都度考えることが大切であるという認識を共有しました。
「解散」
活動の目的を達成して成果をとびラー自身がふりかえることができたら、その「とびラボ」は解散します。
普段の生活で「終わらせること」を意識する機会はあまりないかもしれません。
「反省会にならないように」という小牟田さんの言葉を受け、「創造的な解散」とはどういうことか考えました。
とびラボ実践編
まず、西村さんから「アイデアとは、既にあるもののあたらしい組み合わせである」というお話があり、アイデアを紐解いてみるワークに移りました。
既存のアイデアは何が組み合わさったものなのか?
たとえば歌番組のように、それぞれ思いついた身の回りのアイデアを紐解き、自分の発見を楽しそうにシェアする様子が印象的でした。
続いて、とびらプロジェクト コーディネータの越川さんから過去の「とびラボ」の事例を聞きました。
アイデアが生まれ活動へとつながっていく過程を具体的にイメージすることができたのではないでしょうか。
全6回にわたる基礎講座、お疲れ様でした!
基礎講座を終えられた今、どのようなお気持ちでしょうか?
「よし、どんどん活動していくぞ!」という方もいれば、
「まだ全然わかんない、果たしてやっていけるのか、、、」という方もいらっしゃると思います。(こちらの方が多いかも?)
東京都美術館のミッションのもと、とびラー・都美スタッフ・藝大スタッフが一体となってとびらプロジェクトの活動をつくっていきましょう!
(とびらプロジェクト アシスタント 三原凜子)
2025.07.04
【第5回基礎講座 ミュージアムとウェルビーイング】
日時|2025年6月7日(土)10時〜15時
場所|東京藝術大学 中央棟2階 第3講義室
講師|中原淳行(東京都美術館学芸員 学芸担当課長)
小牟田悠介(東京藝術大学 芸術未来研究場 ケア&コミュニケーション領域 特任助教)
熊谷香寿美(東京都美術館 学芸員 アート・コミュニケーション係長)
内容|第5回目の基礎講座では、とびラーの活動拠点である東京都美術館のミッションとその背景について学芸員から話を聞きます。また、展覧会の鑑賞を通して、ミュージアムにおけるウェルビーイングについて考えます。
・東京都美術館のミッションができるまでの背景とは?
・ウェルビーイングとは何か?
・ミュージアムってどんなところ?
東京都美術館のきのう・今日・あした
東京都美術館は2012年のリニューアルオープンに合わせて新たなミッションを掲げ、そのミッションに基づいて様々な事業を展開してきました。
東京都美術館の使命(ミッション)
東京都美術館は、展覧会を鑑賞する、子供たちが訪れる、芸術家の卵が初めて出品する、障害のある方がなんのためらいもなく来館できる、すべての人に開かれた「アートへの入口」となることを目指します。
新しい価値観に触れ、自己を見つめ、世界との絆が深まる「創造と共生の場=アート・コミュニティ」を築き、「生きる糧としてのアート」と出会う場とします。そして、人びとの「心のゆたかさの拠り所」となることを目指して活動していきます。
基礎講座第5回目の午前の時間では、ミッションの策定に携わった学芸員の中原淳行さんから、言葉に込めた想いや、中原さんの原体験となったミュージアム体験についてとびらプロジェクト プロジェクトマネジャーの小牟田さんがきき役となってお話を伺いました。
とびラーは3人組に分かれて、感想のシェアタイム。
中原さんの当時の記憶を順を追って丁寧に言葉にして話されていく様子に魅き込まれながら、自身の忘れられないミュージアム体験や、東京都美術館のミッションを改めて読んで感じたことについての話など、盛り上がっていました。
来年に100周年を迎える東京都美術館が、これから何を目指していくのかについてもお話は展開し、中原さんからの「これからが楽しみですね」という投げかけに、大きくうなづくとびラーの姿が印象的でした。
展覧会を体験する
午後は、とびらプロジェクト マネジャーの熊谷さんから「ミュージアムってどんなところ?」というテーマで、展覧会の空間は、作品といい出会いができるようにデザインがされているというお話で始まりました。
その後、東京都美術館で開催中の「ミロ展」(会期:2025年3月1日(土)〜7月6日(日))を、空間構成やストーリーに注目して、鑑賞をしにいきました。本展覧会の特徴は、個展としてミロの生涯を通した作品の変遷を体感できるところにあります。
展覧会に行く前にとびラーには熊谷さんから、
・ミロとどんな風に出会いましたか?
・どの時期の作品に一番共感しましたか?
という2つの問いをもって、50分間じっくりと鑑賞しました。
鑑賞から帰ってくると、再び3人組に分かれて、印象に残った作品について共有していきます。
「私もその作品に共感した!」「なるほど、そういう視点もあるか!」とさまざまな感想が交わされました。
ミュージアムとウェルビーイング
最後に熊谷さんから、ミュージアムとウェルビーイングがどのように繋がっているのかについて、とびらプロジェクト、Museum Startあいうえの、Creative Agingずっとびでの実践も題材にレクチャーがありました。
どの状態がウェルビーイングなのかは、人によって、国の文化によって、時々によって違うのではないかという問いかけに、自分にとっての「良い状態」はどんなときであるのかについて、改めて考える時間となりました。
活動の拠点である東京都美術館では、なぜ3つのプロジェクトを行っているのか。
東京都美術館のミッションを出発点に、ミュージアムでの市民の関わりとしてアートコミュニケータが生まれた背景とその意義について、世界的なミュージアムの潮流もふまえながら、これからの活動の拠点について考える時間となりました。
基礎講座も残すところあと1回。
今までの基礎講座での学びが積み重なって、今日の活動にも生きてきているように感じます。
次回の講座では、とびラボの特徴でもある「この指とまれ/そこにいる人が全て式/解散設定」に込められた意味について、考えていきます。
(とびらプロジェクト アシスタント 久保田夢加)
2025.07.02
ライティングにより昼とはまったく印象が変わる東京都美術館を散策する金曜夜限定40分のツアーです。
夜ならではの建物のみどころをとびラー(アート・コミュニケータ)がご案内します!
美術館全体が、まるで宝石箱のような輝きを放つ夜。昼とは違う表情を一緒に楽しみませんか?
※事前申込が必要です。
日時|
① 2025年7月25日(金) 19:00 – 19:40(受付開始18:50)
② 2025年8月1日(金) 19:00 – 19:40(受付開始18:50)
会場|東京都美術館
対象|どなたでも
参加費|無料
定員|①20名 ②16名(先着順・定員に達し次第受付終了)
参加方法|事前申込制。以下の専用フォームよりお申し込みください。
① 7月25日(金)のご参加
【申込の際にお願い】
1)参加される方のお名前でお申込みください。
2)複数名での参加を希望の場合、参加希望のそれぞれ1人ずつの申込が必要です。
※小学生以下のお子様が参加される場合は、その他連絡事項欄に年齢のご記入をお願いします。
※特別に配慮が必要な方はお知らせください。
※定員に達し次第、申込み受付を終了いたします。
※本フォームでのお申し込みが完了すると、「返信先Eメールアドレス」宛にメールが届きます。必ずご確認ください。
※お申し込み前に「迷惑メール」などの設定を確認し、「@tobikan.jp」からのメールを受信できるようにしてください。申込受付完了の自動返信メールが届かない場合は、お申込みされたお名前と電話番号を明記のうえ、p-tobira@tobira-project.info(とびらプロジェクト)宛にメールをお送りください。
※広報や記録用に撮影を行います。ご了承ください。