東京都美術館× 東京藝術大学 「とびらプロジェクト」

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きく力について考える:3回目基礎講座

3回目の基礎講座が開催されました。講師は西村佳哲氏。テーマは「きく力について考える」です。

 

「とびらプロジェクト」の基礎講座は「やり方」を教える講座ではないので、来館者の前で上手にお話ができる「話し方」などの講義はありません。アート・コミュニケータ(とびラー)に必要なのは、発信力より受信力、相手の意見や気持ちを受け止めることのできる力、すなわち「きく力」だと考えています。

 

そこで、今回の基礎講座は「きく力」をキーワードに進められました。講師の西村さんのお話を聞くだけではく、とびラー同士でコミュニケーション取りながらの講座となりました。そして、「きく力」(受信力)の話から、プロジェクトを進めてゆく上で必要となるさまざまな心構えや予備知識の話へと講座は展開して行きました。

 

今回の西村さんのお話でとても興味深かったのが、「80%=20%の法則」です。80%の成果は20%の活動エネルギーよって生まれるという説で、「パレートの法則」としても広く知られています。
この「80%=20%の法則」を、プロジェクトの成長課程に当てはめると、とても面白い見方ができます。
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「80%の成果は20%の活動エネルギーによって生まれる」と仮定すると、
1、80%の成果は20%の時間で達成できると考えられます。
2、また逆に残り20%の成果を生むには、全体の80%の時間を費やさなくては成らないとも読み取ることができます。
縦軸を質(成果)、横軸を時間として、この状況をグラフにするとスライドのような曲線が描かれます。そして、質(成果)が凡そ80%に到達したところを分岐点としてとらえ、時間軸から見る前者を1、時間軸から見る後者を2として、それぞれの特性を分析すると以下の様に解釈することができます。
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1、80%の質(成果)をあげる20%の時間 = トライ&エラーを繰り返して急激にイメージが実態化される期間(創造的成果が問われる期間)
2、残り20%の成果を詰める80%の時間=丁寧に仕事を整理してプロジェクトの制度を高める期間(生産的成果が問われる期間)
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これについて西村さんは、こうした曲線を辿らず進行するプロジェクトもあり得る、しかし、高い成果を残すプロジェクトにみられる成長曲線は、このスライドにあるような曲線をたどるプロジェクトであると言います。その理由は、1、2の両方の状況が顕在化していることがプロジェクトにとって理想的であるからだとのこと。
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この、1「創造的成果が問われる期間」と2「生産的成果が問われる期間」とが顕在化することの重要性については非常に納得でした。創造的な発想をバネに失敗を恐れず進行しなくては成らない1の時期と、積み上げた成果をキチンと価値付けてゆく2の時期、確かにどちらもないとよいプロジェクトにはなりません。
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もう一つの興味深いポイントとしては、1と2転換期(80%地点)を「壁」として捉えることができるところです。創造的な取組みに注力し、急激に成長したプロジェクトであっても、ある時からその成長が伸び悩む時期が訪れます。
それを「壁」という言葉で表しますが、実はのこ「壁」は仕事への意識を変えるタイミングであると解釈することができます。「やり方を変える」「求める成果を変える」など意識を変えることで、その「壁」は越えることができるばかりか、プロジェクトの完成度をさらに高めチャンスとなり得るのです。

各々どのように西村さんの話を「きいた」のかを共有したながら講座は進められました。

 

コミュニケーションを取りながらの講座は、自分だけの解釈の枠を越えて、さらに深い理解へと導いてくれます。

 

午後はコミュニケーションについて考えるワークショップを行ないました。こちらは、昨年の基礎講座でも実施された内容なので、詳しくは「H24基礎講座2回目」をご覧下さい。基礎講座も3回目を修了し、全6回の基礎講座も折り返しとなりました。とびラー2期生もどんどん成長しております。どんどん加速してゆきます!
(とびらプロジェクト・マネージャ 伊藤達矢)

2013.05.11

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