東京都美術館× 東京藝術大学 「とびらプロジェクト」

活動紹介

【活動報告】「おしゃべり花さんぽ」で“アートへの入口”を考えた!

2018.03.24

 

「とにかく作品を鑑賞して対話したい!」という思いから始まった、かけだしの作品鑑賞企画「おしゃべり花さんぽ」。鑑賞した「第85回 池坊東京連合支部 いけばな池坊展」は、いけばなの固定概念を覆すような(少なくともいけばな鑑賞のビギナーにとっては!)バラエティに富んだ作品も数多く出展されており、参加とびラーたちは興津々!で展覧会をめぐりました。

今回はとびラーだけでの試験的な実施となりましたが、鑑賞の視点を共有するためのアイデアをたくさん交わし、どんなプログラムが「アートへの入口」となりうるのかをあらためて考える有意義なトライアルとなりました。

 

このプログラムを企画していた当初は、ちょうど「ブリューゲル展」の期間中でもあり、展覧会には多くの花を題材にした作品があったことから、花を鑑賞のテーマに考えました。さらに「限られた時間の中でどの作品にフォーカスするか?」「より多くの人たちに関心を持ってもらえるには?」などと議論するうち、絵画に描かれた花ではなく、同時期に開催される公募展「第85回 池坊東京連合支部 いけばな池坊展」で活けられた、本物の花を扱う作品を鑑賞してみよう!ということに。

 

正直なところ「いけばな」は、とびラーたちにとっても馴染みの薄いものです。しかし「いけばなへの入口」をどう楽しむかは、まさに「アートへの入口」を広げる私たちとびラーに与えられたチャレンジでもありました。

いけばなという作品について、それぞれが感じた鑑賞の体験を共有するために、あれやこれやの議論の末、今回のプログラムでは2つの方法をトライしてみることに。

(1)参加者それぞれの印象に残ったいけばなの作品を、感想や見どころ伝えるためにイラストに描く

(2)もともとタイトルのない作品に、自分なりのタイトルをつける。それを和紙に筆で書く!

こうして、いけばな作品の魅力を共有し、話し合うことにしました。

 

いけばな池坊展には多くの人が出品するため、会場がとても混み合います。つまり「おしゃべり花さんぽ」の参加者たちが、作品の前を占拠しておしゃべりしながら作品を見るのは望ましくない状況です。しかし、気に入った作品をただ単に写真に撮って見せ合うだけでは楽しくない。そこで(1)(2)のような工夫が生まれました。

こうした工夫を通して各参加とびラーから紹介されたのは、枝ぶりやフォルム、花材のユニークさ、細部への気づき、作品の世界観、そこから連想される物語など、実にさまざまな視点でした。

同じいけばな展を見ても、ピックアップする作品も違えば、目の付け所もまったく違う。いけばなについて特別な知識はなくても自由に作品を味わい、感想や発見を交換し共有できる楽しみ!──そんなことを肌で感じることができました。

今回のプログラムはとびラー内部での実験的な実施となりましたが、美術や美術館に馴染みのない人たちとも、きっと楽しい交流ができるはず。とびらプロジェクトではこれからも、たくさんの「アートへの入口」を作る工夫を発信していきます。(機会があれば、ぜひ参加して体験してみてくださいね!)


 

執筆:北田郭時(アート・コミュニケータ「とびラー」)

作品を見ながら「あーでもない、こーでもない」と話している人たちを見ているのが好きでとびラーに。

普段は人見知りだけど、役割を見つけると元気になります(笑)

 

 

 

執筆:濱野かほる(アート・コミュニケータ「とびラー」)

美術館と来館者を楽しくおもしろくつなぐ架け橋になりたい!と作品鑑賞のプログラムを中心に活動中の3年目。来館者の笑顔を目指して様々なコミュニケーションを模索しています。アウトドアと動物大好きとびラー。

【あいうえの連携】うえの!ふしぎ発見:コレクター部(2018.3.22)

2018.03.22

「うえの!ふしぎ発見」は、上野公園に集まる複数のミュージアムによるコラボレーションプログラム。年間を通して6種類のコラボレーションプログラムが行われます。
今回の「うえの!ふしぎ発見:コレクター部」は、上野の森美術館、東京都美術館、東京藝術大学によるコラボレーションプログラムでした。2つの美術館の学芸員と大学の研究員が協力してプログラムを企画し、当日は、アート・コミュニケータ(とびラー)も共に活動しました。

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(「Museum Start あいうえの」ブログに移動します。)

【あいうえの連携】45分でミュージアム冒険のコツを伝授!あいうえの日和(2018.3.17-18)

2018.03.18

今年度最後の「あいうえの日和」が3月17日(土)、18日(日)の週末に全4回、開催されました。「あいうえの日和」は、45分間でミュージアム冒険のコツをマスターするファミリー向けプログラム。25組×4回で、100組200名のこどもと保護者が参加しました。きょうは、こどもだけでなく、保護者も一緒にミュージアム・デビューをする日です。

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【あいうえの連携】平日開館コース:埼玉県立伊奈学園中学校1年生(2018.3.6)

2018.03.08

2018年3月6日、埼玉県立伊奈学園中学校の中学1年生が80名、東京都美術館のアートスタディルームに到着しました。

今回は、校外学習として来館。午前中にあいうえのの「平日開館コース」でアート・コミュニケータ(とびラー)と共に作品鑑賞を楽しみ、あいうえののオリジナル教材「ミュージアム・スタート・パック」をプレゼントして、上野公園の9つのミュージアムの魅力や楽しみ方を学習します。
そして、午後は、班別行動で希望する上野公園内のミュージアムに出かけ、展示を楽しむという流れです。午後の班別ミュージアム冒険では、午前中に手に入れたばかりのオリジナル教材「ミュージアム・スタート・パック」を活用し、行き先のミュージアムでオリジナル缶バッジを集めたり、発見や気づきを冒険ノートにまとめたりと、あいうえのの要素が早速活きる仕組みになっています。

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【開催報告】「女子美さんぽ」開催しました。

2018.03.04

2018年3月4日 午前、午後の2回に分けて「女子美さんぽ」を開催しました。

 

「女子美さんぽ」とは、東京都美術館公募棟で行われる女子美術大学 大学院・大学・短期大学部から選抜された学生の作品展、付属高校卒業制作展と卒業生の特別展示を合わせた展覧会「JOSHIBISION 2017 ”アタシの明日”」において、当日来館された参加者の方ととびラー(アート・コミュニケータ)が小さなグループとなって、会場内をまるで散歩をするようにゆるやかに回りながら一緒に作品を鑑賞し、また作者である学生さんたちと対話を楽しむというプログラムです。

とびらプロジェクトで「女子美さんぽ」を行うのは、今年で4回目となります。

 

まずは参加者の受付から。今回は午前、午後の部ともに3つのグループで構成しました。各グループに参加者2~3名、とびラー2名の構成です。

参加は当日受付。その日に来館された方から希望を募り、ご案内しました。友人同士のグループやご家族、お1人での参加など、みなさんいらっしゃった経緯は様々です。

 

グループが決まると、進行役のとびラーが自己紹介とあわせてアイスブレイクとなるおしゃべりタイムを設け、これからはじまる展示室でのさんぽ気分を盛りあげます。

さあ、いよいよ展示室へ。ここから「さんぽ」のスタートです。

VR(バーチャルリアリティー)を駆使し、体験型の作品を制作した学生も。実際に参加者の方にもトライしていただきました。

中に入って楽しむ作品。交代ですっぽりと入っていただきました。

作品を鑑賞しながら、参加者ととびラーみんなで感じたことを語り合い、それぞれの思いを共有します。

同じ作品でも、見る人それぞれに違った見方があることに気づくことで、新たな興味が湧いてきます。

そして、これぞ「さんぽ」の醍醐味!作者である学生さんと直接対話をしながらの鑑賞タイム。作品に対する想いやコンセプトを聞いたり、直接質問を投げかけたりと、作品を介してコミュニケーションが生まれ、作品への理解がぐっと深まります。

作者の学生さんたち。清々しい表情から作品への情熱が伝わってきます。

 

展示室でのさんぽのあとは、参加者の方に、作品を鑑賞しながら交流した作者の方々に向けて、応援のメッセージカードを書いていただきました。

 

 

メッセージの一部を紹介させていただきます。

「ひとりの時間の過ごし方を素敵に表現されていたと思いました。五感で感じられる作品で好きです。」
「高いデザイン性と趣味性を感じました。また、ノスタルジーや切ない感じも同時に感じました。全体としてとてもクオリティーが高い作品でした。」
「上品さと上質、情熱のようなものが感じられる作品だったと思います。素材感も感じられ、引きでも寄りでも楽しめる作品でした。」

 

また、今回の「女子美さんぽ」のプログラムについては

☆何といっても作者本人と話せるのが良かった。

☆学生のエネルギーを肌で感じ、感銘を受けました。

✩作品をじっくりと鑑賞できて良いですね。

☆作品を見ながら対話をするのは初めてでした。新しい鑑賞の仕方を知りました。

☆作者の説明を聞いて、作品への興味が湧きました。また、質問をすることで、更に作品に引き込まれました。

といった、うれしい感想をいただきました。

 

 

美術館というフラットな場を通して、見に来てくださった来館者の方々と作品、そして作者をつなぐことで、和やかな雰囲気のなかに新しいコミュニケーションが生まれたことは、私たちアート・コミュニケータとして、その役割を果たせたものと実感でき、充実したプログラムとなりました。

来年もまた「女子美さんぽ」で、多くの方々と笑顔あふれる楽しい出会いができますように。

ご参加、お待ちしております!


 

執筆:黒佐かおり(アート・コミュニケータ「とびラー」)

対話型鑑賞に触れたことがきっかけで、とびラーになり丸1年が過ぎました。講座で学んだことを、スクールプログラムなどで実践する毎に、対話型鑑賞の奥深い魅力に引き込まれています。旅を愛する牡牛座B型。

アクセス実践講座⑧|「一年間を振りかえる」

2018.02.18

今年度のアクセス実践講座は、2月18日が最終回となりました。3つのラウンドにわけて、一年間を振りかえります。講座や関連する実践の場で考えたこと気づいたこと、その場や直後の振りかえりだけでなく、講座の目的やご自身の目的に立ち返って、学びや実践の意味を再度丁寧に振りかえっていくための時間となりました。

 

第1ラウンド:講座に関する振りかえり

講座の目的を確認し、講座がどのような構造になっていたのか、各回の内容をおさらいしながら、振りかえります。

 

事前課題としていた、振りかえりシートにもぎっしりと記入があります。

 

グループディスカッションでは、事前課題の中にあった「今年度の講座で印象に残ったキーワード、内容」について3人組で共有しました。

 

第2ラウンド:講座に関係する実践の振りかえり

とびラボからは、「アート筆談deコミュニケーション」、キッズデーで実施された「とびとびスペシャル ボストン美術館」に関わったとびラーから発表を行ってもらいました。

 

発表では、私たちは「どんな社会的課題に気づいたのか」、「どんな人が美術館に行くのが難しいのか」、「なぜその実践を行なったのか/参加したのか」、「実践から得られた可能性と課題」といったトピックについても、取り上げられました。

 

講座の目的とも重なる取り組みである、Museum Start あいうえの「ミュージアム・トリップ」、「あいうえのアンバサダー」(「子どもをミュージアムに連れて行きたいけれど、なかなか機会がない」という方を対象に、とびラーがミュージアム・デビューを応援するプログラム)についても、実践に取り組んだスタッフととびラーから発表がありました。

 

第3ラウンド:今年度の講座・実践をうけ、これからトライしたいこと

第1、2ラウンドをうけ、今年度の講座・実践をうけて、これから自分がトライしたいことを考えてもらいました。まずは、個人で考える時間を取り、その後は、マグネットテーブルという手法を使って、「似たことを書いている人」、「一緒になると化学反応を起こせそうな人」、「自分の書いたものを捨ててもいいと思える案の人」を見つけて、5〜6人のチームを組んでもらいます。

 

チームができたところから、(1)自分のアイディアとチームの人のアイディア、どこが似ていると思ったのか、(2)なぜ化学反応が起こせそうなアイディアなのか?どんなことが実現できそうなのか?、(3)なぜ自分のアイディアを捨てても良いと思ったのか?、といったテーマでグループディスカッションを進めてもらいました。

 

グループディスカッションの後は、全体での共有を行いました。「アクセス」といっても、イメージする「対象」や「課題」、アプローチする「手法」にもバリエーションがあります。

今年度のアクセス実践講座は終了しましたが、実践に向けたスタートでもあります。「美術館に行くことが難しい人が、来館し、利用するために、どのような支援が必要なのか」、マグネットテーブルで話し合ったとびラーのアイディアが実を結び、届けたい方たちのもとに届くことを願っています。

 

(東京藝術大学美術学部 特任研究員 菅井薫)

【あいうえの連携】スペシャル・マンデー・コース(2018.2.13)

2018.02.13

2018年2月13日(火)のこの日、今年度最後の「スペシャル・マンデー・コース(学校向けプログラム)」が行われました。

「スペシャル・マンデー・コース」とは、休室日(月曜日)に学校のために特別に開室し、ゆったりとした環境の中でこどもたちが本物の作品と出会い、アート・コミュニケータ(愛称:とびラー)と共に対話をしながら鑑賞する特別なプログラムです。

参加したのは、全部で3校。保育園の年長のみなさんと足立区と江戸川区の2つの小学校からやってきた3年生のみなさんです。

江戸川区立南小岩第二小学校3年の様子はこちら→
足立区立東加平小学校3年の様子はこちら→
深川一丁目保育園の様子はこちら→
(「Museum Start あいうえの」ブログに移動します。)

「とびらプロジェクト」フォーラム・当日の記録映像を公開します

2018.02.03

平成30年2月3日に開催した「とびらプロジェクト」フォーラムは終了しました。ご来場頂いたみなさま、ありがとうございました。

フォーラム当日の記録映像が出来上がりましたので公開します。是非ご覧ください。

 

第7期とびラー 応募受付は、2月13日(火)消印有効です。

 


とびらプロジェクトフォーラム「アート・コミュニケータ奮闘記ーうまくいったり、いかなかったり」
詳細はこちら

 

1. とびらプロジェクトとは?…大谷郁

 

2. アート・コミュニケータが語る自分のはたらき

…(語り手)工藤阿貴・亀山麻里/山木薫・山﨑奈々/太田代輔・小田澤直人・近藤乃梨子/
小野寺伸二・小松一世
…(聞き手)西村佳哲・稲庭彩和子

 

3. パネルディスカッション「うまくいったり、いかなかったり」を支える人のつながりとは?

…日比野克彦・西村佳哲・森司・稲庭彩和子・伊藤達矢

 

4. オープン・スペースカフェ

 

 

 

 

写真撮影:中島佑輔

【開催報告】「なりきりアーティスト」東京藝術大学卒業・修了作品展

2018.02.03

2018年2月3日土曜日、東京藝術大学卒業・修了作品展において、「なりきりアーティスト」を開催しました。
「なりきりアーティスト」とは、藝大生が制作した作品をワークショップ参加者が作ったと想定して、参加者の皆さんに作者になりきってコンセプトや作品タイトルなどを語ってもらうワークショップです。例年につづき今回で3回目の開催となり、6名の様々な”なりきりアーティスト”さんに参加していただきました。

 

開催日である2月3日は節分の日、明日は立春という天気の良い春めく日でした。そして第66回目にあたる東京藝術大学卒業・修了作品展の最終日。東京都美術館や大学構内は学生の集大成である作品を観に来る人々で大賑わい、そしてエネルギー溢れる作品たちを感動した面持ちで鑑賞していました。
そんな中、応募してくださった皆さんを大学美術館前にて待つとびラー。

 

ポカポカ暖かくて、これから楽しいワークショップが始まるワクワク感が増します。さて、今年の「なりきりアーティスト」はちょっとした「仕掛け」をご用意しました。受付にてグループ分けされた参加者の方々に、なりきっていただくための小道具をお配りしています。ベレー帽やアーティスト風メガネなど、お好きなアイテムを選んで身に付けていただきました。みなさん、喜んで身につけるあたりにさすがのやる気を感じます。「なりきろう!」と応募されてきただけあって、楽しもうという姿勢が圧巻です。

みなさん集合されたところで、これからのワークショップの流れを説明。

今回は、1グループ3名の参加者に対して、3名のとびラーが付き添います。
2つのグループに分かれて、それぞれ1つの作品を鑑賞します。その後、鑑賞した作品の作者に一人一人がなりきって語り、お互いの発表を聞きあいます。

 

はじめに2グループに分かれて自己紹介とアイスブレイクです。
もうこのあたりから、参加者の皆さんのわくわくした面持ちが伺えます。
グループごとに大学美術館の地下へ降りていきます。

まずはグループごとに、自分が作者に「なりきる」作品を鑑賞します。鑑賞のポイントは以下の3点に絞って考えます。

1. どうしてこの作品を作ったの?

2. みんなに見て欲しいポイントは?

3. もしあなたがタイトルをつけるとしたら?

上の3点が書かれた「ヒントシート」にメモをしながら鑑賞していきます。

 

こちらは「おさるチーム」の様子。


立体の作品を前から後ろからじっくり観察しています。

 

こちらは「ぶどうチーム」。
大きな絵画の前でじっくりと作品を鑑賞しています。

 

ゆっくりと鑑賞し終えたら「なりきり」発表です。まずは絵画作品の「ぶどうチーム」から。発表をしてもらう方には「なりきりマイク」と「なりきりタスキ」をかけていただきました。

みなさん堂々と自分が描いたのかのように作品について語ってくれました。

お話ししてくださったのは、こんなこと。

・ぶどうがワインになる直前の輝きを表し、「これからの豊穣」と「果物のこれから」を考えて描いたと想像した。
・自分を病床から復活させてくれた「種無しぶどう」を描きたかったが、不作のため用意できず、「種ありのぶどう」を描いた。
・ワイナリーを経営しながら、素材のぶどうについて勉学しながら描いた作品である。

どれもこれも、とてもユニークな「なりきり」発想に、会場には笑いが絶えません。

 

他の参加者からの質疑応答はインタビュー形式で行います。活発に質問が飛び交い、その質問にも作者になりきって答えていただきました。

 

そこへ、その様子を見ていた本物の作者が登場!みなさんの想像の豊かさに驚き、頷き、真剣に見入っていらっしゃいました。そしてとても楽しかった様子です。
まずはみなさんのなりきりに関しての感想、そして”本当の”コンセプトや絵に対する想い、また、絵を描いている時に考えていることなどを語っていただき、その後みなさんからの質問にも丁寧に答えていただきました。

 

 

次に全員で「おさるチーム」の作品の場所へ移動します。こちらは立体の作品です。


複数体の猿をモチーフに作られたこちらの作品では、キャラクター同士の関係性を想像する人も多かった様子。みなさんがつけた作品のタイトルにも注目が集まりました。

・祖父との思い出が作品になった「あの日のリアル」
・思い出のある動物園が壊され、新しい建造物が立つことに異議を唱える作品「建設反対」

・人間関係のストレスから退職した人が、そのエネルギーをものづくりへと変換した作品「どこ見てんだよ」

どの方も堂々とアーティストに「なりきって」、独自の視点と発想で、見て感じたことを語っていました。

 

こちらの作品でも、最後に本物の作者が登場。発表中は横の方で、自分の作品がどう語られるのか、興味津々で見守っていらっしゃいました。
こちらもみなさんの「なりきり」の感想から始まり、作品が語るストーリーや、制作過程での秘話、技法についてなど詳しくお話ししていただきました。

本物の作者のお話に、みなさん真剣に聞き入り、質問をしたりと、自分自身が作者に「なりきる」からこそ深く考えたやりとりが続きます。

 

最後に会場の外にて、グループごとにワークショップの感想を共有し、本物の作者の方々へ応援のメッセージを書いていただきました。

これにて「なりきりアーティスト」は終了。終始和やかに楽しく、和気藹々とした雰囲気でした。

今回参加してくれた藝大生の作家のお二人からのメッセージの一部抜粋をご紹介します。

 

「参加なさっていたみなさんがおっしゃっていた言葉のどれもが、
私自身が作品について考えている一側面でもあったので、
ひとりひとりの発表内容から、大変多くのことを学ばせていただきました。」

 

「普段の展示では聞けないような違う視点からの感想を聞くこともできて、
新しい発見もありつつとても勉強になりました。
参加者の方々も楽しく感想を述べてくださっているようで良かったです。」

 

じっくり作品と向き合った参加者みなさんの視点によって、作者の方も、また私たちとびラーも、いろいろな解釈に驚き、納得し、楽しめたことは言うまでもありません。とても素晴らしい「なりきりアーティスト」さん達でした。また、そんな参加者の言葉を真摯に受け止めていただいた藝大生のお二人にも感謝いたします。

 

美術作品を観るときに、「もし自分だったら、なぜこの作品を作るのだろう?もし自分が作ったとしたら、どこを一番観て欲しいのか」などと考えながら観ることは、その作品を深く鑑賞することに繋がるのではないかと思っています。また作者にとっても、卒業・修了制作にあたる作品で鑑賞者にそのように観てもらい、どんな風に感じてもらえるのかを知ることは希少な体験で、これからの作品制作や美術とともに歩んでいく過程のなかでプラスになることもあるのではないかな、と考えています。

そんなことを思いつつ、その日、その時初めて出会った方々と、作品を通して感じる心の違いを尊び楽しめたらいいなと思っています。とびラーにとっても、みなさんの素晴らしい感性に触れて寄り添わせていただけることは貴重な体験で、新たな価値の創造に繋がっていると思えるのです。

 

あなたもぜひ「なりきりアーティスト」の体験をしてみませんか?

そして、またいつか「なりきりアーティスト」でお会いしましょう。

 

ごきげんよう。

 


執筆:アート・コミュニケータ(とびラー)上田紗智子

アートとコミュニケーションが大好きで、そこを繋げることに興味を抱きとびラーに。あっという間の2年が過ぎ、最後の3年目。人とコミュニケーションしながら鑑賞する、その深さを追求していきたい。そして世界に笑いを!

【あいうえの連携】平日開館コース:北区立稲田小学校6年生(2018.1.31)

2018.02.02


2018年1月31日(水)、北区立稲田小学校の6年生19名が、Museum Start あいうえのの学校プログラムに参加し、「東京藝術大学卒業修了作品展」を鑑賞しました。
プログラムの様子はこちら→
(「Museum Start あいうえの」ブログに移動します。)

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