2016.09.05
9月4日(日)、あいうえのファミリー向けプログラム「うえの!ふしぎ発見:アニマル部」が行われました。これは上野公園の3つの文化施設(恩賜上野動物園、東京都美術館、東京藝術大学)が連携して実施するプログラムです。動物園の飼育員、美術館の学芸員、大学の教員が共にプランニングし、小学生とその保護者計26名の参加者と、参加者に伴走するとびらプロジェクトのアート・コミュニケータ(とびラー)13名が共に活動しました。
プログラムは午前・午後にわたって行われ、
はじめに、東京都美術館で動物をモチーフにした彫刻作品を‘観察’(鑑賞)し、
次に、恩賜上野動物園でホンモノの動物を観察。
その後、先の彫刻作品と同じ素材のくすの木の固まりに、想像上の「自分をまもってくれる動物」を描いてみる、という活動でした。
プログラムの様子はこちら→
(「Museum Start あいうえの」ブログに移動します。)
2016.08.31
2016年8月30日(水)、東京都美術館で開催されている企画展「開館90周年記念展 木々との対話──再生をめぐる5つの風景」に葛飾区立葛飾小学校の4〜6年生のこどもたちがたずねてくれました。
今回来てくれたのは、夏休みに開催される学校主催の「サマープログラム 美術館へ行こう!」に参加してくれた有志のこどもたちです。
普段からよく美術館に訪れる子も多く、今日の活動をとても楽しみにしてくれていたそうです。
台風の接近が心配されましたが、お天気の心配なんてふっとんでしまうくらい、こどもたちはもちろん先生も今日のプログラムにやる気いっぱい!強い熱意のもと、無事開催されました。
プログラムの様子はこちら→
(「Museum Start あいうえの」ブログに移動します。)
2016.08.26
夏も盛りの8月26日、夜間開館の時間帯に、ヨリミチビジュツカンを開催しました。
金曜の夜にぶらりと美術館に足を運び、そこで出会った人たちと、作品をみながら自由にコトバを交わす時間を過ごしてもらいました。今回は7名の方にご参加いただきましたが、音楽関係者の方が多めの回となりました。
受付をすませたみなさんが徐々に集まり、簡単な自己紹介のアイスブレイクをします。今回はポンピドゥーセンターにちなんでフランス国旗のシールを用意し、みなさんにつけてもらいました。そして用意したヨリミチカードを引いてもらい、同じ色の方同士2名にとびラー1名が加わった3人一組のグループに分かれます。こうして展覧会場に出発です。
グループ毎にざっと会場をめぐって展示空間を把握し、集合場所を確認したうえで、最初は30分間の個人鑑賞の時間です。カードに書かれたテーマ「あなたにとって傑作はどれですか?」にフィットする作品をそれぞれ探してもらいます。ひとりで作品と向き合ってもらう時間です。
この展覧会は、1906年から1977年までのタイムラインにそって、1年ごとに1作家の1作品を紹介するという特徴的な構成になっています。その意味ではバラエティに富んだ作品が集まった展覧会ともいえます。また、3つのフロアの展示空間が、それぞれ異なる色や動線でデザインされていて、そこも見所です。
個人鑑賞を終えて、それぞれの傑作をメモしてカードを手にみなさんが集合場所に戻ってきました。ここからは3人のグループで話しながら、それぞれが選んだ「傑作」を順に鑑賞します。グループが一つのフロアに集中しすぎないように、全員の選んだ作品番号を聞き、順路を割り振って鑑賞に向かってもらいます。
この展覧会では、通常の作品のキャプションに加えて、それぞれの作家の言葉が書かれています。なかなか含蓄のあるものばかりで、これも話の材料になっていたようです。みなさん通常は一人で展覧会に行くことが多いそうですが、今日は感想を共有しながら見る展覧会を楽しんでもらいました。
グループ鑑賞を終えると、ASR(アートスタディルーム)に場所を移して、ヨリミチカフェの時間です。お茶とお菓子でリラックスした雰囲気の中、もういちど図録で作品を見ながら、あらためて話が弾みます。ここでは別のグループが鑑賞した作品の話も共有します。
今回のテーマであった「傑作」とは何かについて、いろいろな話が出てきました。
「その時代の中でインパクトがある作品」
「今の自分に強く訴えかけてくる作品」
「好きな作品と傑作は違う?」
などなど。
最後に、カフェの時間に伺った参加者のみなさんの感想からいくつかご紹介します。
「自分が選んだ作品を人に伝えるために言葉にすると、見えてくることがある」
「自分の今が”気になる”作品と重なるのが良かった」
「芸術には答がないので、おどおどすることなく安心して自分の意見を発信できる最強のツールなのかなと感じた」
「他の参加者の方の意見を聴いて、自分の考えが拡がっていく感覚が楽しかった」
話も尽きない中、そろそろ20時となり、ヨリミチカフェも閉店の時間になりました。
また、ときどき美術館にヨリミチしてください。
文:羽片俊夫(アートコミュニケータ)
2016.08.26
2016年8月26日金曜日、Museum Start あいうえの「ミュージアム・トリップ」が行われました。さまざまな状況にあるこどもたちにミュージアム・デビューの機会をと、今年度からスタートさせたインクルーシブ・プログラムです。
プログラムの様子はこちら→
(「Museum Start あいうえの」ブログに移動します。)
2016.08.24
8月24日水曜日、都内のある児童養護施設のこどもたちがJR上野駅に到着し、アート・コミュニケータ(とびラー)に迎えられました。「ミュージアム・トリップ」2回目*の始まりです!
*このプログラムは全2回の構成で、1回目は先月7月22日(金)に児童養護施設内で実施され、今回の上野で実施されたのは、その2回目になります。
プログラムの様子はこちら→
(「Museum Start あいうえの」ブログに移動します。)
2016.08.20
「Museum Start あいうえの」のファミリー向けプログラム、「あいうえの日和」が8月20日(土)に東京都美術館のアート・スタディ・ルームで開催されました。この「あいうえの日和」は、上野公園の9つのミュージアムを楽しく冒険するコツを伝授する90分のプログラムです。
プログラムの様子はこちら→
(「Museum Start あいうえの」ブログに移動します。)
2016.08.16
2016.08.09
2016年8月9日(火)に実施された、Museum Start あいうえのの「ミュージアム・トリップ」。NPO法人キッズドアと連携して実施したインクルーシブ・プログラムで、中高生13名と、とびラー13名がマンツーマンで活動しました。
プログラムの様子はこちら→
(「Museum Start あいうえの」ブログに移動します。)
2016.08.08
2016.8.8(月)第4回鑑賞実践講座<ファシリテーション基礎②>
======================
(午前)9:30~12:50
⬛︎(復習)レクチャー:美的発達段階とアーツダイアローグの意義
⬛︎きく・応答するワークショップ
⬛︎対話型鑑賞体験 1作品
⬛︎ミニ・ファシリテーション実践(前半)
(午後)13:40~14:30
⬛︎ミニ・ファシリテーション実践(後半)
⬛︎対話とリフレクション:彫刻作品で実践
⬛︎グループ作品研究
======================
本日も真夏の朝から始まりました、第4回鑑賞実践講座。
いよいよファシリテーション基礎を学ぶ後半戦の内容となります。
講師の三ツ木紀英さんの元気な挨拶から一日が始まります!
⬛︎(復習)レクチャー:美的発達段階とアーツダイアローグの意義
まずは前回の復習から:ヴィジュアル・シンキング・ストラテジーが生まれた背景に、美的発達段階を参照にしていること。その発達段階に合わせて、この対話による鑑賞を活用している、という学術的な背景をレクチャーしていただきました。
⬛︎きく・応答するワークショップ
次に、とびらプロジェクトでも大切な力:きく力を発揮するワーク「聴く・応答するワーク」を実践します。
3人1組になり、2人が対話し、1人はその様子を観察します。
テーマを元にお話しし、聞き手は話し手が話したことを自分の言葉に置き換えて、確認します。その人が本当に言いたかったことは何なのか?コミュニケーションとはどんなことなのか?ということをこのワークで考えます。
ふりかえりのときに出てきた重要なキーワードとして、「話し手の動きや聞き手の在り方」によってコミュニケーションが変わってくる、というのがありました。話す内容やテクニックではなく、聞き手の態度が相手の気持ちに寄り添っているかどうかによって、相手の言いたいことを引き出せるようになるのでは、という意見が出てきました。
⬛︎対話型鑑賞体験 1作品
少し休憩を経て三ツ木さんによるファシリテートを元に、大人数での対話型鑑賞を体験。
⬛︎ミニ・ファシリテーション実践(前半)
それを体験したうえで、今度は自分たちでアートカードを使ったミニ・ファシリテーションを実践します。4人組になって、一人ずつ順番にファシリテーションを体験します。
見るのとやるのとでは大きく違う・・・苦労もあるけれど、前回よりは楽しもうとしたり安心感をつくるためにリラックスしながら実践したり、2回目の体験でだいぶ意識できているようでした。
ーーーーーーー
⬛︎ミニ・ファシリテーション実践(後半)
お昼を挟んでこのワークを続けたのですが、毎回ふりかえりも行います。
そのふりかえりの中で出てきたのは、「ファシリテーターの在り方」に関する疑問・質問でした。どれだけ中立的であればいいのか、個人的な意見を言わずに個性をどのように出したら良いのか、という疑問はファシリテーションを行なっていくにあたり必ずぶつかる壁だと思います。
三ツ木さんは、「中立的」であることは「無個性」であることとは異なると、説いていました。個々人の「間」や「視線・表情」によって場づくりも大きく異なります。自分自身にできるファシリテーションというのを身につけていきながら、形を探っていくしかないのだと思います。
⬛︎対話とリフレクション:彫刻作品で実践
その、ブラッシュアップを具体的に行う「対話とリフレクション」のワークを行います。ずっとアートカードを使っていたので、今度は屋外や美術館内に設置されている本物の彫刻作品を活用しました。
各作品に1名ずつのファシリテーターを選出し、実際の作品で挑戦してみます。
一人1作品15分間の鑑賞の後に、10分間のふりかえり。
屋外彫刻で実践するからこその場づくりの難しさ、また絵画作品でやるときとの違いなど、実践ならでは得られる一言がありました。作品について「事前に知っていることの重要性」「場当たり・下見の大切さ」などの意見も出ていました。
そして、このワークで大切なのはとびラー同士でも言い合えること。とびラー同士で、お互いに批判的になることで、お互いのファシリテーションがブラッシュアップされていきます。
⬛︎グループ作品研究
最後のワークは作品研究です。
一つの作品について、みんなで話し合い、言葉出しをします。出てきた言葉を元に分類・分析していきます。
これは対話型鑑賞を実践する事前準備として有効なワークです。
一つの作品について多角的な視点で見て、どんな対話の言葉が出てくるのかを事前に準備することができます。また、出て来た言葉たちを分類することで「色」「形」「構図」など、別の言葉に言い換えるためのキーワードを打ち出すことができるようになります。
出てきたワークの様子を少しだけ、ご紹介。
ーーーーーーー
長く充実した学びの2日間を終えたあと、いよいよこれからはそれを実践していくことになります。
学んだことを活かし、実践の経験を重ねてこそ、アート・コミュニケータとしてのファシリテーション力が磨かれていくことと思います。
たくさんの方々との対話が生まれるような、作品と人をつなげる活動が活発になっていく様子を、これからご期待ください!
鈴木智香子(東京藝術大学 美術学部特任助手)
2016.08.07
美術館という場所でことばや文化の違いがあっても一緒に、鑑賞やワークショップを楽しんでもらいたい!という思いの元、「ことばりあふりー」の企画は生まれました。
「異なることばや文化などの違い、そこから生まれる考え方の多様性を楽しみ、それぞれ思ったことや感じたことを表現し合ってもらいたい!
そんな思いを持ったとびラーが取り組んだ「ことばりあふりー」トライアル企画の1日の様子をお伝え致します!
今回は、東京都美術館で開催されている「木々との対話展」を、日本の文化に興味を持っていらっしゃる外国語を話す方を招待して鑑賞を行うプログラムです。
とびラーの紹介により、アメリカ・中国・韓国の地域国出身で、日本に在住されている方々6名に来て頂きました。美術館でこうした多様な国籍の方々とお会いするというあまり普段体験しない光景に私も最初は少し緊張気味でした。
全員揃ったところでとびラーからご挨拶。
まずは自己紹介がてらに、参加者の方々に1枚の用紙をお配りいたしました。この紙に、皆さんが抱いている「木のイメージ」を言葉や絵で表現していただきます。
改めて考える木のイメージ。一言で「木」と言っても、樹木そのものであったり、木材な
どの材質であったりと考えれば考えるほど浮かび上がってきますよね。
それぞれ考えてもらった案は、発表をしてもらいました。
発表してもらった木のイメージの中には「木」からできるものとして「紙」を連想する方や、「木」とは地球を形成するものとったイメージ、小さい頃「木陰」で涼んだ思い出など生活の一部であるイメージなどが挙げられました。
(ちなみに私は夏休みに、クヌギの樹に昆虫が集まるイメージを表現しました。元虫取り少年です)
それぞれが自分の中で「木」というものを1度考えて、他の方の木のイメージにも耳を傾けたところで、いよいよアーティストらによる「木々との対話展」の鑑賞に移ります。
6名の参加者の方は、それぞれ2人ずつ3つのグループに分かれ、とびラーと共に作品を鑑賞しました。木々のアトリエを抜け、ギャラリーへ。部屋の一角を利用したスケールの大きな作品や、まるで表面に吸い込まれるような精緻な作品の数々を、じっくりと鑑賞しました。
作品を見てどのような印象を受けたか、自由に話し合います。そして、それぞれが自分なりのタイトルを付けてどうしてそう思ったのかを共有しました。
1つの作品からいろいろイメージや言葉が生まれて、「そういう見方もあるんだ!」という発見の楽しみがありました。
鑑賞を終えると、再び集合場所でもあった木々のアトリエに戻ってきました。最初の時よりも打ち解けたような柔らかい空気で、皆さんそれぞれの感想を話されている様子です。
実は、グループごとに共通して鑑賞していただくという作品がいくつかありました。
その作品を見て、「もしも、感じたことを元にあなたが自由にタイトルをつけるなら?」と鑑賞前に用意したお題。鑑賞者が同じ作品に違う視点からつけたそれぞれのタイトルを見比べています。
盛り上がる鑑賞後の最中、気づけば、机の上には何やら木の枝が…。一体なんでしょうか??
実はこの木の枝、これから行うワークショップで使用するものなのです。
ズバリ!「木をやする体験ワークショップ」!!
今さっきまで鑑賞していただいた「木」。
見て終わるのではなく、実際に自らの手で木と触れ合い、紙でやすって形を変えることでより「木」というものを五感で感じてもらいたい!という趣旨のワークショップでございます。
(ちなみに木の枝は、上野公園近辺のものを使用しております。)
枝を前に最初は困惑気味(?)だった皆さんも、自分の好きな枝を一本手に取り、やすっていくうちにだんだんと夢中になってきている様子。
やすることで、徐々に変化していく木の表面の色、質感、匂い。
手に取った枝によって、その変化も様々です。
談笑しながらも、不思議と集中した15分間。
あっと言う間に時間になり、作業が終わりました。
目の前にあるのは、さっきまでの木の枝ではなくまさに自分が手がけた作品です。
やすっていくうちに、目の前の木の様子の変化を見続けて打ち込む姿は…まさに、木との対話!?
普段あまり体験しないようなことでしたが、木に自ら手を加えたことでより木というもの性質を感じてもらうことに成効しました!
先程鑑賞したアーティストの方々も、もしかしたら同じような過程を経て作品を作り上げているのかもしれませんね。
最後に、参加していただいた皆様と記念撮影!鑑賞やワークショップを通じて多様性を感じることのできる素敵な1日でした。第2回も企画中ですので皆様これからもご注目ください!
執筆:三木星悟(アート・コミュニケータ「とびラー」)
最近は、訪れた展示会のチラシにラミネート加工をして部屋に飾ることにハマっております。