東京都美術館× 東京藝術大学 「とびらプロジェクト」

活動紹介

「ポンポンに挑戦 シロクマ大行進!!」

2012.12.23

「メトロポリタン美術館展」にちなんだワークショップ「ポンポンに挑戦 シロクマ大行進!!」が、22日・23日の2日間開催されました。会場は特別展示室前のフォワイエです。

 

今回のワークショップは参加できるのは「メトロポリタン美術館展」を観覧頂いた来館者限定です。その理由は展示作品であるフランソワ・ポンポンの「シロクマ」を鑑賞するところからこのワークショップがはじまるからです。写真が展示されている大理石でできた「シロクマ」です。ゆったりとしてどことなく愛らしい雰囲気のある作品ですね。

 

「ポンポンに挑戦 シロクマ大行進!!」では、フランソワ・ポンポンに負けない「シロクマ」をつくることを目指します。参加方法は至って簡単。手順は写真の通りです。会場にはお隣の上野動物園でとびラー候補生(以下:とびコー)が撮影したシロクマの写真があちらこちらに掲示されました。

 

紙粘土をもらった来場者のみなさんが、熱心に「シロクマ」をつくっています。やり方はいたって簡単ですが、それだけに奥が深い作業です。誰でも参加できて、個々人のこだわりと個性がはっきり現れます。

 

あっと言う間に、会場はたくさんの来館者で満員御礼となりました。シロクマの帽子をかぶっているのはとびコーの皆さんです。

 

出来上がった「シロクマ」は持って帰ってもOK。でも、たくさんの方に見て頂きたい場合は、氷山の上に展示することもできます。フランソワ・ポンポンの「シロクマ」を思い出しながら、そして本物の「シロクマ」の写真を参考にしながら、自分の手でシロクマの形を確かめることにより、より作品の奥深さを感じ取ることができます。「シロクマ」をつくり終えたあと、「もう一度、展示室のシロクマをみたい!」という参加者には再入場して頂きました。楽しさや親しみ安さの中に、作品をより深く味わうための仕掛けがひっそりと含まれているのが「とびら」らしさですね。

 

2日間でつくられた「シロクマ」の数は凡そ500体以上に登りました。最後は展示して頂いたシロクマをならべて大行進させました。クリスマス前の対しいワークショップでした。
(とびらプロジェクト マネージャ 伊藤達矢)

 

 

VTS実践

2012.12.17

今回の「スークールマンデー(対話を通した作品鑑賞)」実践講座のテーマはVTS(ビジュアル・シンキング・ストラテジー)の実践です。講師の三ツ木さんから、VTSを行なう上で必要な「3質問&7要素」を前回の講座に引き続き再度確認して頂きました。もう既にとびラー候補生(以下:とびコー)のみなさんも頭にしっかりと入っていることかと思いますが、何度となく基本に立ち返ることが重要ですね。

 

続いて、アメリカの小学校で行なわれたVTSの実践記録映像を鑑賞しました。自分が実際にVTSのファシリテータになることを想定した上でこうした実践記録をみると、ファシリテータの言葉の選び方や、対話の進め方など、参考になることをたくさんみつけることができます。この実践記録映像は字幕で日本語訳されていますが、とびコーのみんさんの中には英語が堪能な方も多く、映像を見終わった後のディスカッションでは、英語でのニュアンスと日本語でのニュアンスの違いや、それを補う工夫などについても話題が広がりました。気になった映像の部分は繰り返し再生し、確認することで、対話の流れやファシリテータのテクニックなどをつぶさに観察していました。

 

その後は2グループに分かれて実際にVTSのトレーニングに入ります。前回同様に、1)ファシリテータ役、2)講師役、3)記録役と、必ず1回のVTSに3つの役割を分担するトレーニング方法で進めます。VTSが終了した後、2)の講師役は、
「(ファシリテータに)実践してみてどうでしかた?学んだことは何ですか?」

「(鑑賞者に)〇〇さんのファシリテーションで、いいなと思った事はなんですか?」
「(全員に)何か驚いたこと予想外だったことはありますか?」
「(鑑賞グループに)〇〇さんに何か質問はありますか?」
「(ファシリテータに)これから取り組みたい課題はなんですか?どうしたら達成されると思いますか?」
などの質問を投げかけます。

 

こうしたやり取りを、VTSに参加したメンバー全員で共有し、さらに3)記録役がそこでの会話を記録することになります。また、VTSの様子は全て音声録音がされており、後で、自分のファシリテートが適切であったかを確認し、ファシリテータとしてのスキルを高めます。

 

こうした地道な努力が、とびらプロジェクトのクオリティーとエネルギーの源になっている様に感じます。引き続きとびコーさんたちの努力は続きます。
(とびらプロジェクトマネージャ 伊藤達矢)

どうぶつボードでGO!!:親子ふれあいデー

2012.12.16

12月15日・16日「マウリッツハイス美術館展」で好評だった「おえかきボードでGO」が「メトロポリタン美術館展」でも開催されました。今回は「どうぶつボードでGO」と名前を改めての実施です。

 

上野恩賜動物園と連携したジュニアガイドをもとに「どうぶつボード」(磁気式描画ボード)を使って、展示室内にある動物をモチーフにした作品の絵を描くプロジェクトです。普段は込み合う展示室の中では、全ての作品をお絵描きの対象とすることが出来ません。そこで、動物をモチーフにした作品の中から6種類を指定し、ジュニアガイドで推奨させて頂きました。しかし今日は「親子ふれあいデー」、推奨した作品以外の展示作品でも、「どうぶつボード」を使いながら親子で楽しく描いて頂きました。「どうぶつボード」と「メトロポリタン美術館展・ジュニアガイド」は展覧会場入り口で常時貸出し・配布が行なわれております。

 

まずは、入り口でジュニアガイドをもらって中に入ると、とびコーさんから「どうぶつボード」を借りることができます。使い方はとびコーさんが説明してくれます。みなさんおなじみの磁気ボードですからとても簡単です。

 

展示室の中では、子どもたちが作品を鑑賞しながら早速絵を描いていました。

 

こちらは、お父さんとお子さんが一緒に彫刻を鑑賞しながら、じっくりと描画中。

 

ふたり並んで、写真の作品をみながら鳥の絵を描いていました。よくみると、1枚の「どうぶつボード」の中に、幾つもの動物の絵や、他の展示物の絵が描かれています。はじめに描いた作品から、次にその絵のとなりに描く作品を選ぶ、そんな風にしてこどもたちは展示室の中を歩いている様子でした。つまり、1枚の絵を深く鑑賞する体験が、次にじっくりと鑑賞したい作品を選ぶことに繋がってゆく、そうしたプロセスが生まれてことが分かります。何をみたらいいかわからない、そんな戸惑を上手く解決してくれる思わぬ効果がある様でした。

 

「どうぶつボード」をもって展覧会の出口にむかうと、そこにはとびコーさんたちが待機しています。凡そ5分程度で子どもたちの描いた作品がポストカードになります。今回は12月ということもあり「クリスマス」「お正月」「ノーマル」の3種類のフレームをご用意させて頂きました。どれも、とびコーさんたちのオリジナルデザインです。

 

クリスマスのフレームに羊の群れ。きっとミレーの絵からヒントを得たのかな。

 

お正月のフレームに、お魚。きっとウィリアム・ド・モーガンの大皿かな。

 

これはライオンの兜ですね。上手です。

 

最後は家族で記念撮影。ご参加頂いたみなさま、本当にありがとうございました!
(とびらプロジェクトマネージャ 伊藤達矢)

「くろねこメット だいかつやく」のはじまり〜!

2012.12.16

「マウリッツハイス美術館展」での紙芝居に続き、「メトロポリタン美術館展」でもとびラー候補生(以下:とびコー)オリジナルの紙芝居ができました。タイトルは「くろねこメット だいかつやく」です。ニューヨークのメトロポリタン美術館からやってきたエジプト生まれの黒猫の小像メットが、谷中(上野のお隣の地域)の野良猫たちとともに繰り広げる冒険物語。さらに「メトロポリタン美術館展」にて展示されているさまざまな動物たちも加わり大活躍します。

 

展覧会の入り口付近で紙芝居の呼び込みをします。みんなが頭にかぶっているのは、とびコーの時田さんお手製の「メトロポリタン美術館展」に出品されている作品をモチーフにした帽子です。

 

今回の紙芝居の前座は、展覧会の目玉、ゴッホの糸杉にまつわるマメ知識とクイズです。凄くためになります。

 

前座が終わると、いよいよ紙芝居の上演です。とびコーの山近さんの張りのある声で紙芝居が進められて行きます。絵がとっても奇麗で見応え十分です。上演中はとびコーのお子さんたちもお手伝いをしています。

 

会場は満員御礼となりまいた。作品を鑑賞するだけではない、心に残る美術館体験をみなさまに少しでもお届けできたのであれば何よりです。

(とびらプロジェクトマネージャ 伊藤 達矢)

「障害のある方のための特別鑑賞会」:メトロポリタン美術館展

2012.12.10

メトロポリタン美術館展の休室日を利用して、「障害のある方のための特別鑑賞会」が開かれました。とびラー候補生(以下:とびコー)のみなさんが会場の運営にあたります。シフト表の作成から、人員の配置個所まで全てとびコーのみなさんが自主的に会議を重ね決定してきました。障害のある方がゆっくりと展覧会を楽しめる時間にするため、万全の体制で望みます。

 

今回の特別鑑賞会は、三菱商事のみなさんが社会貢献活動の一貫としてお手伝いに来て下さいました。受付の対応をされる三菱商事のみなさん。とても心強い助っ人です。

展覧会会場の入り口では、「メトロポリタン美術館展」の担当学芸員である中原さんのギャラリートークが手話通訳付きで開かれました。中原さんはこの「メトロポリタン美術館展」の開催のためにニューヨークに滞在し、展示作品を現地の学芸員とともに選んでこられました。それだけに説得力のある、分かり易く興味深い素晴らしいギャラリートークでした。でも、よく見ると、中原さんの横にはクリスマスツリー、そして中原さんも何かかぶっている様子です。

 

実はクリスマス前の特別鑑賞会ということもあり、既に設置されていたクリスマスツリーの前でギャラリートークを開き、更にとびコーの時田さんが「メトロポリタン美術館展」に出品されている作品をモチーフとして丹誠込めて作って来てくれた帽子をかぶり、来館者の皆さんをお出迎えさせて頂きました。

 

入り口は賑やかですが、展示室の中は落ち着いた雰囲気で、ゆったりと作品を鑑賞することができます。

 

静かにポツポツ言葉をつぶやきながら、そして一緒に来た方と会話しながら鑑賞されていた様子でした。時々、とびコーさんが声をかけたり、一緒に何気なく作品を鑑賞したり、質問に答えたりも(知っている範囲でですが、、)など展示室内でのコミュニケーションもありました。

 

展示室内での移動は、とびコーのみなさんのサポートのもとスムースに行なわれていました。

 

展示室の中で、静かに付き添う盲導犬がとてもかわいらしい。次回の「障害のある方のための特別鑑賞会」はH25年3月11日(月)「エル・グレコ展」での実施となります。今後もより良い特別鑑賞会にすべく、とびらプロジェクトスタッフ一同、力をつくして行きたいと思います。
(とびらプロジェクトマネージャ 伊藤 達矢)

スクールマンデー:星槎国際高等学校の鑑賞授業

2012.11.26

東京都美術館のスクールマンデー(対話による鑑賞教育)に星槎国際高等学校のみなさん14名が来館されました。みなさん展示室に入る前から展覧会について関心を持って下さっている様子でした。まずは、学芸員の稲庭さんからご挨拶がありました。

 

高校生のスクールマンデーははじめてでしたが、とびラー候補生(以下:とびコー)の皆さんと自然な対話を通して鑑賞を楽しまれていました。

 

来館された人数が少なかったこともあり、広い展示室でゆったりと鑑賞することができました。

 

最後は、とびコーさんと生徒さんがグループになり作品を鑑賞しました。子供たちとは違ったゆったりとした大人の視線での鑑賞体験もなかなかでした。
(とびらプロジェクトマネージャ 伊藤達矢)

スクールマンデー:日本橋小学校の鑑賞授業

2012.11.26

日本橋小学校の皆さん59名がスクールマンデーにやってきました。スクールマンデーは特別展の休室日を利用した、対話形鑑賞の実践の場です。まずは、学芸員の稲庭さんから展示室内でのマナーや本日の流れについての説明がありました。

 

展示室に入ると、全員で2階の最後のフロアまで移動します。展覧会全体のボリュームが掴めたところで、個別鑑賞の時間となりました。子供たちが手にもっているのは「つぶやきシート」と「開場マップ」。「つぶやきシート」には、気になった作品のちょっとした感想を言葉や絵で書き留めておきます。少し心の中のつぶやきを書き留めたりすることで、自分の気持ちを確認したり、言葉にしやすくなったりします。「開場マップ」には、展示室の中にある全ての作品の位置が写真で記載されています。「もう一度あの作品をみたい」、「美術館に来る前から気になっていたあの作品のところへ行きたい」という時にこ効率よく効果的に作品を鑑賞する助けとなります。

 

時々気になった作品が友達と一緒になることもあります。そんな時は隣り同士何となくお話をしてみます。「つぶやきシート」で少しだけ心の準備が出来ていれば、お互い作品について言葉を交わすことも自然にできるようになり

 

個別の鑑賞が終わった後は、グループ鑑賞の時間となります。VTS(ビジュアル・シンキング・ストラテジー)の鑑賞方法を用いながら、一つの作品をグループで鑑賞してゆきます。「つぶやきシート」でウォーミングアップした成果もあり、いろいろな感想が積み上げられて行きました。

 

とびラー候補生(以下:とびコー)のみなさんも、VTSのファシリテータとして活躍して頂きました。もちろん対応は完璧でした。

 

最後は、もう一度自分が一番気になった作品に会いにゆきます。特別「つぶやきシート」に何かを書かなければいけないという指示は出していませんが、何か気になったことがあったのかな?心にのこる1日であれば、なによりです。
(とびらプロジェクトマネージャ 伊藤 達矢)

 

スクールマンデー:荒川区立第三峡田小学校の鑑賞授業

2012.11.26

休室日を利用して行なわれる、対話による鑑賞教育スクールマンデー。本日は荒川区立第三峡田小学校5年生(25人)6年生(16人)の皆さんでした。「メトロポリタン美術館展」前のエントランスで、僕(伊藤)から展示室内でのマナーや本日の流れについて説明をさせて頂きました。

 

会場に入ると、一度2階の一番奥の展示室まで全員で移動しました。展覧会のボリュームを子供たちに知ってもらうためです。展覧会のボリュームが把握できたら、個別鑑賞の時間となります。
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今回の個別鑑賞はこれまでと少し違います。「メトロポリタン美術館展」で現在貸出し中の「どうぶつボード」を使って気になった作品をスケッチしたり、言葉をメモしたりしながら、楽しく鑑賞して行きます。

 

「メトロポリタン美術館展」は絵画だけではなく、彫刻やタペストリー、食器や写真まで、幅広い作品が展示されています。多種多様な素材と形状の作品を鑑賞するには、こうした自由に使える鑑賞アイテムが非常に効果的です。

 

こちら、児童の描いたエジプトの<猫の小像>のスケッチ。凄い上手です。奥は<聖餐用ハト>のスケッチ。手を動かして、形を確かめながら鑑賞することで、作品が持つ素材の魅力や、洗練された造形的美を、作者の視点をも顧みながら鑑賞することができます。

 

こちらはゴッホの<糸杉>です。本来縦構図の<糸杉>を横構図で自分なりに描いています。画面を構成する要素、この場合は「糸杉」、「雲」、「月」などの形や配置、または作品が醸し出している雰囲気を良く捉えています。描く時間は10分程度です。しかし、集中して一つの作品の前に10分立つというのは、美術の好きな大人でもあまりしないのではないでしょうか。
絵画には描かれている内容(図像)だけには留まらない魅力が潜んでいます。例えばじっくりみることで分かる絵の具の盛り上がりや輝き。さらには、形を辿ることでしか感じ取ることが難しい作者の筆運び(スピード・力強さ)から、<糸杉>を描いていたゴッホの心境までも感じとることができます。そうした奥深さを少しでも体験してもらうためには、気構えずに作品とコミュニケーションのとれる環境と、少しのアイディアやアイテムが大切なのだと改めて感じました。

 

個々人で「どうぶつボード」を使って鑑賞した後は、学芸員の河野さんやとびラー候補生(以下:とびコー)がファシリテータとなってグループで鑑賞して行きます。VTS(ビジュアル・シンキング・ストラテジー)の手法を用いながら、一人ひとりが感じたことをグループて共有することで、個人の視点では見つけることのできなかった、気付きやより深い理解を得ることができます。

 

とびコーのみなさんは、これまでたくさんの時間をかけて培ってきたVTSのファシリテータのデビューの日となりました。さすが7ヶ月以上も何度となく基礎講座や実践講座を通じて知識や実践を積んで来たとびコーさんたちだけあって、最初のファシリテートとは思えない落ち着きとしっかりした進行でした。
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VTSが終わるとまた子供たちは一人で鑑賞する時間を少しとりました。お気に入りの作品は見つかったでしょうか。今日の体験を通して、「また美術館に来たいな」って思ってもらえれば、何よりです。
(とびらプロジェクトマネージャ 伊藤 達矢)

メトロポリタン美術館展に向けたアクセスプログラム実践講座

2012.11.19

12月10日の「障がいのある方のための特別鑑賞会」に向けて、とびラー候補生(以下:とびコー)による実践講座が開かれました。今回の「障がいのある方の為の特別鑑賞会」の舞台は「メトロポリタン美術館展」です。

 

前回実施した「マウリッツハイス美術館展」での特別鑑賞会も完璧な対応をみせたとびコーの皆さんですが、今回はさらに特別鑑賞会でのサポートを充実させることと、無理の無い効率的な運営方法を両立たせるため、これまでとびコーさんたち自ら運営方法の研究を進めてきました。シフト表や注意事項、実際のシュミレーション全てがとびコーのみなさんで考えた内容です。誰かが決めて、この通りに動いて下さいということではなく、現場に立つ本人たちの手によって運営方法がブラッシュアップされて行くところが「とびらプロジェクト」らしさだと思います。

 

当日の対応布陣もばっちりです。

ほぼ準備は万端。「障がいのある方の為の特別鑑賞会」にお申し込み頂いたみなさまに満足して頂ける様な1日になることを願っております。
(とびらプロジェクトマネージャ 伊藤 達達矢)

建築ツアー:ハツリ加工の効果とは?!

2012.11.17

2回目となる建築ツアーが開催されました。本日もとびラー候補生(以下:とびコー)のみなさんによるオリジナルガイドで、東京都美術館(以下:都美)の建築物としての魅力をご紹介させて頂きました。とびコーの山中さんのツアーは、主に都美の照明をテーマとしたのもでした。

写真は企画展示室を見下ろしている様子です。都美を設計した建築家の前川国男は、設置される照明の場所や種類、強弱だけでなく、光を受け止める壁や柱の質感にもこだわりをもっていました。都美の壁や柱は「ハツリ加工」という工法で仕上げられています。「ハツリ加工」とは、コンクリート製の壁や柱の表面を、職人の手仕事によって粗めのテクスチャーを付けて行く加工のことを言います。この「ハツリ加工」によって生まれる効果は、視覚的にも暖かみが生まれ、かつ壁や柱の存在感をより引き立てるだけでなく、そこに照らし出された光までもが柔らかく、空間に滲む様な印象ををみるものに与えることができます。都美のコンクリート部分の相当面積がこの「ハツリ加工」が施されています。

 

こちらは秋本さんのガイドツアーの様子。2年前の改修工事前の都美と今の都美を模型を使いながら説明しています。

 

こちらは淵上さんのツアー。みなさん、定期的に研究・練習日を決めて、建築ツアーの内容をブラッシュアップしています。次回の建築ツアーは1月19日(日)。お申し込みはこちらから皆さんのご参加をお待ちしております。(とびらプロジェクト マネージャ 伊藤達矢)

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