2023.02.20
・「美術館でおしゃべりしましょう」「作品を誰かといっしょにみるって楽しい」そんな体験をお届けするプログラムを考えました。カジュアルで遊び心があって、自由で楽しい、素敵なひとときになるといいな。そうやって、はじめましての誰かと3人組になっての「おしゃべり鑑賞」という、新しい鑑賞のかたちが生まれました。
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【目的としたこと】
・その日に偶然出会った人とおしゃべりしながら鑑賞する出会いの体験や、一人で鑑賞するときとは違った他者の視点も味わって楽しんでもらうこと。さらに参加した方は、今度は誰かを誘って対話しながらの鑑賞を楽しむようになることを目的にしました。
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【プログラムの内容】
・その日出会った人(参加者)2名+とびラー1名が、3人1組になり、おしゃべりを楽しみながら作品を鑑賞します。参加者はプログラム前にくじにより分かれます。プログラムの時間は35分間です。
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・鑑賞する展覧会は、「上野アーティストプロジェクト2023 いのちをうつす ―菌類、植物、動物、人間」展(会期:2023年11月16日(木)~2024年1月8日(月・祝) 会場:ギャラリーA・C)。
・実施日は、11月24日(金)18時半~、12月15日(金)・20日(水)14時~、計3回を設定しました。
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【とびラーのファシリテーション】
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・初対面の方とおしゃべりしながら作品を楽しく鑑賞するにあたって、次のような工夫をしました。
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・・ファシリテータとなるとびラーは、参加者同士が安心して話せる場と対話できるようにきっかけを提供します。
・・作品選びは、とびラー自身がビビッときた作品、話のきっかけがたくさんある作品を、何回か展示室に足を運んで数点を選びます。
・・当日の出会いは、なごやかなおしゃべりから始めて、感じたこと、気がついたことを安心して話せるような雰囲気を心掛けます。一人一人の話をじっくり聞き、参加者同士がコミュニケーションを楽しめるような場を作るのがとびラーの役目です。
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・例えば、「今回参加したきっかけ」や「普段のアートとの関わり」など、参加者同士の身近な話題からおしゃべりをしました。場の雰囲気が和むことによって互いにコミュニケーションを取りやすくなり、作品鑑賞での会話もスムーズにできるようになります。
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・作品を見ることから出発して、おしゃべりの広がりを楽しみながらも、参加者のみんながそのポイントの鑑賞体験を共有できるように、いつも作品を見ることに戻る、そんな工夫も心がけました。
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・その一例として、作品を見た感想の言葉から「どこからそう思いました?」と問いかけて、作品の中のそのポイントをみんなで確認することで他の人にもその気づきを伝えます。そして「ここから何を感じますか?」と問いかけることで、同じところを見ても違う感じ方があることを発見します。
・また、「他にはいかがですか?」と他の発言を促したり、話題を変えたりすることで、参加者がより作品に近づき会話がはずむように工夫しました。
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【初日:11月24日(金)18時半~、参加者12名】
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・9月のキックオフから、メンバーのアイデアを結集しながらミーティング&トライアルを経てようやく形になったプログラム。待望の第1回を6チームで実施しました。参加者は最初にくじを引きます。偶然の出会いの演出にドキドキワクワクのひと時も、次第に打ち解けます。
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・展示室のあちこちで、さまざまな楽しいおしゃべりが生まれました。
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・作家・内山春雄氏のバードカービング(野鳥彫刻)の作品をよく見て、羽毛のやわらかな質感をイメージしたあと、同氏のタッチカービング(触れる野鳥彫刻)に触ってみると、想像と違って「固い!」ということに驚いて「彫刻だから当然ですよね」と3人で大笑い。そのことがきっかけで作品にグッと近づくことができたチーム。
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・馬を被写体とした写真を撮影する今井壽恵氏のコーナーでは、人気の競走馬の《オグリキャップ黄色い光の中で》などの写真に足が止まる方が多く、予定していなかった作品の前でもおしゃべりが弾みました。
・参加者が作品の背景の描き方に興味を持っていることがわかると、作家・阿部知暁氏のゴリラが描かれた絵画のコーナーに移動して、特徴的な背景の話題に花を咲かせるチームもありました。
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・みなさん、とてもリラックスして鑑賞しました。
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【中日:12月15日(金)14時~、参加者10名】
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・12月15日(金)第2回を5チームで実施しました。
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・この日はキャンセルの方がいたため、当日参加の呼び込みをしました。チームが決まるまでの間にもとびラーからの展示についての問いかけから、参加者同士ので話が盛り上がり終始なごやな会話か進みました。
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・作家・富田美穂氏のコーナーでは、実物大の牛の細密な絵に、「ゴツゴツしている」「生を感じる」と近寄ってみての驚きで盛り上がるチーム。
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・バードカービングを鑑賞して、「ヤイロチョウの巣はどこにあるの?」「どうして巣をつくるの?」と巣の話題で盛り上がるチーム。
・「ヤンバルクイナって鳥なのに飛べないの?」「淡い首筋の色が不思議」と食い入るように作品に迫るチームなど、それぞれのチームで話に花が咲き、プログラム終了後に参加者同士でさらに鑑賞を続ける様子が見受けられました。
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【千秋楽:12月20日(水)14時~、参加12名】
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・ついに千秋楽、最終回の第3回を5チームで実施しました。
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・この日は、東京都美術館年内最後の開館日であったので、公募棟の展示は全て14時で終了。館内も展示室内も静かでゆったりとした空間で、参加者の皆さんと作品を囲んで楽しくお話しできました。
・今回もいろんなエピソードが生まれました。
・最初は緊張していた参加者も鑑賞前の会話に時間をかけると、作品を前にしたときにワクワク感が発露して、参加者同士での会話がとても深まりました。
・会話が弾むのは、生き物の多彩なリアルな表現に触れたときです。写真にはありませんが、作家・辻永氏の花の写生のコーナーや作家・小林路子氏によるきのこを描いた作品のコーナーも、おしゃべりが弾みました。
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・3歳のお孫さんを連れて来られた参加者は、お孫さんを中心におしゃべり鑑賞をしたところ、大人では気づかないような様々な視点から意見を教えてくれました。また内山春雄氏のタッチカービング(触れる野鳥彫刻)のコーナーでは鳥の鳴き声を全部聞いて回りました。高周波の鳥の鳴き声は、お孫さんだけが聞き取れて、みんなでびっくりしました。
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【参加した方々の感想など】
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〜参加者アンケート(11月24日・12月15日・12月20日実施、回答数33名)の結果から〜
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・自由記述欄に参加された方の全員が感想を書いてくださり、たくさんの前向きな感想がありました。それらの一部を紹介します。
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・そして、アンケートの結果では、「プログラムの満足度」、「初対面の方とのおしゃべり鑑賞」、「プログラムで鑑賞した作品」の項目で「とても良かった」「良かった」の回答が9割を越えて、総じて好評価を得られました。
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・上野アーティストプロジェクト2023「いのちをうつすー菌類、植物、動物、人間ー」展は、身近な題材で老若男女誰でも親しむことができ、多様な表現が鑑賞できる展覧会であり、このプログラムとの相性がとても良いと企画段階から想定していました。
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・ファシリテータは、プログラム前に何回も会場に足を運んで鑑賞する作品を選びました。また、選んだ作品を徹底的にして観察して、鑑賞の話題づくりなどの準備を行いました。
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・プログラムの設計としては、特に「初対面の人」とおしゃべりしながら鑑賞する、というコンセプトも功を奏したと言えるでしょう。知らない人同士だからこそ率直に言葉にすることができるのかもしれません。
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・作品の前で語り合っていると、そこにあたたかい空間が生まれ、作品も生き生きとして見えてきます。人も作品も美術館も「いきている」「いのち」を感じる、そんなプログラムだったのではないでしょうか。
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【実施までをふりかえって】
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・コロナ禍が一定程度収束して、複数でおしゃべりしながら鑑賞することができるようになりました。とびらプロジェクトでも、鑑賞実践講座の「鑑賞ピクニック」という複数人で美術館をたずねる課題や、夏には「ダイアローグ・ナイト with とびラー」という複数人で対話しながら鑑賞するプログラムが実施されました。こうした楽しさをぜひ多くの方に味わっていただきたいし自分たちも楽しみたい、との思いで2023年8月29日(火)に「このゆびとまれ」と呼びかけました。呼びかけに23人が集まってスタートしました。
・秋は、とびラボが目白押しで、複数のとびラボにそれぞれ関わっているとびラーの予定を調整し、ミーティングやリハーサル、さらには本番の日程を決めるのに一苦労でした。企画内容もオンラインのミーティングツールを使うなど集まれる人で検討を進めました。その甲斐もあって、いたってシンプルでわかりやすい企画になったと思います。ミーティングは6回、リハーサルは2回、そして本番へ。ふりかえりの会は、12月20日(金)プログラム最終回の後に行いました。
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・このラボは、良い意味での「いいかげん」さがあって、メンバー各自の裁量に委ねる部分が多く、自由でおおらかに進みました。その分、当日の急なキャンセルにも呼び込みをしたり、コースを柔軟に変更したりなど臨機応変に動くことができました。ラボメンバーの皆さんからはやって良かった、とても楽しかったとの声が寄せられました。
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・プログラムにご参加いただいた方々、いっしょに駆け抜けてくださったスタッフの皆さま、そしてラボメンバーみんなに感謝します。
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・解散! また、お会いできる日を!
執筆:
藤牧功太郎(とびラー10期)
新しいこと、楽しいことが大好き。ARTの自由さを愛しています。「つながり」を「つなげる」ことに興味あり。社会教育の仕事にも活かしたいです。
2022.12.25
お子さんとのお出かけ先の一つとして美術館はいかがですか?このプログラムの募集はそんな誘い文句からはじまります。
【こどもとおとなのはじめのいっぽ!美術館へようこそ♫】は、家族で一緒に安心して美術館を楽しむためのプログラムです。
とびラー(アート・コミュニケータ)と作品の楽しみ方などを体験して、じっくり鑑賞します。お子さんと美術館に行くのは、初めてという方にピッタリな内容になりました。
上野アーティストプロジェクト2022「美をつむぐ源氏物語―めぐり逢ひける えには深しな―」と、コレクション展「源氏物語と江戸文化」は、源氏物語から着想したさまざまなアーティストの作品が集まった展覧会です。いろいろなアーティストの織りなす世界を味わい、美術館での楽しみ方を知り、とびラーと一緒に鑑賞体験をしました。
実施日がクリスマスということで、メンバーが折り紙でクリスマスツリーを作って温かな気持ちでお出迎えしました。
「はじめまして」の二組の家族が出会い、自己紹介とおしゃべりの準備体操。アートカードを使って、共通点探しゲームをしました。色や形、雰囲気が様々な作品の中から探して、どこが共通なのかおしゃべりします。
子どもたちの発言に思わず、「あー!」「へぇー!」と声が出てしまうほど。大人よりも柔軟な発想で展開されるゲームは、とても盛り上がりました。
次に、展覧会の作品のカードから自分の好きな作品を探します。
なぜ選んだのか、どんなところが好きなのかを紹介し合いました。
カードの作品を観察し、実物の作品がどんな風なのかと想像が膨らみます。展示室へ行くのがわくわくと楽しみになりました。
準備体操もバッチリ。いざ展示室へ
自分が選んだ作品やお友だちが選んだ作品。「これ、お母さんが良いって言ってたよね。」展示室で作品を見つけると、足早に作品へ足を運びます。
カードでみるよりもとても大きな作品やとても緻密に書かれた作品。本だと思った作品はガラスで出来ていました。先にカードでお気に入りの作品を選んでいたので、実物の作品をじっくり観察することができました。
そしてみんなで見ると自分では気づかなかった発見もあり、家族の会話も弾みました。
たくさんの作品を通して、家族の会話が増えていきます。
子どもと同じ目線で作品を観ると、大人には見えなかったものに気づかされ、自分の興味が湧かなかった作品でさえ、相手が選んだ作品だと自然と興味が湧いてきます。一人で見るよりも視野がどんどんと広がって面白い発見に出会うことができ、楽しい鑑賞体験となりました。
一時間ほど子どもたちも大人たちもじっくり集中して鑑賞しました。
そろそろとびラーともお別れです。その後はカフェで休憩したり、まだまだ見足りないともう一度家族で回ったりと、それぞれが思い思いの時間を過ごしていました。
アンケートによると、「絵の味わい方を知り、自分にない視点を得るなど、子どもと一緒に美術館を楽しみたい。」「子どもに色々なものに触れ、美術館を回るきっかけにしてほしい」と思っていらっしゃる保護者の方の期待があったようです。
感想は、とても満足という回答がほとんどでした。
とびラーが一緒に鑑賞したことで心強く、今日は子どもたちと話しながら回れて新しい見方ができたと感じた、導入のカードゲームで興味を持って観ることができたという感想もありました。
子どもからの感想には嬉しいコメントが多く、実施して良かったと思いました。
カードゲームで絵を見たけど、本当に見てみるといろいろな発見があった。実物は迫力がぜんぜん違って面白いと思いましたなどのじっくり観察したからこそ感じる体感があったようです。
子どもたちの感想から感じるのは、カードで見る作品よりも本物の作品の繊細さや素晴らしさに気づくことができたようでした。カードで観察した視点を実際の作品で見ることで大きな発見があったようです。わくわくしながら鑑賞している子どもたちを見ていると、こちらもご一緒できて嬉しくなりました。
作品を介して、子どもの豊かな発想に大人が関心を持ち、同じ視線でおしゃべりをする。お互いを認め合い共感し、豊かな楽しい時間を共有する。そんなアート鑑賞の時間は、とても豊かで穏やかな “こどもとおとなのはじめのいっぽ!”となるのではないでしょうか。
とびラボを立ち上げたとき、2022年6月に実施した、「ベビーとゆったり美術館」をもう一度開催してみようと思っていました。だけど、指とましたメンバーのほとんどが腰を据えて取り組める余暇がなかったのです。子育てのフェーズはその時その時の環境で変わっていきます。夫や子ども、家族、自分の体調など、その時その時の関わり方の濃淡があるのがママという役割なのかもなぁと思います。
そんな時に、とびラー三年目の私は、開扉(任期満了)まで数か月でした。最後の指とまなら自分の原点へ立ち戻り、あの時感じた自分の不安に寄り添えるプログラムを考えたいと思いました。
子どもと作品を介して対話することへの喜びをみなさんにも伝えたい。とびラーになったことで安心して小1の息子を連れて美術館へ来れるようになったこと。息子が作品に対して観察し発見し、それを共有する喜びを感じて育っていることを実感していたからかもしれません。
タイトルの“こどもとおとなのはじめのいっぽ!”には、このプログラムによって、美術館に安心して次また行ってみようと思ってもらえるように、初めて美術館を訪れる家族の不安を軽減し、安心や楽しさに変える場を作りたい、そしてはじめのいっぽ!を踏み出すきっかけづくりにしてほしいという思いが込められています。
とびラボが動き出し、仲間とミーティングにミーティングを重ね、コミュニケーションも楽しく、いざ実施へ向けてという時に私の家族に不幸がありコロナ禍もあり、私が全く動けなくなってしまいました。そんな中、メンバーの一人ひとりが自分にできることや自分がやりたいと思ったことを実行し、遂行して行ってくれたのです。
甘えかもしれませんが頼れる甘えられる仲間がそこにいてくれる安心感。とびらプロジェクトというコミュニティの凄さかもしれません。どうにも心身ともに動けなくなった私は、メンバーを信用し信頼して、お任せすることができました。
そんな仲間に支えられ、このプログラムを実施しました。
東京都美術館は私たち親子の大好きな場所の一つです。子どもと安心して楽しんで行ける美術館。みなさんもお出かけ先の一つとして、足を運んでみませんか。そこには温かく豊かな時間があるかもしれません。
新谷慶子:アート・コミュニケータ(とびラー9期)
“私らしく”全てのことに面白がって取り組むことを楽しみながら活動しています。
2022.12.06
トビカン・モーニング・ツアーは、午前中、まだ人もまばらで、のんびりとした空気の中の美術館をまわる30分のツアーです。周りの上野公園の緑も取り込みながら気持ちよく時間が過ぎていき、午後や夜とは少し違った景色を観ることができます。
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12月6日
今年度最後のトビカン・モーニング・ツアーでした。
お天気は少々残念な小雨の降るちょっと寒い1日だったのですが、
8名の参加者の皆さんと、とてもあたたかい時間を過ごせたようです。
建築に詳しい参加者の方からは私たちが貴重なお話を伺えたり、
歴史のあるご実家を処分された方からは建物の大切さを教えていただいたり、
今回は美術館の建築の枠を超えて、沢山のお話を伺うことができました。
そして、雨の中の東京都美術館は、雨に反射した建物の写り込みなど、
とても美しい場所が沢山ありますので、是非、雨でもいらしてくださいね。
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トビカン・モーニング・ツアーは、午前中、まだ人もまばらで、のんびりとした空気の中の美術館をまわるツアーです。周りの上野公園の緑も取り込みながら気持ちよく時間が過ぎていきます。このツアーを通して、新しい美術館の魅力を見つけてくださるといいな、と思っています。(滝沢)
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執筆:
池田智雄(アート・コミュニケータ「とびラー」)
とびラー10期。散歩と美術館が好きで、その楽しさを他の人にも一緒に味わってもらうことができるこのとびラボが大好きです。ツアーの時に参加者が自分で見つけた美術館の魅力を言葉にして教えてくれるとガイドとしてとてもうれしくなります。
滝沢智恵子(アート・コミュニケータ「とびラー」)
とびラー9期。トビカン・モーニング・ツアーは、平日の午前中、上野公園全体がなんとなく緩やかに時間が過ぎている時間帯に開催されています。参加された皆さんが、そういう空気を感じながらのんびりとくつろいでいらっしゃる様子をみることがガイドとして、とても幸せです。
2022.12.02
企画展開催中の金曜の夜間開館に合わせて開催される建築ツアー。ライトアップされた空間を散策しながら、東京都美術館の魅力に触れる特別な時間となっています。
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金曜日。暗くなり始めた上野の森で輝きを放つのが、夜間開館の東京都美術館です(以下、『都美術館』と略)。昼間とは違う都美術館の魅力をぜひみなさんに知っていただきたい、そんな思いでこのツアーを開催してきました。
「トビカン・ヤカン・カイカン・ツアー」はとびラーが企画するプログラムの中でも2013年から約10年にわたり続いてきた歴史があります。コロナ禍に一時中断を余儀なくされましたが、2021年の冬に再開、今年度も春の『スコットランド国立美術館 THE GREATS 美の巨匠たち』、夏の『ボストン美術館展 芸術×力』、秋冬の『展覧会 岡本太郎』の3つの企画展開催に合わせて各3回ずつ、5月から12月にかけて計9回にわたり開催され、延べ150名ほどの方にご参加いただきました。
【「夜」ならではの魅力を伝えたい~ツアーが出来るまで~】
このツアーの特徴は何と言っても「夜」という特別な時間の都美術館を巡ること。ライトアップがスポットライトのように、都美術館の魅力をよりドラマチックに浮かび上がらせます。『宝石箱』にも例えられる夜の都美術館はまるで発光するようにさまざまな色や光、形が際立って、その美しさに何度見てもハッとさせられます。
この感動をどうしたら参加者のみなさまにも味わっていただけるか、とびラー同士でガイド役・参加者役となり、協力しながら事前にトライアルや練習を重ねてブラッシュアップに努めてきました。
とびラ―によってガイド内容が違うのも、この建築ツアーの魅力のひとつ。「30分間」という限られた時間ではすべてを伝えきることは難しく、どこを削るかは誰もが悩むところです。ガイド担当は建築の専門家ではないとびラーがほとんどなのですが、何度も夜の都美術館を巡ってその魅力を確かめながら、自分のツアーの焦点を考え、感動を軸にルートや周る順番、内容を練り上げていきます。
トライアルと振り返りを繰り返し互いの気付きを共有する
今年度は延べ28名のとびラーがさまざまな役割を分担しながらツアーを運営してきました。ガイドやサポートはもちろん、当日の受付や案内、記録撮影など、関わるすべてをとびラーで企画実施します。夜のひとときを気持ちよく楽しく過ごしていただくために、毎回ツアー終了後に振り返りながら、細かな動きまでいろいろな角度から工夫が重ねられています。
【30分という手軽さも魅力~参加者のみなさまの反応~】
「19:15ツアースタート」という同じ設定でも、季節によって都美術館の雰囲気は変わります。
春先は心地よい風を感じながら歩き、夏はまだ少し空に明るさの残る中スタートし暮れていく時間をたのしみつつ、寒い季節は澄んだ空気にいっそうきらめくライトアップの中を進みます。
季節によって空の色も違って見える
屋外彫刻もライトアップ
昼間と違う表情を見せる外壁
夜はツアー中の様子が外からもよく見える。普段は夜間に入ることが出来ない公募棟を案内中
思わず写真を撮る参加者も多い
参加者のみなさんにとっては、季節や時間帯で全く違う新たな都美術館との出会いを体験していただけるものになっているのではないでしょうか。
ツアースタートが「19:15」と少し遅い時間設定なので、お仕事帰りの方にも多くご参加いただいています。
今年度は、夏休み中のお子様と一緒にご家族で参加いただくケースもありました。
参加者には「夜の都美術館は初めて」という方も多く、30分という短い時間にギュッと魅力が凝縮されたツアーに参加して、帰る時には「美術館がこんなに素敵な場所とは知らなかった」「また来たい」「昼の様子もみてみたくなった」といった声を多く寄せていただいています。
ツアー終了後の参加者アンケートからは展覧会だけではない都美術館の場所や空間の魅力、その豊かさに改めて注目していただく機会となっていることがうかがえます。
ご参加いただいた皆様からの反応は私たちの励みやたのしみとなっていて、とびラーと参加者とで一緒につくる時間を心がけています。
12月2日、今年度最後のツアーはクリスマスの雰囲気を演出。ツアー終了後にこの日の運営とびラーみんなと記念写真
執筆:尾駒京子(アート・コミュニケータ「とびラー」)
9期とびラー。夜間開館が中止されている時に、2、3年目とびラーが撮影した夜の都美術館の画像を見て、その美しさに衝撃を受けました。『いつか必ずこのツアーを再開したい』とその時強く思いました。建物にこめられた設計者やつくり手の想いを参加者と一緒に紐解く、そんな時間がとても楽しかったです。
2022.11.12
”今日はどんな気分?
「学校がしんどいな」とか
「いつもみんなで行動するのも疲れちゃう」と思ったら、
おいでよ、ぷらっと美術館に”
秋晴れの11月、土曜日の午後、私たちのこんな呼びかけに応募してくれた
3組の親子が東京都美術館のアートスタディルームに来てくれました。
「おいでよ・ぷらっと・びじゅつかん」は、学校が「しんどい」と感じている小学生・中学生とその保護者を対象としたプログラムで、2021年度から始まり今回が3回目の実施になります。
参加者ととびラーが1対1でペアになり、東京都美術館や展覧会を一緒にお散歩することで、美術館での過ごし方をみつけていく、オーダーメイドのプログラムです。
学校に行っていても、行っていなくても、何かしら「しんどさ」と感じている子供たちに対して、「社会の中には学校と家だけじゃなくていろんな場所があるよ」「美術館は『自分の居場所』のひとつになれるかもしれないよ」ということを伝えたいと思い企画しました。
■美術館へようこそ!
子供たちがゆっくりと来られるように、受付は14:30〜15:00の30分間設けました。美術館に来るのが楽しみで受付開始した直後にきてくれる子もいれば、あまり乗り気そうではなく受付時間ぎりぎりに連れて来られた子も。どんな状況でも来てくれただけで私たちは嬉しくて、少しでも緊張を解きほぐせるよう笑顔でお出迎えしました。
担当とびラーと参加者が席に着いたら、お互いに呼んで欲しい名前を付箋に書いて交換し、このプログラムの特別パスポートをお渡ししました。この特別パスポートは、お散歩の中で見つけた「お気に入り」を記録するために使います。また、参加者は初めての場所や初めて会うとびラーに緊張しているだろうと思い、まずは少しでも安心感を持ってもらえるよう、これからプログラムでやることをフリップを使って説明しました。
■お互いを知り合う時間
次に、アイスブレイクとして、岡本太郎の作品や東京都美術館の写真を使って、どんなものが気になるかについてお互いに話しました。テーブルに並べたたくさんのカードの中から、まずはとびラーが好きなカードを紹介します。次に子供に興味があるものや見たいと思うものを選んでもらい、どんなところが気になるかを聞きます。名前を書いた付箋を指人形のように使いお話しするペアもあり、カードを通じてお互い興味があることを話すことで、とびラーと子供の距離が少しずつ縮まっていきます。
熱心にお話ししてくれる子もいる一方で、なかなか話そうとしない子もいました。初めて会う人といきなり仲良くなるのは大人でも難しいので、そんな子がいてもおかしくありません。本人のペースで心が開くまで、時間をかけて話しかけていきました。その子もきっと話しかけられる言葉を聞きながら、とびラーがどんな人かを知ろうとしてくれていたのだと思います。一言、二言と少しずつ話してくれるようになり、20分間のアイスブレイクが終わる頃には、最初の頃の緊張は解け、とびラーとお散歩に行く気持ちができているようでした。
■お散歩へ出発
心の準備ができたら、お散歩へ出発です。ここからは保護者とは離れて、とびラーと子供だけの時間が始まります。みんなしっかりとした足取りで「展覧会 岡本太郎」に向かっていきました。会場に入り岡本太郎のエネルギッシュな作品の数々を見ると、元々楽しみにしていた子はもちろん、最初は興味なさそうだった子も一気に作品の魅力に惹きつけられたようでした。それぞれお気に入りの作品を見つけて、熱心に観察したり写真を撮ったりしながら鑑賞しました。一つの作品をじっくり見る子もいれば、多くの作品に興味が止まらない子もいて、作品の鑑賞の仕方にも一人ひとりの個性が出て、一緒に回るとびラーにも発見のある楽しい時間となりました。はじめは一言だけだった感想も、展覧会の最後には「作品のこんなところがが好き」という話から、普段の好きなものの話までたくさんお話ししてくれるようになっていました。
展覧会の後には美術館内を一緒にお散歩しました。東京都美術館には心休まる空間がたくさんあります。とびラーおすすめの場所に案内すると「わぁ」と声を上げ、展覧会とはまた別の表情を見せてくれました。
今回は、保護者にも美術館が居場所になり得ることを知ってほしいと思い、「参加者」としてとびラーと二人で活動する時間を設けました。なぜ私たちがこのプログラムを作ったのか、それぞれの個人的な思いも含めて伝えることから始め、1対1でじっくりとお話をしました。保護者からも、このプログラムへの応募動機や美術館への関心についてお話ししてもらい、子供と離れ、一人の大人として非日常のリフレッシュする時間を体験してもらいました。
■お気に入りボードとパスポートの作成
一組、また一組とお散歩を終えた子供たちが、目を輝かせてとびラーと楽しそうにアートスタディルームに戻ってきました。ちょっと休憩をして、美術館で見つけたそれぞれの「お気に入り」からお気に入りボードを作成する作業に取り掛かります。撮影した写真の中から1枚選んでプリントアウトし、岡本太郎の消しゴムハンコを押したり、絵を描いたりとそれぞれの方法で、「お気に入り」を思いっきり表現してくれました。子供たちはプログラム当初の緊張していた様子とは打って変わり、周りのとびラーにも何が気に入ったのか、何を作っているのかを元気よく話してくれ、部屋全体が賑やかな空気に包まれました。最後に保護者と子供それぞれにアンケートを回答してもらい、全部で90分のプログラムが終了しました。
■おいでよ・ぷらっと・びじゅつかんに込めた思い
私たちはこの企画を進めるにあたり、どうしたら参加者が「自分の居場所」と感じられるようになるか、何度も何度も話し合いました。その中で出てきたキーワードは、「子供と真剣に向き合い続けること」「違いをありのままに受け止め、肯定すること」「正直に向かい合い、取り繕わないこと」でした。子供たちがどんな心の状態で来てくれるのかわかりませんでしたが、どのような状況でもこれらのキーワードを守り、あとは柔軟に対応することに決めていました。
実際に、学校が「しんどい」理由も性格や興味も参加者それぞれ違い、想定していなかった状況も多々ありましたが、参加者にとって安心できる場にすることを何よりも大事にしました。参加者全員が最後に笑顔で帰っていった姿を見て、また、保護者から「新しい場所に行くことを少し躊躇するようになっていたが、初めての美術館がとても楽しい時間となったようです。」「美術館がお気に入りの場所になりそうです。」という声をいただき、私たちの想いを十分に届けることができたと感じています。
おいでよ、ぷらっと美術館に。
美術館がそんな場所となれることを願い、今後もっと多くの人に私たちの想いを届けていきたいです。
執筆:飯田 倫子(アート・コミュニケータ「とびラー」)
とびラー2年目。とびらプロジェクトを通じて色々な人に出会い、日々刺激を受けると共に、美術館が自分にとっても「居場所」になりつつあることを感じています。
2022.10.11
トビカン・モーニング・ツアーは、午前中、まだ人もまばらで、のんびりとした空気の中の美術館をまわる30分のツアーです。周りの上野公園の緑も取り込みながら気持ちよく時間が過ぎていき、午後や夜とは少し違った景色を観ることができます。
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10月11日(火)
曇りがちな連休のあとに訪れた 気分の良い秋の朝での開催となりました。
建物の外に出た瞬間の風が気持ち良かったです。
この日は4チーム4つのコースで実施。参加者は7人。
今回は少人数のチームも多く、のんびりとじっくり回ることができたようです。
参加者の皆さんのニコニコな笑顔が印象的な回でした。
「別のツアーも参加したい!」の声も多かったようで、またお会いできることを楽しみにしています。
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トビカン・モーニング・ツアーは、午前中、まだ人もまばらで、のんびりとした空気の中の美術館をまわるツアーです。周りの上野公園の緑も取り込みながら気持ちよく時間が過ぎていきます。このツアーを通して、新しい美術館の魅力を見つけてくださるといいな、と思っています。(滝沢)
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執筆:
池田智雄(アート・コミュニケータ「とびラー」)
とびラー10期。散歩と美術館が好きで、その楽しさを他の人にも一緒に味わってもらうことができるこのとびラボが大好きです。ツアーの時に参加者が自分で見つけた美術館の魅力を言葉にして教えてくれるとガイドとしてとてもうれしくなります。
滝沢智恵子(アート・コミュニケータ「とびラー」)
とびラー9期。トビカン・モーニング・ツアーは、平日の午前中、上野公園全体がなんとなく緩やかに時間が過ぎている時間帯に開催されています。参加された皆さんが、そういう空気を感じながらのんびりとくつろいでいらっしゃる様子をみることがガイドとして、とても幸せです。
2022.09.16
2022年9月16日、東京都美術館で開催された『ボストン美術館展 芸術×力』展(会期:2022年7月23日~10月2日)に合わせ「聴く 視る 話す 鑑賞を深く味わおう」を開催いたしました。
このプログラムには、ふたつの目指すところがありました。
・普段の鑑賞に「聴く」「視る」「話す」を意識するパートを加えることで「作品を深く味わえた」と実感していただきたい。いつもと違う美術館での過ごし方を体験することで、鑑賞スタイルの幅を広げて欲しい。
・参加者やとびラーとの交流を通して、美術館が「作品を鑑賞するだけの場ではない」人々の交流の場となり、新しい価値観を生みだす「心のゆたかさの拠り所」となることを感じていただきたい。
それでは、このプログラムが創り上げられていく過程からお伝えしたいと思います。
▶ワークショップ開催までの流れ
春先にラボを起ち上げ、集まってくれたメンバーで「作品を味わえた」と感じた経験について、共有することから始めました。
その中で、メンバーからはこんな意見が聞かれました。
・グループでの「対話型鑑賞」での体験。他の人の意見から異なる視点を得られた
・全ての作品ではなく、心に残った作品をじっくりと時間をかけて観察。新たな発見や気付きを得ることができた
・鑑賞後、他の人と感想を共有。多様な意見を交わし合うことで、作品への理解が深まった
メンバーのそれぞれの体験談から「聴く」「視る」「話す」という、3つの要素を軸にプログラム構成を考えよう、という方向に決まりました。ワークショップの流れと内容は下記の通りです。
聴く 『ボストン美術館展 芸術×力』展の作品画像をモニターに画像を映す。少人数のグループに分かれ「対話型鑑賞」を行う。グループで同じ作品を鑑賞しつつ、他の人の発話からいろいろな視点があることを実感してもらう
視る 『ボストン美術館展 芸術×力』展の会場に足を運び、本物の作品を観察、鑑賞する。同じ作品でもいろいろな意見がある、もっと自由に作品を鑑賞してもいいんだ、という「聴く」での体験を元に今度はひとりでじっくりと作品を鑑賞する
話す 本物の作品を鑑賞しての感想や、気になる作品をグループで共有する。他の人と感じたことを分かち合う楽しみと喜びを味わってもらう
参加者に、いかに心地良くストレスなくプログラムを楽しんでいただくか?
来場者が少ないことが予想される金曜夜の「夜間開館」の時間帯にプログラムを開催することにしました。
メンバーで何度もミーティングやトライアルを繰り返し、プログラムを練り上げていきました。
それでは、当日の様子をお伝えします。
暑さも少し和らぎ、過ごしやすさも感じる日和となりました。夜間開館の時間帯に展示室へ足を運べるよう、17時に受付開始です。20代~70代までの幅広い14名の方がご参加。参加者4~5名、とびラー3名の3グループに分かれます。
▶アートカードを使って自己紹介
受付をすませた参加者さんから、ゆるやかに輪になって座っていただきます。「東京都美術館へはよくいらっしゃるんですか?」初めて訪れる場所、初めて出会う人たち。緊張気味な参加者にとびラーがにこやかに話しかけ、リラックスしていただけるよう心掛けます。
参加者の表情が和らいできたところで、自己紹介タイムです。あらかじめ『ボストン美術館展 芸術×力』展の作品の図版が、ホワイトボードに貼りだしてあります。選ばれた作品は絵画のみならず、服飾や工芸品なども含まれる、幅広いラインナップが特徴となっている6点です。本展覧会への期待感を持ってもらうために何度もメンバー同士で話合い、作品を選びました。
まずはじめに参加者に「気になる作品」を選んでいただきました。なぜ、この作品が気になるのか?理由を話しながら自己紹介。見知らぬ参加者同士がお互いを知り合う、プログラム冒頭の大切な時間です。自分が選ばなかった作品への視点を知ることで、この後に控えた展示室での鑑賞にも興味が膨らみます。
▶モニターに作品を投影し対話型鑑賞
とびラーのファシリテーションで「対話型鑑賞」を行います。まずは作品をじっくり観察。参加者同士、感じたことや気になることを共有します。対話型鑑賞が初めての参加者がほとんどでしたが、自己紹介の時間ですっかり打ち解けた参加者より次々と発話が続きます。
▶展示室で「ボストン美術館展 芸術×力」展を鑑賞
展示への興味が充分高まったところで、いよいよ本物の作品を鑑賞します。
展示室で鑑賞する作品の作品名と、気付いたことをメモするコンパクトなメモ帳をお渡ししました。
安心して鑑賞に集中できるよう、展示室ではとびラーが見守る事をお伝えしました。皆さん、メモ帳片手に熱心に作品を鑑賞してくださったようです。
▶展示室から戻り感想を共有
「お帰りなさい!」60分間、本物の作品と向き合った参加者を笑顔でとびラーが迎えます。戻ってきた参加者の表情より「はやく見つけたこと、感じたことを話したい!」という高揚した気持ちが伝わってきます。
まずは「対話型鑑賞」を行った作品の共有から始めます。ひとつの作品を10分以上掛けて鑑賞する体験は皆さん初めてだったと思います。描かれている場面や人物から当時の時代背景、権力の構造にまで話が及んだグループもありました。短い時間で『ボストン美術館展 芸術×力』のテーマに迫る視点を共有できたことは、予想外の展開で充実した時間となりました。
場が温まったところで「自己紹介」の時間に選んだ作品について共有します。
隅々までじっくり観察することで、色彩の鮮やかさや構図の奥行き、描かれている絵画の空気感まで感じ取ってくださったようです。「他の人の感想を聞いて、もっと作品が観たくなってきた。また、展示を観に来ます!」という嬉しい言葉も飛び出しました。
今回は、冒頭の自己紹介から「対話型鑑賞」まで『ボストン美術館展 芸術×力』に展示されている作品を選びました。その流れによって、展示に向けての期待感が高まり展示室で鑑賞する時間もより深く興味を持って、過ごすことができたと思います。
皆さん、普段と違う美術館での過ごし方をどのように感じたのでしょうか?アンケートをみてみましょう。
・明るく楽しい雰囲気で、感じたことを遠慮なく話せました。皆さんの感想に「おお、なるほど!」となったり別の視点からの見方を知って、よりいっそう鑑賞の楽しみが増しました。
・ひとつの作品とじっくり向き合う時間。ひとりであるいは友人と一緒でも、今までこんなに長い時間を掛けて作品を観ることはなかった。いろんな角度で見て感じることで、より一層作品の印象が深くなった。
・スケジュールも細やかに検討されていて、流れるようなあっという間の時間でした。初めてで、不安に思っていましたが安心して参加することができました。
約半年にわたって練り上げた鑑賞プログラム「聴く 視る 話す」。無事に開催することができました。
最後にたくさんのアドバイスを下さった「とびらプロジェクト」スタッフの皆さま、一緒にプログラムを創り上げてきた仲間たち。当日参加してくださった皆さま、全ての方に心より御礼を申し上げます。
【参加アート・コミュニケータ】
岡田、栗山、小屋迫、長尾、堀内、山中、吉水、遊佐、井上、梅川、隈井、高崎、高橋、宮林、山本
執筆:遊佐 操(アート・コミュニケータ「とびラー」)
とびラー3年目。活動の中で「アートってひとを変えるチカラがあるんだ!」と実感する場面が何度もありました。これからもそんな奇跡のような、喜びに満ちた瞬間に関わり合っていきたいです。
2022.08.23
トビカン・モーニング・ツアーは、午前中、まだ人もまばらで、のんびりとした空気の中の美術館をまわる30分のツアーです。周りの上野公園の緑も取り込みながら気持ちよく時間が過ぎていき、午後や夜とは少し違った景色を観ることができます。
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8月23日(火)
少し蒸し暑い夏の日。それでも沢山の参加者の皆さんがお越しくださいました。
この日は4チーム4つのコースで実施。参加者は12人。
ご夫婦で参加されたり、参加者同士が同世代で盛り上がったり。
どのチームも皆さんで楽しくお話しながらツアーが進んで行きました。
アートラウンジでは上野の緑に囲まれ、椅子に座って皆さんリラックスされていました。
室内からでも見どころが沢山ある東京都美術館。
暑い夏でも楽しんでいただけます.
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トビカン・モーニング・ツアーは、午前中、まだ人もまばらで、のんびりとした空気の中の美術館をまわるツアーです。周りの上野公園の緑も取り込みながら気持ちよく時間が過ぎていきます。このツアーを通して、新しい美術館の魅力を見つけてくださるといいな、と思っています。(滝沢)
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執筆:
池田智雄(アート・コミュニケータ「とびラー」)
とびラー10期。散歩と美術館が好きで、その楽しさを他の人にも一緒に味わってもらうことができるこのとびラボが大好きです。ツアーの時に参加者が自分で見つけた美術館の魅力を言葉にして教えてくれるとガイドとしてとてもうれしくなります。
滝沢智恵子(アート・コミュニケータ「とびラー」)
とびラー9期。トビカン・モーニング・ツアーは、平日の午前中、上野公園全体がなんとなく緩やかに時間が過ぎている時間帯に開催されています。参加された皆さんが、そういう空気を感じながらのんびりとくつろいでいらっしゃる様子をみることがガイドとして、とても幸せです。
2022.07.05
トビカン・モーニング・ツアーは、午前中、まだ人もまばらで、のんびりとした空気の中の美術館をまわる30分のツアーです。周りの上野公園の緑も取り込みながら気持ちよく時間が過ぎていき、午後や夜とは少し違った景色を観ることができます。
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7月5日(火)
前日まで雨の予報がほぼ晴れで、午前中とはいえ少し暑いくらいでした。
朝の眩しい日差しを浴びた都美の建物は落ち着いた美しさが際立ちます。
この日の参加者は12人。
初参加の人はもちろん都美に来るのも初めての人もいれば、都美の建築ツアーに何度も参加されているベテラン参加者まで幅広い方に来ていただきました。
中には岐阜県美術館のアートコミュニケーター「~ながラー」の方もいらっしゃいました。
ツアーは4チーム4つのコースで実施。
そのうち2チームはモーニングツアーのガイドデビューとなる二人のとびラーが先導しました。
暑さ対策で事前に決めていたコース取りを検討し直す各チーム。
建物の外に出る場合はなるべく日陰の場所を歩くように、または外に出るのを控えて室内中心のコースに切り替えるチームもありました。
今回のツアーから、感染症対策で休憩スペースとしての利用が中止されていた中央棟の「佐藤慶太郎記念 アートラウンジ」が利用できるようになり、北欧デザインの椅子やテーブルで過ごす時間を各チームが取り入れました。
今年度2回目のモーニングツアー開催とあって、初回と比べると余裕をもった準備ができたことと、天候にも恵まれたことで、明るい日差しの中、参加者の方々には朝のゆったりした時間を過ごしていただけたようです。
参加者からは
「これまであまり気にしていなかった美術館の建物に興味を持てた」
「アートラウンジの椅子が座り心地良い。根が生えた(笑)」
「もっと都美や建築のことを知りたい、また来たいと思った」
「野外彫刻がとても気になる」
「他の美術館の建物もよく見てみたい」
「とびラーについて興味がわいた」
などのコメントをいただけました。
わたしたちも、参加者が発見する都美の魅力を毎回学べる良い機会です。
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トビカン・モーニング・ツアーは、午前中、まだ人もまばらで、のんびりとした空気の中の美術館をまわるツアーです。周りの上野公園の緑も取り込みながら気持ちよく時間が過ぎていきます。このツアーを通して、新しい美術館の魅力を見つけてくださるといいな、と思っています。(滝沢)
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執筆:
池田智雄(アート・コミュニケータ「とびラー」)
とびラー10期。散歩と美術館が好きで、その楽しさを他の人にも一緒に味わってもらうことができるこのとびラボが大好きです。ツアーの時に参加者が自分で見つけた美術館の魅力を言葉にして教えてくれるとガイドとしてとてもうれしくなります。
滝沢智恵子(アート・コミュニケータ「とびラー」)
とびラー9期。トビカン・モーニング・ツアーは、平日の午前中、上野公園全体がなんとなく緩やかに時間が過ぎている時間帯に開催されています。参加された皆さんが、そういう空気を感じながらのんびりとくつろいでいらっしゃる様子をみることがガイドとして、とても幸せです。
2022.04.19
トビカン・モーニング・ツアーは、午前中、まだ人もまばらで、のんびりとした空気の中の美術館をまわる30分のツアーです。周りの上野公園の緑も取り込みながら気持ちよく時間が過ぎていき、午後や夜とは少し違った景色を観ることができます。
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4月19日(火)
2022年度最初となるモーニングツアー。
今回初めて運営メンバーとして参加するとびラーも多数でしたが、昨年までの経験やノウハウを2〜3年目のとびラーから引き継いで準備万端。
事前に役割を決めたり、とびラーを相手にトライアルをおこなったりしてこの日を迎えました。
この日は4チーム4つのコースで実施。
ガイドとサポートの2名1組で1チームとなり、参加者と一緒に東京都美術館(以下、都美)を巡ります。
他に受付、案内係、記録係15名のとびラーによる運営メンバーでツアーを実施しました。
参加者は6人と少なめでしたが、その分、参加者のみなさんと親密な雰囲気になれました。
この日は過ごしやすいお天気とあって、建物の外をゆっくりまわるチームが多く、芝生に咲くたんぽぽや鳥のさえずりに囲まれて都美の落ち着いた空間を味わえました。
春の朝のあたたかい日差しの中、ゆったりした時間を満喫していただけたかと思います。
参加者からは
「知らなかったことを親切に教えてもらえた」
「美術館の魅力や楽しみ方を知ることができた」
「あっという間の30分だった」
「都美の建物を設計した前川國男の思いをよく理解できた」
「これからは展示だけでなく美術館の建物も楽しむようにします」
などのご意見をいただきました。
実施後は、ふりかえりを皆でおこないました。
初回とあって運営上の反省点もいくつかありましたが、改善策を立てて次回につなげるようにしました。
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トビカン・モーニング・ツアーは、午前中、まだ人もまばらで、のんびりとした空気の中の美術館をまわるツアーです。周りの上野公園の緑も取り込みながら気持ちよく時間が過ぎていきます。このツアーを通して、新しい美術館の魅力を見つけてくださるといいな、と思っています。(滝沢)
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執筆:
池田智雄(アート・コミュニケータ「とびラー」)
とびラー10期。散歩と美術館が好きで、その楽しさを他の人にも一緒に味わってもらうことができるこのとびラボが大好きです。ツアーの時に参加者が自分で見つけた美術館の魅力を言葉にして教えてくれるとガイドとしてとてもうれしくなります。
滝沢智恵子(アート・コミュニケータ「とびラー」)
とびラー9期。トビカン・モーニング・ツアーは、平日の午前中、上野公園全体がなんとなく緩やかに時間が過ぎている時間帯に開催されています。参加された皆さんが、そういう空気を感じながらのんびりとくつろいでいらっしゃる様子をみることがガイドとして、とても幸せです。