2016.11.16
耳の聞こえない人と聞こえる人が、色々な画材を使って「筆談」でコミュニケーションする鑑賞ワークショップを開催します。
鑑賞するのは「ゴッホとゴーギャン」展。作品をじっくりと見た後は、文字や色や形を自由に描くことで、気付いたこと感じたことを伝え合ってみましょう。
今回の耳の聞こえない人と聞こえる人とのコミュニケーションでは声は使いません。でも、声色や音の強弱、声スピードの代わりに、豊かな色彩や画材の表情が、声の魅力を超えた新しいコミュニケーションの形を見せてくれることと思います。
聞こえる人も、聞こえない人も、ぜひお集り下さい!
2016.09.24
日時: 2016年9月24日(土)12:30~16:00
会場 :東京都美術館「木々との対話」展、アートスタディルーム
■ はじめに - ワークショップのあらまし
土曜日の午後、こどもとその保護者の方6組に参加していただいたこのワークショップは、東京都美術館で開催中の展覧会「木々との対話」の作品を見て、森を守る想像上のいきものになるために自然素材で顔(仮面)をつくり、素材との対話や見えないものを形にすることを通じて、一歩深まった展覧会体験をもち帰ってもらおうというものです。
2016.09.15
美術館の展覧会を見て、そのあと、木々の素材から仮面をつくる、鑑賞と造形のワークショップ。
東京都美術館で開催中の「木々との対話-再生をめぐる5つの風景」展は、5人の現代作家が木でつくった彫刻作品が並ぶ、見応えあるオススメ展覧会です。とびラー(アート・コミュニケータ)と一緒におしゃべりをしながら、たっぷり“木々との対話”を味わってみませんか?
そのあと、木や葉っぱ、枝などの自然素材でオリジナル仮面をつくります。自分の手で“木々とおしゃべり”をしながらつくった仮面で、「森のいきもの」に大変身!みんなで上野公園にでかけよう。こどもも大人も大歓迎です!
2016.09.11
9月11日(日)、とびラボ「☆アート筆談☆で対話鑑賞~耳の聞こえない人⇔聞こえる人~」のトライアルを行いました。
《筆談でコミュニケーション中の様子》
この日は3人の耳の聞こえない方々に参加していただき、とびラーたちと『ポンピドゥー・センター傑作展』の作品鑑賞後に、さまざまな画材を使って絵や文字を模造紙に描きながら「対話鑑賞」をしました。
この企画の目的は、日常生活の中でコミュニケーションにバリアを感じている、耳の聞こえない方が、聞こえる方と一緒に美術館において、お互いの鑑賞を共有しあい、それぞれの感覚を活かしたコミュニケーション方法を探る事です。
2016.09.03
9月2日から4日までの3日間、東京藝術大学の学園祭「藝祭2016」が
上野キャンパスにて行われました。
神輿パレードや、サンバ、個性的な模擬店に、歌や楽器の生演奏。
にぎわっているそんな藝祭の中、とびらプロジェクトでは昨年に引き続き、
「藝祭さんぽ」プログラムを実施しました。
2016.05.07
「若冲」展を鑑賞した後は、「若冲らうんじ」にお立ち寄り下さい。年齢・知識に関わらず楽しめる企画を色々ご用意しています。ゆっくり座りながら若冲の動物達を紙粘土で作ってみたり缶バッジにしてみたり、おしゃべり鑑賞会や若冲の絵に言葉を付けて楽しむ”若冲かるた”、さらに若冲の作品を見て作ったチョコレートアートの展示や、作品に出てくるモチーフが押せる消しゴムはんこはなんと目の前での実演も!細部まで細かく描かれた作品に近づいたり角度を変えて見てみれば、新たな発見がきっとあふれ出します。
プログラム一覧
・若冲のスゴ技を知って、羽を描いてみよう!「若冲缶バッジ」
・ことばで見よう!「おしゃべり若冲鑑賞会」
・見てビックリ!若冲チョコ「チョコっとチョコレートアート体験」
・みて!よんで!とって!「若冲かるた」
・全部押したい!「若冲の消しゴムはんこ」
・紙粘土でつくるJAKUZOO「若冲の不思議な動物たち」
内容をもっと詳しく知りたい方はチラシをご覧ください→コチラをクリックしてください
※当日は参加人数に伴いお待ちいただく場合がございます。
※広報や記録用に撮影を行います。ご了承ください。
2016.01.29
2016年1月29日 とびフェス初日の朝一番に、第64回東京藝術大学卒業・修了作品展にてベビーカーツアーが開催されました。
天気予報は雨のち雪の大荒れ。そんな中を6組の参加者の皆さんが集まってくれました。
ベビーカーや抱っこ。赤ちゃんとママの来館スタイルはいろいろです。集まった方ととびラーは、お天気が悪いのにありがとう、お子さん何ヶ月ですか?ここまで来るの、大変だったでしょう!といった会話で皆さんが集まるのを待ちます。おむつ替えや授乳室の場所もご案内します。
集合場所には、ベビーカーツアーバッグを提げたとびラーが皆さんをお迎えしています。もちろんメンバーの手作りです。硬い素材でお子さんが怪我をしないようアイデアを出し合い、試行錯誤して出来上がりました。
親子二組に、とびラー二人が寄り添います。
まずはご挨拶。
お子さんの年齢の近いお二人は、すぐに打ち解けていました。
授乳やおむつ替えが済んだら、それぞれのチームに分かれて展示室へ。
エレベーターを待つ間も話が弾みます。
いよいよ展示室内へ。
ベビーカーも荷物もとびラーがサポートします。ママは赤ちゃんとじっくり作品を鑑賞。
もちろん、赤ちゃんの発言にもみんなで耳を傾けます。ふむふむ、なるほど!
おねむになった赤ちゃんを抱っこして、建築模型を鑑賞。このグループは、偶然おふたりが建築模型の作成経験者。「これつくるのに○○日くらいかかるね!」 とびラーはおふたりの話に興味津々です。もちろん抱っこの間は、とびラーがベビーカーをお預かりします。赤ちゃんはちっともぐずることなく、ママの抱っこで安心しています。
立体作品も、みんなで囲んでそれぞれの角度から鑑賞。ひとりで見るのとは違う発見がたくさんあります。
どうなってるんだろうね?これ、なんだろうね?なんて近づいてみます。
少し前まで自分たちもこうだったね。
立体作品が多くベビーカーでの移動が大変な展示室内も、とびラーがいるので大丈夫。
ベビーカーツアーでは、特にプログラムはありません。とびラーと赤ちゃんを連れた皆さんが一緒に展示室をまわりながら、作品を介しておしゃべりします。
赤ちゃんがいることでちょっと遠のいた美術館、とびラーがサポートすることで美術館をより近くに感じていただこう。そして、ちょっとでも美術館でリフレッシュしていただこう、という目的で始まりました。今回も、赤ちゃんと美術館に来るのが初めてというママがいらっしゃいました。最初は緊張していたお顔も、終わるころには満面の笑顔。そんなデビューの日にご一緒できて私たちも幸せです。ママの笑顔のおかげで、赤ちゃんたちもみんな笑顔で過ごしていました。
このベビーカーツアーをきっかけとして、お子さんとのお出かけ先に美術館も仲間入りできることを願っています。
執筆:とびラー二期生 工藤阿貴(男児二人と暮らす母ちゃん)
2015.12.23
始動から4年目を迎えた「とびらプロジェクト」では、フォーラムの開催に合わせて
とびらプロジェクトをよく知る3日間「とびフェス」を開催します。
この機会に、とびラーたちが企画したさまざまなプログラムに是非ご参加ください。
各プログラムの詳細・お申し込みは写真をクリックしてください。
全体スケジュール [PDF版]
2015.12.18
「ボッティチェリ展」で自分だけのぬり絵を作ってみよう!
展示室にある作品をじっくり鑑賞して、とびらボード(磁気式ボード)に絵をかこう。
完成した絵はポストカードになり、その場で色を塗ることもできます。
きみだけの名作の完成!
*とびらボードについてはこちら
2015.12.13
「戦争画」をご存じですか?
「戦争画」とは、戦争を主題とした絵画のことですから、ドラクロワの『民衆を導く自由の女神』も、ピカソの『ゲルニカ』も、丸木夫妻の『原爆の図』もみな戦争画と呼ぶことができます。でも、今回の展覧会「戦争画STUDIES」が主に意識しているのは、日本において、日中戦争から太平洋戦争にかけての時期に、軍の要請によって描かれた「作戦記録画」と呼ばれるものです。
70年前、これらの絵画は占領軍の指示によって一時東京都美術館(旧館)に集められ、やがて「戦利品」としてアメリカに運び去られました。これらの戦争画が、「返還」ではなく「無期限貸与」という形で日本に戻ってきたのは1970年のことで、現在は153点が東京国立近代美術館に収蔵されています(所蔵作品展で数点ずつ順次公開)。
今回の「戦争画STUDIES」展は、作家たちがこれらの戦争画についてさまざまなリサーチを重ね、その成果をコンテンポラリーアート作品として展示したものです。そして、なにかしらタブー感の漂う「戦争画」をテーマに据えて、東京都美術館という場であらためて問いかける作家たちのまなざしに、われわれとびラーが何らかの形で関わることができないかと考えたのが、この「ズームイン」企画です。
「作品との対話」と「作家との対話」を
今回の企画では、作品を前に参加者のみなさんと対話するプログラムと、直接作家から作品についての話をうかがうプログラムをミックスして、参加者と作家や作品との距離を縮めること(ズームイン)をめざしました。「見る・聞く・話す」を織り込んだ45分ほどのプログラムを二回実施し、それぞれ3~4名の作家の作品を、集まった参加者のみなさんと一緒に見て歩きました。以下では、写真を交えてその様子をご紹介します。
一回目(12月13日13時半より)
まず、153点の『プチ戦争画』(村田真さん)の前で参加者のみなさんとご挨拶して、プログラムの概要を説明しました。続いて、豊嶋康子さんの『前例』の前に移動し、作品を見て感じたことをみなさんとお話します。この作品では、地図上に、その土地を訪れた美術家の名前が、和紙に筆書きされて貼付されています。
地図の上部が手前にせり出して傾いていることで、吊り下がった各地の短冊の量感や密度差が視覚的にわかるようになっている、とくに満州のあたりが密集している。そんなことが、みなさんの話の中から浮かび上がってきました。垂れ下がった短冊がこぼれ落ちる涙に見える、という感想もありました。いったい何の『前例』なのかと考えたとき、作品のもつ同時代性を感じるのではないでしょうか。
次は笹川治子さんのコーナーです。藤田嗣治の戦争画で広く知られるアッツ島を扱ったものを中心に、五点の出展作品のそれぞれについて、その意図するところを話してもらいました。アートやメディアにまつわる虚実を取り上げた作品群ですが、表面的に見ただけではなかなか思い至らない作家の制作意図を聴くことができたばかりでなく、直接ご本人に質問して、作品を制作したことで得た実感をうかがう機会にもなりました。
最後に向かったのは、辻耕さんによる『絵画考-1945年の清水登之から』というコーナーです。従軍画家としても知られた清水登之(1887-1945)は、1945年6月に息子・育夫の戦死の報を受けます。画家はそれ以降12月に亡くなるまで、ひたすら息子の肖像画を描き続けました。今回は、登之の絶筆ともいえる『育夫像』が四点展示されているのですが(内三点は初公開)、その作品を辻さんは毎日会場で模写しています。ここでもまずは会場に並ぶ『育夫像』を見ていきます。海軍の階級章の違い(戦死による昇進)に気づかれた方や、四枚の絵の表情の違いを言葉にしてくださった方がいました。そして辻さんご本人より、育夫像との出会いから、この模写という行為に込められた想いまでをうかがい、プログラムを締めくくりました。
二回目(12月13日16時半より)
入口正面にある、『アッツ島玉砕』(藤田嗣治)と同寸に投影された光(笹川さんの作品)の前で参加者のみなさんと挨拶をしたあと、壁にずらりと並んだ『プチ戦争画』を見て、作家の村田さんにお話をうかがいました。153点のうち数点ずつしか展示されていない現状を、ほとんどの絵が裏返された姿によって表現しているそうです。参加者からは、裏側に絵が描かれているとは思わなかったという感想や、絵を並べた順序、従軍画家への関心などが話に出ていました(ちなみに順序はランダムだそうです)。
隣のバーバラさんのコーナーには二つの作品があります。ここでも作品を囲んで話したあとで、作家本人に話をうかがいました。まずは一見作品に見えないような作品『当事者について 03』のタネあかしをしてもらいました。「思い込みは見る人の側にある」と感じる作品でした。また、上半身裸の男性モデルによるボディペインティング『たてるぞう』は、太平洋戦争当時と東日本大震災後に、「絵画(アート)になにが出来るのか」という同じ言葉が流布したことをモチーフにした作品とのことでした(松本竣介の『立てる像』を踏まえています)。参加してくれた小学生のお嬢さんは、会場でじっと立ち続けているモデルさんが風邪を引かないか心配だったようです。
続いて、一回目にお話を伺った笹川さんの作品を一点見たあと、今回も最後は辻さんのコーナーです。それぞれが作品を見たうえで感想を共有し、さらに辻さんご自身からお話をうかがいました。なかでも、育夫の写真を元に肖像画を描くことが、登之の心を落ち着かせ、救いになっていたのではないかと考えて、「絵や表現が人の救いになることがある」とおっしゃった辻さんの言葉が印象的でした。
プログラムを終えて
二回とも、最初からの参加者だけでなく、その都度会場で自由に加わっていただいたみなさんも一緒にプログラムを進めることができました。今回はあわせて四名の作家にお話をうかがいましたが、作家ひとりひとり戦争画へのアプローチの仕方はまったく異なり、それぞれのまなざしの独自性と多様性についても、実感してもらえたのではないかと思います。はたして参加していただいたみなさんには、少しでも作品や作家に接近できたと感じてもらえたでしょうか。
そしてふりかえると…
2012年、東京都美術館がリニューアルオープンした年の夏に、「東京都美術館ものがたり」という展覧会が開かれました。このときに藤田嗣治の『十二月八日の真珠湾』が展示されています。この作戦記録画は、1942年に東京府美術館で開催された「第1回大東亜戦争美術展覧会」の出品作ですから、いわば70年ぶりの里帰りでした。『東京都美術館ものがたり』という本を開くと、戦時中この美術館はさまざまな戦争絵画展の舞台であったことがわかります。藤田の『アッツ島玉砕』も、1943年の「国民総力決戦美術展」を皮切りに各地を巡回した作品でした。かなりの数の戦争画がこの美術館に足跡を残し、ここで多くの人の目に触れているのです。そう考えると、この展覧会が東京都美術館の歴史と深いところでつながりを持っていることが感じられはしないでしょうか。
文:羽片俊夫(アートコミュニケータ)
この展覧会で一番気になった言葉は「前例」でした。松本竣介に興味を覚え『みづゑ』のバックナンバーを探してみたり、近代デジタルライブラリーで東京都美術館を会場とした戦争絵画展の目録を調べてみたり、戦争画につながりのある展覧会を訪ねてみたりと、少し視野が広がりました。