2017.08.28
ボストン美術館の至宝展で、今年度2回目になる「障害のある方のための特別鑑賞会」(以下、特別鑑賞会と略します)が行われました。特別鑑賞会は、人がいることによって、より安心して鑑賞できる場について考えながら、とびラー皆で取り組んでいきたいプログラムです。
特別鑑賞会当日を迎える前から、とびラーの活動は始まっています。特別鑑賞会に申し込んでくださった方への発送作業です。封筒には、毎回、とびラーのお手製となる消しゴムハンコが押されています。封入をしたり、ハンコを押したりしながら、「お会いできることを楽しみにお待ちしています」という気持ちが、受け取った方に伝わることを願っています。
今回の特別鑑賞会は、61名のとびラーのサポートのもと、1,076名の方にお越し頂きました。
とびラーは、受付、展示室内、エレベーターなど館内の各所で、サポートができるように活動しています。
当日、活動をしていたとびラーからは、いつもどんなことがあったのか、振り返りを行いながら、エピソードを話してもらいます。
例えば、今回は、目が不自由な方から、一緒に展示室を回って欲しいというご依頼があり、フロアごとに担当者が交代して鑑賞を楽しんで頂いたそうです。こうしたご依頼のサポートをすることが初めてだったとびラーも、先輩とびラーの様子を見ながら、会話のキャッチボールを楽しめたそうです。
とびラーは、「仕事」としてサポート活動をしているわけではありません。だからこそ、鑑賞する方により近い立場でお話をしたり、寄り添うことができるのかもしれません。
次回は、12月のゴッホ展での開催となります。特別鑑賞会にお越しくださった方にとって、温かな雰囲気を感じて安心して鑑賞して頂けるよう、お待ちしています。
(東京藝術大学美術学部特任研究員 菅井薫)