東京都美術館× 東京藝術大学 「とびらプロジェクト」

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Archive for 9月, 2018

2018.09.06

こんにちは、とびラーの松原です。今日は『デザイン・芸術学・作曲・弦楽』チームの御輿の制作現場をレポートします。来週末には待望の出番を迎える『それ』。進捗状況は如何に!

 

↑BGMが流れる現場で余裕すら感じさせる隊長の神出さん(デザイン科)ですが、ほぼ毎日終電で帰宅とか。後方には完成間近の御輿本体とマケット(御輿のミニチュア版模型)が見えます。前回は台風で青天井だったテントも修復されてます。

 

制作中の『それ』への思い入れや、アピールポイントは2回に渡って詳細にレポートされていますので、今回は汗や葛藤、涙?がにじむ、今までの制作工程と道具(武器)についてレポートします。

お聞きした山口副隊長(デザイン科)の話では、制作工程はこんな感じです。

 

  1. テント作り。(完成に2日間、修復に毎日→今年は2度の台風に遭遇)
  2. 御輿の土台、担ぎ棒作り。(今回は昨年の土台を活用)
  3. 心棒作り。(木造で構築→構造図は彫刻の先生にチェックしてもらったとか)
  4. 発泡スチロールブロックの取り付け。(心棒の周りにボンド等で張り付ける)
  5. 荒どり。(電熱線、鋸、カッター等の「武器」を使用し外観を作って行く)
  6. 金櫛、おろし金、鉄やすり等で荒削りする。(今日の段階)

 

今後、紙やすり等で、隊長こだわりの筋肉(特に脇腹筋!)を滑らかに削り強調する。その後色付けに入り、怪しげなパーツを取り付けて完成していくようです。

 

↑目の前で、電熱線を使ったカットが行われていました。2人が電熱線の両端を巻きつけた木棒を持ち、もう1人が横で変圧器を操作しています。かなり高温になり危険なので、慎重な操作、信頼関係が必要なようです。ワイルドだ!

 

↑御輿制作で使われていた道具たちです。切る、削る、貼る、掃除する、といった作業に不可欠で大切な工具(道具?)には、先輩から引き継いだチーム独自の年代物の武器(!)もあるようです。(写真は他チームの道具も含まれてます)

 

隊長、副隊長へのインタビュー後、建物内に置いてある怪しげなパーツのそばで休んでいた戸澤さん(デザイン科)に話を聞いてみました。

「隊長は穏やかな人だけど、御輿への情熱を誰よりも持っています!ちなみに、このチームは幹部4名を中心に編成されていて、御輿づくりに携わる人や『それ』ができるに至るストーリーを作る人がいるかと思えば、全体をマネージメントする人がいたりと、様々な作業が進んでいます。幹部以外のメンバーも含めて、だんだんとバランスのとれたチームになって来た感じがします。私は全体を俯瞰しながら、人手が必要なところを手伝ったり、御輿づくりの記録を取ったりしています。自分の性に合っていると思うし、そうやって関わっていけるのが楽しい部分もあります。」と素晴しいコメントをいただきました。

 

↑『それ』の周辺に取り付けられるパーツのパーツです。怪しい!

 

最後になりますが、台風直下の前回はテント修復等に大わらわで、どこか災害現場のレポートをするような緊迫感を感じました。今回はBGMが流れるほっこりした雰囲気の中、メンバー皆さんの顔つきや表情から、和やかで一体感あるチームになって来たな、という印象を受けました。『災い転じて福となす』かな?

怪しげなパーツが装備された『それ』とMADなパフォーマンスが見どころの本番をお楽しみに。


 

執筆:松原誠一(アート・コミュニケータ「とびラー」)

コメント:制作現場を訪れる度に、学生達の変化を感じます。メンバー間の意見の相違、衝突などを乗り越えて同じ課題や目標に向かって行く学生達の一体感と成長が素晴しいです。制作現場はまるで、それぞれの個性的な楽器が主張しながらハーモニーを奏でているライブ会場のようです。

 

 


★藝大生やとびラーが活躍する「藝祭2018」を一緒に楽しみませんか?

公式サイト→(http://geisai.geidai.ac.jp/2018/index.html)

開催期間:9/7(金)8(土)9(日)9:00〜20:00  / 東京藝術大学上野校地にて

2018.09.06

こんにちは。とびラーの大澤です。

9月に入り、仕事や学校等が本格的に再開した方も多いのではないでしょうか。

未だにジメジメとした湿気が残り、台風の影響等にも心配を募らせるばかりですが、夜間になると「あっ……秋の気配を感じるぞ。いい虫の音だなぁ…!」と一人感じる瞬間が徐々に増えてきたような気がします。

今回は、8月の最終週(8/29)に実施した藝祭御輿インタビューの模様を皆さんにお届けしたいと思います。

お邪魔したのは、『日本画・工芸・邦楽・楽理』チームによる烏天狗の御輿制作現場です。

早速、御輿制作現場へと急ぐ我らとびラー。

この日は暑すぎず、且つ強風・雨もないという天気で、まさにインタビュー日和でした。

 

 

後ろに見えるのが御輿本体の制作場所。手前のブルーシートテントではパーツの調整等が行われています。

 

左奥が「烏天狗」の頭部、手前にあるのが「白龍」の頭部です。かなりリアルでドキッとさせられます!

「烏天狗」の方は、なんとなく山伏とカラスとおじいちゃんを足して3で割ったような顔立ちをしているように私は感じました。眺めていると、変な安心感を覚えるような…。

 

とある藝大生3人は「白龍」の出来具合を確認しつつ、「ハクじゃん!(笑)」と談笑。確かに、ジブリ映画『千と千尋の神隠し』に登場するイケメン少年の素顔に酷似しています…!

 

周囲に散らばる発泡スチロール(一部の学生は“はっぽう”と略して呼んでいました)の破片によってが現場感がを増していました。

みんな身体や頭に“はっぽう”の粉がついてもそんなことお構いなし! はらってもはらっても無限にくっついてしまう“はっぽう”に気を取られているほど、彼ら彼女らに時間・心理的余裕はありません…。(汗)

「白龍」頭部を正面から見た様子。牙と舌があります!

角は後付けするのでしょうか…?

 

MAD SCIENTISTがテーマの御輿(『デザイン・芸学・作曲・弦楽』チーム制作)や三頭の象を表した御輿(『油画・建築・声楽・指揮・打楽器・オルガン・古楽』チーム制作)など、他の御輿に比べるとサイズ的にはさほど大きくはない御輿ですが、進捗を伺うと、かなり急ぎ目で進める必要がある…とのことでした。

 

藝祭当日まで、本格的にカウントダウンが始まっている今。どのチームも心身共にフル回転で制作に取り組んでいるようです。

 

テント入り口手前にある90ℓのごみ袋。ポカリらしきドリンクのペットボトルでパンパンに…。涙ぐましい&微笑ましいほどの努力を察しました。

 

メインでお話を伺ったのは、『日本画・工芸・邦楽・楽理』チームの隊長さんです。

こちらは隊長の中川さん(工芸)。

茶色から明るい赤へ、ヘアカラーチェンジ! 見ている我々も、ますます藝祭当日に向けての雰囲気が増したように感じられました。

結構お疲れの様子で、それもそのはず……毎日朝9時から夜の8時まで作業に取りかかっているとのこと。

他の3チームに比べ進み具合がやや遅れており、「隊長としては心配事が多いのではないか」と質問すると、「人員が足りていないわけではないものの、全体的な工程の進度は現状の3倍ほどスピードアップしたい」と仰っていました。

これからの予定は、「各パーツの粗削り・ディテール仕上げ」→「合体」→「彩色」となっているため、絵の具の購入も含め急ピッチでの準備が行われるようです。

 

御輿制作と並行するかたちでパフォーマンスのリハーサルも順次行われているそうで、噴水広場での練習のことも教えてくださいました。

パフォーマンス用の音源については、隊長の中川さんから「とてもかっこよかった!」との感想が。レコーディングには30人程度が参加したそうで、御輿本体は美術学部、音源は音楽学部といった大まかな役割分担が機能しているなぁと感心しました。

 

また、当日はオリジナルグッズの販売も行うため、Tシャツやトートバッグの用意も着々と進んでいるそうです。

 

隊長以外のチームメンバーの体調や意識の変化については、意外と大丈夫な様子で、逆に日を追うごとに士気の高まりがみられるとお聞きしたので、こちらとしても一安心しました。

 

「御輿制作や一連の祭が終わった暁には…」という質問に対しては、「ビール飲みたい!」との答えが即答で返ってきました。(笑)

 

続いてこちらはもう一人の隊長の山本さん(日本画)。

インタビュー中に友人からの差し入れをもらって、にっこり!

 

写真ではわかりませんが、山本さんも中川さんと同様、髪の毛先を金色っぽくブリーチしたとお話ししていました。「今から染めるんですね~」という発言に「いや、これはベースなんでここからさらに何かします」と中川さん。藝祭当日にどんなヘアカラーになっているのかが楽しみです…!

 

本番である当日への意気込みは、楽しみと不安が半々とのこと。そりゃあそうですよね、とこちらも納得。すべてがうまくいくかどうかはその時次第である以外にも、御輿やパフォーマンスの全貌を藝祭当日にリアルタイムで把握できるのは観客に他ならず、演じ手である制作メンバーは来場者とは少し異なった視点から藝祭を楽しむことになるのではないでしょうか?

この発泡スチロール2個分が、基準となる発泡スチロールのサイズだそうです。かなり大きい状態から、細分化・粗削りしていくことで、単なる白くて軽い物体が重厚な御輿の一部へと変化していきます。全部で合計すると、24個ほどの発泡スチロールの塊を御輿1基の制作に使用しているそうです。

テント内部に入らせていただき、「白龍」の鱗を観察することができました。全体像がイメージできるような段階にまで至った経緯を間近で見守ってきたからこそ感じられる感動がありました!

 

作業には飲み物と虫よけが必須! インタビュー中も、周りでは蚊がブンブンと羽音をたてていました。

 

以上で、今回のインタビュー記事は終わりです。

これで皆さんも、9/7藝祭当日に竹の台広場にて行われる「開口一番」や9/9に袴腰広場で開催される「法被コレクション(通称:ハピコレ)」などがますます楽しみになってきたのではないでしょうか??

来場した方は、法被投票なるものに参加できるそうです! その結果をもとに、今年度の法被表彰が行われるということで、こちらも気になりますよね…。

 

東京藝術大学構内にお邪魔し、実際に現場の雰囲気を感じたり、学生にインタビューを行ったりしたことを通して、私自身は藝祭が如何に学生一人一人の想い・ドラマの集合体であるかを体感することができたと思います。

 

インタビューは藝祭直前である次回が最終回となります。

どうぞご期待ください!


 

 

執筆:大澤桃乃(アート・コミュニケータ「とびラー」)

藝祭2018公式グッズのピンバッジとTシャツ、手に入れたいなぁ…。

 

 

 

 


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2018.09.06

とびラー鈴木重保が、2018藝祭に登場する『油画・建築・声楽・指揮・打楽器・オルガン・チェンバロ・リコーダー』チームの御輿の制作現場をレポートします。

8月29日、音校(※音楽校地)の門を入って、烏天狗の住処のわきを通り過ぎると、

「パオーン」

いやいや、「パオーン」「パウォーン」「プウォォーン」と3回、野生の巨大生物の咆哮を聞いたような気が・・・・。

いやいや、そんなはずはない、それはテントの中で完成を待つ、御輿の巨大三頭象。前足を大きくあげ、3つの頭に高くあげた鼻がつけられた象は、その存在感を誇示している。

先週は、インドラ神の災いか台風の大風で大変だったテントも、今日はしっかりとその三頭象を包み込んでいるが、リアルさを増した象はそのテントの隙間から飛び出してきそう。

そんななか、今日は涼しげな表情の隊長・伊勢さん(建築専攻)。

 

ーもうどのくらいできているんですか?

「造形部分は60-70%くらいできています。」

「象の後ろにつく屋城の部分は、いまテントの外で組み立て中です。」

たしかに、テントの外では木材を模した棒状の白い部材を組み立てていて、足の踏み場もない。

いつも、なんでも受け止めてくれそうな隊長・林さん(油画専攻)。

「彩色は金曜か、土曜にスタートできれば良いけど・・・。」

そう、色を塗るのは油画の得意技。

今はマジックで描かれている目も、ちゃんと描かれたら、象らしさがぐんとアップしそう。

 

ーだいぶ疲れもたまってきてません?

「ちょっと前のほうが疲れていました。今は1日経てば、昨日のことは忘れます。」と伊勢さん。

「寝れば大丈夫です。」と林さん。

うーん元気だね。でもよく聞くと、朝の9時から夜の10時まで制作をしているみたい。伊勢さんからは、家との往復の時間が勿体無いので、近くのおばあちゃんの家に泊まっているという話もでてきました。

 

ーパフォーマンスの準備も進んでますか?

「このまえ、インド風の曲調の音楽ができたので、そのレコーディングに立ち会ったけど、総勢30名くらいの声楽の人たちの歌声がインド風の演奏に重なってきたところで、ぞくぞくっときました。」

「開口一番のパフォーマンスで披露するダンスの練習もはじめています。」

 

さすが、音校のメンバーもチームの一員というのは心強い。インド風の曲調に声楽の合唱が合わさるってどんな音楽なんだろう。ボリウッド風? いやいや多分違う。どんなものができるか楽しみ。ぜひパフォーマンス「開口一番」は見に行かなくっちゃ。

 

ー今回の御輿づくりで、建築と油画がいっしょになってよかったことは?

「建築と油画はまったくの別世界。普通に学生生活を送っていても交流する機会はあまりない。でもこうしていっしょに御輿をつくっていたら、お互いのことがわかるようになった。」

 

そうなんだね。確かに普段付き合いがなくても、一つのことを一緒にやれば相手のことも分かってくる。それは良かった。

あんまり邪魔をしちゃいけないから、今日はこのくらいにして、また来週来ます。その時はもう色が塗られているはず。

最後の頑張りに期待してます。がんばってね。


執筆:鈴木重保(アート・コミュニケータ「とびラー」)

藝祭Webサイトには、御輿パフォーマンスの時間割ももう発表されていました。そんななか藝祭ワクワク感に感染してしまった、大人とびラーです。

 

 


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2018.09.06

こんにちは!とびラーの藤田です。

『彫刻・先端・管楽器・音環・ピアノ』チームの御輿制作現場についてレポートします。

 

発泡スチロールを積み上げた印象が強かった前回から、アヌビス神はどれくらい姿を現し始めたのか。また、今回はアヌビス神をつくるにあたってのこだわりについてもお話を聞かせていただきました。

 

台風一過で晴天!とはいえ強い風が吹き荒れる校内。現場を訪れると、テントの幕をおろして制作が進められていました。

 

隊長の伊藤さん(左・彫刻)と西山さん(右・先端)。今日もいろいろと聞かせてください!

 

インタビューをしている横で、彫り出した大きな腕にパイプを通して腕をグルグル回転させ始めた二人が。楽しそうな表情でパイプを操っているけど、そういう遊び?

 

ある程度腕を回転させたらテントの中へ移動。あ、アヌビス神の右腕なのね!

パイプの部分はコブラをあしらった杖が取り付けられるそう。ということで、遊びではなくれっきとした作業だったのでした。失礼しました。

前回から一気に進んで、アヌビス神の顔や上半身も出来上がりつつあります。

「彫刻の子たちのおかげ。」と西山隊長(先端)。

「左右対称のようなポーズなので、遠くから像を見て歪みがないかをチェックしつつ作業を進めています。」と伊藤隊長(彫刻)。

 

作業の進み具合に感心しながらアヌビス神を見つめていると、作業のため像によじ登ったメンバーがアヌビス神の頭部におもむろに包丁を刺す、という衝撃的な瞬間を目にすることに。

前回のインタビューでも御輿本体に刺さった包丁を各現場で見たけど、それはまだどこのパーツなのかわからない時の話。頭部だとわかる今回は衝撃の度合いが違います。

アヌビス神、包丁刺されても無表情だけど痛くないのかしら・・・と思わず思ってしまいました。

アヌビス神が鎮座する台座について、伊藤隊長が説明してくれました。

「このレリーフは『彫刻・先端・管楽器・音環・ピアノ』を表しています。左から、彫刻刀を持っているので『彫刻』、Macを持っているので『先端』。右の二つはピアノを弾いているから『ピアノ』、トロンボーンを持っているから『管楽器』です。」

なるほど!各科の特徴を端的に表しているし、ピアノを弾いたりMacを手にする姿がかわいくもあります。

何より、チームに属する学科を御輿にさりげなく表現しようという考えが素敵です。

御輿には各学科のメンバーがいろいろな形で関わっているんだと、改めて教えてもらった気がしました。

けど、あれ?真ん中の1体は他4体と違うような・・・というか、これって千手観音じゃないですか?

「音環は千住キャンパスにあるので、千手観音にしました。」

そうきたか!台座の制作は先端が担当しているとのこと。彼らの頭の柔らかさに脱帽しました。

アヌビス神の装飾品となるパーツを別の場所でつくっているとのことなので、西山隊長に案内してもらいました。

台座や装飾品制作は先端が担当しているとのこと。案内いただいた現場でも、メンバーが黙々と作業を進めていました。

「リアルさを出すために、アヌビス神が身に着ける装飾品のパーツも全て発泡スチロールから切り出しています。小さなパーツだけで、多分数千個はつくることになると思います。」

え?!じゃあこの床に散らばった小さな丸い粒や長方形の発泡スチロールは全て・・・

「はい、全て装飾品のパーツです。長方形のパーツについては、全て面取りをします。」

何てこと!御輿が完成した暁には、装飾品もちゃんと見ます。

こちらは装飾品のイメージ図。いろいろな形のパーツで構成されていることがわかります。

これを全てつくり出すのか・・・。限られた時間の中でも、一つ一つ手で作るからこそリアルさを追及するその姿勢に、御輿にかける情熱、もっと言うなら藝大生のプライドを垣間見た気がしました。

みんな、藝大に入学してまだ数ヶ月しか経ってないんだよね?

「これがアヌビス神のイメージ図になります。先端の子が描いてくれました。」

西山隊長が持ってきてくれた紙をのぞくと、そこには威厳漂うアヌビス神が。

「着色も先端が中心になって進める予定で、来週からその作業に入れたらいいなと思っています。装飾品や杖に塗る金色は経年変化を感じさせるようなくすんだ金色にしたりと、古代遺跡らしさを出すために色にもこだわりたいです。」

 

 

制作現場では黙々と作業が進められ、両隊長も冷静に対応してくれるので、『彫刻・先端・管楽器・音環・ピアノ』チームは淡白さを少し感じさるような、落ち着きのあるチームかと思っていました。

が、その奥底には御輿づくりに対する熱意、妥協をゆるさない姿勢が存在することが今回のインタビューでわかり、制作に真摯に取り組むチームという印象に変わりました。

次回インタビューではよりリアルなアヌビス神に出会えるのか?!


執筆:藤田まり(アート・コミュニケータ「とびラー」)


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2018.09.06

みなさまこんにちは。とびラーの上田です。

 

大きい台風がいくつも日本を訪れておりますが、みなさまご無事でお過ごしでしょうか。

激しい天候に攻撃され続ける夏は、もうこりごり。穏やかな日々を過ごしたいなぁと思うのですが、本音を言うと夏は大好き。そんなとびラー上田が、『デザイン・芸術学・作曲・弦楽』チームの御輿レポートをお届けします。

 

取材当日は前日通り過ぎた台風の影響がまだ残っており、ものすごい強風が吹き荒れていました。特に、この『デザイン・芸術学・作曲・弦楽』チームのテントのある場所は一番風当たりが強く、取材中もテントの幕がバタバタとものすごい音をたてていました。この風で制作は大丈夫かしら?とちょっと心配に。

 

テントのそばへ行くと、「あれ?」テント前に白い服を着た銅像が・・・。

「なんだろう?」と、疑問に思ったところにガスマスク?をつけた神出隊長が登場。インパクト大!

 

 

そして次に気がついたのは・・・・!!

「天井がない!」「はい、天井落ちました。笑」

昨晩の台風の強風で、天井が落ちてしまったそうです。

 

青空が見えてますね。笑。

 

そんな現場でも、全然めげていない神出隊長(デザイン科)にお話を伺いました。「研究室は壊れましたが、実験は順調です。」とおっしゃる隊長。形が少し狂っているのを発見したので、そこを調整し直し顔を作り出したところだそうです。見るとだいぶ形ができています。発泡スチロールに青や緑の線が引いてあるので、「この線はなんですか?」と訊くと、彫っていくときの凹凸の目安だと教えてくれました。青い部分を凹ませ、緑の部分が出っ張る部分になるそうです。ほおお、なるほど。

 

「制作過程では何が1番大事ですか?」との問いには、「体調管理です!」

なるほど、この連日の暑さですものね。誰か1人欠けても制作は大変になりますから、体調管理は大切ですね。さすが隊長です。隊長だけに体調管理??あれ?ホントは管理隊長だったの???

 

 

それはさておき、今制作中の『それ』になった経緯などを聞いてみました。

教授からは「風神雷神や動物など今までに何度も御輿のモチーフになったものはやめたら?」というアドバイスを受けて、今までにないめちゃくちゃな案をいくつか出したそうです。『それ』に決まるまでは『サーカス』や『自撮りするJK(女子高生)』『アステカの遺跡』等の案が出ましたが、1番『エモい』モチーフで、かつ光るものをつくりたいという希望があったので、『それ』に決まったそうです。そして『それ』の名前はまだ内緒だそうです。マケットも進んでいました。わー、怖い感じ!でも惹かれる。

 

 

『それ』の正体が何なのか、なぜ生まれたのかはTwitterで追ってくださいね、とのこと。

Twitterの画像がとても凝っていて、ドラマ仕立てで『それ』が出来上がっていく様はとても興味深くて面白いです。

Twitterも要フォロー!

  • マッドサイエンティストの日常(@MS_Ken_e_k)
  • 『デザイン・芸術学・作曲・弦楽』チームの御輿情報アカウント(@omikoshi2018)

 

 

さて、ここで先ほど、あれ?と思った白い服を着た銅像について聞いてみました。

「なぜ、銅像が白い服を着てるのですか?」

「ああ、あれは、助手です。安井先生を助手にスカウトしました!」

さすが、神出隊長です。目の前の安井曽太郎先生の銅像さえも助手にしてしまう!!マッドな研究に参加させてもらって安井先生もさぞかし楽しい思いをしてらっしゃると思います。

 

ここで、神出隊長・山口副隊長と安井助手の記念撮影、パチリ。

チームワークばっちりですね!

 

「何か心温まるエピソードなんてありますか?」の問いには

「う〜〜〜ん。」とちょっと悩んでから、「スイカの差し入れがありました。先輩が持ってきてくれたんですが、スイカを手渡された後ポケットから塩を出して『ハイッ』って。」

先輩がおもむろに塩を「ハイッ」って出してきたことに感激したようです。そしてそのスイカを食べた後、種を蒔いたそうです。そして来年そのスイカを収穫して後輩に差し入れするという計画だそうで・・・(笑)。大きなスイカがなるといいですね〜。

 

今後の御輿制作の予定は、この2、3日で荒削りを終え細かいところの制作へ移ります。9月に入ったら着色に入りたいということでした。神出隊長は自分にかなりのプレッシャーをかけて制作に臨んでいるそうですので、このまま順調にいくといいですね。応援しています。

最後に、取材中に悲惨な屋根の近くで『それ』の上に乗っていた今村さんをパチリ。

屋根がなくても頑張ってくださいねー!

 

 

そして帰り際に発見!これは、もしや・・・・!!

 

To be continued…

 


執筆:上田さち子(アート・コミュニケータ「とびラー」)

藝祭の御輿インタビューも3年目になりました。来年はもうインタビューに来られないと思うとちょっと寂しい。でも御輿は追い続けようと心に誓うのであーる。『世界に笑いと幸せを』をモットーにアートとコミュニケーションの場をいつまでも追求します。

 

 


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2018.09.05

『向かい合うふたりは、
交互に「もの」を「おく」。
その場所に在った「もの」を手に取り、
再び位置を決める。
それは「作品」と言えるだろうか?
日常の仕草と創作行為の境界が曖昧になるとき
作品は日常へと溶け出してゆく。 (「おく」conceptより)』


パフォーマンス・アート「おく」が、今年も置きます!魅せます!
東京藝術大学の「藝祭」で、パフォーマンス作品を鑑賞・体験しましょう。
参加者のみなさんには実際に「おく」のパフォーマンスに参加していただき、後半は作者やパフォーマーと話をして交流を深める約60分のワークショップです。
「アート・コミュニケータ」が、「おく」とあなたを繋ぎます。パフォーマンスを鑑賞・体験し、彼らとのコミュニケーションを楽しみましょう。

 

日時|2018年9月7日(金)〜9(日)
<9月7日(金)>
①14:10 – 15:10(13:55受付開始)
②15:35 – 16:35(15:20受付開始)
<9月8日(土)>
①11:20 – 12:20(11:05受付開始)
②14:10 – 15:10(13:55受付開始)
③15:35 – 16:35(15:20受付開始)
<9月9日(日)>
①10:00 – 11:00(09:45受付開始)
②12:45 – 13:45(12:30受付開始)
③15:35 – 16:35(15:20受付開始)

会場|東京藝術大学 美術学部 中央棟2F 第4講義室
受付場所|東京藝術大学 美術学部 中央棟1F 入口入ってすぐの階段下
対象|中学生以上
定員|各回4名(当日受付・先着順)
参加費|無料 
申込方法|ワークショップ開催回の開始15分前までに集合場所へお越しのうえ、「おく?」の看板を持ったアート・コミュニケータにお声がけください。


*定員に達し次第申し込み受付を終了いたします。
*広報や記録用に撮影を行います。ご了承ください。

 

東京藝術大学「藝祭2018」ホームページ: http://geisai.geidai.ac.jp/2018/

2018.09.03

こんにちは。とびラーの鈴木康裕です。お盆休みも明け、8月20日から再開した御輿づくり。『日本画・工芸・邦楽・楽理』チームの「烏天狗」御輿の第2回取材を8月24日に行いました。緩んだと思っていた暑さがぶり返し、折しも19・20号のダブル台風の影響でときおり強風に見舞われながらのインタビューでした。

蝉時雨が響く音校(※音楽校地)敷地内を進み、記憶に新しい巨大テントの前に立つと、風を避けるように出入口が閉ざされていました。声をかけると、テントの中からおなじみの仲良し二人組が出てきてくれました。人よんで「隊長シスターズ」といったところでしょうか?

 

山本さん(日本画)と中川さん(工芸)です。ねじり鉢巻きを解き、発泡スチロールの細片を払ってインタビューに応じてくれましたが、手には大根おろし器を曲げて作った「ヤスリ」が・・まさに作業も佳境に入っているようです。

 

(ヤスリは包丁などとともに先輩から受け継がれている由緒正しき(?)アイテムです。)

 

前日の大雨でテント上部に大量に水がたまり、雨漏りもあったとか。発泡スチロールは濡れると水を吸って重くなって乾きにくく、電熱線を使って切断したり削ったりすることが難しいため、なかなか思うように進まないそうです。進捗状況を聞くと「だいぶ遅れています。今は本体部分の大きなカタチを出しているところで、来週からディテールに入りたいです!」とのことでしたが、天幕をあげ中の様子を見せていただきました。以前よりもカラスの嘴や全体の造形がハッキリしてきています。天狗と絡む「龍」の頭部のつくり込みも進み、お盆休みに入る前の取材からの進捗ぶりがわかります。

(「龍」が上を向いている様子。どんな表情になるのでしょう。)

 

10人でシフトを組んで作業しているとのことですが、テント内を見上げると天狗サマの右肩あたり・・・なんと、さりげなくスマホが刺してあって、そこから音楽が響いています。「テンションアップしています!」一昨日は筝曲を流したとか。40度を超えることもある暑いテントの中での作業。ついついだらけたり、イライラしてぶつかり合ってしまったりすることもあるそうです。そんな過酷な条件下の雰囲気づくりや、日本の伝統的なモチーフのイメージづくりにむけた隊長の心配りが感じられました。この御輿は今年制作される4基の中で、唯一和風のものになるそうです。

 

(何でも発泡スチロールに刺しちゃいます。スマホが音源です。)

 

テントの外に目を向けると、6本の幟の上部に載せる「目」の造形を絶賛制作中。その近くにいたのは楽理科の2人。制作現場で片づけや掃除などでサポートするほか、パレードでは「天狗の手下」として踊るので、別の場所でその稽古もしているそうです。10人の手下が舞い踊るなか、烏天狗が白煙を上げて羽ばたく姿が見られそうです。その時に流れる音楽はもちろん邦楽がベース。邦楽・楽理が連携して新曲を作曲し、既にスタジオ録音が完了しているとか。「御輿づくりまでは全く知らなかった美校の友人がたくさんできました!」と、とてもうれしそうに語ってくれました。

(楽理のお二人。「サンバパレードも是非見てください!」)

 

藝祭まであと2週間をきりました。遅れていると危機感を募らせつつも、ディテールの造形に入ってゆくこれからが工芸・日本画の腕の見せどころ。「細かいところは任せて!」という頼もしい言葉も聞けました。総力を結集した高い完成度が期待できそうです。御輿ばかりでなく、幟や法被、音源やパレードの練習など、いろいろな準備が同時進行しています。これからの二週間でどんな盛り上がりがみられるでしょうか。ワクワクしますね!


執筆:鈴木康裕(アート・コミュニケータ「とびラー」)

アートの真髄は作品を介した作家と鑑賞者とのコミュニケーションだと思います。自分が楽しみながら、少しでもそのお手伝いをしたくてとびラーになりました。藝祭はまさにそんな双方向のコミュニケーションが生まれる場です。ぜひ足を運んでみてください!


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