2022.07.02
第1回建築実践講座|「都美の歴史と建築」
日時|2022年7月2日(土) 14:00~17:00
会場|東京藝術大学 中央棟 第三講義室
講師|河野佑美(東京都美術館学芸員 アート・コミュニケーション係)
とびらプロジェクトの建築実践講座が始まりました。
まずはとびらプロジェクトマネージャーの小牟田 悠介さんよりガイダンスです。
はじめに、今年度の目標を確認します。
【建築実践講座の目標】
東京都美術館の歴史や背景を理解し、自分の感覚を手掛かりに建築を味わう力を身につけ、美術館というパブリックな建築を介して人々をつなぐ場をデザインする。
今年度は、約80名のとびラーが受講します。
第1回目は、まずは自分たちの活動の場である東京都美術館(以下、都美)の成り立ちや設計者である前川國男という人物について学び、自分の目で見て、感じて、魅力を共有する回になりました。
河野佑美さんのレクチャー「都美の歴史と建築」では、都美の開館から現在までの歴史や成り立ちについて学びます。
「私からは、こんな材料があります、というレシピをお渡しします。それを料理するのは皆さんです」
「建築ツアーは、知識を渡すためのものじゃなくて、その場の人と気付いたことをお話ししてください。知識は後から調べられるけど、お話しはその場でしかできません。」
河野さんからのお話のあとは、たっぷりと得た情報や知識をもって、あらためて都美に出かけていきます。
テーマは「100年後にも残したい、伝えたい見どころ」
いつも見ている光景が違って見えます。
それまでは「建物」として見えていた都美が、「さまざまな思いが受け継がれてきた大切なもの」に見えてきたとびラーもいるのかもしれません。
河野さんのお話を聞いてから改めて出会い直した都美。
戻ってきたとびラーたちは、出かける前とはまるで別人のように目を輝かせて
「こんな発見があった!」と口々に話し合っていました。
夢中になって冒険ノートを作成します。
それから、それぞれが見つけた「気づき」を数名でシェアします。
みんな自分のイチオシを熱く語り、大興奮です。
それぞれの冒険ノートが出来上がりました。
同じレクチャーを聞いたのに、「伝えたい見どころ」のポイントはとびラーによって違います。
”見れば見るほど、知れば知るほど、よく考えてられていると思いました。”
”たくさんの人と語り合いたいです。”
”だんだん愛が深まってきました。”
誰かが、大切だ、残したいと思うことによってその建築は大切に使い続けられます。
今日の学びを通して得た知識をそのまま語るのではなく、
じっくりとみどころを観察し、気付いたことを誰かと語り合い、咀嚼して自分の言葉にし、誰かに伝えたくなる。
とびラーによる建築ツアーや、トビカン・ヤカン・カイカンツアー、Museum Start あいうえのなどの場で、とびラーの数だけ都美の物語が語られていきます。
(とびらプロジェクト コーディネータ 工藤阿貴)