東京都美術館× 東京藝術大学 「とびらプロジェクト」

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Archive for 3月, 2024

2024.03.30

 


 

執筆者:小野関亮吉

 

 

■“マイスカ”

東京都美術館の正面入り口エスプラナードにある、大きな銀色の球体。シンボルのような存在のこの彫刻は、井上武吉の《my sky hole 85-2 光と影》(マイスカイホール)という作品です。とびラーの多くは、この作品への愛着を込めて「マイスカ」と呼んでいます。

大きな球体は全体が鏡面になっていて、上から下へ、斜めに貫通する穴が開いています。マイスカの前に立つと、自分や建物を映してみたり、穴をのぞき込もうとしてみたりと、何かしらのアクションを起こしてしまう、魅力あふれる作品です。

 

 

■マイスカの影に注目

この作品は、ステンレス製の球体と鉄製の台座で構成されています。2つのパーツの関係をよく見てみると、台座の形が球体の影のように見えると気付かれる方が多いのではないでしょうか。素材の質感から見ても、全方位に光を反射するピカピカの球体と錆びた赤茶色の台座のコントラストが、まさに「光と影」を感じさせます。

球体部分があまりにも目を引くため、影部分はなかなか注目を浴びることがないかもしれません。私たち「太陽とマイスカととびラーで作るラボ」は、この影の部分に関心を寄せるとびラーが集まったとびラボです。

 

 

■影と台座はいつ重なる?

東京都美術館の作品紹介の動画<https://www.youtube.com/watch?v=1n0-t8jhEKk>でも語られているように、球体を貫く穴の角度は、作品の基本設計が行われた1984年12月8日正午の太陽光の角度となっていて、またこの日時に球体が作る影の形に沿って鉄の板でできた台座が付けられているとのことです。

台座が球体の影を表していることに、間違いは無いようです。

12月8日は作者である井上武吉の誕生日でもあることから、とびラーの間では、「作者の誕生日の正午に、球体の影が台座の形と一致するらしい・・・」と、まことしやかに囁かれていました。

しかし、実際に12月8日に影の形を観察してみても、影は台座の範囲を大きくはみ出し、一致することはありません。作品が制作された場所(一説によれば鎌倉の工房)と、現在の設置場所が異なるから重ならないのではないか?あるいは、制作されて以来の歳月の間に太陽高度が下がったのではないか?などと、さまざまな憶測が巡りました。

だとしたら、今の場所では、球体の影と台座の形はいつ一致するのだろうか?球体の影と台座がピッタリ重なる角度の太陽が出るその日を、私たちは検証し切れずにいましたが、ある日突然、1人の来館者の方からいただいた情報により実態が明らかになったのです。

 

 


 

 

■エスプラナードでの出会い

その方(ここではTさんとさせていただきます)は、以前「とびラーによる建築ツアー」<https://www.tobikan.jp/learn/architecturaltour.html>に参加されました。その際に、当時のとびラーとの雑談の中で「作者の誕生日の正午に、球体の影が台座の形と一致するらしい」という噂を聞いたことを覚えており、実際に12月8日に来館して観察されたのだそうです。

そして影と台座が重なっていないことを確認しました。ではいつなら重なるのだろう?と興味を持ち、調査を始めることにしたそうです。Tさんは、マイスカの座標、球体の高さ、台座の長さなどのデータを揃えました。そして、台座と球体と太陽が一直線に並ぶ時の太陽方位、台座の先端を球体の影の頂点が通過する時の太陽高度、その両方が重なる日時を計算で割り出しました。

するとその日時は、「立冬」と「立春」であることを突き止めたのです。

 

 

僕たちがTさんの存在を知ったのは、「エスプラナードで会いましょう」<https://tobira-project.info/blog/20231216_esplanade_de_aimashow.html>というとびラボの準備をしている時でした。

2023年に実施した「エスプラナードで会いましょう」の様子。

 

たまたまお声がけしたとびラーがTさんのお話をうかがっていると、興味を持ったとびラーが集まりました。中にはメモを取るとびラーもいました。するとTさんは、後日この研究と観察の資料をとびらプロジェクト宛に送ってくださったのです。

そこには、作品の座標、採寸データ、太陽方位と太陽高度の数値が実に詳細に書かれていました。さらにそれだけでなく、球体の影が台座の形と一致した状態を含む、前後数日間の観察記録が、写真と共に記されていたのです。この資料さえあれば、今後は誰でも球体の影が台座の形と一致する日時を分単位で知ることができます。みんなで資料を回し見ながら、個人でここまで深く研究されている方がいるのかと驚きました。

 


 

 

■たまたま居合わせた人たちとできる何かを作りたい

Tさんが導き出した、台座と影が一致するタイミングが二十四節気の「立冬」と「立春」であるという事実から想像するに、作者の(あるいは作品の設置に関わった何者かの)何らかの意図を感じます。そしてそれを、観察によって解き明かしたTさんの情熱には敬服するばかりです。

Tさんの研究結果を提供していただいた以上は、とびラーとして、人と作品、人と人、人と場所をつなぐ活動に発展させたいと思いました。とびラボでは、一年に二度しか起こらないこの現象に合わせて何ができるのか、Tさんの資料の数々を目の前に広げやりたいことのアイデアを出し合いました。

自然が相手のため、天候次第では影が出ないこともあり得ます。それゆえに、一般の方を公募で事前に募集したりイベントとして広く告知したりするスタイルは不向きです。それよりも、ふらっと美術館に来てみたらなにやら人が集まっていて、聞けば今日は野外彫刻作品の台座と影の形が一致する日なのだと。思わずそこに居合わせた人たちと「へー」と盛り上がったよ。そんな風に、たまたま出会った人と人が作品を介してつながれる、このラボではそういう一時を作りたいという意見がでました。具体的にどのように実現できるのか、思案し続けています。

 

 

■様々な影の存在にも気づけた

マイスカの影に注目したことで、私たちは、エスプラナードで見られる他の野外彫刻作品や建物、自然が生み出す様々な形の影の美しさにも気づきました。

4棟が立ち並ぶ公募棟の四角い壁面には、巨大な三角形の影ができます。反対側に位置する企画棟からは、その前を人々の影が行き交い、なんともドラマチックな光景を見ることができます。無意識に明るいところに目が行ってしまうのが人間の性かもしれませんが、影に注目することでトリックアートや切り絵を見ているような感覚になります。世界の裏側に入ったようなこの不思議な感覚を、みなさんにもぜひ味わってみてほしいです。

 

 

■マイスカの前で会いましょう

台座と影の形が重なるその日時が近くなると、このとびラボに参加したとびラーを中心に誘い合って、マイスカの前に集まっています。そして来館者の方も何人か興味を持ってくれて、一緒に鑑賞することもできました。今のところこのとびラボでできたことは、作品にできた影を他の人と一緒に鑑賞した、作品だけでなく影の形や現象が面白いことを誰かと共有しただけです。でも少なくともとびラーの中では、徐々にこれらのことに興味を持つ人が増えてきているように感じています。

この野外彫刻と影の観察の面白さが他の来館者の方にも知れ渡り、特に「立冬」と「立春」にたくさんの人が集まり、マイスカの影と台座が重なる瞬間に歓声が起こるような景色が見られたらいいなと思います。その時は、その場にコミュニケーションの輪が広がるような何かができるといいですね。例えばハイタッチでもいいし、例えばご来光を迎えた時のようにみんなで合掌したりするのも面白そうです。

 

 

■影の中の光

そして、マイスカの影には実はもう一つ面白い仕組みがあることも、Tさんが教えてくれました。

「立冬」と「立春」を挟むある時期(おおよそ11月上旬から2月上旬まで)には、マイスカを貫通する穴を通り抜けた光が台座の上で様々な形に変容します。台座の中央に光が集まった時は、驚くほど強い光の塊を見ることができます。

 

光を受けた立体、その影、さらに影の中の光。マイスカは動きませんが、太陽の光を身に受けることで、季節や光などの常に動いているものの方を見せてくれる、マイスカはそんな作品でもあるのだと知ることができました。この1作品だけでも年間通して観察する面白さがあることを、Tさんの活動から教わりました。

これを読んでいただいた方が東京都美術館に来られた時、マイスカの周りをぐるりと回って影に思いを馳せていると、どこからか現れたとびラーと出会うかもしれません。その時は、太陽とマイスカととびラーとみなさんで、その一時を楽しみましょう。

 


 

 

 

執筆者:11期とびラー 小野関亮吉

 

 

 

普段はゲームソフトの開発現場でプロジェクトマネージャーをしています。公私共に人と関わる機会が少なくなっていることを感じ、コミュニケーションが生まれる仕組みやコミュニティ作りに関心を持つようになりました。美術館は作品を鑑賞するだけでなく、誰かかと出会える場所であることを伝えていきたいです。

 

 

2024.03.28

『とびdeラヂオぶ~☆』はとびラボです。
活動期間:2023年7月~2024年3月
頻度  :月に1~2回

 

■「とびLOVE#1」のゲスト・スタッフ越川さんととびラーで試聴する様子

 

■趣旨 美術館に興味のない人や足を運んだことのない人のきっかけをつくりたい。
( “すべての人に開かれた「アートへの入口」”に足をかけてほしい!)

 

■ラジオをツールとしたのはなぜ?
このとびラボは、「とびラーのなかでラジオをきく人が思っていたよりたくさんいたので、『ラジオとアートコミュニケーションをテーマに話してみたい』」というラジオの仕事に携わっているとびラーの思いがきっかけとなり始まりました。話していくなかで、ラジオは話し手と聞き手が1対1でつながるメディアであること。その強みを生かしラジオを通して 「東京都美術館の魅力を知ってもらいたい!」「東京都美術館に関わる様々な人の話や推しポイントを我々メンバーがききたい!知りたい!」ということになりました。

 

■これまでのラボの流れ

 

▼なりきり期…集まったメンバーで自身がラジオDJになったつもりで、好きな音楽を選曲し自己紹介。
また、ある日のラボでは「マティス展」が開催中だったので、マティスの作品をイメージして各々音楽を選曲してみました。そのようにしてみたことで、音楽とアートという組み合わせでできることについて話が膨らみました。

 

▼迷走期…ラジオを介してしたいこととは?となったとき「東京都美術館のミッションに立ち返ろう」「興味のある人は自ら情報を取得するけど、そうでもない人たちにも知ってもらうきっかけをつくりたい」「中高生の放送部と一緒になにかできないか?」など、思いばかりがどんどん膨らみ迷走してしまったのでスタッフに相談したところ、結局わたしたちは「ラジオ番組が作りたいんだ!」という明快な答えにたどり着きました。とはいえ、ラジオ番組を制作したことがないメンバーがほとんどだったので、どのような形で実現できるのか、録音や進行も試しながら、まずはとびラー同士で聞けるような番組を制作してみようということになりました。今回の企画の内容は①美術館に関わる様々な人(警備員さん、ショップ店員さん、来館者など)の話を聞きたい。②とびラー内コミュニケーションの活性に役立てたい。この点に関しては、約130人のとびラーそれぞれが様々な活動に取り組んでいるため、お互いが知り合うきっかけが意外と少ないと感じました。そこで、ラジオというメディアを通してとびラー同士がお互いを理解する機会を作りたい。そうすることで、とびラー同士のコミュニケーションがより活性化し、活動の幅が広がるのではないかと考えたのです。この思いを形にするべく始動しました。スタッフにも相談し、まずは身近なスタッフやとびラーに美術館についての話を聞くという、インタビュー番組の制作が決定しました。

 

 

▼制作実践期
方向性が決まり、さっそく「とびLOVE」というタイトルの番組制作にとりかかりました。この番組タイトルには、愛してやまない東京都美術館への思いを語ってほしい・聞きたいという意図をこめました。番組の長さは10分程度で、移動中やすきま時間に気軽に聞けるよう、また内容は、話してくれる人の人柄が少しでも伝わるものにしようと決めました。
制作過程…基本的にインタビュアーが話してみたい人に自ら依頼するところからスタートします。収録はハンドサイズのレコーダーを使用しました。ヘッドホンをつけて、音声がうまく録れているか音のバランスを確認しながらの作業です。初めての収録の時はドキドキでした。収録場所はとびラーの主な活動場所であるアートスタディルーム。初めのうちは部屋の静かな場所を選んでいましたが、進めていくにつれて同じ部屋でミーティングしている他のとびラーの声も番組のエッセンスとして収録するようになりました。

 

編集作業も、とびラーが担当。番組にはオープニングテーマやエンディングテーマもつけ、場面転換に使用する番組のタイトルを乗せた「ジングル」は、ギターを弾けるラボメンバーが作りました。また、番組タイトルをラボメンバーの子どもや、ゲスト出演者に言ってもらい、その声を乗せたバージョンのジングルも制作。様々な声が番組にいろどりを添えることになりました。出来上がった番組はラボメンバーで試聴し、カットしてもいい部分について話したりして最終的な番組の形に仕上げます。そして、とびラーには聞こえない・聞こえにくい仲間がいるので、文字でも番組の内容が楽しめる「文字版」を制作することにしました。番組の最終版が出来たところで文字起こしを行いそれをもとに文字版を制作します。文字版もラボメンバーで最終チェックをして完成です。完成した番組はダウンロードで聴取できるようデータをアップし、とびラー全員が聞けるようにお知らせをしました。

 

 

番組について…第2回目からはゲストにインタビューする人と、番組のオープニングとエンディングの案内役(ナビゲーター)を分けることにしました。そうすることでインタビュアーが変わっても番組の始まりと終わりをいつも同じ声でおとどけできるので番組自体の統一感がでました。また、全5回を通して共通していることはゲストの人となりが分かるインタビューだということです。いつも接しているスタッフがアートと関わることとなったきっかけや、とびラーがなぜとびらプロジェクトに応募しようと思ったのかについて触れることで、距離が縮まった感じがしたり、普通に接していただけでは触れられなかったかもしれない考えや思いを知ることができたりと毎回“驚きや感嘆、新しい発見”があるこのインタビューはとても個性豊かです。インタビュアー×ゲストの化学反応はもちろんですが、インタビュアーによって雰囲気が変わるのです。そして、録音に際しては、他のラボも開催中の部屋で協力してもらいながら実施。番組内でBGMのように様々な声が聞こえてくるのもとびラーの日常が感じられます。

 

 

文字版について…聞こえない・聞こえにくいとびラーとも番組の雰囲気や出演してくれたゲストについて共有したいという思いから、目でも楽しんでもらえるようにするため、ただの文字起こしではなく、収録時の様子を書き足したりしています。そうすることよって、聞こえるメンバーにも音だけでは伝わらない部分を伝える手段にもなりました。

 

 

 

番組を聴いたとびラーからの感想…番組ナビゲーターを担当したとびラーの口調のファンという人、「みんなの好きなことが集結してできている感じがいい」「(ゲストの)活動の様子や思いがきけてよかった」「文字版は、音だけでは伝わらなかったところまで知ることができる」などの声が寄せられています。聴いた・見た感想をきけるのもラボメンバー以外のとびラーが関心を寄せて支えてくれているからで、励みになっています。このやりとりがとびラー同士のコミュニケーションにもなっているはずです。

 

 

■『とびdeラヂオぶ~☆』は数多く存在するとびラボのなかのひとつのラボです。
我々とびラーが愛してやまないラブの対象・東京都美術館に来てみてほしい。そのきっかけになるようなことを発信したい!と思いつくままに意見を出し合い、膨らませ、想像してきました。たどり着いたのは、まずは身近な気になる仲間の美術館への思いを聞いてみようということでした。このラボを通してゲストの話をきけばきくほど、もっと他の人の話もききたい!という、ききたい欲が湧いてきました。
ラボメンバーからは「妄想から始まってだんだん具体的になって、これからどう発展するか楽しみ」「スタッフやとびラーの人となりをラジオを通してとびラー内に発信できたことで、親しみがわき接するときの心持ちが変化した」「番組を聴いて寄せられた感想を通して、出演してくれたとびラーだけでなく感想をくれたとびラーの人柄もわかった」「寄せてもらったメッセージからどんな思いで聴いてくれているのか想像をかきたてられ励みになった」という声があがっています。また、文字版については「全く予想していなかったが、その場の雰囲気まで伝えられるものになった」「聞こえない・聞こえにくいとびラーにも届けたいと考えて出来た文字版が、聞こえるとびラーにも音で伝わる以外の部分を感じてもらえることにつながった」「文字というのは形も音に通じるものがあると思う」「それぞれの人の持っている個性にあった文字があるように、番組らしいカラフルな文字版があると視覚的によりうまく伝わるのではないか」などの見解もでました。

番組も文字版もまだまだ可能性を秘めているとメンバー全員が感じているところですが、10期のとびラボメンバーが開扉するのを機にいったん解散。
スタッフ、とびラー仲間はもとより、その輪を広げて美術館に関わっている様々な人々に話をききたい。そして、知りたい、知らせたい。このラボを通して美術館と人とをつなげたい思いは広がっています。

とびラブはつづく・・・。乞うご期待!!

 


執筆:

 

柴田 麻記(12期とびラー)

アートを介して社会とつながるとは?
私の最も身近なコミュニティは家族です。
その家族との関わりにとびラー活動で得たものを生かす実験中。
広がれ、化学反応。

 

 

染谷 都(12期とびラー)

ラジオ番組制作ディレクター。
ラジオは目の不自由な方に寄り添うメディアといわれていますが、今回耳が聞こえない・聞こえづらいとびラーへの情報の届け方を考えるよい機会になりました。この4月から全盲の仲間が加わり、このラボの意義が問われてくる予感⁉︎

2024.03.27

【ラボ実施の経緯】

 

とびラー11期の菊地と、とびラー10期の金城。

11期と10期で期が異なる私たち。

複数のとびラボで一緒に取り組む過程を経て、個性が違う私たちで一緒にラボを行ってみようという話になりました。
ラボを行うなら自分達も楽しく取り組みたいという想いから、「アートと自分達が好きなもの・得意なことを掛け合わせてラボを行ってみよう」と2人で話し合いました。


金城は化粧が好き。
菊地は歴史が好き。


化粧の歴史から見るアートの世界は、今までの自分達の見方とは異なる視点から、アート鑑賞に膨らみと広がりを与えるきっかけになるかもしれない。

 

そんな想いから、「化粧史×化粧師」ラボを企画・実施しました。

 

化粧史×化粧師ラボは、2部構成で進めました。

①化粧史:化粧とアートの歴史を参加者が調べてきて発表する時間。

②化粧師:化粧品業界でお勤めの方がおり、眉毛カットを体験する時間。

 


 

💄化粧史:アートと化粧の歴史を学ぶ💄


2回にわけて開催しました。

1回目は、菊地が、化粧とアートの歴史について参加者への講義を行いました。

 

1回目の集合写真

1回目はZOOMを併用し、遠隔でもラボに参加できる設計にしました。

 

 

2回目は、参加メンバーが各々「化粧とアートの歴史」について資料を作成。作成した資料を元に発表し合いました。



自分が興味を持った「化粧が印象に残るアート作品」について、参加者には歴史を背景として資料を作成してもらいました。

発表は1人あたりの持ち時間を決め、順番に行いました。

 

参加メンバーで2回目実施の際に作成した資料の一部を紹介します。

 

日本の化粧とアートの歴史から、世界の化粧とアートの歴史まで、幅広く見ていきました。

「化粧の歴史」に触れた後、歌川国貞の《今風化粧鏡》と、ロバート・フレデリック・ブルームの《化粧する芸者》の2作品を見てみました。

江戸時代は、首筋をたしなむという表現があったほど、うなじの色気に重きを置いていた印象。
絵師は斜め後ろから描き、鏡を通じて対象者を描く構図が多い。
歴史を知りアートを見ることで、その時代に定義された美しさに着目して鑑賞する新たな視点を得られました。

 


 

💄化粧師:性別を問わず、化粧に触れてみよう体験💄

 

化粧関係の仕事に携わっているアート・コミュニケータがいたので、性別問わず化粧に触れられる眉毛カットと眉毛プロポーションのレクチャーを行っていただきました。

男性も女性も、眉が整うと印象が変わりますね。

眉毛を整えてもらった後の方が、表情が明るくなった印象です。

 


化粧史×化粧師ラボを実施し、アートと別ジャンルの掛け合わせの可能性を感じました。
男性の参加者も数名おり、このラボ実施まで化粧の観点からアートを見たことがなかったとのこと。
性別によらないアートの見方を1つ体得したという感想もありました。
眉毛カットでは、第三者を通して装うことを楽しみました。

装うことは人の視線を意識する行為の意味合いもあり、眉毛カットの様子を見守られることは、まるで自分が作品となり鑑賞者から見られているようだ、との声もありました。

 

アートと自分が興味・関心のあることを掛け合わせると、新しいアートの見方と出会える。
日常で接するものとアートを掛け合わせると、新しい世界が芽吹くかもしれません。

 

このラボを実施し、化粧の歴史は深く、西洋と東洋で化粧への異なるアプローチの仕方が絵画に反映されていることに気づきました。

古代エジプトでは、瞼に塗る顔料は日差しから目を守る効果もあったとのこと。

「綺麗に装う」だけではなく、「その時代の実用性も兼ねる」という観点から化粧を見ると、歴史を知る、アートを見る楽しさが広がりました。

発表の場を設け、共有したからこそ発見できた楽しさでした。

 

自分が楽しいと思ったことを、発信していく。

やりたいと思ったことに対し、誰かが興味関心をよせてくれる場がとびらプロジェクトであると感じたラボでした。

 

2回目の集合写真

眉毛を整える企画があったため、全員活動場所に集合しました。

 

 


執筆:

10期とびラー 金城明日美

とびらプロジェクトに参加して、美術館は作品を見るだけではなく、アートを通してつながるコミュニティスペースであることを知りました。より多くの方に、アートとつながりを楽しんでもらいたいです。

 

 

11期とびラー 菊地一成

個人的に美術を楽しんできましたが、とびラーになり、皆で作品を見る楽しさに目覚めました。その楽しさを十分堪能するには、人の話を「じっくり聞く」ということが大切だということも教えてもらいました。(会社の会議に参加するたびに、全員、鑑賞実践講座で鍛える必要があるな、強く感じる日々です。)

 

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