東京都美術館× 東京藝術大学 「とびらプロジェクト」

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Archive for 6月, 2024

2024.06.29


第1回建築実践講座|「都美の建築と歴史と楽しみ方」

日時|2024年6月29日(土) 10:00〜15:00
会場|AM:東京都美術館 講堂/PM:東京藝術大学 第3講義室
講師|河野佑美(東京都美術館 学芸員)


 

現在の東京都美術館は1975年に「新館」として開館し、2010年から2012年にかけて大規模修繕工事がおこなわれた建物ですが、講座の午前中はそれ以前の1925年に開館した「旧館」も含めた東京都美術館の建物や歴史について、東京都美術館 学芸員の河野佑美さんにお話しいただきました。

東京都美術館では「とびラーによる建築ツアー」を実施しています。建築家が込めた想い、歴史、建物の色・デザインといった建築を楽しむポイントを切り口に、東京都美術館の建築空間をアート・コミュニケータ(とびラー)と対話しながら味わいます。このツアーは2012年のリニューアル時におこなった館内ツアーがきっかけで始まりました。
建築ツアーが生まれた経緯や建築家ではない人がツアーを作り上げていくことについても、河野さんの経験を交えながら熱く語っていただきました。

 

 

そして午後は「とびラーによる建築ツアー」を体験しました。
とびラーの中には建築ツアーに参加したことがない人もいます。ガイド経験者のとびラーがガイド役となって、参加者役のとびラーと都美館内を巡りました。
ツアー後は各チームでふりかえりをおこなったり、別のチームでふりかえりで出た話題を共有したりして、私たちの拠点となる東京都美術館への関心を深めていきました。

 

 

(とびらプロジェクト コーディネータ 西見涼香)

 

2024.06.24

 

 


 

第1回鑑賞実践講座|「とびらプロジェクトで大切にしている鑑賞体験とは?」

日時|2024年6月24日(月)14:30〜17:00
会場|東京都美術館 講堂
講師|熊谷 香寿美(東京都美術館 学芸員 アート・コミュニケーション係長 )

 


 

第1回目の講座では、今年度の鑑賞実践講座の目標に基づき、「みる」という行為についてさまざまな角度から考えました。

 

講座目標
・さまざまな人が自分の感じ方を大切にしながら作品をよくみるためのコミュニケーションの場づくりができるようになる。
・作品を媒介にして、共同的かつクリティカルに複数の人が思考する場をデザインできるようになる。

 

2024年のとびらプロジェクトには、全盲のとびラーが1名参加しています。鑑賞実践講座でも、視覚だけでなく多様な知覚や感性を働かせながら、他者との関わりを通じて思考する方法を考えていきます。

初回の講座ではまず、「とびらプロジェクトで大切にしている鑑賞」や「共同的な学び」について考えるレクチャーを行いました。

 


 

その後、私たちに備わるさまざまな知覚に意識を向ける体験を行いました。用いたのは、「貝殻」です。

 

 

ツルツル・ざらざら・ギザギザ・まるまる…

触れることで、普段「見ている」だけでは気づけない多様な感触を実感することができました。

さらに、自分が知覚した感触を他者に言葉で伝えることで、自分と他者のコミュニケーションの中で新たな理解が生まれる過程を体験しました。

 

次に、2〜3年目のとびラーがファシリテータとなり、東京都美術館の敷地内に常設展示されている野外彫刻やレリーフをグループで鑑賞しました。

 

 

14期とびラーの皆さんには、自分の感じ方を大切にしながら作品を深く鑑賞する楽しさや、作品を媒介に他者と一緒に考える場の豊かさを体験していただけたのではないかと思います。

 

このような「とびらプロジェクトで大切にしている鑑賞体験」を生み出す場をデザインしていくために、これから約半年間の講座と実践に取り組んでいきましょう!

 

 

 

(とびらプロジェクト コーディネータ 越川さくら)

2024.06.22

 


 

【第6回基礎講座 この指とまれ/そこに居合わせる人が全て式/解散設定】
日時|2024年6月22日(土)10時~15時
場所|東京都美術館 交流棟2階 アートスタディルーム
講師|西村佳哲
内容|とびラーは、自分たちの関心を寄せ合い、アイデアを共有し、プロセスを大事にしながら活動をつくります。この回では、小さく始めるプロジェクトのつくり方や、そこに集まった人みんなの力を活かした活動について学びます。また、活動のはじめ方だけではなく、終わり方のデザインについても理解を深めます。

 


 

基礎講座最終回のテーマは「とびラボ」です。

「とびラボ」とは、とびラー同士が自発的に開催するミーティングのことで、はじめ方/すすめ方/おわり方やあり方について考えました。

講義は西村さんとマネジャーの小牟田さんのクロストーク形式で進みました。

 

新しい活動のアイデアがひらめいたとびラーは『この指とまれ!』をして、賛同した他のとびラーが3人以上集まったら、とびラボは始まります。
西村さんや小牟田さんからは「まずは集まった人同士の思いや視点をよく確かめ合い、成功を目的化しない」というお話がありました。

 

そして、とびラボは『そこに居合わせる人が全て式』で進めていきます。

 

発起人がリーダーというわけではなく、みんながフラットに関わることで、当初のアイデアに他のアイデアが重なって、新たなアイデアが生まれます。
とびラーは、ふだんの仕事のすすめ方や前提とは違う価値観に少し驚きながらも、3人組で話し合うワークを通して「この方法もよさそうだ!」という考えになったようです。

 

とびラボの最後は『解散』です。

活動の目的を達成して成果をとびラー自身がふりかえることができたら、そのとびラボは解散します。「解散は大事で、組み立て直せる仕組みでもある」と語る西村さんに、うなずいているとびラーもいました。

 

あるコミュニティの中で、ちいさなチームが結成と解散を繰り返しながらフラットな関係性でアイデアを形にしていくには、『この指とまれ!』『そこに居合わせる人が全て式』『解散』をみんなが確認しながらプロジェクトを進めることが大切です。

 

 

午後は、とびラボの実践編です。

まずは東京都美術館のミッションを確認し、その後、1人ずつとびラボのアイデアを考えました。

 

 

そして「あれはよかった!」と思い浮かぶとびラボはどのようなプロセスを経ていたか、スタッフの峰岸さんと越川さんから実際の事例について聞きました。

 

 

西村さんは「アイデアとは、既にあるものの、あたらしい組み合わせである」と言います。13年目となるとびらプロジェクトですが、これまで既存のアイデアを掛け合わせたとびラボもありました。同じアイデアを使っても、時代や場所、鑑賞する作品が変われば、目的は変わってくるかもしれません。

 

 

 

東京都美術館のミッションのもと、とびラー・都美スタッフ・藝大スタッフが一緒になって、とびらプロジェクトの活動をつくっていきます。

 

(とびらプロジェクト コーディネータ 西見涼香)

 

2024.06.15

 

 トビカン・ヤカン・カイカン・ツアー  

 

ライトアップされた東京都美術館を散策する金曜夜限定の40分ツアーです。
夜ならではの建物のみどころをとびラー(アート・コミュニケータ)がご案内します!
美術館全体が、まるで宝石箱のような輝きを放つ夜。昼とは違うその表情を一緒に楽しみませんか?
※事前申込が必要です。


日時|
① 2024年7月5日(金)   19:05 – 19:45(受付開始18:50)
② 2023年7月19日(金) 19:05 – 19:45(受付開始18:50)

会場|東京都美術館
集合|東京都美術館 LB階(ロビー階)中庭 正面玄関右手/雨天時は講堂前
対象|どなたでも
定員|各回20名程度(先着順・定員に達し次第受付終了)
参加費|無料

参加方法|事前申込制。以下の専用フォームよりお申し込みください。

 

7月5日(金)のご参加


② 7月19日(金)のご参加


【申込の際にお願い】
1)参加される方のお名前でお申込みください。
2)複数名での参加を希望の場合、参加希望のそれぞれ1人ずつの申込が必要です。

※小学生以下のお子様が参加される場合は、その他連絡事項欄に年齢のご記入をお願いします。
※特別に配慮が必要な方はお知らせください。
※定員に達し次第、申込み受付を終了いたします。
※本フォームでのお申し込みが完了すると、「返信先Eメールアドレス」宛にメールが届きます。必ずご確認ください。
※お申し込み前に「迷惑メール」などの設定を確認し、「@tobikan.jp」からのメールを受信できるようにしてください。申込受付完了の自動返信メールが届かない場合は、お申込みされたお名前と電話番号を明記のうえ、p-tobira@tobira-project.info(とびらプロジェクト)宛にメールをお送りください。
※広報や記録用に撮影を行います。ご了承ください。

2024.06.10

 


日時|2024年6月10日(月)10時〜16時
展覧会|デ・キリコ展(会期:2024年4月27日(土)~8月29日(木))


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東京都美術館で開催された「デ・キリコ」展にて、「障害のある方のための特別鑑賞会」を実施しました。この鑑賞会は、障害のある方がより安心して鑑賞できるよう、特別展の休室日に事前申込制で開催しているものです。

当日は、障害のある方やその介助者620名以上が東京都美術館を訪れ、ジョルジョ・デ・キリコの不思議な世界の魅力を堪能していました。

参加者を迎えるのは、アート・コミュニケータです。とびらプロジェクトで活動中の「とびラー」やとびラーの3年の任期を満了したアート・コミュニケータが数多く参加し、受付や展示室内など、館内の様々な場所で参加者の皆さまをサポートをしました。

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作品から生み出されるコミュニケーション

歪んだ遠近法や、不思議なモチーフやなど、幻想的な雰囲気をまとうデ・キリコの絵画を見ていると、「これはなんだろう?」「どうしてこんなふうに描いたんだろう?」と、たくさんの疑問が頭をよぎります。そんな作品が並ぶ展示室では、おとなりの人同士で作品の謎や魅力について語りあうコミュニケーションが自然と生まれていました。アート・コミュニケータたちは、時に参加者の皆さまと言葉を交わしながら、作品にに対する興味をさらに深めていただけるようにサポートしました。

iPadで作品画像を大きく拡大し、小さなモチーフや作品の細部をお見せすることもあります。車いすなどに乗られていて目線が低い方や、至近距離でものが見えやすい方にはとくに好評です。このiPadで拡大して鑑賞をサポートするアイデアは、アート・コミュニケータ「とびラー」の発案により実施されています。

「消しゴムハンコ」でデザインされた案内状

今回の鑑賞会では、とびラーによる「消しゴムハンコ」も注目を集めました。ハガキでお申し込みされた参加者の皆さんにお送りしている案内状は、毎回の展覧会にあわせてとびラーが手製の消しゴムハンコでデザインした封筒でお送りしています。来館者から「ほかのデザインも見たい」という声が寄せられ、休憩スペースにてさまざまなデザインの封筒が披露されました。

見えない・見えにくい方へのサポート

今回、見えない・見えにくい参加者を含む2組の方から、アート・コミュニケータと一緒に展示を巡りたいという希望がありました。各フロアごとにそれぞれのペースに合わせて、作品に描かれていることや、それぞれのアート・コミュニケータが感じる作品の魅力をお伝えしながら、一緒に作品を鑑賞する様子が見られました。


この特別鑑賞会は、東京都美術館のミッションである『すべての人に開かれた「アートへの入口」』を体現するように、そこにいる人がともにアートの魅力に触れ、その喜びを分かち合う1日です。参加者のみなさまとアート・コミュニケータの交流の様子から、美術館という場所やアートが持つ力と、それをともに受け取りあうコミュニティの大切さを改めて実感しました。


・・・・


次回は、2024年11月11日(月)、「田中一村展 奄美の光 魂の絵画」にて開催を予定しています。

次の鑑賞会でもみなさまにお会いできるのを、アート・コミュニケータ一同楽しみにしています。

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(とびらプロジェクトコーディネータ 越川さくら)


「障害のある方のための特別鑑賞会」は、東京都美術館の特別展ごとに1回ずつ開催しています。
詳細、お申し込みはこちらからどうぞ:https://www.tobikan.jp/learn/accessprogram.html


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