東京都美術館× 東京藝術大学 「とびらプロジェクト」

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【開催報告】障害のある方のための特別鑑賞会:「デ・キリコ」展

 


日時|2024年6月10日(月)10時〜16時
展覧会|デ・キリコ展(会期:2024年4月27日(土)~8月29日(木))


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東京都美術館で開催された「デ・キリコ」展にて、「障害のある方のための特別鑑賞会」を実施しました。この鑑賞会は、障害のある方がより安心して鑑賞できるよう、特別展の休室日に事前申込制で開催しているものです。

当日は、障害のある方やその介助者620名以上が東京都美術館を訪れ、ジョルジョ・デ・キリコの不思議な世界の魅力を堪能していました。

参加者を迎えるのは、アート・コミュニケータです。とびらプロジェクトで活動中の「とびラー」やとびラーの3年の任期を満了したアート・コミュニケータが数多く参加し、受付や展示室内など、館内の様々な場所で参加者の皆さまをサポートをしました。

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作品から生み出されるコミュニケーション

歪んだ遠近法や、不思議なモチーフやなど、幻想的な雰囲気をまとうデ・キリコの絵画を見ていると、「これはなんだろう?」「どうしてこんなふうに描いたんだろう?」と、たくさんの疑問が頭をよぎります。そんな作品が並ぶ展示室では、おとなりの人同士で作品の謎や魅力について語りあうコミュニケーションが自然と生まれていました。アート・コミュニケータたちは、時に参加者の皆さまと言葉を交わしながら、作品にに対する興味をさらに深めていただけるようにサポートしました。

iPadで作品画像を大きく拡大し、小さなモチーフや作品の細部をお見せすることもあります。車いすなどに乗られていて目線が低い方や、至近距離でものが見えやすい方にはとくに好評です。このiPadで拡大して鑑賞をサポートするアイデアは、アート・コミュニケータ「とびラー」の発案により実施されています。

「消しゴムハンコ」でデザインされた案内状

今回の鑑賞会では、とびラーによる「消しゴムハンコ」も注目を集めました。ハガキでお申し込みされた参加者の皆さんにお送りしている案内状は、毎回の展覧会にあわせてとびラーが手製の消しゴムハンコでデザインした封筒でお送りしています。来館者から「ほかのデザインも見たい」という声が寄せられ、休憩スペースにてさまざまなデザインの封筒が披露されました。

見えない・見えにくい方へのサポート

今回、見えない・見えにくい参加者を含む2組の方から、アート・コミュニケータと一緒に展示を巡りたいという希望がありました。各フロアごとにそれぞれのペースに合わせて、作品に描かれていることや、それぞれのアート・コミュニケータが感じる作品の魅力をお伝えしながら、一緒に作品を鑑賞する様子が見られました。


この特別鑑賞会は、東京都美術館のミッションである『すべての人に開かれた「アートへの入口」』を体現するように、そこにいる人がともにアートの魅力に触れ、その喜びを分かち合う1日です。参加者のみなさまとアート・コミュニケータの交流の様子から、美術館という場所やアートが持つ力と、それをともに受け取りあうコミュニティの大切さを改めて実感しました。


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次回は、2024年11月11日(月)、「田中一村展 奄美の光 魂の絵画」にて開催を予定しています。

次の鑑賞会でもみなさまにお会いできるのを、アート・コミュニケータ一同楽しみにしています。

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(とびらプロジェクトコーディネータ 越川さくら)


「障害のある方のための特別鑑賞会」は、東京都美術館の特別展ごとに1回ずつ開催しています。
詳細、お申し込みはこちらからどうぞ:https://www.tobikan.jp/learn/accessprogram.html


2024.06.10

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