日時 2018年12月16日(日)
①午前:11:00~11:30 ②午後:14:00~14:30
会場 東京都美術館 ギャラリー A・C
東京都美術館で開催された「見る、知る、感じる──現代の書」。
2017年より開始された現在公募展で活躍している作家を紹介する「上野アーティストプロジェクト」シリーズの第二弾です。
2018年度は書の公募団体に所属する6名の作家による作品が「見る・知る・感じる」といった鑑賞者の目線を意識したテーマのもとで紹介され、日ごろから書に親しんでいる方だけではなく、初めて書の作品世界に触れる方も楽しめる展示となりました。
この展覧会場で開催された、とびラーによるプログラム「はなしてみま書!」。
このプログラムでは、展示室で出会った人々が少人数のグループに分かれて、作品を見て気がついたことや感じたことなどを、お互いに言葉を交わし合いながら一緒に鑑賞していきます。
今回の「はなしてみま書!」には午前と午後 合わせて約32名の方にご参加いただきました。
このプログラムには事前申し込みの必要はなく、ほとんどの方が、配布したチラシや当日のとびラーからの呼びかけがきっかけとなり参加してみたとのこと。
なかにはプログラムの途中で輪の中へふらっと立ち寄ってくださった方もいらっしゃいました。
集まった参加者は3つのグループに分かれ、それぞれ2、3作品を鑑賞しました。
まずはそれぞれでひとつの作品を少し鑑賞してみます。
近づいたり離れたり。いろいろな角度からじっと見つめてみると思いがけぬ発見があることも。
そのあと再びグループで集まり、全員で作品を見ていきます。
とびラーが、
「どう感じましたか?」と問いかけると、
「ここが…」と、気になったところを指差して、線の形や墨の色、文字の意味など、色々な意見が参加者から語られます。
こちらは各グループが鑑賞している様子です。
「動物みたいにみえる!」
「ここにこんな文字が…」
初めて出会った人どうし、最初はすこし緊張していた空気がだんだんほぐれ、様々な発見が生まれていきます。
ほかの人の言葉を聞いて頷いたり、自分の考えたことを話してみたり。
そうしているうちに作品だけでなく、おのずとお互いの考え方や価値観まで浮かび上がってくるものです。
プログラムの終わる頃には、初めて出会った人どうしのグループにも一体感が生まれていました。
「書の作品ってどう見ればいいんだろう」そう考えたことはありませんか?
私自身、書に関する経験や知識は決して多くはなく、実のところ戸惑ってしまうことも少なくはありませんでした。
しかし、とびラーとしていろいろな人たちとこの展示室で作品を前に言葉を交わしていくうちに、書を「見て、知って、感じ」ながら楽しめるようになっていったような気がします。
これは、美術館という場で作品を見ることの醍醐味のひとつとも言えるのではないでしょうか。
自分ひとりで作品と向き合っている時には気がつかなかったことを人と言葉を交わすことでともに発見していく。
こういった作品の楽しみ方を、来館者のみなさんに知ってもらえる機会になったのではないかと思います。
執筆:久光 真央(アート・コミュニケータ「とびラー」)
ミュージアムが素敵な出会いの場となりますように。
2018.12.16