1月26日(土)から31日(木)にかけて第61回東京藝術大学卒業修了作品展(以下:卒修展)が開催されました。今年の卒修展は東京都美術館と東京藝術大学を一つのコミュニティーとして捉え、藝大生ととびラー候補生(以下:とびコー)のみなさんが力を合わせて取り組みました。東京都美術館(以下:都美)のロビー階入り口正面には、東京都美術館のロゴと東京藝術大学のロゴのオブジェがついたコンシェルジュタワーが設置されました。さわやかな藝大生二人が来館者をご案内しています。
都美のことなら熟知しているとびコーの大阪さん。力強い身方です。
今年の卒修展は2年ぶり(改修工事が2年間行なわれた)に都美で開催される卒修展です。リニューアルしたのは外観だけではなく、アート・コミュニティー形成事業(とびらプロジェクト)のもと、卒修展でもさまざまな試みがなされました。写真はミュージアム・ショップでライブペインティングを行なう先端芸術表現科修士2年生の林友深さん。
卒修展期間中のミージアム・ショップでは「スケッチブック」と題して、藝大生のドローイングが販売されました。卒業修了作品を鑑賞するだけではなく、ご来館されたみなさまに作品を持つ喜びを伝えたい、そんな藝大生の気持ちから生まれ企画です。こうした企画は、今年から卒修展を盛り上げて行こうとする藝大生によるプロジェクトチーム「PandA」によって進められています。「PandA」は卒業生修了生だけでなく藝大生なら誰でも参加できます。そして、「PandA」と「とびらプロジェクト」が連携することで、東京藝大の卒修展は、卒業修了生だけではなく、より多くの人々が参加できるプロジェクトとなって行きます。
こちらは、藝大生が自分の「作品を語る60分」と題したトークイベントの様子。ゲストは藝大生、モデレータは僕(伊藤)ととびコーさん(日替わり)。卒修展会期中5日間毎日13時~14時の間行なわれました。登壇して頂く藝大生は日本画、油画、彫刻、デザイン、工芸、芸術学、建築、先端芸術表現と日替わりでさまざま。同じ藝大にいても考えていることや、制作している作品などはそれぞれ異なるので、僕もモデレーターを勤めながらとても勉強になりました。今の藝大生は僕が学生のころよりもしっかりしている様に思い、思わす関心して聞いてしまいました。
会場からの質問も多く、和やかなお昼休みのひと時を演出するトークの時間となりました。
トークが終わると、初日限定で僕「伊藤達矢の卒修展弾丸ツアー」が行なわれました。卒修展は都美に加え、敷地が隣りあった東京藝大の校内全域を使った展覧会となっています。そのため、会場も広く順路も分かり難いため、1時間で効率よく一気に僕が案内してまわるという強行ツアーです。お客様は少ないだろうな~と予想していたところ、25名(スタッフいれたら30弱)もの方々にお集り頂きました。
藝大のことならだいたい分かっているはずの僕が、相当な急ぎ足で(脱落するお客様も気にせず)凡そ300点を超える作品を全て見てまわったのですが、結局2時間かかってしまいました。すみませんでした。。。そして、みなさん大変お疲れさまでした。最後は拍手で終わらせて頂き恐縮です。
卒修展期間中に毎日開催されていた企画の一つに先端芸術表現科の学生たちが企画した「午後ラウンジ」があります。毎日外部からゲスト講師を招き、卒修展の会場で自ら作品のプレゼンを行い、ゲストとともにアートについて語り合うという企画です。なんとそのゲスト講師にとびコーのみなさんが招かれました。アートのプロフェッショナルではありませんが、率直な意見や感想で藝大生と語り合っていました。
今回の卒修展のさまざまな企画のアイディアを出してくれたり、ミュージアム・ショップでのドローイング販売を成功に導いてくれた藝大生による卒修展企画チーム「PandA」のみなさんと、日比野克彦教授とのトークも開催されました。
都美のラウンジはいつのまにか大勢の来場者でいっぱいになりました。少し控えめに設えたのですが、さすがは日比野先生。これまでの卒修展では学科をまたいでの交流はありませんでしたし、教授と学生とが話をする機会などもありませんでした。今回の卒修展では、大学の教員、学生、美術館の学芸員、一般から集まったアート・コミュニケータ(とびコーさんたち)、それにその日たまたま居合わせた来場者が一体となっる様子が度々伺えました。
卒修展ではとびコーさんたちから発案された企画も実行されました。これまでの「とびらプロジェクト」で培ってきたノウハウを活かしながら、藝大生の作品を題材に、来場者へ向けてVTS(ビジュアル・シンキング・ストラテジー)が行なわれました。
日比野先生のトークは日を変えて第2段「レストランでトーク」が開催されました。会場は都美の2階にあるイタリアンレストラン「ミュージアムテラス」。日比野先生ととびコーのみなさんで卒修展を語りました。途中でレストランの店長田中さんも登場。「店をつくることはまちをつくること」素晴らしい。都美はさまざまな志のある方々で出来ていますね。
2013.01.31